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第11話:『現象』の顕現と『関係性』の防壁
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深い冬の底、そのさらに下。 王都魔法学園の地下深く、古代演習場の石畳は、墓石のように冷え切っていた。期末テストという名の秩序は、ドラゴ・ヴァイスという一人の生徒の、制御を失った「渇望」によって、音を立てて崩れ去った。
空間そのものが「間違っている」と悲鳴を上げていた。
ドラゴが展開した禁断の魔法陣の中心、空間ごと抉られた「黒い穴」からゆっくりと姿を現した「異界の爪」は、もはや「穴」を必要としていなかった 。それは、この世界の「仕組み」との接触を果たした。 そのおぞましい先端が、テストのために用意されていた旧式の「魔導ゴーレム」――石と魔力で組み上げられただけの、無機質な人形――の残骸へと、まるで墨汁が真水に染み込むように、音もなく融合した 。
ギ、ギギ、ギギギギギ――。
石が軋む音ではない。空間がねじ切れるような、耳の内側を直接掻きむしる不快な高周波が演習場全体を揺らす。それは、この世の「仕組み(ことわり)」に、異質な「仕組み(ことわり)」が無理やり割り込もうとする際の、拒絶反応にも似た摩擦音だった。
融合したゴーレムは、ゆっくりと立ち上がる。 それは、もはや「ゴーレム」ではなかった。 物理的な法則を完全に無視していた。石でできているはずの胴体は、ある瞬間には粘土のように歪み、次の瞬間には黒い霧のように拡散する。かと思えば、肘から先が不自然に「増殖」し、三本腕になったかと思うと、その腕が溶けて脚に変わる。 それは「個体」ではなかった。「形」という概念そのものを嘲笑うかのような、不安定な「現象」の塊だった 。
「――テストは中止! 全生徒、直ちに地上へ退避せよ!」
地響きのような怒声と共に、演習場の入り口が強く輝き、数人の影が突入してきた。先頭に立つのは、いつもは飄々とした空気を纏っているはずの担任、アーキバルドだった。その顔には、かつてユウキたちが見たことのない、鋼のような険しさが張り詰めている。
「遅かったか……! 地下を即時封鎖せよ! この『歪み』を地上に出すな!」
アーキバルドの指示に、同行してきた他の教師たちが即座に散開する。彼らは学園でも屈指の実力者たちだ。熟練の詠唱が幾重にも重なり合い、演習場の出入り口や壁に、幾何学模様の光の壁が次々と展開されていく。
だが、「それ」は教師たちなど意にも介さなかった。 「それ」は、ドラゴが接続を試みた、この演習場の床下を流れる莫大な力の源――「地脈」にまだ繋がっていた 。
「ギィィィィ……」
「現象」の塊は、満足げな呻き声を上げた。その足元、石畳の亀裂から、地脈の青白い光が溢れ出す。光は「それ」の足首に吸い込まれると、塊は一回り、また一回りと、その異様な身体を膨張させていく。 傷が再生しているのではない。攻撃を受けてもいないのに、エネルギーを吸い上げて「自己増殖」しているのだ。
「馬鹿な! エネルギー供給が止まらん!」 「攻撃が意味をなさないぞ! 物理的な法則が適用されていない!」
教師たちの間に焦りが走る。彼らの放つ高位の攻撃魔法は、「それ」の身体を確かに貫く。だが、貫かれた穴はすぐに周囲の空間ごと歪み、何事もなかったかのように塞がってしまう。それどころか、攻撃に使われた「力」そのものさえ糧にするかのように、攻撃を受けるたびに「それ」の歪みはさらに加速していく。
「――退がってください、先生方」
その混乱の中、鈴の鳴るような、しかし氷のように冷たい声が響いた。 セレスティア・クラウン。学年首席の天才。彼女は、恐怖に震えるどころか、その灰色の瞳に冷徹な分析の色を浮かべていた。
