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僕は今、医務室の前の廊下で一人待機していた。部屋の中では記憶に異常が見られたユーリと、救護のマチュア先生が話をしている。
魔法実技担当のヘレウス先生は、授業を途中で切り上げてクラスメート達をクラスへ連れていくことにしたらしい。僕もベンと一緒に戻るつもりだったけれど、何故かユーリと先生の二人から「話が終わるまで待ってほしい」と頼まれてここにいる。
ユーリのことは心配だけれど、僕がここにいても何も出来ないのにどうして……。
幼馴染みだけど今は嫌われて疎遠になってたし、僕より適任なのはきっと彼だ。苛烈な性格をしたユーリの今一番仲良しの……ルベル。
クラスに戻る際、すれ違った彼にぎっと睨まれたのを思い出して憂鬱になる。会ったら絶対に今朝のユーリと関わらない宣言について、色々と文句を言ってくる。怒涛の勢いで貶されるんだろうな。だって、その宣言をした相手がユーリとルベルなんだから──。
*
たまたま寮から出る時間がベンと被り、正面玄関口まで一緒に歩き、今日の魔法実技の模擬戦について喋りながら登校した。必勝法を編み出したと言って、手をぐねぐねとさせ、動く植物の真似をするのが面白くて笑ってしまった。そもそもベンの属性は火で、僕の属性は水だから植物を出せないんだけれど。でも相手の動きを止めるのは有効だと考えた僕も、思い付いた方法を挙げ、ベンも更に話を膨らませて盛り上がる。
玄関口でベンは部室に用事があるというので、また後で話そうと約束をして、手を振って別れた。
教室に続く道へと視線を移すと、すぐ近くにユーリが立っていたのでビックリする。いつの間に来ていたんだろう。全然気付かなかった。
僕を見る目には、明らかな嫌悪感が滲んでいた。眉間に皺を寄せ、朝から不機嫌そう。
何か機嫌を損ねるようなことしたかな。前に朝から機嫌を損ねさせたのは『寝坊して慌てて登校した僕の服装がだらしなかった』ことと『正面玄関口で躓いて荷物をばらまいた』ことだ。今はどれも該当していないから、大丈夫だと思うんだけれど。もしかして、たまたまユーリの機嫌が悪い時に、バッタリ会ってしまったのかな。うーん、早くここから離れよう。
「最近、あの男といつもいるようだな。あいつは誰だ」
小さな声で挨拶をして、横を通り過ぎようとした所にユーリから声をかけられて、足を止める。
「えっと、あいつとは……」
「お前と登校してきた赤茶髪の男だ」
「あぁ、彼はベンですよ」
ベンとは初等部から同じクラスで、中等部から仲良くなった。魔力が少ない者同士よく授業中ではペアになることが多かったし、友達がいない僕に気さくに話しかけてくれたのがきっかけだ。
初等部と中等部の時はクラスが違うけれど、高等部に上がってからはユーリとも同じクラスなので、ベンの顔は知ってる筈。もう一緒になって二年目なのに、名前を覚えていないのかな。それとも、僕と仲が良い相手だったから関わりたくなくて、覚えるつもりがなかったのか……。
「名前に興味はない。お前のなんだ」
「えっ? 同じクラスメートで友人です」
「クラスメート……」
「もしかして彼に何か用事が? 部室に行っちゃいましたが、授業が始まる前には戻ってくると思いますよ」
「用はない」
「えっ」
「……ただの、友人にしては距離が近いようだったが」
「近い……ですか?」
僕は首を傾げる。
テンションが上がった時にハイタッチしたり肩を組んだりすることはあるけれど、至って普通の友達同士の距離だと思う。常に一緒にいる訳でもないし、ベタベタしてる訳でもないので思い当たる節がない。先程までの行動も、ただ並んで会話をしていただけなのに。
ユーリの友達──よくいるメンバーとは盛り上がることもなく淡々と会話をしていて、物理的にも心理的にも常に一定の距離があるように見える。それに比べたらベンとの距離は近いかもしれない。
