ミステリー研究会は、謎を解かない

Gaku

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第二部:深まる謎とメンバーの過去

第5話「女優・麗華と笑えない仮面」

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世界が、音を立てて変わった。
何日も、何週間も空を覆っていた分厚い雲が、ある朝、まるで巨大な舞台の幕が上がるかのように、一夜にして消え去っていた。
梅雨明けだった。
空は、どこまでも深く、吸い込まれそうなほどの青。昨日までの雨で洗い流された空気は、驚くほどに澄み渡り、遠くのビルの輪郭さえ、くっきりと網膜に映る。太陽は、解放された喜びを爆発させるかのように、まばゆい光の洪水を地上に注いでいた。アスファルトに残っていた水たまりが、その光を反射して、小さな虹を作る。
ジーーーーーッ!ワシワシワシワシ!
蝉たちが、まるでこの時を待ちわびていたかのように、一斉に、そして、狂ったように鳴き始めた。その声は、もはやBGMではない。世界の主役は自分たちだと主張する、生命力の凱歌そのものだった。
会社の窓からその光景を眺めながら、俺、佐藤健太は、自分の心も、あの空のように晴れ渡っていくのを感じていた。いや、正確には、晴れ渡った空の下で、より一層、あの事務所のことが鮮明に思い出される、と言うべきか。
『会いたい』
パソコンの画面に浮かんだ、あの切実な言葉。
あの言葉は、今、この突き抜けるような青空の下で、一体どこにいるのだろうか。
退勤後、俺の足は、迷いなくあの雑居ビルへと向かった。
階段を上り、ドアを開ける。
事務所の中は、いつもより明るかった。西向きの窓から差し込む夕陽が、部屋の中を斜めに横切り、空気中を舞う無数の埃を、金色の粉のようにきらきらと照らし出している。その光景は、どこか神々しく、そして、ひどく非現実的だった。
だが、部屋の空気は、その美しい光景とは裏腹に、少しだけ、よどんでいるように感じられた。
権田さんは、珍しく黙々と、窓際で腕立て伏せをしている。電脳のパソコンは、スリープモードなのか、画面が暗いままだ。影山さんは、デスクで難しい顔をして、古い革張りの本をめくっている。
そして、麗華さん。
彼女は、ソファの隅に座り、ただ、じっと窓の外を眺めていた。いつもなら、この鮮烈な季節の変わり目を、シェイクスピアもかくやという大げさな台詞で歓迎するはずの彼女が、まるで抜け殻のように、静かだった。その横顔は、ガラス細工のように繊細で、今にも壊れてしまいそうに見えた。
「どうしたんですか、麗華さん。いつもの元気がないですね」
俺が声をかけると、彼女は、ゆっくりとこちらを振り返った。その瞳は、いつもの輝きを失い、深く、暗い湖のように、静まり返っている。
「…少し、夏の陽射しが、眩しすぎるだけよ」
そう言って、彼女は、力なく微笑んだ。その笑顔は、まるで、精巧に作られた仮面のようだった。
その、張り詰めたような静寂を破ったのは、ドアに付けられた真鍮のベルの音だった。
カラン、と、乾いた音が響く。
入ってきたのは、初老の、しかし、背筋がしゃんと伸びた、品の良い男性だった。白髪交じりの髪を後ろに撫でつけ、リネンのジャケットを着こなしている。その鋭い眼光は、長年、多くの人間を見つめてきた者のそれだった。
「…やあ、久しぶりだな、麗華君」
男性は、部屋の中を見回すと、静かに、麗華さんに向かって言った。
「有馬…先生」
麗華さんの声が、微かに震えた。彼女は、ソファから立ち上がろうともせず、ただ、その場に縫い付けられたように、男性を見つめていた。
影山さんが、本から顔を上げた。
「有馬監督。お待ちしておりました」
「うむ。君が、影山君か。噂は聞いているよ」
有馬と名乗った男性は、高名な舞台演出家だった。そして、かつて、麗華さんを女優として見出し、育てた恩師でもあるらしい。
「単刀直入に言おう」有馬監督は、重々しく口を開いた。「私の劇場に、幽霊が出る」
「幽霊、ですって?」
「ああ。今、新作の稽古中なのだが、夜な夜な、誰もいないはずの舞台から、物音が聞こえたり、小道具が勝手に動いたりする。先日など、舞台照明が、めちゃくちゃに点滅を繰り返した。…正直、役者たちが怯えて、稽古に集中できんのだ。君たちの、『ミステリー研究会』の力を貸してほしい」
ポルターガイスト現象。またしても、超常現象の依頼だ。
俺の胸が、期待に少し高鳴る。
だが、その依頼内容を聞いた麗華さんの顔は、見る見るうちに青ざめていった。
「劇場には…舞台には、わたくしは…行けません!」
彼女は、叫ぶように言った。その声には、明らかな拒絶と、そして、それを上回るほどの、恐怖の色が滲んでいた。
「麗華さん?」
「ダメ!絶対に行かないわ!あそこは、わたくしにとって…」
彼女は、言葉を詰まらせ、俯いてしまった。その震える肩は、まるで、見えない何かに怯える小鳥のようだった。
有馬監督は、そんな彼女の姿を、ただ、じっと、痛ましげな瞳で見つめていた。
影山さんは、そんな二人の間の、張り詰めた空気を断ち切るように、静かに言った。
「分かりました、監督。その依頼、我々、ミステリー研究会が、お受けしましょう」