「この現象は、無秩序に見えて、エネルギーの流入点と稼働の核が明確に分離しています。核は、旧型ゴーレムの制御核が位置していた胸部。流入点は足元。つまり、エネルギーを吸い上げる『管』と、それを歪みに変換する『本体』は別です」 彼女は完璧な理論(セオリー)を瞬時に組み立て、教師たちに言い放つ 。 「先生方は流入点(足元)への攪乱攻撃を。私が『核』を、最大効率の術式で完全に破壊します」
有無を言わさぬその言葉に、教師たちが一瞬ためらう。だが、アーキバルドが短く頷いた。 「……任せた、クラウン君。諸君、彼女の補助を!」
「はい」と短く応じたセレスティアの周囲に、空気が凍るほどの集中力が集う。彼女こそが、この学園の「理論」と「秩序」の体現者だった。 彼女の前に、無数の光の矢が形成される。一本一本が、力の浪費を一切排除した、完璧な「解」だった。
「ありえない……」
だが、次の瞬間、その完璧な「解」は、完璧な「絶望」に変わった。 セレスティアが放った光の矢は、確かに「それ」の胸部にあるはずの「核」に殺到した。回避不能な、理論上の必中攻撃。 しかし、「それ」は回避すらしなかった。 「それ」は、攻撃が当たる直前に、胸部(核)そのものを「消失」させたのだ。 まるで「そこには最初から胸なんてありませんでした」とでも言うように、胸部が「空虚」になり、光の矢は空を切る。そして、矢が通り過ぎたコンマ一秒後、背中だった部分が「新たな胸部」として隆起した。
「な……ぜ……?」
セレスティアの息が止まる。 理論が、通じない。計算が、追いつかない。 「それ」の行動原理は、セレスティアが学んできた「世界の仕組み」の上に成り立っていなかった。 「予測不能」――否、予測という「概念」そのものを拒絶していた 。
「私の……私の計算(せかい)が、なぜ……っ!」 プライドが、彼女の世界そのものが、音を立てて砕けていく。セレスティアは、その場に膝から崩れ落ちた 。
「全員、下がれ! 時間稼ぎに徹しろ!」 アーキバルドの檄が飛ぶ。 リリアが恐怖を振り払うように叫びながら炎を放ち、カイトが風でその軌道を逸らし、ゴードンが「筋肉は裏切らん!」と叫びながら近くの瓦礫を投げつけ、教師たちと共に「それ」の注意を引きつける 。 だが、それは焼け石に水だった。地脈から力を吸い続ける「現象」は、もはや抑えきれないところまで膨張していた。
「(ダメだ、こいつは『生き物』じゃない……!)」
その絶望的な攻防のまっただ中で、ユウキだけが、崩れ落ちたセレスティアとは異なる理由で戦慄していた。 彼は、前世の記憶――システムの設計者としての経験から、「それ」の正体を直感していた。
(こいつは、「個体」じゃない。「動き続ける、仕組みそのもの」だ )
セレスティアの理論は正しかった。もし敵が「この世界の仕組み」に従うゴーレムだったならば。 だが、あの「黒い爪」は、この世界の「外」から来た、異質な「仕組み」そのものだ。 この世界の「常識」が書き込まれた設計図(仕様書)に、まったく別の設計思想で作られた「異物(プログラム)」が無理やり割り込んできている。 だから、行動原理が違う。予測ができない。
(しかも、最悪だ……!)
ユウキの思考が加速する。 (あの「異物」は、ドラゴが繋げた地脈(エネルギー源)と直結してる。地脈から力を吸い上げて、自分という「歪み」を自己増殖させてるんだ)
それは、システムが異常をきたし、エラーがエラーを呼び、無限にリソースを食い潰しながら暴走していく、あの悪夢のような光景(デスマーチ)とまったく同じだった。
(攻撃(パッチ)を当てても無駄だ。攻撃の力(エラー報告)すら取り込んで、さらに強くなる。あれは「流れ」そのものなんだ 。流れを止めるには、大元の「蛇口」を締めるしかない!)
蛇口。それは、地脈。 だが、地脈そのものを止めることなど、人間には不可能だ。
(いや、違う。止めるのは「地脈(大元)」じゃない。地脈と「あれ」を繋いでいる「管(つながり)」だ!)
