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第6話:中間テストと『予測不能』な連携
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突き刺すような夏の日差しは遠い記憶となり、
アーリア魔法学園の空は、どこまでも高く、深く澄み渡っていた。
秋だ。
空気はガラス細工のように乾き、
陽光は白樺の白い幹に当たって柔らかく砕け、
石畳の小径に穏やかな模様を描いている。
学園全体が、どこか浮き足立っていた。
高く澄んだ空気を震わせるのは、
蝉時雨に代わって遠くから響いてくる槌音と、生徒たちの歓声だ。
もう間も無く、この学園で最も大きな祭りである「秋穫祭」
――日本でいうところの学園祭――が開催されるのである。
中庭の木々は、燃えるような赤や、目を射るような黄金色にその身を染め上げ、
風が吹くたびに、まるで祝いの紙吹雪のように色鮮やかな葉を舞い散らせていた。
甘く乾いた落ち葉の香りと、
どこかのクラスが模擬店のために試作している焼き菓子の焦げた砂糖の匂いが混じり合い、
生徒たちの期待を煽る。
だが、その浮かれた喧騒とは裏腹に、
一年生たちの間にはピリピリとした緊張が走っていた。
秋穫祭の前に立ちはだかる、最初の大きな関門。
「中間テスト」である。
「……というわけで、今年の中間実技テストは、秋穫祭のプレイベントも兼ねた『チーム対抗・模擬戦トーナメント』形式で行う」
第一実習場に集められた一年生を前に、アーキバルド先生はいつも通りの飄々とした態度で、しかし決定的な一言を放った。
その瞬間、生徒たちの間に激しい動揺が走る。
「チーム対抗!?」
「マジかよ、誰と組むんだ?」
「成績優秀者同士で組むのがセオリーだろ」
「あそこの貴族連中はもう仲間内で固まってるぞ」
生徒たちが慌ただしく仲間を探し始め、優秀な生徒の周りには人だかりができ始める。
貴族の子弟たちは、とっくの昔に家同士で話をつけていたかのように、エルレインやドラゴを中心に、淀みなくグループを形成していく。
首席のセレスティアは、その喧騒から一歩離れた場所で、誰からの誘いも待たず、ただ一人、腕を組んで思案顔で立ち尽くしていた。
そんな中、教室の隅で、五人の生徒たちが完全に取り残されていた。
ユウキ・アマネ、リリア・サンシャイン、カイト・ウィンド、ゴードン・マッスル、そして、シノ・ミヅキ。
悪名高き「アーキバルド先生・放課後補習クラス」の常連メンバーである。
「うわっ、最悪だ……」
カイトが、まるで世界の終わりのような顔で頭を抱えた。
「誰も俺たちと組んでくれるわけないじゃん……。俺、もう帰って寝てもいい?」
「馬鹿者! 弱音を吐く前に筋肉を鍛えろ! 筋肉があれば一人でも勝てる!」
ゴードンが、その場で腕立て伏せを始めようとするのを、リリアが慌てて止める。
「ちょっとゴードン! 恥ずかしいからやめて! もー、どうしようユウキ! わたしたち、五人もいるよ! トーナメントって普通、四人一組とかじゃないの!?」
「いや、規定だと一チーム三人から五人までだそうだ」
ユウキが掲示板の要項を指差しながら、乾いた笑いを漏らす。
彼は、このどうしようもない状況を、前世のプロジェクト炎上案件と重ね合わせ、遠い目になっていた。
(どう見ても問題児しかいないプロジェクトに、五人もアサインされた図、か。リソース過多だが、全員が仕様を無視する。最悪のデスマーチの予感がする)
「あの……」
五人の中で、最も小さな声が響いた。
シノだ。
彼女は、いつものように俯き加減で、ユウキのローブの裾を遠慮がちに掴んでいた。
「わ、わたしたち……五人で、出ちゃ、だめ、かな……?」
その言葉に、四人が一斉にシノを見た。
シノは、びくりと肩を震わせたが、それでも視線を上げ、かすかに頬を赤らめながら続けた。
「だって、わたしたち……『補習仲間』、だから……」
その一言に、リリアが「シノー!」と叫んで飛びつき、
カイトは「まあ、それ以外に選択肢ないしな」とため息をつき、
ゴードンは「うおお! 仲間の筋肉! いいだろう!」と拳を突き上げた。
ユウキは、仲間たちの輪の中心で、そっと目を伏せた。
(補習仲間、か)
前世では、プロジェクトが終われば解散するドライな関係性しか知らなかった。
だが、この世界で出会った彼らは、
どうしようもなく不器用で、
どうしようもなく個性的で、
そして、どうしようもなく温かい。
「……決まりだな」
ユウキが微笑むと、リリアが太陽のように笑った。
こうして、学園史上、最も規格外で、最も連携が取れないであろう「補習仲間チーム」が、正式に結成された瞬間だった。
***
数日後。
トーナメント表が張り出された掲示板の前は、生徒たちの悲鳴と歓声でごった返していた。
「うげっ! 一回戦の相手、Aチームかよ!」
「終わった……あそこ、セレスティア様がいるじゃん……」
「えーっと、俺たちは……」
カイトが人垣をかき分け、トーナメント表の一番端、最も注目されていないブロックに、自分たちのチーム名を見つけた。
「『補習仲間チーム』……って、誰だよこの名前書いたの!」
「わたしだよ! 可愛いでしょう?」
「可愛くねえよ!」
リリアとカイトがコントのようなやり取りをしている横で、ユウキは対戦相手の欄を見て、こめかみを押さえた。
一回戦。
対戦相手。
「チーム・ヴァイスノーブル」
メンバー:ドラゴ・ヴァイス、エルレイン・ノーブル、その他取り巻き二名。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………うおおおお! 最高の筋肉のぶつけ甲斐があるというものだ!」
ゴードンが歓喜の雄叫びを上げる横で、他の四人は、秋晴れの空とは対照的な、どんよりとした表情で沈黙していた。
よりにもよって、初戦の相手が、あの嫌味な貴族ドラゴと、理論派でプライドの高いエルレインのチームだったのだ。
「終わった……」
カイトが再び地面に崩れ落ちた。
