なぜ勇者は地獄に落ちたのか?

Gaku

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第2話:最初の問い『秤に乗せられた命』

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 冥王ハデスの「検証を始めよう」という言葉は、宣告そのものよりも重く、冷たい鉛となってアレスの魂にのしかかった。

 検証。

 その響きは、罪人に対する冷徹な取り調べを連想させた。英雄として生を終えたはずの自分が、なぜ死後にまで尋問されねばならないのか。屈辱と、燃え盛るような反発心で、アレスは魂の身を固くする。だが、彼の内なる炎は、同時に自らの正義に対する絶対的な自信の現れでもあった。百年もの平和を築き上げたこの自分が、何一つ恥じることなどあるはずがない。

「いいだろう。何でも問うがいい」

 アレスは、冥府の王を真正面から見据え、言い放った。その声は、広大な神殿の虚空に響き渡り、微塵の揺らぎもなかった。

「私の正義が、私の下した決断が、いささかも揺らぐことはないと、お前自身が知ることになるだろう」

 アレスがそう言い放つのを待っていたかのように、ハデスは再びあの分厚い石板に、その感情のない視線を落とした。彼の指先が、石板に刻まれた無数の文字の一つを、そっとなぞる。すると、神殿の冷たい空気が微かに震え、アレスの記憶の深淵に直接語りかけてくるかのような、低い声が響き始めた。

「王歴736年、秋。霜の月」

 ハデスは、まるで昨日の出来事を語るかのように、淡々と事実を紡ぎ始める。その言葉の一つ一つが、アレスの記憶という名の湖に投じられた小石のように、鮮やかな波紋を広げていく。

「お前と仲間たちは、北の『霧降りの森』にいた。一年を通して陽の光を拒む、陰鬱な森だ。湿った苔と腐葉土の匂いが立ち込め、木々の枝からは絶えず冷たい雫が落ちていた。そこでお前たちの元に、一人の斥候が転がり込んでくる。魔王軍の二つの軍団が、同時に進軍を開始した、と」

 ハデスの語りに合わせて、アレスの意識は冥府の神殿を離れ、遠い過去の森へと引き戻されていく。そうだ、あの日も、こんな風に肌寒い日だった。終わらない霧雨が、希望という名の小さな灯火さえも消し去ろうとしているかのような、そんな日だった。

「一つは、竜将軍バルゴス率いる第一軍団。天を覆うほどの飛竜を従え、百万の民が住む王都を目指していた。そしてもう一つは、鬼人族の猛将ガザン率いる第二軍団。大地を揺るがし、踏みしめた草木をことごとく血に染める、残虐非道の一族だ。彼らは街道を外れ、辺境の『エルム村』へと進路を取っていた」

 ハデスの声は、どこまでも平坦だった。しかし、その言葉が呼び覚ます記憶は、アレスの魂を激しく揺さぶった。バルゴス。ガザン。その名を口にするだけで、鉄と血の匂いが蘇る。

「お前たちの手元にある戦力では、どちらか一方にしか対応できない。王都に到達するまでの猶予は三日。エルム村までは、わずかに一日。お前は、選択を迫られたのだ」

 その言葉は、アレスの記憶の扉を容赦なくこじ開けた。激しい痛みを伴って、あの日の光景が、まるで昨日のことのように蘇る。冷たい霧雨が鋼の鎧を濡らし、仲間たちの顔から血の気を奪っていく、あの絶望的な光景が。

「そうだ。そして私は正しい選択をした」

 アレスは、蘇る記憶の痛みから逃れるように、声を張り上げた。それはハデスに向けた反論であると同時に、自らの魂に巣食う微かな疼きを振り払うための、必死の叫びでもあった。

「あの絶望的な状況で、あれが唯一の、そして最善の選択だったのだ!」

 彼の叫びが引き金となり、冥府の絶対的な静寂が、まるで砕け散るガラスのように音を立てて崩れ去る。黒曜石の床と果てしない闇が後退し、アレスの周囲の景色は、過去の喧騒と、冷たい雨の匂いに塗り替えられていった。

