なぜ勇者は地獄に落ちたのか?

Gaku

文字の大きさ
5 / 12

第5話:刷り込まれた『悪』

しおりを挟む
 第一の罪の重みが、アレスの魂を冥府の床に縫い付けていた。

 それは物理的な枷ではない。もっと根源的で、逃れる術のない精神の錨。彼の英雄としての存在そのものを定義していたはずの数多の戦い、その輝かしい功績の一つ一つが、今や腐臭を放つ鉛の塊と化し、彼の意識の深淵へと沈んでいく。冥府の床は、単なる石ではなかった。それは、無数の魂が忘却の果てに堆積し、圧縮された絶望の結晶体。ひんやりとした感触が、足の裏から這い上がり、骨の髄を凍らせる。ここには光がない。音もない。時間という概念すら、粘性を帯びた淀みの中に溶けて消え、永遠とも思える一瞬が、ただただ続いていた。

 周囲には、果てしない闇が広がっている。時折、気の遠くなるような彼方で、名もなき魂の消えゆく燐光が瞬くが、それは希望の光ではなく、ただ闇の深さを際立たせるだけの、虚しい残滓に過ぎなかった。空気は重く、肺を満たすたびに、かつて地上で吸い込んだ木々の香りや、戦場の血と土埃の匂いといった、生の記憶が希釈されていくのを感じる。忘却の川レテの流れは、直接見ることはできない。だが、その存在は、魂の輪郭を少しずつ、しかし確実に摩耗させていく、か細く冷たい囁きとなって、この静寂の国に絶えず響き渡っていた。

「手段」

 その言葉が、彼の思考の中で毒のように回り、今まで誇りとしていた全ての功績を内側から蝕んでいく。魔王を討つという大義のためならば、どんな犠牲も厭わない。そう信じて疑わなかった。だが、その「手段」によって踏み躙られた無数の命、焼き払われた村々、守るべき民衆の流した涙――それらは本当に、必要悪だったのか。結果という輝かしい玉座に隠され、見ないふりをしていただけの、醜悪な瓦礫の山ではなかったのか。


 自分は英雄ではなかった。ただの、冷酷な計算者だった。


 その事実は、彼の存在意義そのものを根底から否定していた。英雄アレスという、民衆が、世界が、そして何より彼自身が作り上げた壮麗な偶像が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちていく。残ったのは、空っぽの鎧と、罪悪感に苛まれる、ちっぽけで哀れな魂だけだった。かつて聖剣を握りしめていたはずの手は、今や虚空を掴み、力なく震えている。

 どれほどの時間が経ったのか。

 千年か、あるいは一瞬か。アレスが打ちひしがれ、沈黙の底に沈んでいた時、冥王ハデスの声が、再び静寂を破った。

「沈黙は、罪を認めたと受け取る」

 その声には、アレスを気遣う響きなど微塵もなかった。それは、冥府の冷たい岩盤が直接震えるような、感情の温度を一切含まない、絶対的な宣告だった。裁判官が次の訴訟へと事務的に移るかのように、ハデスは淡々と告げる。彼の声は、アレスの耳朶を打つのではなく、頭蓋の内側に直接響き渡り、言い訳も弁明も許さない。

「では、第二の罪の検証に移ろう」

 ハデスは玉座に座したまま、その深淵のような瞳でアレスを見据えた。玉座は、磨き上げられた黒曜石でできており、無数の魂が苦悶の表情で彫り込まれているように見えた。それは冥府の支配者の権威を象徴すると同時に、この国を構成する無数の悲嘆そのものでもあった。ハデスの纏う衣は、闇よりもなお暗く、光を一切反射しない。その存在だけが、周囲の希薄な闇の中で、絶対的な『無』の領域として際立っていた。

 彼の瞳。それは、ただ黒いだけではなかった。夜空の星々を全て飲み込んでもなお、満たされることのない宇宙の虚無。その瞳に見つめられると、アレスは自らの魂が、隠しようもなく裸にされ、その隅々まで検分されていくような感覚に陥った。嘘も、虚飾も、自己欺瞞も、その深淵の前では意味をなさない。