劇場は、繁華街の裏通りに、巨大なクジラのように、静かに佇んでいた。
分厚い扉を開けると、ひんやりとした空気が肌を撫でる。外の、生命力に満ちた喧騒とは完全に遮断された、別世界。埃と、古いベルベットの匂い、そして、微かな化粧の匂いが混じり合った、独特の空気が鼻腔をくすぐった。
客席は、深い闇に沈んでいる。その闇の向こうに、ぽつんと、一つの裸電球が灯っていた。ゴーストライトだ。舞台の中心を、ぼんやりと照らし出している。
その光景を見た瞬間、麗華さんの足が、ぴたりと止まった。
「…やっぱり、無理だわ」
彼女は、客席の最後列の椅子に、崩れるように座り込んだ。その顔は、血の気を失い、真っ白だった。
「大丈夫だ、麗華。俺たちがついてる」
権田さんが、その肩を力強く叩く。
『麗華さん。精神的負荷が高い場合、無理は禁物です』
電脳も、心配そうなAA『(´・ω・)』を表示している。
「よし、では、調査を開始しよう」
影山さんの声で、俺たちは、それぞれの持ち場へと散った。
俺と影山さんは、客席から舞台を見守る。権田さんは、「幽霊がいるなら、脅かして追い出してやる!」と、舞台裏へと消えていった。電脳は、客席の中央に、またしても怪しげな機材を設置し始めた。
『対超常現象用・広域環境センサー、『パラノーマル・ウォッチャー』です。温度、湿度、電磁波、音響の変化をリアルタイムで検出し、異常があれば、即座に知らせます』
自信満々の説明だが、どうせまた、何か別のものを拾うに決まっている。
しばらく、静寂が続いた。聞こえるのは、劇場の外から、遠く聞こえる蝉時雨だけだ。
その静寂を、最初に破ったのは、権田さんだった。
ドッシャーーーーン!!!
舞台裏から、何か重いものが落下する、凄まじい音が響き渡った。
「うわっ!?」
俺たちが驚いてそちらを見ると、権田さんが、頭を押さえながら、舞台袖から顔を出した。
「ちくしょう…暗くてよく見えねえから、ロープに足引っ掛けちまったじゃねえか…」
どうやら、舞台セットの重りである、砂袋を落としてしまったらしい。幽霊を脅かす前に、自分で物音を立ててどうするんだ。
その時、今度は、電脳のスピーカーから、奇妙な音が鳴り響いた。
『キィィィィ…ン……ブツッ…ザザザ…』
それは、古いラジオのチューニングを合わせる時のような、耳障りなノイズだった。
「来たか!?」
『…いえ、これは、この劇場の、旧式の音響システムのフィードバックノイズを拾っているようです。配線が、かなり劣化していますね』
やっぱりか。
だが、その時だった。
舞台の上。ゴーストライトしかないはずのステージで、いくつかの小道具が、カタカタ、と微かに揺れ始めたのだ。
「…動いたわ」
ソファに座っていたはずの麗華さんが、いつの間にか、俺の隣に立っていた。彼女は、舞台を、食い入るように見つめている。