「あいつら、俺たち補習組のこと、死ぬほど見下してるじゃん。絶対、公開処刑する気だよ。俺、腹痛くなってきた」
「な、なんてこと……」
シノも顔面蒼白になり、小刻みに震え始めている。
彼女にとって、ドラゴは第5話の一件以来、恐怖の対象でしかなかった。
「大丈夫だよシノ! ユウキもいるし、なんとかなるって!」
リリアは気丈に笑うが、その声はわずかに震えていた。
「……作戦会議だ」
ユウキの低い声に、四人がはっと顔を上げた。
「このままじゃ、間違いなくカイトの言う通り、公開処刑だ。勝つもりなら、何か手を打つ必要がある」
五人は、学園の片隅にある、今は使われていない古い講義室に集まった。
西日が差し込み、空気中に漂う無数の埃を、金色の筋に変えている。
古い木製の机と、チョークの乾いた匂い。
ユウキは、黒板にチョークで、自分たちと相手のチーム構成を書き出した。
【チーム・ヴァイスノーブル】(相手)
・ドラゴ(後衛):攻撃魔法(おそらく高威力)
・エルレイン(後衛):補助・妨害魔法(理論派)
・取り巻きA(前衛):防御魔法(壁役)
・取り巻きB(中衛):牽制・補助
【補習仲間チーム】(俺たち)
・ユウキ:???(詠唱不可、威力制御不能)
・リリア:攻撃魔法(暴走癖あり)
・カイト:風魔法(やる気なし)
・ゴードン:土魔法(というか筋肉)
・シノ:防御魔法(天才的だが、攻撃は不可)
書き出した瞬間、ユウキは再び頭を抱えたくなった。
(ダメだこれ。どう見てもバランスが悪すぎる)
相手は、前衛の壁役、中衛の補助、後衛の火力・指揮と、貴族の戦術として完璧な布陣だ。
対して、こちらはどうか。
攻撃の要であるリリアは、力を「安定」させることができない。
カイトは、そもそも戦う気があるか怪しい。
ゴードンは、魔法より自分の拳を信じている。
シノは、第5話で覚醒したとはいえ、その力は「受け流す」専門であり、「守り」にしか使えない。
そして、自分は――。
(詠唱ができない。つまり、仲間とタイミングを合わせて魔法を撃つ、という「連携」の基本が取れない)
ユウキは、自分の「詠唱なし」という異常性が、チーム戦においていかに致命的かを痛感していた。
自分の魔法は、安全装置がないために、仲間の魔法とぶつかり合い、互いの力を打ち消してしまうか、最悪の場合、仲間を巻き込んで暴発する。
「あのさ、ユウキ」
カイトが、気まずそうに口を開いた。
「お前、詠唱できないんだろ? どうやって俺たちと合わせんだよ」
「う……」
「リリアの火だって、いつ暴走するかわかんねーし」
「むっ! わたしだって頑張るもん!」
「ゴードンは、どうせ『筋肉』とか言って突っ込むだけだろ」
「それが最強の戦術だからな!」
「シノは守るだけ……。これ、攻撃するの、リリアだけじゃん! 無理ゲーだろ!」
カイトの指摘は、あまりにも正しかった。
このチームは、個々の力は低くないかもしれないが、全員が別の方向を向いており、一つの力としてまとまる見込みがゼロだった。
リリアの「暴走する火」と、シノの「全てを受け流す壁」は、水と油だ。
相性が最悪すぎる。
(このままじゃ、個々の力がぶつかり合い、互いを邪魔して、マナの無駄遣いになるだけだ……)
「……一つ、だけ」
シノが、震える声で手を挙げた。
「わたしの壁は、ドラゴさんの魔法……たぶん、防げます。だから、みんなは、わたしが守ります」
「シノ……」
ユウキは、彼女の勇気に胸を打たれた。
だが、それだけでは勝てない。
守っているだけでは、マナが尽きて負けるのがオチだ。
「よし!」
リリアがパン!と手を叩いた。
「シノが守ってくれるなら、わたしが全力で攻撃する! それで決まり!」
「いや、だからお前の『全力』が暴走するんだろ!」
カイトが突っ込む。
「うるさいな! やってみなきゃわかんないでしょ!」
「筋肉が全てを粉砕する!」
「あーもう、ダメだこりゃ……」
作戦会議は、会議として成立しないまま、カイトの絶望的なため息と、ゴードンの「筋肉!筋肉!」という掛け声の中に、混沌と消えていった。
ユウキは、(これは、デスマーチどころか、プロジェクト開始と同時に空中分解するパターンだ)と、西日に染まる埃を見つめながら、乾いた笑いを浮かべるしかなかった。
***
そして、中間テスト当日。
模擬戦トーナメントの会場となる「第三古代演習場」は、すり鉢状の巨大な観客席が設けられ、
学園祭のプレイベントということもあり、上級生や一般の観覧客まで詰めかけ、凄まじい熱気に包まれていた。
空は抜けるような秋晴れ。
色づいた学園の森を背景に、生徒たちの放つ色とりどりの魔法の光が、歓声と共に弾けては消える。
「第一試合! チーム・ヴァイスノーブル 対 チーム・補習仲間! 両者、フィールドへ!」
アナウンスが響き渡り、ユウキたち五人は、緊張した面持ちで広いフィールドへと足を踏み入れた。
対面には、ドラゴとエルレインたちが、新品の戦闘用ローブを身につけ、余裕の笑みを浮かべて立っている。
「ふん。ゴミ掃除は一瞬で終わらせてやる」
ドラゴが、ユウキとシノを交互に睨みつけ、侮蔑の言葉を吐き捨てる。
「シノ、お前のその鬱陶しい壁ごと、今度こそ粉々にしてやるぞ」
「ひっ……!」
シノが小さく悲鳴を上げ、ユウキの後ろに隠れる。
「ドラゴ! あんた、女の子に!」
リリアが食ってかかろうとするのを、ユウキが手で制した。
「エルレイン。君も、あれでいいのか?」
ユウキが隣のエルレインに問う。
彼女は、ふう、と冷ややかにため息をついた。
「言葉は下品ですけれど、事実は変わらないのではなくて? あなたがた『補習組』が、わたくしたちの『理論』に勝てる道理が、どこにありますの?」
彼女の瞳は、ユウキたちを「理論通りに動かない不良品」としてしか見ていなかった。
(理論、か……)
ユウキは、第3話でセレスティアと組んで失敗した、「関係性」の授業を思い出していた。
この世界は、机の上の計算通りには動かない。
無数の要因が絡み合い、常に揺らぎ続ける。
だが、今の自分たちに、その「揺らぎ」を味方につける術はあるのか?