「勇者アレス。お前は、なぜ魔族を悪だと断じた?」

 その問いは、あまりに単純で、そして根源的だった。

 それは、アレスの崩壊しかけた自己を支える、最後の、そして最大の柱を揺さぶる一撃だった。第一の罪が彼の「手段」を問うたのだとすれば、この第二の問いは、彼の戦いの「大義」そのものに刃を突き立てていた。

 アレスは、その言葉に弾かれたように、ゆっくりと顔を上げた。忘却の川霧に覆われていた彼の瞳に、再びかすかな光が戻る。それは、怒りとも、戸惑いともつかない、縋るような光だった。

「なぜ、だと…?」

 彼は、信じられないという響きを込めて、ハデスの言葉を繰り返した。それは彼にとって、太陽が東から昇る理由を問われるのと同義だった。あまりにも自明なこと。世界の常識そのものだ。疑うという発想すら、これまで一度も抱いたことのない、絶対的な公理だった。

 アレスは、震える脚に力を込め、よろめきながらも立ち上がった。冥府の重力が、まるで彼の罪の意識と呼応するように、その身体に数倍ものしかかる。だが、彼は抗った。ここで崩れ落ちてしまえば、本当に全てが終わってしまう。

「彼らは人間を襲い、土地を焼き、数えきれない同胞の命を奪った!女をさらい、子供を喰らうと聞く!邪悪そのものではないか!」

 彼の声は、最初はか細く、途切れ途切れだったが、言葉を重ねるうちに、次第に熱を帯びていく。それは、失われた自信を取り戻そうとする、必死の叫びだった。

「神殿の教えにも、王国の歴史にも、そう記されている!疑う余地など、どこにもない!」

 その叫びと共に、アレスの記憶が過去へと飛翔する。冥府の冷たい闇が薄れ、温かな光と鮮やかな色彩が、彼の意識を包み込んだ。彼が信じる「真実」が、いかにして形作られていったのかを証明するために。魂の奥底に刻み込まれた、原初の風景へと。

【回想】

 それは、アレスがまだ勇者と呼ばれる前の、一人の敬虔な青年に過ぎなかった頃の記憶。

 季節は、生命の息吹が満ち溢れる春の終わり。世界が若々しい緑と色とりどりの花々に彩られる頃だった。アレスは、王都の石畳を歩いていた。朝日が、建物の間から黄金色の光の筋を落とし、朝露に濡れた石畳をきらきらと輝かせている。市場へ向かう人々の活気ある声、焼きたてのパンの香ばしい匂い、荷馬車の車輪が石を鳴らす心地よい音。その全てが、平和な日常の象徴だった。

 だが、彼が目指す大神殿に近づくにつれて、その喧騒は徐々に遠のいていく。大神殿は、王都の中でも一段高い丘の上に、天を衝くようにそびえ立っていた。白亜の壁は朝日に照らされて眩いばかりに輝き、俗世の穢れを一切寄せ付けないかのような、神聖な威厳を放っている。周囲には、手入れの行き届いた庭園が広がり、風にそよぐ若葉の擦れる音と、名も知らぬ小鳥たちのさえずりだけが、清澄な静寂を彩っていた。アレスは深く息を吸い込んだ。そこには、百合と古いインク、そして清められた石の香りが混じり合った、神聖な空気が満ちていた。

 巨大な青銅の扉を押し開け、聖堂の内部へと足を踏み入れる。外の明るさとは対照的に、堂内は荘厳な薄闇に支配されていた。しかし、それは絶望の闇ではない。天井近くに設けられた巨大なステンドグラスから、色とりどりの光が幾筋も差し込み、大理石の床に幻想的な模様を描き出していた。空気はひんやりと肌を撫で、高い天井に吸い込まれていく自分の足音だけが、厳かに反響する。彼は、その神聖な空間に圧倒され、自然と頭を垂れた。

 そして、聖堂の最も奥、祭壇の前で、彼は跪いていた。
 白金の豪奢な衣をまとった大神官が、彼の前に静かに立っている。大神官は齢七十を超えているはずだったが、その背筋はまっすぐに伸び、濁りのない瞳には、長年の信仰によって培われたであろう、揺るぎない光が宿っていた。その衣に織り込まれた金糸銀糸は、ステンドグラスの光を受けて、まるで後光のように淡く輝いていた。