「つながり」を断ち切る。 その考えが閃いた瞬間、ユウキは一人の少女の姿を脳裏に描いていた。
「シノ!」
ユウキは、後方で仲間たちを護るために小さな結界を張っていたシノ・ミヅキのもとへ全力で走った。
「ユウキ君!? 危ないよ!」 「シノ、よく聞け! お前の力が必要だ!」
ユウキの必死の形相に、シノが息を飲む。
「今から、無茶を言う」 ユウキは、暴れ狂う「現象」の塊と、その足元で青白く光る地脈の亀裂を同時に指さした。
「あの『化け物』と、あの『床下から来てる光』の、『あいだ』に壁を張れ」
「え……?」 シノの目が、困惑に見開かれる。 彼女の知る「結界」とは、仲間や自分を「守る」ためのものだ。敵の攻撃を「防ぐ」ためのものだ。 だが、ユウキの命令は違った。 「化け物」そのものではなく、化け物と「何か」の「あいだ」に壁を張れ? そんなこと、聞いたこともない。
「敵を『守る』の……? それとも……」 「違う!」 ユウキはシノの両肩を掴んだ。その瞳は、冗談など一切ない、真剣そのものだった。 「敵も、俺たちも守るな! 『流れ(ながれ)』を断ち切るんだ! 」
「流れ……?」
「あいつは、あの光(エネルギー)を吸い続けてるからデカくなってる! あの『つながり(かんけいせい)』こそがあいつの正体だ! だから、お前の力で、あの『つながり』そのものを断ち切ってくれ!」
シノには、ユウキの言っている「理論」は半分も理解できなかった。 だが、わかったことが二つだけあった。 一つは、このままでは全員が死ぬこと。 もう一つは、ユウキが「自分(シノ)の力」だけが、この絶望を覆せると信じていること。
ドラゴの執拗な攻撃から自分を庇ってくれたユウキの背中 。 「揺らいでいいだろ! 生きてる証拠だ!」と言ってくれた声 。 「大切なもの(関係性)を守るためにこそある」と教えてくれた、先生の言葉 。
(守りたい『関係性』……)
シノの脳裏に、ユウキ、リリア、カイト、ゴードン……補習仲間たちとの、他愛もない日常が浮かんだ。 (私、もう、あの場所を失いたくない)
シノは、ユウキの目を真っ直ぐに見返した。もう、そこに怯えはなかった。 「……やってみる」
シノは一歩前に出た。彼女はもう、自分を「拒絶」するために壁を張る少女ではなかった。 彼女は、自らの心のすべてを、研ぎ澄まされた「刃」に変えた。
(対象、「あれ」と「光」の『関係性』)
彼女の小さな手のひらの間に、極限まで圧縮された魔力が集束する。それは、第5話で見せたような、攻撃を「受け流す」しなやかな壁ではない。 すべての「流れ」を、絶対的に「遮断」する、鏡面のような「壁」。
「シノ、今だ!」 リリアたちの攻撃が一際激しくなり、「現象」の塊の注意がそちらに向いた瞬間。
「――『断て』」
シノの呟きと同時に、不可視の「壁」が、「現象」の塊とその足元の地脈の「あいだ」に、完璧な平面となって差し込まれた。 それは、この世界の「仕組み(ことわり)」に、別の「仕組み(ことわり)」を挿入する、神業的な新技術(ファイアウォール)だった 。
ギギギギギギギギギギギギギ―――ッ!?
「現象」の塊が、初めて「苦痛」とも「驚愕」ともつかない、甲高い悲鳴を上げた。 まるで、酸素ボンベの管を突然ナイフで切断されたかのように。
地脈からのエネルギー供給(流れ)が、完全に「遮断」されたのだ。
「それ」は、もはや自己増殖できない。それどころか、この世界の「仕組み」に反して無理やり存在を維持していた「歪み」そのものが、支えを失った。
「いまだ! 総員、最大火力!」 アーキバルドの号令が飛ぶ。
エネルギー(よりどころ)を失い、急速に「安定化」――弱体化していく「現象」の塊に向かって、教師陣と、立ち直ったリリアたちの、ありったけの魔法が叩き込まれた。
ドゴオオオオオオオオオン!!!