「ちょうどいい。これから、稽古を始める」
いつの間にか、有馬監督と、数人の役者たちが舞台に上がっていた。どうやら、俺たちの調査と並行して、稽古を進めるらしい。
舞台の上には、華やかなリビングのセットが組まれている。これから始まるのは、ある女優の栄光と挫折を描いた物語だという。
「じゃあ、第三幕、アリアの独白から!」
監督の声が、劇場に響く。
一人の若い女優が、舞台の中央に進み出た。彼女が、主役のアリアを演じるらしい。
スポットライトが、彼女を強く照らし出す。
「なぜ…なぜなの…!あれほど、愛してくれた観客たちが、今は、私に、冷たい視線を向ける…!一度、舞台で失敗しただけで…!一度、台詞を忘れただけで…!まるで、私が、道化(ピエロ)になったかのように、彼らは、私を、笑う…!」
女優は、悲痛な叫びを上げた。
だが、有馬監督は、厳しい顔で、その演技を止めた。
「違う!アリアの痛みは、そんなものじゃない!もっと、心の底からの、絶望だ!観客の笑い声が、ナイフのように突き刺さる、あの地獄のような感覚が、お前には分からんのか!」
監督の叱責に、若い女優は、俯いてしまう。
その時だった。有馬監督は、ふと、客席にいる麗華さんに、その鋭い視線を向けた。
「…その痛みが、分かる女優なら、ここに一人、いるんだがな」
その言葉は、静かだったが、劇場全体に、重く響き渡った。
「なあ、麗華君。君なら、あのアリアの気持ちが、痛いほど分かるんじゃないのかね?観客の笑い声に、魂を殺された、あの日のことが」
麗華さんの顔から、サッと血の気が引いた。
「…先生、それは…」
「とぼけるな。私が、この芝居のポルターガイスト現象を仕組んだのは、何のためだと思っている。君を、もう一度、この場所へ呼び戻すためだ!」
有馬監督は、舞台の上から、告白を始めた。
小道具を動かしたのも、照明を点滅させたのも、すべては、監督と、彼に協力した舞台スタッフの仕業だった。
「この、アリアという役は、君のために書いたんだ、麗華君。君が、その心の傷を乗り越え、もう一度、この光の当たる場所へ戻ってくることを、信じてな」
「やめて…!」
麗華さんは、両手で耳を塞いだ。
「やめてください…!思い出したくもない…!」
彼女の脳裏に、あの日の悪夢が蘇る。
満員の観客。鳴り響く拍手。そして、物語のクライマックス。彼女の、キャリアで最も重要な、長台詞のシーン。
…その時、彼女の頭の中から、言葉が、綺麗に、すべて、消え去ったのだ。
静まり返る客席。共演者の、戸惑いの表情。そして、どこからか聞こえてきた、くすくす、という、小さな笑い声。その笑い声は、やがて、劇場全体を包む、大きな嘲笑の渦となった。
スポットライトの中心で、立ち尽くすことしかできなかった、無力な自分。
あの屈辱と、絶望。
「もう、無理なのよ…!私は、舞台に立つ資格なんてない!私は、笑いものなのよ!」
麗華さんは、叫ぶと、劇場から逃げ出そうと、出口に向かって駆け出した。
「待てよ、麗華さん!」
その腕を、権田さんが、しかし、優しい力で掴んだ。
「笑いもの?上等じゃねえか。俺なんか、この前のUFO事件で、褌一丁で屋根の上で踊ったんだぞ。近所の笑いものだ!」
『僕のコズミック・コーラーも、猫を呼び寄せただけで、大失敗でした』
電脳が、スピーカーから、静かに言う。
「そうだぞ、麗華さん」俺も、必死で言葉を継いだ。「俺たち、いつも失敗ばかりじゃないか。でも、それでも、いいじゃないか。あんたは、俺たちの、自慢の、大げさで、ちょっと迷惑な、最高の女優だよ」
仲間たちの、不器用だが、まっすぐな言葉。
麗華さんの足が、止まった。彼女の瞳から、大粒の涙が、次々と溢れ出す。
その、時だった。
舞台の上。何十とある照明器具のうち、たった一つ。誰も操作していないはずの、ピンスポットライトが、パチパチ、と不規則な瞬きを繰り返した後、命を宿したかのように、すーっと動き出したのだ。
それは、舞台上の役者たちから外れ、客席との境界線で立ち尽くす、麗華さんの姿を、ぴたりと、照らし出した。
まるで、迷子の彼女に、還るべき場所を教えるかのように。
温かく、そして、優しい光だった。
その光に、背中を押されたかのように、麗華さんは、ゆっくりと、舞台の方へと向き直った。
そして、一歩、また一歩と、まるで巡礼者のように、その光の中心へと、歩いていく。
彼女は、舞台の中央に立つと、涙に濡れた顔を上げた。
そして、語り始めた。それは、アリアの台詞ではなかった。彼女自身の、魂の独白だった。
「…怖かった…。ずっと、怖かった…。もう一度、あの場所に立って、また、笑われたらどうしようって…。でも、分かったの。私は、舞台から逃げてたんじゃない。拍手をくれた、お客さんから逃げてたんじゃない…。一番、演じることが好きだった、自分自身の心から、逃げていただけだったのよ…!」
その声は、震えていた。だが、そこには、確かな力が、熱が、宿っていた。
それは、技術や、練習では決して表現できない、本物の感情の発露。
劇場にいる誰もが、息を呑み、彼女の言葉に、引き込まれていった。有馬監督の目にも、光るものがあった。
彼女は、自分の弱さを、恐怖を、すべて、その舞台の上で、さらけ出した。
仮面を脱ぎ捨てた、本当の彼女の姿。
それは、俺が今まで見た、どんな名女優の演技よりも、美しく、そして、心を揺さぶるものだった。