 ***

【回想】

 王歴736年、秋。霜の月。

 空は重たい鉛色の雲に覆われ、冷たい霧雨が、世界から色彩というものを奪い去っていた。北の『霧降りの森』は、その名の通り、一年を通して晴れることのない深い霧に包まれている。陽の光は鬱蒼とした木々の葉に遮られ、昼なお暗い森の地面は、常に湿った苔と、何百年も積もり続けた腐葉土で覆われていた。風が木々の間を吹き抜けるたびに、濡れた葉擦れの音が、まるで無数の魂の囁きのように聞こえ、馬たちは不安げに鼻を鳴らした。

 馬上のアレスは、冷たい雨水が兜の縁から首筋へと伝う不快感に、小さく眉をひそめた。仲間たちの吐く息は白く、その表情は誰もが疲労と、先の見えない戦いへの不安に曇っている。湿った土と苔の匂いに混じって、冬の到来を告げる針葉樹の、清冽だが厳しい香りが鼻をついた。

 その時、森の奥から、一つの影が転がるように現れた。泥と血にまみれた斥候だった。彼は馬から転げ落ちると、息も絶え絶えにアレスたちの足元に這い寄り、かすれた声で報告を始めた。

「報告…します…!魔王軍…二手に…!」

 その一言で、一行の間に張り詰めていた空気が、凍りついた。

 場所を移し、雨をわずかにしのげる岩陰で、濡れた羊皮紙の地図が広げられた。雨粒が地図の上に点々と落ち、インクで描かれた地名を滲ませていく。一行の頭脳である魔法使いのリリアが、斥候からの断片的な情報を繋ぎ合わせ、冷静だが、その声には隠しようのない厳しさを滲ませて分析結果を告げた。彼女の美しい銀色の髪は、湿気を含んで重たげに肩にかかっている。

「無理よ、アレス。斥候の情報が正しければ、二つの軍団を同時に相手にするなんて、物理的に不可能。王都にバルゴスの竜軍団が到達するまで、推定三日。街道を逸れたエルム村に、ガザンの鬼人族が到達するのは、おそらく明日の日没。どちらかを選ばなくてはならないわ」

 リリアの言葉は、冷たい鉄の杭のように、その場にいた全員の心に打ち込まれた。

「ちくしょう…!」

 一行の中でも最も膂力に優れた戦士、大男のゴードンが、傍らの木に巨大な戦斧を叩きつけ、低く唸った。木肌がえぐれ、生々しい木の香りが広がる。

「よりにもよって、このタイミングで二手に分かれるとはな…!奴ら、俺たちがこの森にいることを嗅ぎつけやがったんだ!」

 リリアは、その美しい細い指で、地図上の二つの地点をゆっくりとなぞった。一つは大陸の中心に位置する王都。もう一つは、北の山々に追いやられたような小さな点、エルム村。

「戦力、戦略的重要度、そして、救える命の数。すべてを勘案して。私たちの選ぶべき道は、一つしかないわ」

 彼女の理知的な紫色の瞳が、苦悩に沈むアレスを射抜く。

「王都よ。王都には百万の民と、この国の中枢機能のすべてがある。王家、騎士団本部、大神殿…。これを失えば、人間側の戦線は一気に崩壊する。大陸全土が、なし崩しに魔王軍の手に落ちるでしょう。エルム村は…気の毒だけど、人口五百にも満たない、街道沿いの小さな村。感情論で判断を誤ってはダメ、アレス。これは、戦争よ。ただの、冷たい計算なの」

「計算だと!?」

 ゴードンが、リリアに掴みかからんばかりの勢いで吼えた。その巨体から発せられる怒気は、周囲の冷たい空気を震わせるほどだった。

「お前は、それを計算の一言で片づけるのか!見殺しにしろってのか!エルム村は、前の戦いで俺たちがどれだけ世話になった場所か忘れたのか!あの村は、俺たちがボロボロになった時に、食い物も寝床も、文句一つ言わずに提供してくれたんだぞ!」