演習場全体が、閃光と轟音に包まれる。 爆心地には、もはや「歪み」は残っていなかった。あるのは、原型を留めないほど粉々に砕け散った、ただの「石の残骸」だけだった 。
「…………終わっ、た……のかよ……?」 カイトが、へなへなと壁に寄りかかって座り込む。
「……腹が……減った……」 ゴードンも、その場にどさりと大の字に倒れた。
リリアは、立っていられなかった。腰が抜け、ぺたんと石畳に座り込む。自分の手のひらを見つめ、わなわなと震える指先を、もう片方の手で必死に押さえた。 「……しぬかと、思った……」 絞り出すような声が、彼女の恐怖のすべてを物語っていた。
ユウキは、仲間たちの無事を確認するより先に、ふらつく足でシノに駆け寄った。 「シノ! シノ、大丈夫か!?」 彼女は、すべての魔力を使い果たし、四つん這いになって荒い息を繰り返していた。 「……ユウキ、くん……」 「シノ!」 ユウキがその肩を支えようと手を伸ばす。シノは、真っ白な顔をゆっくりと上げた。その瞳は、極度の疲労の中、確かにユウキを捉えていた。彼女は、こくんと小さく頷いた。 ユウキは、全身の力が抜けていくのを感じ、シノの隣にどさりと座り込んだ。 「……よかった……。すごいぞ、シノ……。お前が、やったんだ」 シノは、その言葉に、今度こそ、ほんの少しだけ安堵に口元を緩めた。
「……クラウン君。立てるかね」 アーキバルドが、呆然と座り込むセレスティアに静かに声をかける。 「……はい」 セレスティアは、震える脚で立ち上がる。その瞳から、かつての「完璧」な光は消え、ただ「理解不能なもの」に敗北したという、深い混乱の色だけが浮かんでいた。
「負傷者の確認! それと……」 アーキバルdルドは、魔法陣の中心で、青白い顔をして倒れている少年に視線を移した。 「ドラゴ・ヴァイスを拘束。医務室へ運べ。魔力(ちから)の逆流だ、命に別状はなさそうだが……徹底的に調べろ」
教師たちがドラゴを担架で運び出していく。 演習場に、ひとまずの静寂が戻った。
だが、ユウキだけは、別のものを見ていた。 「それ」を粉砕した瞬間、シノが結界を解いた瞬間、そして、あの「黒い穴(ゆがみ)」が完全に閉じきる、最後の、最後のコンマ一秒。
(……今、何か……)
あの「黒い穴」が、シャッターが閉じるように消滅する寸前。 そこから、インクの染みよりも小さな、「黒い影」のようなものが、弾丸のように飛び出したのを、ユウキは確かに見た。
その「黒い影」は、教師たちにも、仲間たちにも気づかれることなく、まるで吸い込まれるように―― 拘束され、意識を失っているドラゴ・ヴァイスの胸元に、スッと消えていった。
「(……まさか)」 ユウキは全身に走った悪寒を振り払おうと、頭を振った。
(「接続」は失敗した。「本体」も撃退した。だけど……) (もし、今の影が「攻撃」じゃなくて……次の侵入のために仕掛けられた『バックドア(裏口設置プログラム)』だとしたら?)
ユウキは、運び出されていくドラゴの背中を、言い知れぬ不安と共に、ただ見つめることしかできなかった。
空間そのものが「間違っている」と悲鳴を上げていた。
ドラゴが展開した禁断の魔法陣の中心、空間ごと抉られた「黒い穴」からゆっくりと姿を現した「異界の爪」は、もはや「穴」を必要としていなかった 。それは、この世界の「仕組み」との接触を果たした。 そのおぞましい先端が、テストのために用意されていた旧式の「魔導ゴーレム」――石と魔力で組み上げられただけの、無機質な人形――の残骸へと、まるで墨汁が真水に染み込むように、音もなく融合した 。
ギ、ギギ、ギギギギギ――。
石が軋む音ではない。空間がねじ切れるような、耳の内側を直接掻きむしる不快な高周波が演習場全体を揺らす。それは、この世の「仕組み(ことわり)」に、異質な「仕組み(ことわり)」が無理やり割り込もうとする際の、拒絶反応にも似た摩擦音だった。
融合したゴーレムは、ゆっくりと立ち上がる。 それは、もはや「ゴーレム」ではなかった。 物理的な法則を完全に無視していた。石でできているはずの胴体は、ある瞬間には粘土のように歪み、次の瞬間には黒い霧のように拡散する。かと思えば、肘から先が不自然に「増殖」し、三本腕になったかと思うと、その腕が溶けて脚に変わる。 それは「個体」ではなかった。「形」という概念そのものを嘲笑うかのような、不安定な「現象」の塊だった 。
「――テストは中止! 全生徒、直ちに地上へ退避せよ!」
地響きのような怒声と共に、演習場の入り口が強く輝き、数人の影が突入してきた。先頭に立つのは、いつもは飄々とした空気を纏っているはずの担任、アーキバルドだった。その顔には、かつてユウキたちが見たことのない、鋼のような険しさが張り詰めている。