「えっと……普通だと思います。仮に僕とベンの距離が近くて、何が問題なんですか? ユリウス様には関係ないじゃないですか」
ユーリの眉間がピクリと動く。周囲の温度が下がり、大気中のマナがざわついた。
僕の言い方が気に触ったようで、怒らせてしまった。ちょっと生意気に聞こえたのかな。謝るべきか悩んだが、ユーリの言葉でその考えは吹き飛んだ。
「はぁ、お前には上昇志向がないのか。底辺同士がつるんで何になる……。精々傷の嘗め合いぐらいしか出来ないだろ」
「なっ」
「いいか、あの男と付き合うのはやめろ。魔力も低いし魔法のセンスもない。へらへら笑って必勝法だと語っていたが、あれでは無理だ。そもそも己の属性も違うだろ。基礎も覚えられないとは、残念な頭の持ち主だな」
「ベンをバカにしないで!」
「奴がバカなのは事実だろ」
「っ!」
カッと頭に血が上る。
ユーリに比べたら、僕たちは魔力も低いし成績だって良くない。それでも必死に皆に置いていかれないよう、頑張っているんだ。基礎を間違えていたのはダメなことかもしれないけれど、植物の件は例え話で本気で使おうと思っていない。何も鼻で笑わなくてもいいのに。
離れて話を聞いていたユーリの取り巻きたちにも、くすくすと笑われて嫌になる。僕だけなら我慢出来たけれど、友人までバカにされたのは許せない。怒りを抑えるように、ぎゅっと手を握り締め、俯く。
「ユリウス様、そうハッキリ言われては可哀想ですよ」
ふわりと甘い香水を漂わせ、僕の横を通り抜けた人がくすりと笑う。
顔を上げると、ルベルがユーリの隣に並んで挨拶をしていた。
今日も肩までつく薄桃色の髪は艶々で、爪先まできれいに手入れされている。相変わらず美人だなぁ。性格はあまり良くないけれど。
「私は地味でレベルが低い者同士、お似合いの友達だと思いますよ。ふふっ」
「…………」
ユーリは溜め息を吐くと、興が削がれたのか 僕から視線を外した。ルベルはにこりとユーリに微笑んだ後、悲しみを装うよう大袈裟な身振りで嘆く。
「あぁ、なんてお可哀想なユリウス様。出身村がたまたま同じ幼馴染みというだけで、こんな平凡な男にいつまでも付きまとわれて……」
「付きまとってなんかいないよ」
「嘘をつくなよ。ユリウス様の前で業とらしく転けたり、声をかけられる状況を作っている癖に」
「それはっ!」
「なんだよ、反論があるなら言ってみろよ」
僕は言い返すのを止めて、口を閉じた。
いつも僕の話を聞かず、彼は自分の意見を一方的に押し付けて来る。
大体、ユーリの前で転けたのは、ルベルをはじめとする取り巻きたちが足を引っかけてきた所為でもあるんだけれど。
正直に言うと、僕はルベルが苦手だ。
彼はユーリの取り巻きの一人で、性格はキツいが美人だ。魔力も高く、この学園で片手の指に入る程の実力を持っていると言う。
ユーリも気に入っているのか、自分の隣にいることを許しており、取り巻きの誰よりも距離が近い。一番の仲良しで、周囲では伴侶候補の一人じゃないかと噂されている。ルベル本人も得意気な顔をしてユーリの側にいるから、もしかしたら既に恋人になっているかもしれない。だからなのか、ユーリに構われている幼馴染みという存在の僕が気に入らないようで、嫌がらせをしてくる。ユーリが僕に対する態度はどう見ても好かれているようには見えないのに。
今だって、ユーリは黙って僕らの様子を見てるだけで、何の動きもない。
心の中で溜め息を一つ。
これ以上、用がないなら教室に行っても良いかな……。僕たち邪魔になってるし。
朝の登校時間のため、クラスメートたちの姿がちらほらと見え、正面玄関口で入りづらそうにしていた。ごめんね、今退けるから。
「反論もせず逃げるなんて、やっぱ図星なんだ……」
「逃げる……?」
この場を離れようとした僕を、逃げたと勘違いしたルベルが鼻を鳴らした。