「試合、開始!」
開始の合図と同時に、ドラゴチームは完璧な「セオリー」通りの動きを見せた。
「『土の盾』!」
「『風の加護』!」
取り巻きAが強固な土壁を展開し、取り巻きBがエルレインとドラゴに補助魔法をかける。
「『闇の縛鎖』!」
ドラゴが、牽制として、シノの足元を狙って闇の鎖を放つ。
「きゃっ!」
「シノ!」
ユウキが咄嗟にシノを突き飛ばし、自らが鎖に捕らわれる。
「ユウキ!」
リリアが叫んだ。
その瞬間、彼女の頭から「作戦」という言葉が消し飛んだ。
「よくもユウキを! 『燃え上がれ、炎!』」
「あ、馬鹿! 待て!」
ユウキの制止も間に合わず、リリアから放たれた炎は、狙いを大きく逸れ、味方であるカイトの頭上をかすめ、観客席の防護壁に直撃して爆発した。
「うおっ! 熱っ! お前、味方を殺す気か!」
カイトが本気で怒鳴る。
「ご、ごめんなさい! だって、つい!」
(最悪だ……)
ユウキは、足に絡みつく闇の鎖を無詠唱の衝撃波で吹き飛ばしながら、早くも眩暈を覚えていた。
「はっはっは! なんだその無様な連携は!」
ドラゴの高笑いが響く。
「見せてやろう、本物の魔法というものを!」
エルレインが杖を構える。
「『重力の場』」
ユウキたち五人の足元に、淡い紫色の魔法陣が広がり、一気に体が鉛のように重くなる。
「う、動けん!」
ゴードンが膝をつく。
「くそっ、これが理論派の戦い方か!」
カイトも身動きが取れない。
「さあ、ドラゴ様。お好きなように」
エルレインが優雅に一礼する。
前衛の壁も、中衛の補助も、後衛の妨害も、全てが完璧に噛み合っている。
「終わりだ、雑魚ども! 『集え、闇よ――』」
ドラゴが、一撃で勝負を決めるための大魔法の詠唱を始めた。
「まずい!」
ユウキが叫ぶ。
「シノ! 全力で壁を!」
「は、はい!」
シノが前に出て、両手を地面につける。
彼女の覚悟を決めた瞳が、ドラゴを真っ直ぐに見据えた。
「『揺らぐ壁』!」
第5話で覚醒した、半透明の「受け流しの壁」が、五人の前に展開される。
「今だ! リリア! カイト! ゴードン! あの詠唱を止めろ!」
ユウキが叫ぶ。
「『炎の槍』!」
「『風の刃』!」
「『筋肉は裏切らない』!」
「なんでお前だけ魔法じゃないんだ!」
ユウキのツッコミが響くが、三人の攻撃は、ドラゴの前に陣取る「土の盾」によって、いとも容易く防がれてしまった。
「無駄だ、無駄だ! 俺の『土』は貴様らの攻撃など――」
取り巻きAが勝利を確信した、その時だった。
「リリア! 邪魔だ!」
「え?」
ゴードンが、重力場で身動きが取れないはずなのに、力任せに立ち上がり、リリアを横に突き飛ばした。
「ゴードン!?」
「そんな貧弱な炎では埒が明かん! 俺が、あの壁を、筋肉で粉砕する!」
ゴードンが、重力場を筋肉だけで踏み破り、猛然と敵の「土の盾」に向かって突進していく。
「あ、あの馬鹿! 罠だったらどうするんだ!」
カイトが叫ぶ。
「危ない!」
シノが咄嗟に判断する。
彼女は、自分たちの前に張っていた「受け流しの壁」の一部を、突進するゴードンの進路上に、スライドさせるように移動させた。
「ゴードンさん! これごと、突っ込んでください!」
「おお! 気が利く!」
ゴードンが「受け流しの壁」に守られながら、敵の土壁に到達する。
「させるか!」
取り巻きBが、ゴードンを止めようと牽制魔法を放つ。
「僕だって!」
ユウキが、無詠唱で地面を隆起させ、その牽制魔法の軌道を無理やり逸らす。
「『筋肉最大出力!』」
ゴードンの拳が、シノの「受け流しの壁」越しに、敵の「土の盾」に叩き込まれる。
ガギィン! という金属音と共に、土壁が凄まじい勢いで「受け流され」、あらぬ方向へスライドし、自滅するようにフィールドの壁に激突した。
「なっ!?」
壁役の取り巻きAが、呆然とする。
「よし、今だ! リリア、カイト!」
ユウキが叫ぶ。
「今度こそ! 『炎よ!』」
「『風よ!』」
だが、二人の魔法は、またしてもタイミングがズレた。
リリアの炎が先走り、カイトの風がそれを追いかけるが、うまく混ざり合わずに、ドラゴの手前で威力を失い、霧散した。
「……もう、ダメだ」
カイトが、その場にへたり込んだ。
「無理だよ、これ。俺たち、息が合わなすぎる。全員、やりたいことがバラバラだ」
リリアも唇を噛み締め、うつむく。
ゴードンは「むぅ、筋肉が足りんか」と腕組みし、
シノは「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣きそうになっている。
ドラゴとエルレインは、その光景を見て、勝利を確信していた。
「……醜悪ですわ。理論も、連携も、何もない。ただの烏合の衆」
「終わりだ。今度こそ、跡形もなく消し飛ばしてやる」
ドラゴが、再び大魔法の詠唱を開始する。
ユウキは、仲間たちの姿と、迫り来る破滅的な魔力の高まりを、焦燥感と共に感じていた。
(ダメだ。俺が「合わせさせよう」としてるから、ダメなんだ)
カイトの言う通りだ。
こいつらは、全員がバラバラだ。
リリアは「結果」に執着し、ゴードンは「筋肉」という自分のルールしか信じない。
カイトは「楽」をしたがる。
シノは「守り」に徹する。
全員が、自分勝手な「思い」で動いている。
それを無理やり「セオリー」という型にはめ込もうとするから、衝突するんだ。
(セオリー通りにやって、あの完璧なエリートチームに勝てるか? 勝てない)
(俺たちは、あいつらとは違う。俺たちは、理論通りにいかない「落ちこぼれ」の集まりだ)
ユウキは、かつて先生が言った言葉を思い出していた。
『この世の全ては「関係性」で成り立っている』
『個々の要素が単純なルールで動いた結果、全体として予測不能な秩序が生まれる』
(そうだ。合わせるんじゃない。繋げるんだ。こいつらのバラバラな力を、衝突させずに、ただ「繋げたら」どうなる?)
ユウキの中で、何かが吹っ切れた。
彼は、絶望する仲間たちに向かって、腹の底から叫んだ。
「もういい! 好きにやれ!」
「「「「え?」」」」
四人が、呆気にとられてユウキを見る。
「合わせるな! 連携なんて考えるな! お前らが今、一番やりたいことを、俺の合図で、全力でやれ!」
「ユウキ……?」
「リリアは、どうせまた暴走するんだろ! なら、観客席ごと吹き飛ばすつもりで、最大火力をあの壁役のいた所に叩き込め!」
「ええ!? む、無茶苦茶だよ!」
「カイトは、どうせサボりたいんだろ! だったら、リリアの炎がこっちに来ないように、全力の風で『押し返せ』! それだけやったら休んでいい!」
「はあ!? 押し返せって……まあ、それだけなら」
「ゴードン! 敵の大魔法が来る前に、あの詠唱してるドラゴを殴り飛ばしたいだろ! 全力で突っ込め!」
「うおお! それが聞きたかった!」
「シノ! お前は、俺の前に立て! これから何が起きるか分からない。ドラゴの魔法と、俺たちの魔法、その『全部』から、俺たち全員を守れ!」
「ぜ、全部……!? む、無理です!」
「お前ならできる! お前は『拒絶』するんじゃない。『受け流す』壁だろ! 敵も味方も、全部まとめて受け流せ!」
ユウキは、シノの肩を掴み、真っ直ぐにその瞳を見た。
シノは息を呑み、そして、こくりと頷いた。
「ユウキ! あんたは!?」
リリアが叫ぶ。
ユウキは、ニヤリと笑った。
「俺は、お前たち全員が『衝突』しないように、全部、調和させてやる!」
「馬鹿どもが、何をほざいている!」
ドラゴの詠唱が最終段階に入る。
破滅的な闇の魔力が、彼の頭上に集束していく。
「全員、構えろ!」
ユウキが叫ぶ。
彼は、目を閉じ、意識を極限まで集中させた。
世界から音が消える。
仲間のマナの流れ、敵のマナの流れ、大気の「揺らぎ」、
全てが手のひらの上で転がる石のように、その「関係性」がはっきりと感じ取れた。
(いける。こいつらの力は、バラバラだからこそ、組み合わせることができる!)