「遅かったか……! 地下を即時封鎖せよ! この『歪み』を地上に出すな!」
アーキバルドの指示に、同行してきた他の教師たちが即座に散開する。彼らは学園でも屈指の実力者たちだ。熟練の詠唱が幾重にも重なり合い、演習場の出入り口や壁に、幾何学模様の光の壁が次々と展開されていく。
だが、「それ」は教師たちなど意にも介さなかった。 「それ」は、ドラゴが接続を試みた、この演習場の床下を流れる莫大な力の源――「地脈」にまだ繋がっていた 。
「ギィィィィ……」
「現象」の塊は、満足げな呻き声を上げた。その足元、石畳の亀裂から、地脈の青白い光が溢れ出す。光は「それ」の足首に吸い込まれると、塊は一回り、また一回りと、その異様な身体を膨張させていく。 傷が再生しているのではない。攻撃を受けてもいないのに、エネルギーを吸い上げて「自己増殖」しているのだ。
「馬鹿な! エネルギー供給が止まらん!」 「攻撃が意味をなさないぞ! 物理的な法則が適用されていない!」
教師たちの間に焦りが走る。彼らの放つ高位の攻撃魔法は、「それ」の身体を確かに貫く。だが、貫かれた穴はすぐに周囲の空間ごと歪み、何事もなかったかのように塞がってしまう。それどころか、攻撃に使われた「力」そのものさえ糧にするかのように、攻撃を受けるたびに「それ」の歪みはさらに加速していく。
「――退がってください、先生方」
その混乱の中、鈴の鳴るような、しかし氷のように冷たい声が響いた。 セレスティア・クラウン。学年首席の天才。彼女は、恐怖に震えるどころか、その灰色の瞳に冷徹な分析の色を浮かべていた。
「この現象は、無秩序に見えて、エネルギーの流入点と稼働の核が明確に分離しています。核は、旧型ゴーレムの制御核が位置していた胸部。流入点は足元。つまり、エネルギーを吸い上げる『管』と、それを歪みに変換する『本体』は別です」 彼女は完璧な理論(セオリー)を瞬時に組み立て、教師たちに言い放つ 。 「先生方は流入点(足元)への攪乱攻撃を。私が『核』を、最大効率の術式で完全に破壊します」
有無を言わさぬその言葉に、教師たちが一瞬ためらう。だが、アーキバルドが短く頷いた。 「……任せた、クラウン君。諸君、彼女の補助を!」
「はい」と短く応じたセレスティアの周囲に、空気が凍るほどの集中力が集う。彼女こそが、この学園の「理論」と「秩序」の体現者だった。 彼女の前に、無数の光の矢が形成される。一本一本が、力の浪費を一切排除した、完璧な「解」だった。
「ありえない……」
だが、次の瞬間、その完璧な「解」は、完璧な「絶望」に変わった。 セレスティアが放った光の矢は、確かに「それ」の胸部にあるはずの「核」に殺到した。回避不能な、理論上の必中攻撃。 しかし、「それ」は回避すらしなかった。 「それ」は、攻撃が当たる直前に、胸部(核)そのものを「消失」させたのだ。 まるで「そこには最初から胸なんてありませんでした」とでも言うように、胸部が「空虚」になり、光の矢は空を切る。そして、矢が通り過ぎたコンマ一秒後、背中だった部分が「新たな胸部」として隆起した。
「な……ぜ……?」
セレスティアの息が止まる。 理論が、通じない。計算が、追いつかない。 「それ」の行動原理は、セレスティアが学んできた「世界の仕組み」の上に成り立っていなかった。 「予測不能」――否、予測という「概念」そのものを拒絶していた 。
「私の……私の計算(せかい)が、なぜ……っ!」 プライドが、彼女の世界そのものが、音を立てて砕けていく。セレスティアは、その場に膝から崩れ落ちた 。
「全員、下がれ! 時間稼ぎに徹しろ!」 アーキバルドの檄が飛ぶ。 リリアが恐怖を振り払うように叫びながら炎を放ち、カイトが風でその軌道を逸らし、ゴードンが「筋肉は裏切らん!」と叫びながら近くの瓦礫を投げつけ、教師たちと共に「それ」の注意を引きつける 。 だが、それは焼け石に水だった。地脈から力を吸い続ける「現象」は、もはや抑えきれないところまで膨張していた。
「(ダメだ、こいつは『生き物』じゃない……!)」
その絶望的な攻防のまっただ中で、ユウキだけが、崩れ落ちたセレスティアとは異なる理由で戦慄していた。 彼は、前世の記憶――システムの設計者としての経験から、「それ」の正体を直感していた。
(こいつは、「個体」じゃない。「動き続ける、仕組みそのもの」だ )
セレスティアの理論は正しかった。もし敵が「この世界の仕組み」に従うゴーレムだったならば。 だが、あの「黒い爪」は、この世界の「外」から来た、異質な「仕組み」そのものだ。 この世界の「常識」が書き込まれた設計図(仕様書)に、まったく別の設計思想で作られた「異物(プログラム)」が無理やり割り込んできている。 だから、行動原理が違う。予測ができない。
(しかも、最悪だ……!)