少しだけげんなりして、後ろを振り向く。
「お前さ、嫉妬して欲しくて、ユリウス様の目の前であの男と絡んだろ」
「……あの男?」
「お前とお似合いの、赤茶の髪をした底辺男だよ」
「てい、へん……」
「いくらユリウス様のことが好きだからって、必死過ぎ。いい加減諦めて、自分に相応しい人でも見つければ?」
「なに……それ……」
そんなことしてない。
この五年間、僕からはユーリに一度も話しかけていないのに。誤解して勝手なこと言われたのは、僕が今まで黙っていた所為もあるんだろうか。何も悪くない友人がまた悪口に巻き込まれるのなら、今日、ハッキリ言ってしまおう。
僕はルベルのチョコレート色をした目をしっかり見つめた。ユーリにも、その取り巻きたちにも聞こえるようハッキリとした大きな声を心掛けて、今の気持ちを口に出す。
「ユリウス様のことは、昔は好きで側にいたのは確かだよ。でも、今はもう好きじゃない。なんとも思っていないから近寄らないよう離れているのに、あっちから話しかけられて迷惑だとすら思っている。ベンといるのは純粋に一緒にいて楽しい友人だからで、ユリウス様に嫉妬してもらうために仲良くしている訳じゃない。恋人にする相手も、ちゃんと自分の身の丈に合った人にしようと思っているから安心してよ。まぁ、恋人はすぐに見つかるとは思えないけど……とにかくユリウス様とどうにかなろうなんて全然欠片も思っていないから!」
「はあ? 生意気な奴。その言い方だとお前がユリウス様を振っているように聞こえて、腹が立つが……。でも、お前がそんなハッキリ言うってことは、本気だと思っていいんだよな?」
半信半疑ながらも僕の言葉を珍しく聞いてくれたルベルに、勿論だと頷いてから、ユーリへ視線を移す。目が合うことはないけれど、話は聞こえているだろうから構わず彼に向かって喋った。
「ユリウス様、貴方もこれ以上、僕が幼馴染みだからといって世話を焼こうと、無理に話しかけてこないで下さい。もう僕に関わらないで。貴方に相応しい方とどうぞお幸せに」
魔法実技担当のヘレウス先生は、授業を途中で切り上げてクラスメート達をクラスへ連れていくことにしたらしい。僕もベンと一緒に戻るつもりだったけれど、何故かユーリと先生の二人から「話が終わるまで待ってほしい」と頼まれてここにいる。
ユーリのことは心配だけれど、僕がここにいても何も出来ないのにどうして……。
幼馴染みだけど今は嫌われて疎遠になってたし、僕より適任なのはきっと彼だ。苛烈な性格をしたユーリの今一番仲良しの……ルベル。
クラスに戻る際、すれ違った彼にぎっと睨まれたのを思い出して憂鬱になる。会ったら絶対に今朝のユーリと関わらない宣言について、色々と文句を言ってくる。怒涛の勢いで貶されるんだろうな。だって、その宣言をした相手がユーリとルベルなんだから──。
*
たまたま寮から出る時間がベンと被り、正面玄関口まで一緒に歩き、今日の魔法実技の模擬戦について喋りながら登校した。必勝法を編み出したと言って、手をぐねぐねとさせ、動く植物の真似をするのが面白くて笑ってしまった。そもそもベンの属性は火で、僕の属性は水だから植物を出せないんだけれど。でも相手の動きを止めるのは有効だと考えた僕も、思い付いた方法を挙げ、ベンも更に話を膨らませて盛り上がる。
玄関口でベンは部室に用事があるというので、また後で話そうと約束をして、手を振って別れた。
教室に続く道へと視線を移すと、すぐ近くにユーリが立っていたのでビックリする。いつの間に来ていたんだろう。全然気付かなかった。
僕を見る目には、明らかな嫌悪感が滲んでいた。眉間に皺を寄せ、朝から不機嫌そう。
何か機嫌を損ねるようなことしたかな。前に朝から機嫌を損ねさせたのは『寝坊して慌てて登校した僕の服装がだらしなかった』ことと『正面玄関口で躓いて荷物をばらまいた』ことだ。今はどれも該当していないから、大丈夫だと思うんだけれど。もしかして、たまたまユーリの機嫌が悪い時に、バッタリ会ってしまったのかな。うーん、早くここから離れよう。