 ゴードンの言葉は、止まらなかった。それは、リリアだけでなく、アレスの心にも深く突き刺さった。

「あそこの宿屋の親父が作ってくれた、熱々のビーフシチューの味を忘れたのか!何日もまともな飯を食ってなかった俺たちのために、貴重な肉を全部使ってくれたんだぞ!あそこの娘さんが、お守りだって、お前に手作りの花飾りをくれたのを、お前は忘れたのか、アレス!」

 ゴードンの言葉に、アレスは胸の奥を鷲掴みにされたような衝撃を受けた。

 脳裏に、鮮やかに蘇る。はにかみながら、少し汚れた手で、不格好だが心のこもった小さな花飾りを差し出してくれた、そばかすの少女の笑顔が。その花は、この殺伐とした森には似つかわしくない、素朴で可憐な野の花だった。その香りが、ふわりと鼻先をかすめたような気さえした。

 だが、次の瞬間、その守るべき少女の笑顔が、ぐにゃりと歪み、王都の中央広場で自分に熱狂的な喝采を送る、数えきれない民衆の顔の波に塗りつぶされる。子供、老人、男、女。その一人一人の顔に、平和な日常と、未来への希望が浮かんでいた。

 どちらも、守るべきものだ。
 どちらの命も、同じ重さのはずだ。

 しかし、無情な天秤は、残酷に、そして圧倒的に傾いている。

 百万と、五百。

 世界の運命と、一つの村の運命。

 どちらの皿も、血に濡れている。どちらかを選べば、もう一方は奈落へと落ちていく。その選択のすべてが、今、自分の双肩にのしかかっていた。心臓が、まるで警鐘のように耳元で大きく鳴り響き、呼吸が苦しくなる。

「アレス…!」

 リリアが、決断を促すように、鋭く彼の名を呼んだ。

「アレス…!」

 ゴードンが、すがるように、懇願するように、彼の名を呼んだ。

 仲間たちの視線が、突き刺さる。雨音、風の音、そして自分の心臓の音だけが、世界に響いている。苦悩に顔を歪め、アレスは固く、固く目を閉じた。瞼の裏で、燃え盛るエルム村と、炎上する王都の幻影が、交互に現れては消えた。

 数秒の沈黙が、永遠のように感じられた。

 やがて、彼が再び目を開けた時、その深い青色の瞳からは、迷いも、苦悩も、個人的な感情のすべてが消え失せていた。そこに宿っていたのは、大義のために全てを切り捨てる覚悟を決めた、リーダーとしての冷徹で、氷のような光だった。

「我々は…王都へ向かう」

 その一言は、静かだったが、森の隅々にまで響き渡るほど重かった。

 ゴードンは、その言葉を信じられないといったように、絶望の表情を浮かべて大きく目を見開いた。その巨躯が、まるで力を失ったかのようにがくりと揺れる。一方、リリアは静かに頷いた。彼女の表情にも安堵の色はなかった。ただ、下されるべき判断が下されたという、厳しい諦念だけが浮かんでいた。

 アレスは、うなだれるゴードンの分厚い肩に、そっと手を置いた。鎧越しの肩が、悔しさに小刻みに震えているのが分かった。

「お前の気持ちは、痛いほど分かる。私だって同じだ。あの村の人々の顔が、今も目に焼き付いている」

 アレスの声は、自分自身に言い聞かせているかのようだった。

「だが、私は勇者として、この世界に対して責任がある。一個人の感情よりも、より多くの民を救う責任がだ。リーダーとは、時に憎まれ役を、非情な決断を下す役目を、引き受けなければならない」

