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野花怪異談N⑥巻【完結】

66話「触る髪は祟りある」

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「1」

 ーー野花高校1年B組クラス教室内ーー

 初夏の少し暑くなってきた時期。
 生徒たちも制服も半袖にしたり涼む。
「おはようございます」
 そこに年中変わらず白粉肌を身につけて登校する八木楓も普段目にかけることはないがクラスのみんなは一斉に注目する。
「八木さん。可愛いねー♪その髪型」
 親友の永木桜は楓の髪型のおさげをやめてセミロングしてることに褒める。
「夢見おばさんがたまにおしゃれしなさいて今時の流行りの髪型にしてくれたから」
「いいな。私もそろそろ切ろうかな」
「僕もだ。そろそろやばけだしね」
 と、楓たちに会話に参加する楓の親友こと野花手鞠は髪が全身足の先まで伸びてることに誰も突っ込まないことであえて触れないようにしてる。
「そうそう。私、髪に関する怪異談あるのを思い出したんだけど……私の怪異談聴きたいかしら?」
 すると桜達は女子全員クラスを集めてヒソヒソと相談した後、皆は整列して鳴沢栞が合唱のシキを取り紡ぎ出す。

「聴きたい~♪」「聴きたい~🎵」「聴きたい~🎶」

「せーの♪」

「聴きたい~♫」

 最後遅れて登校した星田星夏によって合唱締め切った。
 そこで彼女達の期待を込めて楓は怪異談を披露した。

「2」

 ーー田中美容理髪店ーー

「いらっしゃいませ」

 店内はほぼ満室。
 お客様はほぼ女性マダム達で占めている。
 僕はここの店の美容師だ。
 僕の名前は神田ゆう、28歳。
 幼い頃から髪を触るのが好きで美容師になった。
 特に女性の繊細な髪を切るのが僕の生き甲斐だった。
 僕の髪を切るマダム達は満足の笑みを浮かべて自慢気に帰宅するのだ。
 だから、髪のためなら僕は頑張れるのだった。

 ーーーーーーー。

「ありがとうございました」
 丁度晩遅くまで髪を切り終えて最後のマダムで締切、切った髪の毛をちりとりで清掃中に客が入ってきた。

「いらっしゃいませ」
「…………」

 その客は珍しく若い女性だった。
 しかもどこかよそよそしく表情が暗かったが髪はとても綺麗な黒髪しており煌めいて艶が出ていたのだ。

「……あの?」と女性客は怪訝な表情を尋ねてくるので僕は思わず見惚れていたので気を取り直して応対する。
「あ、はい。こちらに席をついてください」
「……ええ」
 女性客は席をついた。
    そして僕はクロスを取り出して女性客に被せる。
「どんな髪型にしますか?」
「なんでもいいです」
 と言われたのでそれなら適当にセミロングしようとその女性客の髪を触れると、

 ーーバチっ!!

 一瞬電気がはと走るような感じがしたが僕は構わず髪を切った。
 髪を切り終えると女性客から料金を支払って帰った。
 その後、僕は手早く清掃して帰宅した。

 ーー????ーー

 寝静まる晩。
 僕の身体中に締め付けるような感覚が起きて目を覚ますと。

 僕の身体に黒い髪の毛が至るところに落ちていた。

 その時、長髪していたから寝苦しさでそうなっていただろうと僕は思っていた。

「3」

「神田。お前寝不足か?」
「あ、はい。最近寝れなくて……」

 同僚の先輩やマダム達が心配するほどここんとこ最近寝付けられなくなっていた。
 なるべく仕事の支障がないように早めに寝ようと思っていた。

「いらっしゃいませ」

 新しい客に応対する。
 と、どうやら夜分遅くに来たあの女性客のようだ。
 その客はどうやら僕を指名した。
 まだ日にちが経ってないのによほど気にいったのかなと僕は思ってた。
     そして慣れた手つきで女性客にクロスを被せる。

「今日はどんな髪型にします?」
「……思い切ってバッサリと切ってちょうだい。ところであなた」
「はい?なんでしょう」
「……その髪どうにかしなさい。手遅れならないうちに」

 どうやら軽いクレームのようだ。
 ロン毛長髪で束ねているが鬱陶しいかもしれないなと思って思いきって切ることを決めた。

 ーー????ーー

 ーージャリ、ジャリと聴こえる。

 僕の周りにまとわりつくナニカを手で払おうとするとその手の先の感覚がなかった。

 目をゆっくりと開けると両腕の手の先がなかった。

 僕は慌てて起きようとすると下半身先が見当たらない。

 これは夢なんだと僕は言い聞かせて目を瞑る。

 その時、僕の頭の先にナニカの塊が覆い被さりそこで僕の意識は失った。

 ーー山田理髪店ーー

「どうだった?あの店」

「……ダメね。私一度忠告入れたんだけど。どうやら喰われたみたいね」

「そう。あなたの髪は特殊だから他の同業者にもきちんと注意換気してるのにね」

「山田さん。わかってると思いますが……」

「ええ。切った髪は燃やして処分すればいいでしょ?わかってるわよ」


 ーーーーーーー。

「おはよう♫」

 クラス教室内で手鞠が登校した時、みんなは注目する。

「ど、どうしたのその髪型」

 桜の指摘通りに手鞠の髪型はトサカを決めていた。
 他の人から見ればグレてるというニュアンスを見てとれる。

「お前ら席につけ……手鞠あとで生活指導に来るように」

 担任の梅田虫男が指摘するほどだったのでこの後手鞠は再度髪を切る羽目になり楓とほぼ同じセミロングになった。

 触る髪は祟りある   完


 おまけ♫

 ーー夢見理髪店ーー

 3メートルの長髪の手鞠が来店する。

「今日はどんな髪型にする?」

「思い切ってバッサリとしてください」

「わかったわ」と夢見明日香は人差し指をつきだして彼女の分身体を作り出してバッサリと切った。

 そこで手鞠の切られた髪は明日香の分身体が綺麗にまとめられて処分した。

 えんど♪  
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