「最近、あの男といつもいるようだな。あいつは誰だ」
小さな声で挨拶をして、横を通り過ぎようとした所にユーリから声をかけられて、足を止める。
「えっと、あいつとは……」
「お前と登校してきた赤茶髪の男だ」
「あぁ、彼はベンですよ」
ベンとは初等部から同じクラスで、中等部から仲良くなった。魔力が少ない者同士よく授業中ではペアになることが多かったし、友達がいない僕に気さくに話しかけてくれたのがきっかけだ。
初等部と中等部の時はクラスが違うけれど、高等部に上がってからはユーリとも同じクラスなので、ベンの顔は知ってる筈。もう一緒になって二年目なのに、名前を覚えていないのかな。それとも、僕と仲が良い相手だったから関わりたくなくて、覚えるつもりがなかったのか……。
「名前に興味はない。お前のなんだ」
「えっ? 同じクラスメートで友人です」
「クラスメート……」
「もしかして彼に何か用事が? 部室に行っちゃいましたが、授業が始まる前には戻ってくると思いますよ」
「用はない」
「えっ」
「……ただの、友人にしては距離が近いようだったが」
「近い……ですか?」
僕は首を傾げる。
テンションが上がった時にハイタッチしたり肩を組んだりすることはあるけれど、至って普通の友達同士の距離だと思う。常に一緒にいる訳でもないし、ベタベタしてる訳でもないので思い当たる節がない。先程までの行動も、ただ並んで会話をしていただけなのに。
ユーリの友達──よくいるメンバーとは盛り上がることもなく淡々と会話をしていて、物理的にも心理的にも常に一定の距離があるように見える。それに比べたらベンとの距離は近いかもしれない。
「えっと……普通だと思います。仮に僕とベンの距離が近くて、何が問題なんですか? ユリウス様には関係ないじゃないですか」
ユーリの眉間がピクリと動く。周囲の温度が下がり、大気中のマナがざわついた。
僕の言い方が気に触ったようで、怒らせてしまった。ちょっと生意気に聞こえたのかな。謝るべきか悩んだが、ユーリの言葉でその考えは吹き飛んだ。
「はぁ、お前には上昇志向がないのか。底辺同士がつるんで何になる……。精々傷の嘗め合いぐらいしか出来ないだろ」
「なっ」
「いいか、あの男と付き合うのはやめろ。魔力も低いし魔法のセンスもない。へらへら笑って必勝法だと語っていたが、あれでは無理だ。そもそも己の属性も違うだろ。基礎も覚えられないとは、残念な頭の持ち主だな」
「ベンをバカにしないで!」
「奴がバカなのは事実だろ」
「っ!」
カッと頭に血が上る。
ユーリに比べたら、僕たちは魔力も低いし成績だって良くない。それでも必死に皆に置いていかれないよう、頑張っているんだ。基礎を間違えていたのはダメなことかもしれないけれど、植物の件は例え話で本気で使おうと思っていない。何も鼻で笑わなくてもいいのに。
離れて話を聞いていたユーリの取り巻きたちにも、くすくすと笑われて嫌になる。僕だけなら我慢出来たけれど、友人までバカにされたのは許せない。怒りを抑えるように、ぎゅっと手を握り締め、俯く。
「ユリウス様、そうハッキリ言われては可哀想ですよ」
ふわりと甘い香水を漂わせ、僕の横を通り抜けた人がくすりと笑う。
顔を上げると、ルベルがユーリの隣に並んで挨拶をしていた。
今日も肩までつく薄桃色の髪は艶々で、爪先まできれいに手入れされている。相変わらず美人だなぁ。性格はあまり良くないけれど。
「私は地味でレベルが低い者同士、お似合いの友達だと思いますよ。ふふっ」
「…………」
ユーリは溜め息を吐くと、興が削がれたのか 僕から視線を外した。ルベルはにこりとユーリに微笑んだ後、悲しみを装うよう大袈裟な身振りで嘆く。
「あぁ、なんてお可哀想なユリウス様。出身村がたまたま同じ幼馴染みというだけで、こんな平凡な男にいつまでも付きまとわれて……」