「今だ! 全員、やれ!」
ユウキの号令が、戦場に響き渡った。
「うおおおおお! 筋肉正義!」
まず、ゴードンが重力場を無視して、ドラゴに向かって最短距離で突進する。
「『最大火力!』」
次に、リリアが「結果への執着」を捨て、ただ純粋な「破壊衝動」に任せて、持てる全ての魔力を炎に変え、敵陣(だった場所)に叩き込んだ。
「うわっ、馬鹿! こっち来た!」
カイトが、リリアの炎が味方(特に自分)に向かって逆流してくるのを見て、顔面蒼白になりながら、全力の風魔法「『烈風障壁』」を放つ。
「シノ!」
「はい! 『全方位・受け流しの円環』!」
シノが、ユウキたちの周囲に、半球状の完璧な「受け流しの壁」を展開。
そして、その全てが、同時に起きた。
ドラゴが、詠唱を完了し、ゴードンに向かって叫んだ。
「死ね! 『闇の終焉』!」
ゴードンの突進(筋肉)。
リリアの暴走する炎(火)。
カイトの押し返す烈風(風)。
ドラゴの破滅的な闇(闇)。
シノの全方位を守る壁(防御)。
五つの、全く異なる「理」が、フィールドの中央で衝突しようとした、その刹那――
ユウキが、目を見開いた。
(ここだ!)
彼は、詠唱を使わない。
ただ、脳内で、世界の「流れ」そのものに、直接、割り込んだ。
(ゴードンの『前』じゃない、『下』だ!)
無詠唱の「土」の力が、ゴードンの足元の地面を、ドラゴの魔法が着弾する寸前に、爆発的に「隆起」させた。
ゴードンは、射出台のように空中に跳ね上げられ、ドラゴの闇の魔法は、空しくゴードンの残像を飲み込んだ。
(リリアの『炎』とカイトの『風』、ぶつかるな! 混ざれ!)
ユウキの第二の無詠唱が、炎と風が衝突する「関係性」に介入する。
カイトの風は、炎を「押し返す」のではなく、炎を「包み込み、回転させる」力へと、その性質を強制的に書き換えられた。
暴走していたリリアの炎は、カイトの風によって、巨大な「炎の竜巻」へと姿を変えた。
「なっ!?」
カイトとリリアが、自分たちの魔法が生み出した「未知の現象」に目を見開く。
「シノ! 壁を『開けろ』!」
「え!?」
「今、あの竜巻の『上』だ!」
シノは、ユウキの言葉を信じ、全方位を守っていた壁の「天井」部分だけを、一瞬、解除した。
その瞬間、空中に跳ね上げられていたゴードンが、炎の竜巻の真上に落下してきた。
「うおおおおお!? 熱い! 熱いぞユウキ!」
「我慢しろ!」
(シノ! その竜巻を『鎧』にしろ!)
ユウキが、三度、世界の理を書き換える。
シノの「受け流しの壁」が、炎の竜巻に殺到した。
だが、壁は炎を「受け流さ」なかった。
ユウキが、その「関係性」を反転させたからだ。
シノの力は、炎の竜巻の「外側」に、まるで「氷の鎧」のように張り付き、その暴走するエネルギーを「内側」へと強制的に「集束」させた。
「な、なに、これ……」
シノは、自分が今、何をしているのか理解できなかった。
炎の熱と、氷の冷気と、風の回転と、土の勢い、そしてゴードンの筋肉。
五つのバラバラだった力が、ユウキの「調和」によって、誰も見たことのない、一つの「現象」へと「創発」した。
空中で、ゴードンが「氷炎の竜巻」をその身に纏う。
それは、もはや人間ではなく、燃え盛る氷の彗星だった。
「エルレイン! 壁を!」
ドラゴが、人生で初めて、恐怖に顔を引きつらせて叫んだ。
「無理です! あんな現象、わたくしの理論にありません!」
エルレインが、震える声で叫び返す。
「いっけえええええ! ゴードーーーン!」
ユウキが、最後の力を振り絞り、ゴードンに向かって叫んだ。
「これが! 俺の! 筋肉だあああああ!」
ゴードンが、氷と炎の竜巻を纏ったまま、敵陣のど真ん中に、隕石のように墜落した。
―――轟音。
熱と、冷気と、風圧と、土煙が、フィールド全体を包み込んだ。
シノの張った「受け流しの壁」が、その余波の全てを、観客席とは逆の方向へと完璧に逸らしていく。
やがて、煙が晴れた時。
フィールドの中央には、巨大なクレーターが穿たれていた。
そして、その中心で、ゴードンが一人、仁王立ちになっていた(服は燃え尽きていた)。
彼の足元には、ドラゴ、エルレイン、そして取り巻きの二人が、目を回して、完全に戦闘不能となって倒れていた。
「…………」
観客席は、水を打ったように静まり返っていた。
何が起きたのか、誰にも理解できなかった。
リリアも、カイトも、シノも、そして当のゴードンさえも、目の前の光景が信じられないという顔で、呆然と立ち尽くしていた。
その静寂を破ったのは、一人の男の、心底楽しそうな「拍手」の音だった。
「見事。実に見事だ」
アーキバルド先生が、観客席から身を乗り出し、満面の笑みでユウキたちを見下ろしていた。
「勝者! チーム・補習仲間!」
そのアナウンスで、観客席は、一拍遅れて、爆発的な歓声に包まれた。
「……勝った」
リリアが、へなへなと座り込む。
「……マジかよ」
カイトが、自分の手を見つめている。
「……勝、ちました」
シノが、涙声で微笑んだ。
ユウキは、マナの使いすぎで激しく眩暈がする頭を押さえながら、仲間たちを見て、静かに笑った。
試合後、アーキバルド先生が、興奮冷めやらぬ五人を前に、講評を始めた。
「さて、諸君。なぜ君たちが、あの完璧な『理論』で固められたエリートチームに勝てたか、分かるかね?」
「えっと……ゴードンの筋肉がすごかったから?」
リリアが首を傾げる。
「それも一因だろう」と先生は笑い、「だが、本質はそこではない」と続けた。
「個々の要素が、バラバラに、単純なルールに従って動いた。その結果、誰も予測できなかった、全く新しい、高次の秩序が『生まれた』」
先生は、ユウキの目を真っ直ぐに見た。
「誰かが設計図を書いたわけではない。個々の力が『関係』し合った結果、その場限りの『現象』として現れた。それこそが、この世界の理であり、魔法の醍醐味だ。見事だったぞ、ユウキ君。君は、最高の『指揮者』だった」
ユウキは、照れくさそうに頭をかいた。
「指揮者、なんて柄じゃありませんよ。ただ、こいつらが衝突しないように、間に入って『調和』させただけです」