 大神官の背後には、祭壇の壁一面を覆う巨大な壁画が描かれている。それは、世界の創生から続く、光と闇の闘争の歴史を描いた壮大な絵巻だった。

 その左半分は、闇。禍々しい角や牙を持ち、捻じ曲がった筋肉と憎悪に爛々と輝く瞳を持つ、おぞましい姿の魔族たちが、混沌とした群れをなしていた。彼らの手にする武器は血に濡れ、その足元には破壊された街と、嘆き悲しむ人々の姿が描かれている。その描写はあまりに克明で、絵の中から腐臭や断末魔の叫びが聞こえてくるかのようだった。

 そして右半分は、光。光の女神の慈愛に満ちた微笑みの下、黄金の鎧に身を包み、純白の天馬に跨った神々しい騎士たちが、整然とした隊列を組んでいた。彼らの顔には恐怖の色はなく、ただ、世界を守るという固い決意と、悪を許さぬという正義の怒りだけが浮かんでいる。その手に握られた剣の切っ先は、一斉に闇の軍勢へと向けられていた。

 光と闇。善と悪。秩序と混沌。その境界線は、壁画の中央で明確に引かれ、決して交わることのない二つの世界を分けていた。若きアレスは、その壁画を、神々が記した世界の真実の姿として、目に焼き付けていた。

 やがて、大神官が口を開いた。その声は、慈愛に満ちていながら、同時に鋼のような厳かさを秘めていた。

「アレスよ、よく聞きなさい」

 声は、高い天井に反響し、まるで天からの啓示のように、アレスの心に染み渡った。

「ここに描かれているのが、我々の世界の真の姿。光と闇、決して相容れることのない、二つの力の闘争の歴史です。我々人間は、光の女神様の御手によって創造されし子ら。秩序と調和を愛し、平和を尊ぶ存在。対して魔族とは、世界の調和を乱すために、混沌の深淵、その闇の泥から生まれし穢れた存在なのです」

 大神官は、ゆっくりと壁画の魔族たちを指し示した。その指先には、侮蔑と憐れみが込められていた。

「彼らに、我々と同じ魂はありません。あるのは、破壊への衝動と、他者を苦しめることでしか得られぬ、歪んだ悦びだけ。彼らに、我々の言葉は通じません。彼らの喉から発せられるのは、偽りと呪いの言葉のみ。彼らに、慈悲は不要です。与えられた慈悲は、必ずや弱さと見なされ、より大きな災厄となって我々に返ってくるでしょう。彼らに、対話は無用です。彼らの望みは共存ではなく、我々光の眷属の完全なる支配、あるいは絶滅、ただそれだけなのです」

 アレスは、その言葉を一言一句、乾いた大地が水を吸い込むように、魂に刻み込むように聞き入っていた。神の代行者たる大神官の言葉は、彼にとって絶対の真理だった。彼の心の中にあった、漠然とした魔族への恐怖と憎しみは、今や神聖な「正義」という名の輪郭を与えられ、確固たる信念へと昇華されようとしていた。

 大神官は、アレスの前に歩み寄り、その肩にそっと手を置いた。その手は、年老いてはいたが、温かく、力強かった。

「アレスよ。お前には、女神様から授かった稀有なる力がある。その力は、お前自身のためではなく、この世界の光を守るために与えられたもの。魔族をこの大地から根絶やしにすることこそが、我らが仕える光の女神様の御心に沿う、最も神聖な行いなのです。それが、お前に与えられた天命なのですよ」

 その言葉は、アレスの心の最後の躊躇いを打ち砕いた。彼は深く頭を下げ、冷たい大理石の床に額をこすりつけた。

「大神官様。この身、この剣、この魂の全てを、光の女神様と、我らが同胞のために捧げることを誓います。この地上から、最後の一匹に至るまで、全ての魔族を滅ぼし、真の平和を築いてみせます」

 その誓いの言葉を口にした瞬間、まるで奇跡のように、ステンドグラスから差し込む一筋の光が、跪くアレスの身体をまっすぐに照らし出した。堂内の薄闇の中で、彼の姿だけが神々しく浮かび上がる。それは、女神が彼の誓いを受け入れた証であるかのように、荘厳で、感動的な光景だった。アレスは、全身が歓喜に打ち震えるのを感じていた。疑いなど、一片たりともない。自分は選ばれたのだ、と。この世界を救う、聖なる使命のために。