 彼は、沈黙する仲間たち全員の顔を一人一人見渡し、そして、まるで天に誓いを立てるかのように、声を張り上げた。

「エルム村の人々の犠牲を…彼らの尊い命を、我々が王都を救うことで、必ず、必ず意味のあるものにする。彼らの死は、決して無駄ではなかったと、未来の歴史が証明するだろう。そう、この私が誓う!」

 その誓いは、仲間たちを鼓舞すると同時に、自らが犯す罪の意識を、「大義」という名の聖なる衣で覆い隠すための、悲痛な儀式でもあった。

 その後の三日間は、まさしく地獄のような戦いだった。

 アレスたちは、不眠不休で馬を走らせ、竜将軍バルゴスの軍勢が王都に到達する寸前に追いついた。休む間もなく始まった攻防戦は、三日三晩続いた。城壁には、おびただしい数の飛竜が鉤爪を立て、兵士たちは次々と空から飛来する炎の餌食となった。城門は巨大な破城槌によって何度も打ち砕かれかけ、そのたびにアレスと仲間たちが先陣を切って敵を押し返した。

 共に旅をしてきた仲間が、竜の顎に噛み砕かれるのを見た。敬愛していた老騎士が、アレスを庇って炎に焼かれるのを見た。それでも、アレスは歯を食いしばり、剣を振り続けた。エルム村を見捨てたという事実が、彼の背中を押し続けた。ここで負けることは、あの五百の命を、本当に無駄死にさせることになるのだと。

 そして三日目の夕暮れ、空が血の色に染まる頃、アレスの聖剣がついに竜将軍バルゴスの心臓を貫いた。主を失った竜の軍勢は混乱し、撤退を始めた。

 城壁から、生き残った兵士たちの、かすれた、しかし歓喜に満ちた勝利の鬨の声が上がった。それに応えるように、王都の内側から、地鳴りのような大歓声が湧き起こった。

『英雄アレス!王都の救世主だ!』
『彼の偉大な決断が、我々百万の民を救ったのだ!』
『アレス様、万歳!』

 人々は泣きながら、叫びながら、アレスの名を神のように讃えた。城壁の上から見下ろす街には、数えきれないほどの民が溢れ、誰もが空を見上げて感謝の祈りを捧げていた。その熱狂的な歓声の渦の中で、アレスの胸の奥で棘のように疼いていたエルム村の痛みは、王都を救ったという圧倒的な達成感と、百万の民からの感謝の声に、ゆっくりと、しかし確実に溶けてかき消されていった。

 あれは、やむを得ない犠牲だったのだ。
 あれは、世界を救うために必要な、正しい決断だったのだ。

 民衆の賞賛が、彼の罪悪感を浄化していく。彼は、自らの決断が「正しかった」と、この百万の声によって「証明」されたのだと、強く、強く信じた。

 ***

 回想の霧が、ゆっくりと晴れていく。王都の熱狂的な歓声も、霧降りの森の冷たい雨音も遠ざかり、アレスは再び、目の前の冥王と対峙していた。神殿の絶対的な静寂と、魂を芯から凍らせるような冷気が、彼の魂を現実へと引き戻す。

 しかし、彼の瞳には、今しがた追体験したばかりの、英雄としての誇りと決断の重みが、確かな光となって宿っていた。彼は、自分の人生における最も困難な決断の一つを、完璧な英雄譚として語り終えたのだという自負に満ちていた。

 彼はハデスに向かって、ためらうことなく一歩前に出た。その魂は、自らの正しさを微塵も疑っていない。

「見たか。私は私情を殺し、大義を選んだ。それは涙をのんで下した、英雄としての、いや、一人の人間としての、苦渋の決断だった。だが、より多くの命を救うための、唯一にして最善の、そして正しい判断だったと、今でも信じている」

 アレスは、その青い瞳で、感情の読めない冥王の黒い瞳を真っ直ぐに見据えた。

「さあ、教えてもらおうか、冥王。この決断の、一体どこに罪があるというのだ!」

 彼の声は、自らの正義への絶対的な確信に満ちて、静まり返った神殿に力強く響き渡った。
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