長い、長い独白が終わった時、劇場は、水を打ったように静まり返っていた。
やがて、どこからか、一つ、拍手が起きた。それは、やがて、二人、三人と増え、ついには、劇場全体を包む、嵐のような拍手喝采となった。
麗華さんは、その拍手の雨の中で、子供のように、ただ、泣きじゃくっていた。
すべてが終わった後。俺たちは、ゴーストライトだけが灯る、静かな舞台の端に、並んで座っていた。
「…ありがとう、みんな」
麗華さんは、まだ少し赤くなった目で、でも、吹っ切れたような、晴れやかな笑顔で言った。
彼女が、あの役を受けるかどうかは、まだ、分からない。でも、そんなことは、どうでもよかった。彼女は、今日、自分自身という、最も手強い敵に、打ち勝ったのだから。
俺は、ふと、先程、麗華さんを照らしたスポットライトを見上げた。それは、他の照明と同じように、今は、ただの鉄の塊として、静かに天井からぶら下がっている。
だが、俺は、確かに見たのだ。あの光が、まるで意思を持っているかのように、彼女を導いたのを。
ちらりと、影山さんを見る。
彼は、何も言わなかった。ただ、舞台の中心を、ゴーストライトの光を、優しい目で見つめ、そして、ほんのわずかに、頷いた。
劇場の重い扉を開けると、むわりとした夏の夜の空気が、俺たちを迎えた。
空には、満月が煌々と輝き、その光が、俺たちの歩く道を、明るく照らしていた。
鳴り止まない蝉の声が、まるで、新たな一歩を踏み出した、我らが女優への、祝福のカーテンコールのようにも聞こえた。

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