ユウキの思考が加速する。 (あの「異物」は、ドラゴが繋げた地脈(エネルギー源)と直結してる。地脈から力を吸い上げて、自分という「歪み」を自己増殖させてるんだ)
それは、システムが異常をきたし、エラーがエラーを呼び、無限にリソースを食い潰しながら暴走していく、あの悪夢のような光景(デスマーチ)とまったく同じだった。
(攻撃(パッチ)を当てても無駄だ。攻撃の力(エラー報告)すら取り込んで、さらに強くなる。あれは「流れ」そのものなんだ 。流れを止めるには、大元の「蛇口」を締めるしかない!)
蛇口。それは、地脈。 だが、地脈そのものを止めることなど、人間には不可能だ。
(いや、違う。止めるのは「地脈(大元)」じゃない。地脈と「あれ」を繋いでいる「管(つながり)」だ!)
「つながり」を断ち切る。 その考えが閃いた瞬間、ユウキは一人の少女の姿を脳裏に描いていた。
「シノ!」
ユウキは、後方で仲間たちを護るために小さな結界を張っていたシノ・ミヅキのもとへ全力で走った。
「ユウキ君!? 危ないよ!」 「シノ、よく聞け! お前の力が必要だ!」
ユウキの必死の形相に、シノが息を飲む。
「今から、無茶を言う」 ユウキは、暴れ狂う「現象」の塊と、その足元で青白く光る地脈の亀裂を同時に指さした。
「あの『化け物』と、あの『床下から来てる光』の、『あいだ』に壁を張れ」
「え……?」 シノの目が、困惑に見開かれる。 彼女の知る「結界」とは、仲間や自分を「守る」ためのものだ。敵の攻撃を「防ぐ」ためのものだ。 だが、ユウキの命令は違った。 「化け物」そのものではなく、化け物と「何か」の「あいだ」に壁を張れ? そんなこと、聞いたこともない。
「敵を『守る』の……? それとも……」 「違う!」 ユウキはシノの両肩を掴んだ。その瞳は、冗談など一切ない、真剣そのものだった。 「敵も、俺たちも守るな! 『流れ(ながれ)』を断ち切るんだ! 」
「流れ……?」
「あいつは、あの光(エネルギー)を吸い続けてるからデカくなってる! あの『つながり(かんけいせい)』こそがあいつの正体だ! だから、お前の力で、あの『つながり』そのものを断ち切ってくれ!」
シノには、ユウキの言っている「理論」は半分も理解できなかった。 だが、わかったことが二つだけあった。 一つは、このままでは全員が死ぬこと。 もう一つは、ユウキが「自分(シノ)の力」だけが、この絶望を覆せると信じていること。
ドラゴの執拗な攻撃から自分を庇ってくれたユウキの背中 。 「揺らいでいいだろ! 生きてる証拠だ!」と言ってくれた声 。 「大切なもの(関係性)を守るためにこそある」と教えてくれた、先生の言葉 。
(守りたい『関係性』……)
シノの脳裏に、ユウキ、リリア、カイト、ゴードン……補習仲間たちとの、他愛もない日常が浮かんだ。 (私、もう、あの場所を失いたくない)
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「シノ、今だ!」 リリアたちの攻撃が一際激しくなり、「現象」の塊の注意がそちらに向いた瞬間。
「――『断て』」
シノの呟きと同時に、不可視の「壁」が、「現象」の塊とその足元の地脈の「あいだ」に、完璧な平面となって差し込まれた。 それは、この世界の「仕組み(ことわり)」に、別の「仕組み(ことわり)」を挿入する、神業的な新技術(ファイアウォール)だった 。
ギギギギギギギギギギギギギ―――ッ!?