「それこそが『指揮』の本質だ」
先生は、満足そうに頷いた。
遠くで、次の試合が始まる歓声が上がる。
秋の空は高く、学園祭の準備の音は、もうすぐそこまで迫っていた。
「補習仲間チーム」の、予測不能な戦いは、まだ始まったばかりだった。
アーリア魔法学園の空は、どこまでも高く、深く澄み渡っていた。
秋だ。
空気はガラス細工のように乾き、
陽光は白樺の白い幹に当たって柔らかく砕け、
石畳の小径に穏やかな模様を描いている。
学園全体が、どこか浮き足立っていた。
高く澄んだ空気を震わせるのは、
蝉時雨に代わって遠くから響いてくる槌音と、生徒たちの歓声だ。
もう間も無く、この学園で最も大きな祭りである「秋穫祭」
――日本でいうところの学園祭――が開催されるのである。
中庭の木々は、燃えるような赤や、目を射るような黄金色にその身を染め上げ、
風が吹くたびに、まるで祝いの紙吹雪のように色鮮やかな葉を舞い散らせていた。
甘く乾いた落ち葉の香りと、
どこかのクラスが模擬店のために試作している焼き菓子の焦げた砂糖の匂いが混じり合い、
生徒たちの期待を煽る。
だが、その浮かれた喧騒とは裏腹に、
一年生たちの間にはピリピリとした緊張が走っていた。
秋穫祭の前に立ちはだかる、最初の大きな関門。
「中間テスト」である。
「……というわけで、今年の中間実技テストは、秋穫祭のプレイベントも兼ねた『チーム対抗・模擬戦トーナメント』形式で行う」
第一実習場に集められた一年生を前に、アーキバルド先生はいつも通りの飄々とした態度で、しかし決定的な一言を放った。
その瞬間、生徒たちの間に激しい動揺が走る。
「チーム対抗!?」
「マジかよ、誰と組むんだ?」
「成績優秀者同士で組むのがセオリーだろ」
「あそこの貴族連中はもう仲間内で固まってるぞ」
生徒たちが慌ただしく仲間を探し始め、優秀な生徒の周りには人だかりができ始める。
貴族の子弟たちは、とっくの昔に家同士で話をつけていたかのように、エルレインやドラゴを中心に、淀みなくグループを形成していく。
首席のセレスティアは、その喧騒から一歩離れた場所で、誰からの誘いも待たず、ただ一人、腕を組んで思案顔で立ち尽くしていた。
そんな中、教室の隅で、五人の生徒たちが完全に取り残されていた。
ユウキ・アマネ、リリア・サンシャイン、カイト・ウィンド、ゴードン・マッスル、そして、シノ・ミヅキ。
悪名高き「アーキバルド先生・放課後補習クラス」の常連メンバーである。
「うわっ、最悪だ……」
カイトが、まるで世界の終わりのような顔で頭を抱えた。
「誰も俺たちと組んでくれるわけないじゃん……。俺、もう帰って寝てもいい?」
「馬鹿者! 弱音を吐く前に筋肉を鍛えろ! 筋肉があれば一人でも勝てる!」
ゴードンが、その場で腕立て伏せを始めようとするのを、リリアが慌てて止める。
「ちょっとゴードン! 恥ずかしいからやめて! もー、どうしようユウキ! わたしたち、五人もいるよ! トーナメントって普通、四人一組とかじゃないの!?」
「いや、規定だと一チーム三人から五人までだそうだ」
ユウキが掲示板の要項を指差しながら、乾いた笑いを漏らす。
彼は、このどうしようもない状況を、前世のプロジェクト炎上案件と重ね合わせ、遠い目になっていた。
(どう見ても問題児しかいないプロジェクトに、五人もアサインされた図、か。リソース過多だが、全員が仕様を無視する。最悪のデスマーチの予感がする)
「あの……」
五人の中で、最も小さな声が響いた。
シノだ。
彼女は、いつものように俯き加減で、ユウキのローブの裾を遠慮がちに掴んでいた。
「わ、わたしたち……五人で、出ちゃ、だめ、かな……?」
その言葉に、四人が一斉にシノを見た。
シノは、びくりと肩を震わせたが、それでも視線を上げ、かすかに頬を赤らめながら続けた。
「だって、わたしたち……『補習仲間』、だから……」
その一言に、リリアが「シノー!」と叫んで飛びつき、
カイトは「まあ、それ以外に選択肢ないしな」とため息をつき、
ゴードンは「うおお! 仲間の筋肉! いいだろう!」と拳を突き上げた。
ユウキは、仲間たちの輪の中心で、そっと目を伏せた。
(補習仲間、か)
前世では、プロジェクトが終われば解散するドライな関係性しか知らなかった。
だが、この世界で出会った彼らは、
どうしようもなく不器用で、
どうしようもなく個性的で、
そして、どうしようもなく温かい。
「……決まりだな」
ユウキが微笑むと、リリアが太陽のように笑った。
こうして、学園史上、最も規格外で、最も連携が取れないであろう「補習仲間チーム」が、正式に結成された瞬間だった。
***
数日後。
トーナメント表が張り出された掲示板の前は、生徒たちの悲鳴と歓声でごった返していた。
「うげっ! 一回戦の相手、Aチームかよ!」
「終わった……あそこ、セレスティア様がいるじゃん……」
「えーっと、俺たちは……」
カイトが人垣をかき分け、トーナメント表の一番端、最も注目されていないブロックに、自分たちのチーム名を見つけた。
「『補習仲間チーム』……って、誰だよこの名前書いたの!」
「わたしだよ! 可愛いでしょう?」
「可愛くねえよ!」
リリアとカイトがコントのようなやり取りをしている横で、ユウキは対戦相手の欄を見て、こめかみを押さえた。
一回戦。
対戦相手。
「チーム・ヴァイスノーブル」
メンバー:ドラゴ・ヴァイス、エルレイン・ノーブル、その他取り巻き二名。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………うおおおお! 最高の筋肉のぶつけ甲斐があるというものだ!」
ゴードンが歓喜の雄叫びを上げる横で、他の四人は、秋晴れの空とは対照的な、どんよりとした表情で沈黙していた。
よりにもよって、初戦の相手が、あの嫌味な貴族ドラゴと、理論派でプライドの高いエルレインのチームだったのだ。
「終わった……」
カイトが再び地面に崩れ落ちた。
