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第一章
生き甲斐
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姫君は卵形が息を吹き返すために、様々な手段を試してみた。
洗ってみたり、お湯につけてみたり、逆に冷水につけてみたり、くすぐってみたり、地面に叩きつけてみたり、筆で「生」と書いてみたり、祈祷や祝詞を上げてみたり…
何をしてもどうしても卵形が息を吹き返すことは無かった。
姫君は考察の末、大前提として、先ずこの卵形が何者であるのかを知る必要があると悟った。そして、それは卵形の息を吹き返すための初めの一歩であると仮定し、目指すべき最初の目標をそこに定めることにした。
やがて姫君は蘭学を学ぶに至り、様々な知見をもって卵形の正体を暴こうと試みたものの、その初めの一歩すら攻略するに至らなかった。
そしてエロ関白に嫁いだ後も、この研究を続けたが、やはり初めの一歩すら攻略するに至らないまま、姫君は生涯の幕を閉じた。享年六十であった。
姫君は亡くなる前に辞世の句を残した。
『知らぬ名の 霧と消えにし さくらいろ 散りゆく花の 惜しくもあるらん』
『根の唄は 狆の戯れなることか せめて障のなきにけり』
[意味]
結局卵形のその正体すら掴めないまま我が人生は幕を閉じる。しかし悔いはない。この探究が無ければ、我が人生はここまで続かなかっただろう。
表層の生には何も意味がない。意味が無いから生き甲斐というものが必要となってくる。
この卵形の正体を追うことで、何も成果を得られず、ただ追いかける。飼い犬が主人の所有物を隠して宝にすることと大して違いはない。
それは没頭することに意味があり、意味を考えることに何の意味も無い。
それぞれの価値観を元とした生き甲斐はあるけれど、それが世の苦しみを生み出す元となってしまうことは望ましくない。
洗ってみたり、お湯につけてみたり、逆に冷水につけてみたり、くすぐってみたり、地面に叩きつけてみたり、筆で「生」と書いてみたり、祈祷や祝詞を上げてみたり…
何をしてもどうしても卵形が息を吹き返すことは無かった。
姫君は考察の末、大前提として、先ずこの卵形が何者であるのかを知る必要があると悟った。そして、それは卵形の息を吹き返すための初めの一歩であると仮定し、目指すべき最初の目標をそこに定めることにした。
やがて姫君は蘭学を学ぶに至り、様々な知見をもって卵形の正体を暴こうと試みたものの、その初めの一歩すら攻略するに至らなかった。
そしてエロ関白に嫁いだ後も、この研究を続けたが、やはり初めの一歩すら攻略するに至らないまま、姫君は生涯の幕を閉じた。享年六十であった。
姫君は亡くなる前に辞世の句を残した。
『知らぬ名の 霧と消えにし さくらいろ 散りゆく花の 惜しくもあるらん』
『根の唄は 狆の戯れなることか せめて障のなきにけり』
[意味]
結局卵形のその正体すら掴めないまま我が人生は幕を閉じる。しかし悔いはない。この探究が無ければ、我が人生はここまで続かなかっただろう。
表層の生には何も意味がない。意味が無いから生き甲斐というものが必要となってくる。
この卵形の正体を追うことで、何も成果を得られず、ただ追いかける。飼い犬が主人の所有物を隠して宝にすることと大して違いはない。
それは没頭することに意味があり、意味を考えることに何の意味も無い。
それぞれの価値観を元とした生き甲斐はあるけれど、それが世の苦しみを生み出す元となってしまうことは望ましくない。
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