魔法少女 ミルティ=クラウゼ

桜雨ゆか

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1 正義の守護者なのに足が滑って顔騎したせいで敵に屈することになりました

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 夜の街に、金属の軋むような風が吹いた。
 廃ビル群の屋上に降り立つ白銀の光。純白のマントを翻し、少女は静かに杖を構える。

「闇の眷属よ……今度こそ、逃がしはしない」

 長く整った睫毛の奥で、黒い瞳が夜を射抜く。魔法少女ミルティ=クラウゼ。気高く、清らかに。そして誰よりも強くあると誓った、正義の守護者。
 対するは、漆黒を纏った男――怪人ノクスだ。 顔の上半分は仮面で隠されていて、その口元は楽しげに笑みの形を刻んでいる。

「今日の君は、ずいぶん気合いが入っているね?」
「黙りなさい。あなたのような存在をこの街に放ってはおけない」
「くっ……!」

 魔力が閃き、杖の先に青白い光が灯る。その一撃は、確かにノクスを捉え――。
 だが、次の瞬間、背後から吹き抜けた突風にミルティの視界が一瞬だけ揺らいだ。瓦礫の破片を踏み外した足が空を切り、身体がぐらりと傾く。

「……っ、きゃっ!」

 ふわり、と舞うスカート。支えを失った彼女は、まるで重力に導かれるようにノクスの上へと倒れ込んだ。
 そして――。
 どさり。

「……む」

 落ちた位置は、あまりにも――不自然に、顔の上。
 沈黙が落ちる。
 しばらくして、ノクスのくぐもった声が、ミルティの太ももの奥から漏れた。

「やれやれ。まったく、君という人は……正義の名のもとに、ずいぶんえっちな攻撃をしてくれるじゃないか?」
「ち、ちがっ……ちがいますっ……!」

 真っ赤に染まった頬。けれど、腰に伝わる熱と震えは、確かに彼の息づかいと重なっていた。
 この体勢はいわば顔面騎乗というやつである。
 ミルティはすぐに事態を理解し、黒い瞳を大きく見開き慌てた。

「……ああ、これは困ったな」

 わざとらしい声が下から聞こえてくる。
 ミルティが視線を落とすと、自分の太腿の間からノクスの仮面越しの瞳と目があった。
 愉しげに細められた目を見て、ミルティは思わず眉をひそめた。

「あなた、なにを……⁉」

 その瞬間。わずかに動かした彼女の腰が、ノクスの顔の上に再び触れてしまった。

「……っ!」

 下着越しにに感じる熱と吐息の震え――あまりに生々しく、ミルティの喉から小さく息が漏れた。

「っ……ぁ……」
「ふふ……。魔法少女と言えど、身体は素直なんだね」
「な、何を言って……っ、やめ……!」

 ノクスの上から退こうとするも、なにを考えているのか彼の手はミルティの腰を掴んでいる。
 熱い吐息が股間にかかるたび、ほんの僅かでも反応しているのは事実だった。
 羞恥、焦燥、そしてほんの微かな高揚。

「手を、はなしなさい……っ!」

 それでも凛とした声を失わず、ミルティは訴えた。けれどノクスは、まるでその必死さすらも楽しむように言葉を紡ぐ。

「いや、おかしいな。君の攻撃を受けたせいか腕が動かないんだよ。悪いね」
「ふ、ふざけたことを……っ!」

 ミルティは声を震わせながら、両手を床について身体を浮かせようとした。だが、内腿にはいまだノクスの顔の輪郭がはっきりと感じられ、少し動かすだけでも妙な熱が肌を伝ってくる。

「……うん。僕も努力はしてみよう」

 低く囁くような声と同時に、ノクスの手が動いた。
 するり。
 黒革の手袋に包まれた指が、ミルティの腰を丸く撫で、優しく支える。それからまた、ぐっと力が込められた。

「ひゃ……っ!」

 本当なら持ち上げられるはずの身体は、なぜか逆に引き寄せられるようにして、より深く彼の顔へと腰が沈んだ。

「や、やだっ……な、なにを……っ」
「手伝ってるだけだよ、僕は」

 あまりにも悪質な嘘だった。だが、その声音はふざけてなどいない。まるで、それが当然のことだとでも言うように、穏やかでいて艶やかだった。
 次の瞬間。

「っ……~~~~ッ♡」

 ミルティの喉から、かすれた息が洩れた。
 仮面の下――露出していたノクスの口元が、ミルティの秘部を、柔らかく、けれど確かに捉えたのだ。
 布越しとはいえ、その熱と湿り気、そしてわずかに吸い付くような感触は、明らかに悪意に満ちていた。