「あいつら、俺たち補習組のこと、死ぬほど見下してるじゃん。絶対、公開処刑する気だよ。俺、腹痛くなってきた」
「な、なんてこと……」
シノも顔面蒼白になり、小刻みに震え始めている。
彼女にとって、ドラゴは第5話の一件以来、恐怖の対象でしかなかった。
「大丈夫だよシノ! ユウキもいるし、なんとかなるって!」
リリアは気丈に笑うが、その声はわずかに震えていた。
「……作戦会議だ」
ユウキの低い声に、四人がはっと顔を上げた。
「このままじゃ、間違いなくカイトの言う通り、公開処刑だ。勝つもりなら、何か手を打つ必要がある」
五人は、学園の片隅にある、今は使われていない古い講義室に集まった。
西日が差し込み、空気中に漂う無数の埃を、金色の筋に変えている。
古い木製の机と、チョークの乾いた匂い。
ユウキは、黒板にチョークで、自分たちと相手のチーム構成を書き出した。
【チーム・ヴァイスノーブル】(相手)
・ドラゴ(後衛):攻撃魔法(おそらく高威力)
・エルレイン(後衛):補助・妨害魔法(理論派)
・取り巻きA(前衛):防御魔法(壁役)
・取り巻きB(中衛):牽制・補助
【補習仲間チーム】(俺たち)
・ユウキ:???(詠唱不可、威力制御不能)
・リリア:攻撃魔法(暴走癖あり)
・カイト:風魔法(やる気なし)
・ゴードン:土魔法(というか筋肉)
・シノ:防御魔法(天才的だが、攻撃は不可)
書き出した瞬間、ユウキは再び頭を抱えたくなった。
(ダメだこれ。どう見てもバランスが悪すぎる)
相手は、前衛の壁役、中衛の補助、後衛の火力・指揮と、貴族の戦術として完璧な布陣だ。
対して、こちらはどうか。
攻撃の要であるリリアは、力を「安定」させることができない。
カイトは、そもそも戦う気があるか怪しい。
ゴードンは、魔法より自分の拳を信じている。
シノは、第5話で覚醒したとはいえ、その力は「受け流す」専門であり、「守り」にしか使えない。
そして、自分は――。
(詠唱ができない。つまり、仲間とタイミングを合わせて魔法を撃つ、という「連携」の基本が取れない)
ユウキは、自分の「詠唱なし」という異常性が、チーム戦においていかに致命的かを痛感していた。
自分の魔法は、安全装置がないために、仲間の魔法とぶつかり合い、互いの力を打ち消してしまうか、最悪の場合、仲間を巻き込んで暴発する。
「あのさ、ユウキ」
カイトが、気まずそうに口を開いた。
「お前、詠唱できないんだろ? どうやって俺たちと合わせんだよ」
「う……」
「リリアの火だって、いつ暴走するかわかんねーし」
「むっ! わたしだって頑張るもん!」
「ゴードンは、どうせ『筋肉』とか言って突っ込むだけだろ」
「それが最強の戦術だからな!」
「シノは守るだけ……。これ、攻撃するの、リリアだけじゃん! 無理ゲーだろ!」
カイトの指摘は、あまりにも正しかった。
このチームは、個々の力は低くないかもしれないが、全員が別の方向を向いており、一つの力としてまとまる見込みがゼロだった。
リリアの「暴走する火」と、シノの「全てを受け流す壁」は、水と油だ。
相性が最悪すぎる。
(このままじゃ、個々の力がぶつかり合い、互いを邪魔して、マナの無駄遣いになるだけだ……)
「……一つ、だけ」
シノが、震える声で手を挙げた。
「わたしの壁は、ドラゴさんの魔法……たぶん、防げます。だから、みんなは、わたしが守ります」
「シノ……」
ユウキは、彼女の勇気に胸を打たれた。
だが、それだけでは勝てない。
守っているだけでは、マナが尽きて負けるのがオチだ。
「よし!」
リリアがパン!と手を叩いた。
「シノが守ってくれるなら、わたしが全力で攻撃する! それで決まり!」
「いや、だからお前の『全力』が暴走するんだろ!」
カイトが突っ込む。
「うるさいな! やってみなきゃわかんないでしょ!」
「筋肉が全てを粉砕する!」
「あーもう、ダメだこりゃ……」
作戦会議は、会議として成立しないまま、カイトの絶望的なため息と、ゴードンの「筋肉!筋肉!」という掛け声の中に、混沌と消えていった。
ユウキは、(これは、デスマーチどころか、プロジェクト開始と同時に空中分解するパターンだ)と、西日に染まる埃を見つめながら、乾いた笑いを浮かべるしかなかった。
***
そして、中間テスト当日。
模擬戦トーナメントの会場となる「第三古代演習場」は、すり鉢状の巨大な観客席が設けられ、
学園祭のプレイベントということもあり、上級生や一般の観覧客まで詰めかけ、凄まじい熱気に包まれていた。
空は抜けるような秋晴れ。
色づいた学園の森を背景に、生徒たちの放つ色とりどりの魔法の光が、歓声と共に弾けては消える。
「第一試合! チーム・ヴァイスノーブル 対 チーム・補習仲間! 両者、フィールドへ!」
アナウンスが響き渡り、ユウキたち五人は、緊張した面持ちで広いフィールドへと足を踏み入れた。
対面には、ドラゴとエルレインたちが、新品の戦闘用ローブを身につけ、余裕の笑みを浮かべて立っている。
「ふん。ゴミ掃除は一瞬で終わらせてやる」
ドラゴが、ユウキとシノを交互に睨みつけ、侮蔑の言葉を吐き捨てる。
「シノ、お前のその鬱陶しい壁ごと、今度こそ粉々にしてやるぞ」
「ひっ……!」
シノが小さく悲鳴を上げ、ユウキの後ろに隠れる。
「ドラゴ! あんた、女の子に!」
リリアが食ってかかろうとするのを、ユウキが手で制した。
「エルレイン。君も、あれでいいのか?」
ユウキが隣のエルレインに問う。
彼女は、ふう、と冷ややかにため息をついた。
「言葉は下品ですけれど、事実は変わらないのではなくて? あなたがた『補習組』が、わたくしたちの『理論』に勝てる道理が、どこにありますの?」
彼女の瞳は、ユウキたちを「理論通りに動かない不良品」としてしか見ていなかった。
(理論、か……)
ユウキは、第3話でセレスティアと組んで失敗した、「関係性」の授業を思い出していた。
この世界は、机の上の計算通りには動かない。
無数の要因が絡み合い、常に揺らぎ続ける。
だが、今の自分たちに、その「揺らぎ」を味方につける術はあるのか?
