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第一話「板絵」
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一、
石川県〇〇市某町。
その町は地図には載っていない。
そして、その町を訪れた者は必ず一つの怪談を持ち帰る。
ちょうど夏場が迎える頃に東京の都会に住んでいたが職場のテレワーク関係上この田舎の住宅街に引っ越ししてきた。
慣れない風習、ローカルルールも慣れてきたがまだ住人の輪に溶け込めず必死に慣れようとする私。
電車は近くにあり夜一本道で都会から離れた私にとっては利便性があった。
「神谷さん。回覧板です」
「はーい」と玄関先に回覧板持つ待ち構えている近所の主婦石田さんの所に向かう。
私は人見知りするのでこの住宅街に住む上で慣れない住人たちと最低限交流することを決め込んだ。
ニ、
「どう?この田舎に慣れたかしら?」
「ええ。まぁ……」
石田さんと玄関先で軽く立ち話する。
石田さんはよく私のような者をあれこれとよく長時間世間話するほどだから、少し疲れていたがなぜか一安心する。
ここに引っ越しする前にちょうどリフォームした木造建築2階建ての家もたまたま見学しにきた私を見かけた石田さんの勧めで購入したから、頼り甲斐ある先輩として頼っている。
「そういえば、石田さん。この近くに廃家がありますが、人住んでいるのでしょうか?」
石田さんは物知りだったから、ふとこの近くにある古い廃家になって目がついていた。
私はその家にまだ来てないが生活の明かりがついていたので人らしき住んでいることは確認した。
「……ああ。八木さんね」
「八木さん?」
「彼女は八木楓さんという方で多少変わってる人だけど悪い方じゃないわよ。……ただ」
「ただ?」
「怪談を語るのよ……じゃあ。私はこの辺でね」
石田さんはよそよそしくその場で切り上げて自分の自宅へ戻った。
ふと、私はその八木楓さんの人物が多少頭の中に気になっていた。
三、
「ごめんください」
玄関先にインターホンを鳴らして声をかける。
私はちょうど引っ越してから数週間後。
バタバタする家の周りを片付けてようやく落ち着いたところで近所の挨拶周りで八木さんちにも訪ねた。
「はい。どなた」
そこの玄関先の引き戸を開けるとそこにあっと私は少し驚く。
目の前には白い無表情の仮面
服装は朝顔の刺繍された青い和服。
長いきめらかな黒髪が輝く長身細身のスタイル。
石田さんの言ったように見た目も変わっていた。
「あの、なにか?」
「あ、すみません。私こちらまだ引っ越したばかりで挨拶しにきました。これ東京の名物ひよこ饅頭です」
と、私はお土産を渡そうとすると、ガシと強い腕に掴まれて無言に家に入らせた。どうやら、彼女甘いものには弱い。
四、
「どうぞ。粗茶です」
「お構いなく」
そこで、私は彼女の居間で一旦お茶することにした。
彼女は八木楓さんという方で両親を早く亡くされていてこの家にずっと暮らしているそうだ。
そして彼女は普段着も朝顔の和服で白い仮面を身につけているがどうしてなのかは、なかなか切り出せなかった。
彼女は私が持ち込んだひよこ饅頭を顔を見せないよう食べている。
その素顔見せないのはなぜかしら?