 記憶の場面が、熱を帯びて切り替わる。

 今や彼は、数々の武功を立て、民衆の絶大な支持を得た「勇者アレス」となっていた。

 季節は、実りの秋。魔王軍の主要な軍団の一つを打ち破った、歴史的な大勝利の直後だった。澄み切った秋の高い空には、一点の曇りもない。乾いた涼やかな風が、王都中に掲げられた無数の勝利の旗をはためかせ、戦勝を祝う民衆が撒いた色とりどりの花びらを、紙吹雪のように舞い上げていた。

 彼は、王城の最も高いバルコニーに立っていた。眼下には、王都の中央広場を埋め尽くす、数万の民衆の姿があった。その熱気、その歓声は、地鳴りのように王都全体を揺るがし、アレスの立つバルコニーまでをもビリビリと震わせていた。人々は拳を突き上げ、泣きながら彼の名を叫び、あるいは肩を組んで勝利の歌を歌っていた。老人も若者も、男も女も、誰もが希望と興奮に満ちた表情で、ただ一人、バルコニーに立つ彼を見上げている。

 アレスの身に纏う鎧は、数多の戦いを経て、無数の傷が刻まれていた。だが、それらは丹念に磨き上げられ、秋の陽光を反射して、彼の英雄性を象徴する勲章のように誇らしく輝いていた。彼は、腰に佩いた輝く聖剣を抜き放ち、天高く掲げた。聖剣の刀身が太陽の光を捉え、一条の眩い閃光を放つと、民衆の歓声は一段と高まり、熱狂の渦となった。

 アレスは、その熱狂を全身で受け止めながら、深く息を吸った。空気には、人々の汗と土埃の匂い、そして勝利の祝杯のために開けられた葡萄酒の芳醇な香りが混じり合っていた。彼は、この光景を、この熱狂を、自らの正義が神意であると同時に民意でもある、揺るがしがたい証拠として、胸に刻み付けた。

 そして、彼は張りのある声で、広場の隅々にまで届くように叫んだ。

「我が同胞たちよ!友よ!今日この日、我々は偉大なる勝利を手にした!だが、これで終わりではない!我々の土地を脅かし、我々の家族を奪う邪悪な魔族を、これ以上許しておいてはならない!」

 彼の言葉に、民衆は「そうだ!」という怒りの声で応える。

「思い出してほしい!彼奴らに故郷を焼かれた者たちの嘆きを!彼奴らに愛する者を奪われた者たちの涙を!魔族とは何か!それは、我々の平和を貪り、我々の築いた歴史を嘲笑い、我々の子供たちの未来を食い物にする、破壊と混沌の化身に他ならない!彼らと言葉を交わす必要はない!彼らに情けをかける必要もない!彼らは我々とは相容れない、根絶すべき『悪』なのだ!」

 演説は、次第に熱を帯びていく。それはもはや、冷静な報告ではなく、民衆の憎悪を煽り、一つの意志へと束ねるための扇動だった。

「この聖剣に誓い、光の女神様の名において、そして、我らが祖先の血と涙の名において、宣言する!我々の手で、この大地から全ての魔族を駆逐し、真の平和を、人間による、人間のための、永遠の安寧の世界を取り戻そうではないか!」

 アレスが最後の言葉を叫び終え、再び聖剣を天に突き上げると、民衆の熱狂は頂点に達した。「うおおおおおお!」という地鳴りのような歓声が、天を衝き、王都の空を震わせた。拳を突き上げ、魔族への憎悪を叫び、勇者の名を讃える。その熱狂の渦の中心で、アレスは万能感にも似た高揚感に包まれていた。自分の言葉が、これほどまでに人々を動かし、一つにする。自分の正義は、これほどまでに強く、そして正しい。ああ、大神官様の言った通りだ。これが、神に与えられた我が天命なのだ。

 彼は、民衆の熱狂という名の美酒に酔いしれていた。その熱狂が、彼の掲げる「正義」を、より純粋で、より絶対的なものへと精錬していく。そこに、疑念の入り込む余地など、微塵も存在しなかった。

 …熱狂の残響が、急速に遠ざかっていく。
 民衆の歓声は、忘却の川の冷たい囁きへと変わり、秋の陽光は、冥府の永遠の闇へと再び閉ざされていった。

 回想の熱が冷め、アレスは再び冥府の静寂へと引き戻された。
 だが、彼の身体にはまだ、あの熱狂の残滓が微かに燻っていた。彼は、その残滓を必死でかき集め、声に乗せた。崩れ落ちそうになる自らを支える、最後の燃料として。