「試合、開始!」
開始の合図と同時に、ドラゴチームは完璧な「セオリー」通りの動きを見せた。
「『土の盾』!」
「『風の加護』!」
取り巻きAが強固な土壁を展開し、取り巻きBがエルレインとドラゴに補助魔法をかける。
「『闇の縛鎖』!」
ドラゴが、牽制として、シノの足元を狙って闇の鎖を放つ。
「きゃっ!」
「シノ!」
ユウキが咄嗟にシノを突き飛ばし、自らが鎖に捕らわれる。
「ユウキ!」
リリアが叫んだ。
その瞬間、彼女の頭から「作戦」という言葉が消し飛んだ。
「よくもユウキを! 『燃え上がれ、炎!』」
「あ、馬鹿! 待て!」
ユウキの制止も間に合わず、リリアから放たれた炎は、狙いを大きく逸れ、味方であるカイトの頭上をかすめ、観客席の防護壁に直撃して爆発した。
「うおっ! 熱っ! お前、味方を殺す気か!」
カイトが本気で怒鳴る。
「ご、ごめんなさい! だって、つい!」
(最悪だ……)
ユウキは、足に絡みつく闇の鎖を無詠唱の衝撃波で吹き飛ばしながら、早くも眩暈を覚えていた。
「はっはっは! なんだその無様な連携は!」
ドラゴの高笑いが響く。
「見せてやろう、本物の魔法というものを!」
エルレインが杖を構える。
「『重力の場』」
ユウキたち五人の足元に、淡い紫色の魔法陣が広がり、一気に体が鉛のように重くなる。
「う、動けん!」
ゴードンが膝をつく。
「くそっ、これが理論派の戦い方か!」
カイトも身動きが取れない。
「さあ、ドラゴ様。お好きなように」
エルレインが優雅に一礼する。
前衛の壁も、中衛の補助も、後衛の妨害も、全てが完璧に噛み合っている。
「終わりだ、雑魚ども! 『集え、闇よ――』」
ドラゴが、一撃で勝負を決めるための大魔法の詠唱を始めた。
「まずい!」
ユウキが叫ぶ。
「シノ! 全力で壁を!」
「は、はい!」
シノが前に出て、両手を地面につける。
彼女の覚悟を決めた瞳が、ドラゴを真っ直ぐに見据えた。
「『揺らぐ壁』!」
第5話で覚醒した、半透明の「受け流しの壁」が、五人の前に展開される。
「今だ! リリア! カイト! ゴードン! あの詠唱を止めろ!」
ユウキが叫ぶ。
「『炎の槍』!」
「『風の刃』!」
「『筋肉は裏切らない』!」
「なんでお前だけ魔法じゃないんだ!」
ユウキのツッコミが響くが、三人の攻撃は、ドラゴの前に陣取る「土の盾」によって、いとも容易く防がれてしまった。
「無駄だ、無駄だ! 俺の『土』は貴様らの攻撃など――」
取り巻きAが勝利を確信した、その時だった。
「リリア! 邪魔だ!」
「え?」
ゴードンが、重力場で身動きが取れないはずなのに、力任せに立ち上がり、リリアを横に突き飛ばした。
「ゴードン!?」
「そんな貧弱な炎では埒が明かん! 俺が、あの壁を、筋肉で粉砕する!」
ゴードンが、重力場を筋肉だけで踏み破り、猛然と敵の「土の盾」に向かって突進していく。
「あ、あの馬鹿! 罠だったらどうするんだ!」
カイトが叫ぶ。
「危ない!」
シノが咄嗟に判断する。
彼女は、自分たちの前に張っていた「受け流しの壁」の一部を、突進するゴードンの進路上に、スライドさせるように移動させた。
「ゴードンさん! これごと、突っ込んでください!」
「おお! 気が利く!」
ゴードンが「受け流しの壁」に守られながら、敵の土壁に到達する。
「させるか!」
取り巻きBが、ゴードンを止めようと牽制魔法を放つ。
「僕だって!」
ユウキが、無詠唱で地面を隆起させ、その牽制魔法の軌道を無理やり逸らす。
「『筋肉最大出力!』」
ゴードンの拳が、シノの「受け流しの壁」越しに、敵の「土の盾」に叩き込まれる。
ガギィン! という金属音と共に、土壁が凄まじい勢いで「受け流され」、あらぬ方向へスライドし、自滅するようにフィールドの壁に激突した。
「なっ!?」
壁役の取り巻きAが、呆然とする。
「よし、今だ! リリア、カイト!」
ユウキが叫ぶ。
「今度こそ! 『炎よ!』」
「『風よ!』」
だが、二人の魔法は、またしてもタイミングがズレた。
リリアの炎が先走り、カイトの風がそれを追いかけるが、うまく混ざり合わずに、ドラゴの手前で威力を失い、霧散した。
「……もう、ダメだ」
カイトが、その場にへたり込んだ。
「無理だよ、これ。俺たち、息が合わなすぎる。全員、やりたいことがバラバラだ」
リリアも唇を噛み締め、うつむく。
ゴードンは「むぅ、筋肉が足りんか」と腕組みし、
シノは「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣きそうになっている。
ドラゴとエルレインは、その光景を見て、勝利を確信していた。
「……醜悪ですわ。理論も、連携も、何もない。ただの烏合の衆」
「終わりだ。今度こそ、跡形もなく消し飛ばしてやる」
ドラゴが、再び大魔法の詠唱を開始する。
ユウキは、仲間たちの姿と、迫り来る破滅的な魔力の高まりを、焦燥感と共に感じていた。
(ダメだ。俺が「合わせさせよう」としてるから、ダメなんだ)
カイトの言う通りだ。
こいつらは、全員がバラバラだ。
リリアは「結果」に執着し、ゴードンは「筋肉」という自分のルールしか信じない。
カイトは「楽」をしたがる。
シノは「守り」に徹する。
全員が、自分勝手な「思い」で動いている。
それを無理やり「セオリー」という型にはめ込もうとするから、衝突するんだ。
(セオリー通りにやって、あの完璧なエリートチームに勝てるか? 勝てない)
(俺たちは、あいつらとは違う。俺たちは、理論通りにいかない「落ちこぼれ」の集まりだ)
ユウキは、かつて先生が言った言葉を思い出していた。
『この世の全ては「関係性」で成り立っている』
『個々の要素が単純なルールで動いた結果、全体として予測不能な秩序が生まれる』
(そうだ。合わせるんじゃない。繋げるんだ。こいつらのバラバラな力を、衝突させずに、ただ「繋げたら」どうなる?)
ユウキの中で、何かが吹っ切れた。
彼は、絶望する仲間たちに向かって、腹の底から叫んだ。
「もういい! 好きにやれ!」
「「「「え?」」」」
四人が、呆気にとられてユウキを見る。
「合わせるな! 連携なんて考えるな! お前らが今、一番やりたいことを、俺の合図で、全力でやれ!」
「ユウキ……?」
「リリアは、どうせまた暴走するんだろ! なら、観客席ごと吹き飛ばすつもりで、最大火力をあの壁役のいた所に叩き込め!」
「ええ!? む、無茶苦茶だよ!」
「カイトは、どうせサボりたいんだろ! だったら、リリアの炎がこっちに来ないように、全力の風で『押し返せ』! それだけやったら休んでいい!」
「はあ!? 押し返せって……まあ、それだけなら」
「ゴードン! 敵の大魔法が来る前に、あの詠唱してるドラゴを殴り飛ばしたいだろ! 全力で突っ込め!」
「うおお! それが聞きたかった!」
「シノ! お前は、俺の前に立て! これから何が起きるか分からない。ドラゴの魔法と、俺たちの魔法、その『全部』から、俺たち全員を守れ!」
「ぜ、全部……!? む、無理です!」
「お前ならできる! お前は『拒絶』するんじゃない。『受け流す』壁だろ! 敵も味方も、全部まとめて受け流せ!」
ユウキは、シノの肩を掴み、真っ直ぐにその瞳を見た。
シノは息を呑み、そして、こくりと頷いた。
「ユウキ! あんたは!?」
リリアが叫ぶ。
ユウキは、ニヤリと笑った。
「俺は、お前たち全員が『衝突』しないように、全部、調和させてやる!」
「馬鹿どもが、何をほざいている!」
ドラゴの詠唱が最終段階に入る。
破滅的な闇の魔力が、彼の頭上に集束していく。
「全員、構えろ!」
ユウキが叫ぶ。
彼は、目を閉じ、意識を極限まで集中させた。
世界から音が消える。
仲間のマナの流れ、敵のマナの流れ、大気の「揺らぎ」、
全てが手のひらの上で転がる石のように、その「関係性」がはっきりと感じ取れた。
(いける。こいつらの力は、バラバラだからこそ、組み合わせることができる!)