ふと、私が彼女をずっと見ていると彼女は口を開く。
「……私の素顔、気になりますか?ごめんなさい。いろいろあってのことなの。ところで神谷さん?」
「あ、はい」
「私の家は古いしきたりのなかで暮らしているの。そこに長くから怪異を語る観測者として収集してるの石山怪談」
「石山怪談?」
「石山県って、聞いたことあります?」
「いいえ」
「でしょうね。地図に載っていませんから」
へぇーとなんとなく相槌をつく私だが多少石山怪談に気になっていた。
「それが一つ伝わる怪談があるのよ。"板絵"というやつね。よかったら聞いていかない?」
私は無言でうなずくと、彼女は板絵という石山怪談を語ってくれた。
五、「板絵(イタエ)」
石山県の山あいには、古い集落がいくつも残っている。
そこには築百年以上の木造家屋も多く、床板も古いものが多い。
ある家の床板に、奇妙なシミが現れた。
最初はただの染みだった。
翌日、丸い影ができた。
古い家にはよくあるものだ。
だが、その染みは少しずつ形を変えていった。
村の者たちはそれを板絵と呼んだ。
「最初は気味が悪いだけでした」
楓は言った。そこで茶を一口含み、
「その板絵を踏んだ者はね、、、同じ顔になるらしいわよ」
「同じ顔?瓜二つに?」
「そうよ。そして怪異語る者に巻き込まれるらしいわよ」
「そうな……んだ」
私は茶も一口飲む。
楓はクスクスと静かに笑う。
その仮面の中の表情はよく伺いしれなかった。
六、
八木楓の怪談を語りを聞いてから数週間後、廊下をモップで掃除しているとふと、シミのようなモノが出ていた。
私はふと気になりよく擦ったり洗剤したり擦っていたがなかなかよく落ちない。
ふと、そのシミが擦るたびに浮かび上がる。
まるでヒトのような顔、
目、
口、
鼻、
女のような生きた顔。
私ははっと驚きそこでスマホを取り出して撮る。
そこの撮った写真と洗面台の鏡と照らし合わせる。
私だ。
いや、よく似ている。
あの板絵という怪談が本当ならば、、、
私はいつ踏んだのか、それとも偶然なのか、、
よくわからずに私は浮き上がるその板絵を見ていた。
それは私の顔だった。
だが、
目だけが違った。
床の中の私の顔は、
私より先に、
笑っていた。
その時、
廊下の奥から、
床を踏む音が聞こえた。
七、
しばらくしてSNS上に石川県〇〇市某町の噂がトレンドになる。
その有意識者が特定しようと訪れようとするがその〇〇市が見当たらない。
〇〇市は地図上に載ってない市だったから。
〇〇市を訪れた者で八木楓に怪異語るとその怪異が巻き込まれるという噂があった。
そして八木楓自身も怪異語る観測者として存在して今でも収集し続けていると。
その頃、八木楓は新しい記録を書き留めていた。
「板絵。観測完了」
八木楓は、新しい怪談の頁を静かに閉じた。
板絵 完
石川県〇〇市某町。
その町は地図には載っていない。
そして、その町を訪れた者は必ず一つの怪談を持ち帰る。
ちょうど夏場が迎える頃に東京の都会に住んでいたが職場のテレワーク関係上この田舎の住宅街に引っ越ししてきた。
慣れない風習、ローカルルールも慣れてきたがまだ住人の輪に溶け込めず必死に慣れようとする私。
電車は近くにあり夜一本道で都会から離れた私にとっては利便性があった。
「神谷さん。回覧板です」
「はーい」と玄関先に回覧板持つ待ち構えている近所の主婦石田さんの所に向かう。
私は人見知りするのでこの住宅街に住む上で慣れない住人たちと最低限交流することを決め込んだ。
ニ、
「どう?この田舎に慣れたかしら?」
「ええ。まぁ……」
石田さんと玄関先で軽く立ち話する。
石田さんはよく私のような者をあれこれとよく長時間世間話するほどだから、少し疲れていたがなぜか一安心する。
ここに引っ越しする前にちょうどリフォームした木造建築2階建ての家もたまたま見学しにきた私を見かけた石田さんの勧めで購入したから、頼り甲斐ある先輩として頼っている。
「そういえば、石田さん。この近くに廃家がありますが、人住んでいるのでしょうか?」
石田さんは物知りだったから、ふとこの近くにある古い廃家になって目がついていた。
私はその家にまだ来てないが生活の明かりがついていたので人らしき住んでいることは確認した。
「……ああ。八木さんね」
「八木さん?」
「彼女は八木楓さんという方で多少変わってる人だけど悪い方じゃないわよ。……ただ」
「ただ?」
「怪談を語るのよ……じゃあ。私はこの辺でね」
石田さんはよそよそしくその場で切り上げて自分の自宅へ戻った。
ふと、私はその八木楓さんの人物が多少頭の中に気になっていた。
三、
「ごめんください」
玄関先にインターホンを鳴らして声をかける。
私はちょうど引っ越してから数週間後。
バタバタする家の周りを片付けてようやく落ち着いたところで近所の挨拶周りで八木さんちにも訪ねた。
「はい。どなた」
そこの玄関先の引き戸を開けるとそこにあっと私は少し驚く。
目の前には白い無表情の仮面
服装は朝顔の刺繍された青い和服。
長いきめらかな黒髪が輝く長身細身のスタイル。
石田さんの言ったように見た目も変わっていた。
「あの、なにか?」
「あ、すみません。私こちらまだ引っ越したばかりで挨拶しにきました。これ東京の名物ひよこ饅頭です」
と、私はお土産を渡そうとすると、ガシと強い腕に掴まれて無言に家に入らせた。どうやら、彼女甘いものには弱い。
四、
「どうぞ。粗茶です」
「お構いなく」
そこで、私は彼女の居間で一旦お茶することにした。
彼女は八木楓さんという方で両親を早く亡くされていてこの家にずっと暮らしているそうだ。
そして彼女は普段着も朝顔の和服で白い仮面を身につけているがどうしてなのかは、なかなか切り出せなかった。
彼女は私が持ち込んだひよこ饅頭を顔を見せないよう食べている。
その素顔見せないのはなぜかしら?