「ずいぶん、敏感だね。ほんの挨拶のつもりだったのに」
「ひ、あっ! や、やめっ、そこはっ! あっ……だめ……っ」

 必死に抗おうとしても、腰に回された手が強く、逃げ道はなかった。
 どれほど真面目に正義を語ってきたか、それをすべて打ち消すような行為。
 魔力の波が揺れる。羞恥と困惑が脳を支配し、理性が霞んでいく。

(どうして……力が、入らないの……)

 ノクスの舌が布越しに形をなぞるたび、意識が白くなっていく。
 そのさなか、彼がくすくすと低く笑った。

「ミルティ……。君のここ、すごく熱い」
「言わないで……! んひっ!」

 布の上から、口唇が微かに動く。舌が触れた――ように感じて、ミルティは悲鳴すら抑え込んだ。
 熱い。怖い。なのに、身体の奥がきゅっと疼いた。
 恥ずかしくて、柔らかな場所に触れるノクスの口元がゆるやかに笑った気配がした。

「んんっ……!」

 太腿が震える。
 ノクスの動きは、まるでミルティの『弱いところ』をすべて知り尽くしているようだった。

「わ、わたしは、こんなことで屈したりしませんから!」

 ミルティのその言葉に、ノクスが一度動きを止めた。

「そうか……。じゃあ、ゲームをしようか、ミルティ」
「……っ、なに……?」
「君が声を出さなかったら、君の勝ち。逆に――一度でも可愛い声を漏らしたら、僕の勝ちだ」
「そ、そんな、ふざけたゲーム、誰が――!」
「正義の守護者なら耐えられて当然だよね?」

 ノクスは悪戯っぽく囁くと、再びそこに唇を押し当ててきた。
 それは舐めるでも、突くでもなく、まるで『食む』ような口づけだった。
 濡れた布越しに伝わる熱が、じわじわと彼女の理性を溶かしていく。

「……の、望むところです!」
「そうこなくっちゃね。……じゃあ、始めようか」

 言葉が終わるや否や、ノクスの舌が布越しにそっと這った。

「――っ!」

 ミルティの喉がかすかに鳴る。だが、すんでのところで声は飲み込んだ。

(だめ、声を出したら……!)

 ふるふると震える肩、背筋に走る微かな快感。

「耐えてるね。さすがは、正義の守護者」

 そう囁きながら、彼の舌はより繊細に、より深く動いていく。布の上からなぞられるたび、ミルティの秘めた部分は濡れ、柔らかさを増していった。

(さ、さっきまでと違う……っ⁉)

「君って……本当に、可愛いな」

 ノクスの唇が、布越しに柔らかな中心を捕らえる。

「ん……っ!?」

 思わず、咳き込むような声がこぼれた。背筋がびくりと跳ねる。
 仮面の奥の視線が細められたような気がした。
 ミルティは唇を噛み、必死に堪える。舌が、微妙に位置をずらしながらリズムを変えるたび、腰が浮きそうになる。

「ふ……っ……ふぅ……!」

 押し殺した声が、喉の奥で震える。
 けれど、まだ――耐えられる。まだ……!

「も、もし、わたしが勝ったら、あなたを――」
「黙らないと不利だよ?」

 そう言った直後だった。
 ノクスは舌の先で、最初よりも深く布を押し上げた。
 ざら、とした感触が敏感な突起に触れ――その瞬間、

「……っ、あ、あぁっ……♡」

 短く、甘く、抗えない声が漏れてしまった。

「――っ! い、今のは、ちがっ! ちがいます! ちょっと、びっくりしただけで」

 ミルティは明らかに動揺を滲ませながらも必死に頭を振った。
 ノクスは、愉しげに片眉を上げる。

「仕方ないな。おまけしてあげるよ。やり直しだね」
「え、やり直しって……⁉ まさか、また……⁉」
「だって、まだ勝負はついてないんだろう?」
「……っ!」

 きゅっ、とミルティは唇を噛んだ。
 再びじりじりと近づいてくる悪意を孕んだ吐息。

(さっきのは違う。今度こそ。黙ってさえいれば……!)