「現象」の塊が、初めて「苦痛」とも「驚愕」ともつかない、甲高い悲鳴を上げた。 まるで、酸素ボンベの管を突然ナイフで切断されたかのように。
地脈からのエネルギー供給(流れ)が、完全に「遮断」されたのだ。
「それ」は、もはや自己増殖できない。それどころか、この世界の「仕組み」に反して無理やり存在を維持していた「歪み」そのものが、支えを失った。
「いまだ! 総員、最大火力!」 アーキバルドの号令が飛ぶ。
エネルギー(よりどころ)を失い、急速に「安定化」――弱体化していく「現象」の塊に向かって、教師陣と、立ち直ったリリアたちの、ありったけの魔法が叩き込まれた。
ドゴオオオオオオオオオン!!!
演習場全体が、閃光と轟音に包まれる。 爆心地には、もはや「歪み」は残っていなかった。あるのは、原型を留めないほど粉々に砕け散った、ただの「石の残骸」だけだった 。
「…………終わっ、た……のかよ……?」 カイトが、へなへなと壁に寄りかかって座り込む。
「……腹が……減った……」 ゴードンも、その場にどさりと大の字に倒れた。
リリアは、立っていられなかった。腰が抜け、ぺたんと石畳に座り込む。自分の手のひらを見つめ、わなわなと震える指先を、もう片方の手で必死に押さえた。 「……しぬかと、思った……」 絞り出すような声が、彼女の恐怖のすべてを物語っていた。
ユウキは、仲間たちの無事を確認するより先に、ふらつく足でシノに駆け寄った。 「シノ! シノ、大丈夫か!?」 彼女は、すべての魔力を使い果たし、四つん這いになって荒い息を繰り返していた。 「……ユウキ、くん……」 「シノ!」 ユウキがその肩を支えようと手を伸ばす。シノは、真っ白な顔をゆっくりと上げた。その瞳は、極度の疲労の中、確かにユウキを捉えていた。彼女は、こくんと小さく頷いた。 ユウキは、全身の力が抜けていくのを感じ、シノの隣にどさりと座り込んだ。 「……よかった……。すごいぞ、シノ……。お前が、やったんだ」 シノは、その言葉に、今度こそ、ほんの少しだけ安堵に口元を緩めた。
「……クラウン君。立てるかね」 アーキバルドが、呆然と座り込むセレスティアに静かに声をかける。 「……はい」 セレスティアは、震える脚で立ち上がる。その瞳から、かつての「完璧」な光は消え、ただ「理解不能なもの」に敗北したという、深い混乱の色だけが浮かんでいた。
「負傷者の確認! それと……」 アーキバルdルドは、魔法陣の中心で、青白い顔をして倒れている少年に視線を移した。 「ドラゴ・ヴァイスを拘束。医務室へ運べ。魔力(ちから)の逆流だ、命に別状はなさそうだが……徹底的に調べろ」
教師たちがドラゴを担架で運び出していく。 演習場に、ひとまずの静寂が戻った。
だが、ユウキだけは、別のものを見ていた。 「それ」を粉砕した瞬間、シノが結界を解いた瞬間、そして、あの「黒い穴(ゆがみ)」が完全に閉じきる、最後の、最後のコンマ一秒。
(……今、何か……)
あの「黒い穴」が、シャッターが閉じるように消滅する寸前。 そこから、インクの染みよりも小さな、「黒い影」のようなものが、弾丸のように飛び出したのを、ユウキは確かに見た。
その「黒い影」は、教師たちにも、仲間たちにも気づかれることなく、まるで吸い込まれるように―― 拘束され、意識を失っているドラゴ・ヴァイスの胸元に、スッと消えていった。
「(……まさか)」 ユウキは全身に走った悪寒を振り払おうと、頭を振った。
(「接続」は失敗した。「本体」も撃退した。だけど……) (もし、今の影が「攻撃」じゃなくて……次の侵入のために仕掛けられた『バックドア(裏口設置プログラム)』だとしたら?)
ユウキは、運び出されていくドラゴの背中を、言い知れぬ不安と共に、ただ見つめることしかできなかった。
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そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
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「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
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『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
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