「付きまとってなんかいないよ」
「嘘をつくなよ。ユリウス様の前で業とらしく転けたり、声をかけられる状況を作っている癖に」
「それはっ!」
「なんだよ、反論があるなら言ってみろよ」
僕は言い返すのを止めて、口を閉じた。
いつも僕の話を聞かず、彼は自分の意見を一方的に押し付けて来る。
大体、ユーリの前で転けたのは、ルベルをはじめとする取り巻きたちが足を引っかけてきた所為でもあるんだけれど。
正直に言うと、僕はルベルが苦手だ。
彼はユーリの取り巻きの一人で、性格はキツいが美人だ。魔力も高く、この学園で片手の指に入る程の実力を持っていると言う。
ユーリも気に入っているのか、自分の隣にいることを許しており、取り巻きの誰よりも距離が近い。一番の仲良しで、周囲では伴侶候補の一人じゃないかと噂されている。ルベル本人も得意気な顔をしてユーリの側にいるから、もしかしたら既に恋人になっているかもしれない。だからなのか、ユーリに構われている幼馴染みという存在の僕が気に入らないようで、嫌がらせをしてくる。ユーリが僕に対する態度はどう見ても好かれているようには見えないのに。
今だって、ユーリは黙って僕らの様子を見てるだけで、何の動きもない。
心の中で溜め息を一つ。
これ以上、用がないなら教室に行っても良いかな……。僕たち邪魔になってるし。
朝の登校時間のため、クラスメートたちの姿がちらほらと見え、正面玄関口で入りづらそうにしていた。ごめんね、今退けるから。
「反論もせず逃げるなんて、やっぱ図星なんだ……」
「逃げる……?」
この場を離れようとした僕を、逃げたと勘違いしたルベルが鼻を鳴らした。
少しだけげんなりして、後ろを振り向く。
「お前さ、嫉妬して欲しくて、ユリウス様の目の前であの男と絡んだろ」
「……あの男?」
「お前とお似合いの、赤茶の髪をした底辺男だよ」
「てい、へん……」
「いくらユリウス様のことが好きだからって、必死過ぎ。いい加減諦めて、自分に相応しい人でも見つければ?」
「なに……それ……」
そんなことしてない。
この五年間、僕からはユーリに一度も話しかけていないのに。誤解して勝手なこと言われたのは、僕が今まで黙っていた所為もあるんだろうか。何も悪くない友人がまた悪口に巻き込まれるのなら、今日、ハッキリ言ってしまおう。
僕はルベルのチョコレート色をした目をしっかり見つめた。ユーリにも、その取り巻きたちにも聞こえるようハッキリとした大きな声を心掛けて、今の気持ちを口に出す。
「ユリウス様のことは、昔は好きで側にいたのは確かだよ。でも、今はもう好きじゃない。なんとも思っていないから近寄らないよう離れているのに、あっちから話しかけられて迷惑だとすら思っている。ベンといるのは純粋に一緒にいて楽しい友人だからで、ユリウス様に嫉妬してもらうために仲良くしている訳じゃない。恋人にする相手も、ちゃんと自分の身の丈に合った人にしようと思っているから安心してよ。まぁ、恋人はすぐに見つかるとは思えないけど……とにかくユリウス様とどうにかなろうなんて全然欠片も思っていないから!」
「はあ? 生意気な奴。その言い方だとお前がユリウス様を振っているように聞こえて、腹が立つが……。でも、お前がそんなハッキリ言うってことは、本気だと思っていいんだよな?」
半信半疑ながらも僕の言葉を珍しく聞いてくれたルベルに、勿論だと頷いてから、ユーリへ視線を移す。目が合うことはないけれど、話は聞こえているだろうから構わず彼に向かって喋った。
「ユリウス様、貴方もこれ以上、僕が幼馴染みだからといって世話を焼こうと、無理に話しかけてこないで下さい。もう僕に関わらないで。貴方に相応しい方とどうぞお幸せに」
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