 彼は、玉座に座すハデスを、今度こそ真っ直ぐに睨みつけた。

「見たか。魔族が悪であることは、この世界の誰もが知る真実だ。神も、民も、歴史も、全てがそれを証明している。神殿の壁画がそれを描き、大神官がそれを教え、王がそれを法と定め、民衆がそれを信じている!それは個人の感想などではない!世界の、常識なのだ!その世界の敵を討ち滅ぼすことが、一体なぜ罪になるというのだ!」

 彼はそう言い切った。
 己の信じる正義の成り立ちを、その原点を、これ以上なく明確に示して見せた。これ以上の証明はないはずだった。

 だが、その声には、第一の罪を問われる前の、あの揺るぎない絶対的な自信はなかった。
 声は震え、語尾はわずかに上ずる。それはまるで、激しい嵐で崩れかけた城壁に必死でしがみつき、「この壁はまだ大丈夫だ、まだ崩れたりしない」と、誰よりもまず自分自身に強く言い聞かせているかのような、悲痛な響きを帯びていた。

 ハデスは、そんなアレスの姿を静かに見つめていた。
 肯定も、否定もしない。
 ただ、その沈黙が、アレスが拠り所とする「常識」という名の城壁が、いかに多くの人々によって、いかに長い時間をかけて築き上げられた、壮大で、しかし、砂上の楼閣に過ぎないかもしれないという可能性を、雄弁に物語っていた。

 ハデスの深淵の瞳は、アレスの言葉の奥にあるものを、ただ静かに見つめている。大神官の教えを、民衆の熱狂を、そしてそれを疑いなく受け入れた、若き日のアレスの純粋さを。

 その全てを見透かすような沈黙は、どんな反論よりも雄弁に、アレスの魂を内側から揺さぶり始めていた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

追放された【鑑定士】の俺、ゴミスキルのはずが『神の眼』で成り上がる〜今更戻ってこいと言われても、もう遅い〜

☆ほしい
ファンタジー
Sランクパーティ『紅蓮の剣』に所属する鑑定士のカイは、ある日突然、リーダーのアレックスから役立たずの烙印を押され、追放を宣告される。 「お前のスキルはゴミだ」――そう蔑まれ、長年貢献してきたパーティを追い出されたカイ。 しかし、絶望の中でたった一人、自らのスキル【鑑定】と向き合った時、彼はその能力に隠された真の力に気づく。 それは、万物の本質と未来すら見通す【神の眼】だった。 これまでパーティの成功のために尽くしてきた力を、これからは自分のためだけに行使する。 価値の分からなかった元仲間たちが後悔した頃には、カイは既に新たな仲間と富、そして名声を手に入れ、遥か高みへと駆け上がっているだろう。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた男が、世界で唯一の神眼使いとして成り上がる物語。 ――今更戻ってこいと言われても、もう遅い。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

元公務員、辺境ギルドの受付になる 〜『受理』と『却下』スキルで無自覚に無双していたら、伝説の職員と勘違いされて俺の定時退勤が危うい件〜

☆ほしい
ファンタジー
市役所で働く安定志向の公務員、志摩恭平(しまきょうへい)は、ある日突然、勇者召喚に巻き込まれて異世界へ。 しかし、与えられたスキルは『受理』と『却下』という、戦闘には全く役立ちそうにない地味なものだった。 「使えない」と判断された恭平は、国から追放され、流れ着いた辺境の街で冒険者ギルドの受付職員という天職を見つける。 書類仕事と定時退勤。前世と変わらぬ平穏な日々が続くはずだった。 だが、彼のスキルはとんでもない隠れた効果を持っていた。 高難易度依頼の書類に『却下』の判を押せば依頼自体が消滅し、新米冒険者のパーティ登録を『受理』すれば一時的に能力が向上する。 本人は事務処理をしているだけのつもりが、いつしか「彼の受付を通った者は必ず成功する」「彼に睨まれたモンスターは消滅する」という噂が広まっていく。 その結果、静かだった辺境ギルドには腕利きの冒険者が集い始め、恭平の定時退勤は日々脅かされていくのだった。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...