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攻略編 2-2
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次の日、レオン様は約束通り私の家まで迎えにきてくれた。
「おはよう、昨日はよく眠れたか?」
「ええ、おかげさまで。」
私は笑顔で答えた。本当はあまり眠れなかったが、彼の顔を見ると不思議と心が安らいだ。
「さあ、行こうか。」
そう言って私の手を取ると彼は歩き出した。すると突然立ち止まったので私は彼にぶつかってしまった。「ご、ごめんなさい」
私が謝ると彼は微笑んで言った。
「いや、いいんだ。君が無事ならそれで……」
(ああ……やっぱり素敵……)
彼の優しさに触れる度に私は彼への想いを募らせていった。
*****
その後もレオン様は頻繁に私に会いに来てくれた。最初は罪悪感で押しつぶされそうだったが、今ではすっかり慣れてしまった自分に驚いた。
そんなある日のこと、いつも通りレオン様が家まで迎えに来てくれたのだが……彼はとても深刻な表情をしていた。そして何か言いたげにしていたので私は尋ねた。
「何かあったんですか?」
するとレオン様は苦しそうな表情を見せながら言った。
「実は……父上から君を城へ連れてくるように言われているんだ」
(えっ?)
突然のことに驚いたが、同時に嬉しさも込み上げてきた。
しかし次の瞬間には不安の方が強くなった。なぜなら記憶の中のゲーム内ではハルトとレオン様が対立していたからだ。
でも、レオン様と一緒に過ごせるならそれでもいいとさえ思えてきた。だから私は言った。
「わかりました」
すると彼は安堵した表情を浮かべた後で言った。
「良かった……断られるかと思ったよ……」
(断るわけないじゃない)
*****
それから数日後、私はレオン様に連れられ城へと向かった。
城に入ると、すぐに謁見の間へと通された。そこでは国王様が玉座に座って待っていた。
(うわぁ……本物の王様だ)
緊張しながらも私はレオン様の隣を歩いていき、国王様の前で跪いた。すると国王様は口を開いた。
「お前が聖女か……名前は何という?」
「はい、レティと申します」
私が答えると国王様は少し考える素振りを見せてから言った。
「そうか……ではレティよ、まずは褒美を授けよう……」
(褒美?)
疑問に思っているとレオン様が私の耳元で囁いた。
(恐らく聖女としての報酬だろう)
(そうなんですか……)
私は少し悩んだ後で言った。
「恐れながら申し上げますが、私はそのようなものを望んでおりません。」
すると国王様は驚いたように目を見開いた後で言った。
「それは何故だ?」
(えっ?)
予想外の反応に戸惑っているとレオン様が代わりに答えてくれた。
「まだ聖女としての役割をすべて果たしておりませんので頂けません。」
そんな私の理由にレオン様は微笑むと国王様に向き直って言った。
「レティは俺の婚約者にしたいと考えており、いずれ王妃として迎え入れたいと思っています」
(え!?)
私は驚きのあまり声が出なかった。しかし、すぐに嬉しさが込み上げてきた。
(レオン様……私の聖女としての今の生き方を考えてくれて思いついた提案なのかしら……)
そんな私の様子を国王様はジッと見つめていたがやがて口を開いた。
「そうか……ならば仕方がないな……」
(やった!)