 そう誓ったはずだった――。
 それなのに、

「……ふっ……ふ、ぅ……ッ!」

 舌が、布越しに押し当てられた。湿った感触と柔らかな舐め上げが、直に伝わってくる。それだけではない――ノクスの手が、微かに腰を揺らしてくる。
 布と舌の摩擦。熱が深く、じわじわと、膨らんでいく。
 快楽の波が堰を切ったように押し寄せ、ミルティの喉元から声が洩れそうになる。

(だ、だめ……! だめなのに……!)

「……もう、限界じゃない?」

 ノクスの囁きは、あくまで優しかった。けれどそれが何よりも、ミルティの羞恥心を煽った。

「そこで、しゃべらな、でっ! こんな、こんな卑怯な……っ!」

 ミルティは震える声でそう告げたが、腰はもう抜けたように力が入らず、完全にノクスの顔に体重をかけていた。

 大きな瞳には涙すらにじみ、眉はきゅっと歪められている。

「君がどこまで我慢できるか、知りたくなるね」

 そう言って、ノクスはゆっくりと――今度はより深く、味わうように舌を動かし始めた。

「だから、しゃべらないで、って……」
「君の方こそ、さっきの忘れちゃった?」

 ノクスはそう言ったかと思うと、下着の布ごと、その中心に歯を立てた。

「ひっ♡  あ、あぁっ……♡」

 びくん、と大きくミルティの腰が跳ねる。
 布越しとはいえ、それはあまりにも甘美な刺激だった。まるで電流が走ったかのように、彼女の背筋から脳までが痺れた。

「黙ってないと不利って教えてあげたのに」
「っ……!」

 ミルティは慌てて口を閉じた。けれど、一度漏れてしまった声は戻せなくて――代わりに荒い息が口から溢れる。

「さて、と。さすがに二度目は見逃さないよ。――僕の勝ちだね。勝者の権利として、君のいちばん可愛い姿を見せてもらおうかな」
「え⁉ あ、やっ! きゃっ……ッ!」

 腰を掴むノクスの指に力が入った。
 ふわりとミルティの身体が持ち上げられる。

「な、なにを……っ⁉ は、はなしてください!」
「このままだと背中が痛くなっちゃうから、ね」

 そう言ったノクスがぱちんと指を鳴らすと、ミルティの背後に大きなクッションが現れた。

「え……⁉」
「僕にもこれくらいの芸当はできるんだ」

 呆然とするミルティをよそに、ノクスはミルティの身体をクッションに押し倒す。

「ちょ、やめ……っ!」

 抵抗する間もなく、ノクスはミルティのショーツに指をかけるとそのまま引きずり下ろし、大きく足を開かせた。

「や、やだっ……!」
「だめだよ。君は負けたんだから」

 優しい声。それなのに、背筋が凍るほどの支配欲を含んだ声だった。

「……ああ、やっぱり。綺麗だね。全部、愛でたくなるくらいに」

 指先が、やさしく……けれど確実に、割れ目をなぞる。
 震えるミルティの身体を宥めるように、そしてその震えを増幅させるように、ノクスは指の腹で、その柔らかな部分を撫で上げた。

「ひぁっ♡ や……っ♡」
「可愛い声♡ もう、ゲームは終わったんだし、好きなだけ出していいよ?」
「い、いやです……! そんな屈辱……ッ!」

 必死に首を横に振るミルティだったが、その声はもうすっかり蕩けていた。
 くちゅ♡ と濡れた音が小さく響く。

「ん、ふぅ……っ♡ く……ぅぅ……♡」

 もう声を押し殺すことすら難しい。喉の奥で漏れる吐息は、かすれながらも熱を孕んでいた。

「君がどうされたいかは、身体の方が正直に教えてくれる」

 ノクスはそう言って、仮面に手をかけるとゆっくりと外した。
 あらわになったのは、端正すぎる整った顔立ちと深い海を思わせる碧い瞳。
 ふ、と微笑むその表情は、見る者の心を捕えて離さないほど秀麗だった。