ふと、私が彼女をずっと見ていると彼女は口を開く。
「……私の素顔、気になりますか?ごめんなさい。いろいろあってのことなの。ところで神谷さん?」
「あ、はい」
「私の家は古いしきたりのなかで暮らしているの。そこに長くから怪異を語る観測者として収集してるの石山怪談」
「石山怪談?」
「石山県って、聞いたことあります?」
「いいえ」
「でしょうね。地図に載っていませんから」
へぇーとなんとなく相槌をつく私だが多少石山怪談に気になっていた。
「それが一つ伝わる怪談があるのよ。"板絵"というやつね。よかったら聞いていかない?」
私は無言でうなずくと、彼女は板絵という石山怪談を語ってくれた。
五、「板絵(イタエ)」
石山県の山あいには、古い集落がいくつも残っている。
そこには築百年以上の木造家屋も多く、床板も古いものが多い。
ある家の床板に、奇妙なシミが現れた。
最初はただの染みだった。
翌日、丸い影ができた。
古い家にはよくあるものだ。
だが、その染みは少しずつ形を変えていった。
村の者たちはそれを板絵と呼んだ。
「最初は気味が悪いだけでした」
楓は言った。そこで茶を一口含み、
「その板絵を踏んだ者はね、、、同じ顔になるらしいわよ」
「同じ顔?瓜二つに?」
「そうよ。そして怪異語る者に巻き込まれるらしいわよ」
「そうな……んだ」
私は茶も一口飲む。
楓はクスクスと静かに笑う。
その仮面の中の表情はよく伺いしれなかった。
六、
八木楓の怪談を語りを聞いてから数週間後、廊下をモップで掃除しているとふと、シミのようなモノが出ていた。
私はふと気になりよく擦ったり洗剤したり擦っていたがなかなかよく落ちない。
ふと、そのシミが擦るたびに浮かび上がる。
まるでヒトのような顔、
目、
口、
鼻、
女のような生きた顔。
私ははっと驚きそこでスマホを取り出して撮る。
そこの撮った写真と洗面台の鏡と照らし合わせる。
私だ。
いや、よく似ている。
あの板絵という怪談が本当ならば、、、
私はいつ踏んだのか、それとも偶然なのか、、
よくわからずに私は浮き上がるその板絵を見ていた。
それは私の顔だった。
だが、
目だけが違った。
床の中の私の顔は、
私より先に、
笑っていた。
その時、
廊下の奥から、
床を踏む音が聞こえた。
七、
しばらくしてSNS上に石川県〇〇市某町の噂がトレンドになる。
その有意識者が特定しようと訪れようとするがその〇〇市が見当たらない。
〇〇市は地図上に載ってない市だったから。
〇〇市を訪れた者で八木楓に怪異語るとその怪異が巻き込まれるという噂があった。
そして八木楓自身も怪異語る観測者として存在して今でも収集し続けていると。
その頃、八木楓は新しい記録を書き留めていた。
「板絵。観測完了」
八木楓は、新しい怪談の頁を静かに閉じた。
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