心の中でガッツポーズをする私だったが、次の瞬間に国王様が放った一言で打ち砕かれることになる。
「ならばレティよ、レオンと結婚を前提に婚約をせよ」
(え……)
一瞬、頭が真っ白になった後で私はゆっくりと顔を上げた。するとそこには優しい笑顔で微笑むレオン様の姿があった。
*****
その夜、私はベッドの上でぼーっとしていた。
(まさかレオン様だけでなく、国王様があんなこと言うなんて……)
思い返すだけでもドキドキしてくる。胸の高鳴りを抑えるように手を胸に当てる私だったが、脳裏には彼の笑顔が浮かんでくる。
(ああ……レオン様……)
そう呟きながら私は眠りについた。
それからというもの、私はレオン様と一緒に過ごす時間が増えた。そして毎日のように愛を囁かれ続けた結果、私の彼への想いはどんどん深まっていったのである。
そして、ゲーム内でおきていたイベントは今回は起きなかった。
*****
「おはよう、昨日はよく眠れたか?」
「ええ、おかげさまで。」
私は笑顔で答えた。本当はあまり眠れなかったが、彼の顔を見ると不思議と心が安らいだ。
「さあ、行こうか。」
そう言って私の手を取ると彼は歩き出した。すると突然立ち止まったので私は彼にぶつかってしまった。「ご、ごめんなさい」
私が謝ると彼は微笑んで言った。
「いや、いいんだ。君が無事ならそれで……」
(ああ……やっぱり素敵……)
彼の優しさに触れる度に私は彼への想いを募らせていった。
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その後もレオン様は頻繁に私に会いに来てくれた。最初は罪悪感で押しつぶされそうだったが、今ではすっかり慣れてしまった自分に驚いた。
そんなある日のこと、いつも通りレオン様が家まで迎えに来てくれたのだが……彼はとても深刻な表情をしていた。そして何か言いたげにしていたので私は尋ねた。
「何かあったんですか?」
するとレオン様は苦しそうな表情を見せながら言った。
「実は……父上から君を城へ連れてくるように言われているんだ」
(えっ?)
突然のことに驚いたが、同時に嬉しさも込み上げてきた。
しかし次の瞬間には不安の方が強くなった。なぜなら記憶の中のゲーム内ではハルトとレオン様が対立していたからだ。
でも、レオン様と一緒に過ごせるならそれでもいいとさえ思えてきた。だから私は言った。
「わかりました」
すると彼は安堵した表情を浮かべた後で言った。
「良かった……断られるかと思ったよ……」
(断るわけないじゃない)
*****
それから数日後、私はレオン様に連れられ城へと向かった。
城に入ると、すぐに謁見の間へと通された。そこでは国王様が玉座に座って待っていた。
(うわぁ……本物の王様だ)
緊張しながらも私はレオン様の隣を歩いていき、国王様の前で跪いた。すると国王様は口を開いた。
「お前が聖女か……名前は何という?」
「はい、レティと申します」
私が答えると国王様は少し考える素振りを見せてから言った。
「そうか……ではレティよ、まずは褒美を授けよう……」
(褒美?)
疑問に思っているとレオン様が私の耳元で囁いた。
(恐らく聖女としての報酬だろう)
(そうなんですか……)
私は少し悩んだ後で言った。
「恐れながら申し上げますが、私はそのようなものを望んでおりません。」
すると国王様は驚いたように目を見開いた後で言った。
「それは何故だ?」
(えっ?)
予想外の反応に戸惑っているとレオン様が代わりに答えてくれた。
「まだ聖女としての役割をすべて果たしておりませんので頂けません。」
そんな私の理由にレオン様は微笑むと国王様に向き直って言った。
「レティは俺の婚約者にしたいと考えており、いずれ王妃として迎え入れたいと思っています」
(え!?)
私は驚きのあまり声が出なかった。しかし、すぐに嬉しさが込み上げてきた。
(レオン様……私の聖女としての今の生き方を考えてくれて思いついた提案なのかしら……)
そんな私の様子を国王様はジッと見つめていたがやがて口を開いた。
「そうか……ならば仕方がないな……」
(やった!)
心の中でガッツポーズをする私だったが、次の瞬間に国王様が放った一言で打ち砕かれることになる。
「ならばレティよ、レオンと結婚を前提に婚約をせよ」
(え……)
一瞬、頭が真っ白になった後で私はゆっくりと顔を上げた。するとそこには優しい笑顔で微笑むレオン様の姿があった。
*****
その夜、私はベッドの上でぼーっとしていた。
(まさかレオン様だけでなく、国王様があんなこと言うなんて……)
思い返すだけでもドキドキしてくる。胸の高鳴りを抑えるように手を胸に当てる私だったが、脳裏には彼の笑顔が浮かんでくる。
(ああ……レオン様……)
そう呟きながら私は眠りについた。
それからというもの、私はレオン様と一緒に過ごす時間が増えた。そして毎日のように愛を囁かれ続けた結果、私の彼への想いはどんどん深まっていったのである。
そして、ゲーム内でおきていたイベントは今回は起きなかった。
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