「どうしたの? そんな顔して」

 ノクスがゆっくりと顔を近づけてくる。
 ミルティはなにも答えられなかった。ノクスの視線に、すべてを支配されてしまうような錯覚に陥る。

「可愛い♡ 僕の素顔に見とれちゃった?」

 艶めいた声が耳元で囁かれ、ミルティはびくりと肩を揺らした。
 長い指が、また柔らかな花弁をなぞる。

「んっ……♡」
「こんなに可愛いのは……ほんと、反則だよ」

 彼の顔がゆっくりと降りていく。
 碧い瞳が熱を帯びて、ミルティのすべてを映しこむように見つめていた。

「ミルティ。もっと君を知りたくなった。君のすべてを、僕のものにしたくなった」
「や、やだ……! 待って……、なにを……⁉」
「――わかってるくせに」

 ノクスが指を滑らせ、ぬかるむ蜜壺にゆっくりと沈める。
 そして、身をかがめ、伸ばした舌がそこへ、触れた。

「っ、あぁぁ……♡ だ、だめっ、そこ……ッ♡」
「だめって、言えば言うほど……ここ、きゅって締まるね。本当は、嬉しいんでしょう?」
「ちが、ちがうの……!」
「違うってなにが? こんなにとろとろで、だめって言うのは、ちょっと矛盾してると思わない?」
「っあ……い、言わないで……っ」
「どうして? 隠さなくていいよ。君が気持ちよくなってることも、僕に気持ち良くさせられてることも、全部……見ててあげる」

 言葉の端々に絡む『肯定』と『支配』
 それがどれほど危うくて、堕ちてはいけない誘惑なのか――わかっているのに、ミルティは逃げられなかった。

「や、だめ……っ!」

 ノクスの指が、にゅぷにゅぷ♡ と音を立てて中を探る。
 内壁をくすぐるように撫でられ、快感が膨らむたび、ミルティの目元には涙がにじんだ。

「やだ……やだぁ……っ♡」
「やだ、ばっかりだね。ここは、こんなに吸いついてきて素直なのに。――ねえ、ミルティ。君の正義って、いったいどこにあるの?」

 にゅ♡ にゅ♡ と出し入れを繰り返しながら、ノクスの唇は上に潜む小さな突起に吸いついた。

「……ひぁっ、あ、あぁ……♡」
「君の可愛いところがたくさん見える」
「や、そこ、だめぇ……ッ♡」
「そこって、どこ?」
「ん゛ん゛……っ」
「ちゃんと名前で、言ってごらんよ?」
「~~~~っ! や……ぁ……!」
「……ああ、やっぱり、すごく甘い」

 舌先でとろける蜜を啜りながら、ノクスは笑みを含ませた声で囁いた。

「君の身体は、僕を受け入れたがってる。君の中に僕の形をちゃんと刻んであげるから……」

 ノクスはクリトリスを舐めしゃぶりながら、片手でズボンの前をくつろげた。
 小さく金具が外れる音に、ミルティの胸が跳ねる。

「君の中に刻む、僕の……見せてあげるね」

 低く囁かれる声と同時に、ノクスの腰元からそれが、ゆっくりとあらわになる。
 ミルティの目が、そっとそこに落ちた。

 ――硬く、太く、脈打つ熱。

 張り詰めた先端は、わずかに透明な雫を滲ませていて。
 まるで、ミルティのために準備を整えてきたと言わんばかりに、誇示するように上を向いていた。

「っ……♡」

 言葉にならない吐息が漏れる。

「……いい子」

 ゆっくりと身体を起こし、彼女の脚の間に腰をおろしたノクスが、己の熱を蜜壺の入口に押し当てる。

 ぬちゅ……♡ 

「ほら、わかる? 君の中が、僕を迎える準備をしてくれてる」

 ぐっ、と腰が前に押し出され、入り口が押し広げられる感触に、ミルティの喉が甘く跳ねた。

「んあっ……♡ ああっ♡」

 熱の塊が、ぬめる蜜をまといながら、少しずつミルティの奥へと押し入っていく。
 圧迫感とともに、その熱がねじ込まれていく感覚に、ミルティの背がぶるりと震えた。

「っ、く……ぁ……♡ ん、ぅ……ああっ……♡」

 じゅぷ、じゅぷんっ♡ という淫靡な水音が、二人のあいだから絶え間なく響く。
 ノクスの腰がじりじりと前に出るたび、ミルティの中がきつく吸いついていくのがわかった。

「っは、すごい、な。中が、絡みついてくる」

 耳元で囁かれる声に、ミルティは顔を背けた。
 でも、身体は拒めなかった。
 ずん、と奥に届いた瞬間――。

「ひあぁあっ……♡ だ、め……そこ……ぉ♡」
「ここが……いいんだね。君の、一番奥」

 ごちゅっ♡ と響くような音が響いて、ノクスの腰がぴったりと密着した。
 ぎゅうぎゅうに奥の奥まで咥え込まされたミルティは、たまらずノクスにしがみついた。広い背中に回した指に力がこもる。