「今だ! 全員、やれ!」
ユウキの号令が、戦場に響き渡った。
「うおおおおお! 筋肉正義!」
まず、ゴードンが重力場を無視して、ドラゴに向かって最短距離で突進する。
「『最大火力!』」
次に、リリアが「結果への執着」を捨て、ただ純粋な「破壊衝動」に任せて、持てる全ての魔力を炎に変え、敵陣(だった場所)に叩き込んだ。
「うわっ、馬鹿! こっち来た!」
カイトが、リリアの炎が味方(特に自分)に向かって逆流してくるのを見て、顔面蒼白になりながら、全力の風魔法「『烈風障壁』」を放つ。
「シノ!」
「はい! 『全方位・受け流しの円環』!」
シノが、ユウキたちの周囲に、半球状の完璧な「受け流しの壁」を展開。
そして、その全てが、同時に起きた。
ドラゴが、詠唱を完了し、ゴードンに向かって叫んだ。
「死ね! 『闇の終焉』!」
ゴードンの突進(筋肉)。
リリアの暴走する炎(火)。
カイトの押し返す烈風(風)。
ドラゴの破滅的な闇(闇)。
シノの全方位を守る壁(防御)。
五つの、全く異なる「理」が、フィールドの中央で衝突しようとした、その刹那――
ユウキが、目を見開いた。
(ここだ!)
彼は、詠唱を使わない。
ただ、脳内で、世界の「流れ」そのものに、直接、割り込んだ。
(ゴードンの『前』じゃない、『下』だ!)
無詠唱の「土」の力が、ゴードンの足元の地面を、ドラゴの魔法が着弾する寸前に、爆発的に「隆起」させた。
ゴードンは、射出台のように空中に跳ね上げられ、ドラゴの闇の魔法は、空しくゴードンの残像を飲み込んだ。
(リリアの『炎』とカイトの『風』、ぶつかるな! 混ざれ!)
ユウキの第二の無詠唱が、炎と風が衝突する「関係性」に介入する。
カイトの風は、炎を「押し返す」のではなく、炎を「包み込み、回転させる」力へと、その性質を強制的に書き換えられた。
暴走していたリリアの炎は、カイトの風によって、巨大な「炎の竜巻」へと姿を変えた。
「なっ!?」
カイトとリリアが、自分たちの魔法が生み出した「未知の現象」に目を見開く。
「シノ! 壁を『開けろ』!」
「え!?」
「今、あの竜巻の『上』だ!」
シノは、ユウキの言葉を信じ、全方位を守っていた壁の「天井」部分だけを、一瞬、解除した。
その瞬間、空中に跳ね上げられていたゴードンが、炎の竜巻の真上に落下してきた。
「うおおおおお!? 熱い! 熱いぞユウキ!」
「我慢しろ!」
(シノ! その竜巻を『鎧』にしろ!)
ユウキが、三度、世界の理を書き換える。
シノの「受け流しの壁」が、炎の竜巻に殺到した。
だが、壁は炎を「受け流さ」なかった。
ユウキが、その「関係性」を反転させたからだ。
シノの力は、炎の竜巻の「外側」に、まるで「氷の鎧」のように張り付き、その暴走するエネルギーを「内側」へと強制的に「集束」させた。
「な、なに、これ……」
シノは、自分が今、何をしているのか理解できなかった。
炎の熱と、氷の冷気と、風の回転と、土の勢い、そしてゴードンの筋肉。
五つのバラバラだった力が、ユウキの「調和」によって、誰も見たことのない、一つの「現象」へと「創発」した。
空中で、ゴードンが「氷炎の竜巻」をその身に纏う。
それは、もはや人間ではなく、燃え盛る氷の彗星だった。
「エルレイン! 壁を!」
ドラゴが、人生で初めて、恐怖に顔を引きつらせて叫んだ。
「無理です! あんな現象、わたくしの理論にありません!」
エルレインが、震える声で叫び返す。
「いっけえええええ! ゴードーーーン!」
ユウキが、最後の力を振り絞り、ゴードンに向かって叫んだ。
「これが! 俺の! 筋肉だあああああ!」
ゴードンが、氷と炎の竜巻を纏ったまま、敵陣のど真ん中に、隕石のように墜落した。
―――轟音。
熱と、冷気と、風圧と、土煙が、フィールド全体を包み込んだ。
シノの張った「受け流しの壁」が、その余波の全てを、観客席とは逆の方向へと完璧に逸らしていく。
やがて、煙が晴れた時。
フィールドの中央には、巨大なクレーターが穿たれていた。
そして、その中心で、ゴードンが一人、仁王立ちになっていた(服は燃え尽きていた)。
彼の足元には、ドラゴ、エルレイン、そして取り巻きの二人が、目を回して、完全に戦闘不能となって倒れていた。
「…………」
観客席は、水を打ったように静まり返っていた。
何が起きたのか、誰にも理解できなかった。
リリアも、カイトも、シノも、そして当のゴードンさえも、目の前の光景が信じられないという顔で、呆然と立ち尽くしていた。
その静寂を破ったのは、一人の男の、心底楽しそうな「拍手」の音だった。
「見事。実に見事だ」
アーキバルド先生が、観客席から身を乗り出し、満面の笑みでユウキたちを見下ろしていた。
「勝者! チーム・補習仲間!」
そのアナウンスで、観客席は、一拍遅れて、爆発的な歓声に包まれた。
「……勝った」
リリアが、へなへなと座り込む。
「……マジかよ」
カイトが、自分の手を見つめている。
「……勝、ちました」
シノが、涙声で微笑んだ。
ユウキは、マナの使いすぎで激しく眩暈がする頭を押さえながら、仲間たちを見て、静かに笑った。
試合後、アーキバルド先生が、興奮冷めやらぬ五人を前に、講評を始めた。
「さて、諸君。なぜ君たちが、あの完璧な『理論』で固められたエリートチームに勝てたか、分かるかね?」
「えっと……ゴードンの筋肉がすごかったから?」
リリアが首を傾げる。
「それも一因だろう」と先生は笑い、「だが、本質はそこではない」と続けた。
「個々の要素が、バラバラに、単純なルールに従って動いた。その結果、誰も予測できなかった、全く新しい、高次の秩序が『生まれた』」
先生は、ユウキの目を真っ直ぐに見た。
「誰かが設計図を書いたわけではない。個々の力が『関係』し合った結果、その場限りの『現象』として現れた。それこそが、この世界の理であり、魔法の醍醐味だ。見事だったぞ、ユウキ君。君は、最高の『指揮者』だった」
ユウキは、照れくさそうに頭をかいた。
「指揮者、なんて柄じゃありませんよ。ただ、こいつらが衝突しないように、間に入って『調和』させただけです」
「それこそが『指揮』の本質だ」
先生は、満足そうに頷いた。
遠くで、次の試合が始まる歓声が上がる。
秋の空は高く、学園祭の準備の音は、もうすぐそこまで迫っていた。
「補習仲間チーム」の、予測不能な戦いは、まだ始まったばかりだった。
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『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
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