「やっ、やぁっ……♡ かき混ぜないで……っ♡」
「ごめん、ね。君の中、気持ち良すぎてっ……♡ 僕で、いっぱいにしたくなる……ッ」

 ずぷっ、ずぷぷっ♡ と抽送が始まる。
 ノクスの動きは、あくまでもゆっくりであったが、容赦はなかった。
 膣奥を抉るように突き動かされ、ミルティの思考が蕩けていく。

「っ……♡ あ、ああっ……♡ んっ、んんぅっ……♡」

 まぶたの奥で、火花のように甘い快感が散った。

「こんなに、奥まで咥えて……全部、僕のだ」

 その言葉と同時、ごちゅん♡ とさらに深く貫かれる。

「っぁああああっ……♡♡」

 ミルティの目に涙があふれる。 のしかかる熱、ノクスの重み、そのすべてがミルティの意識を塗り潰していく。

「あ゛ー♡ やっばいな♡ 君の中……本当に、気持ちいい」

 低く熱を孕んだノクスの声が聞こえた。

「んあ♡ あっ♡ も、だめ♡ こんな、おかしくなっちゃ、う……っ♡」
「いいよ? おかしくしてあげる。君が、僕のことしか考えられなくなるまで……っ♡」

 ぱんっ♡ と打ちつけられた腰が、ミルティの弱いところを正確に貫く。

「あ、あ、ああっ♡ だめぇ、だめぇ……ッ♡」

 限界が、すぐそこに迫っていた。
 とろとろに蕩けた膣壁が、ノクスの怒張を逃がさないように締めつける。
 奥を叩かれるたび、甘い疼きが花開いて――。

「あ、うそっ! いっ、いっちゃ……、いっちゃう……ッ♡」
「んっ♡ いこう? 僕ので……、っは♡ 一緒に……ッ♡」
「あ、あああっ♡ や、やだぁっ♡ あ、ああっ♡♡」

 ノクスの腰の動きが激しくなる。
 同時に、彼の指先がミルティの敏感な芽をきゅっとつまんだ。

「ひんっ♡  そ、そこぉッ♡ ああ゛っ♡ ~~~~っ♡♡♡」

 その瞬間――ミルティの背がしなり、びくびくと身体が震えた。

「っ……♡」

 その締めつけに促されるように、ノクスもまた熱を吐き出す。
 どくん、どくんと脈打ちながら吐き出される精の熱さにまた感じてしまい、ミルティはぎゅっと目を瞑った。

「ん……っ♡ はぁ……♡ なか、に……♡」

 長い吐精を終え、ゆっくりと身体を起こすと、ノクスはくったりしたミルティの顔を覗き込んだ。

「うん♡ ちゃんと、君の奥に僕の証を残したから……」

 深く繋がったまま、ノクスはそっとミルティの頬にキスを落とした。

「もう、逃がさないよ……。ミルティ」

 深い碧の瞳が、すがるようにミルティを見つめていた。


      ✣


 それから数日――。
 あの夜から、ミルティの中にはずっと熱が残っていた。
 ノクスに刻まれた感触が――消えてくれない。
 どこかふわふわと浮いているようで、地に足がついていない。まるで夢の中にいるような日々。

「ミルティ、顔が赤いよ。熱でもある?」
「えっ……⁉ な、ないよ! 全然、元気……っ」

 仲間から、ふと声をかけられただけで動揺した。
 あの夜のことを、誰にも知られていないのに。
 身体の奥の方が、ぬるりと疼くように反応する。
 そのたびに――ノクスの笑みが、脳裏を過ぎる。
 あの声。あの熱。あの眼差し。

(だめ、なのに……)

 想い出すだけで、膝がふるえた。
 逃げるように任務に集中しても、思考の端にこびりついた彼の気配が消えてくれない。

(あんなふうに、私のすべてを……)

 あのあとも、ノクスは何事もなかったように敵組織の一員として接してくる。
 けれど、ふとしたとき――。
 背後から囁かれる声。
 手が触れる、その一瞬の熱。
 碧の瞳が、まるで見透かすように微笑むたびに、ミルティの胸はどきどきと高鳴る。



 夜、ノクスは唐突にミルティの部屋に現れることがある。
 まるで、そこが自分の場所かのように。

「……また、会いに来ちゃった」

 扉の前で囁く低い声。
 ミルティは答えるよりも早く、鍵を外していた。

(……また、逃げられない)

 扉の開く音が、夜の静けさを破る。
 足音が近づくたびに、胸の奥がきゅっと締めつけられる。

(……正義の守護者として、こんなの……良くないのに)

 そのはずなのに。
 心も、身体も――もう彼に、抗えなくなっていた。
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