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2 急にやってきた怪人をクローゼットに隠そうとしたら引きずり込まれてとろとろにされました
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ここは、聖封機関(通称・白輝会)の地方支部――その中でも、選抜された魔法少女にだけ与えられる専用個室の一室だ。
日々の任務報告、魔力測定、そして『もしもの時のための対怪異』に備えた待機室でもある、れっきとした『職場』だ。
そしてその個室の中央に、足を組んでソファに腰かけているのは――よりにもよって敵だった。
顔の上半分を仮面で隠し、漆黒をまとったその男は怪人ノクス。ミルティの宿敵――だった人物だ。
「ねえ、ミルティ。もうちょっと柔らかいお菓子、なかったっけ?」
「……どうして勝手に来たんですか、ノクス! 夜にわたしの部屋の約束だったはずでしょう⁉」
ミルティは書類をデスクに置くと、ソファのノクスに詰め寄った。
聖封機関――それは魔法少女の力を正しく導き、世界に満ちる魔的災厄を封じるために設立された公的機関。
民間的には「白輝会」の名で親しまれ、華やかな制服と勇敢な魔法少女たちの姿に、多くの少女が憧れる。
だがその裏で、怪異や災い、悪の組織の怪人と呼ばれる存在との戦いは絶えず、その最前線に立つミルティは、決して遊び半分では許されない――はず、なのに。
「だって、待ちきれなかったし。事務仕事してる君も見てみたかったし……」
仮面越しの碧い瞳が細められる。
今日のミルティは魔法少女として戦うときの、煌びやかな変身衣装ではない。
あくまで勤務中の姿――白輝会支部における事務・待機任務用の制服に身を包んでいた。
白を基調とした軽やかなブラウスに、薄桃色のスカーフが襟元でふわりと結ばれている。胸元には白輝会の小さな紋章が輝いていて、魔法少女であることをさりげなく示していた。
スカートは膝上丈で、清潔感のある藍色。タイトすぎずふんわりと広がるデザインが可愛らしいものだ。
ストッキングは透け感のある白で、脚のラインをほんのりと浮かび上がらせていた。
ノクスのまなざしはその一つ一つをゆっくりとなぞり、ミルティは居心地の悪さに身じろぎした。
「な、なんでそんなにじっと見るんですか……?」
「別に……。ただ、可愛いなと思って」
「……ッ⁉」
ミルティは、思わず声を詰まらせた。
仮面越しにノクスの眼差しが注がれるたび、頬が熱くなる。
「し、支部への来訪は困ります」
「君の魔力の匂い、ここからしてたからすぐわかったよ。――警備ガバガバだね~」
テーブルの上のお菓子を食べながら、ノクスがあっけらかんと言う。
それを見て、ミルティは頭を抱えた。
怪人ノクスが正義の守護者ミルティ=クラウゼの個室でクッキーをつまんでるなんて――もしも、こんなところを同僚に見られたら、当然厳罰、いや、解雇処分になってもおかしくない事態だ。
「…………」
わかっていて徹底的に追い返せない自分も自分だと思う。
と、ちょうどその時だった。
出入り口の扉が控えめにノックされた。
「ミルティちゃ~ん? アタシだけど、いる~?」
低く太い声が響いた。
やたらと体格のいい、筋肉質な男性だけれど、艷やかな口調が特徴的な支部長だ。
(うそうそうそっ……! 来るって聞いてないっ……!!)
「報告書の件でちょっと話があるんだけど~。あと渡したい書類があって~」
パニックになったミルティは、反射的にノクスの腕を引っ張る。
「え⁉ なに、なに? ミルティ、どうしたの⁉」
「いいから入ってください! そこ! クローゼット!!」
「え、今日はそういう遊び?」
「ちがいますっ! 黙って入って!!」
ミルティはノクスを強引に備え付けのクローゼットに押し込んで、支部長を迎えるべく踵を返そうとした――が、できなかった。
「えっ⁉ ちょっ⁉」
ぐい、と腕が引っ張られ、ミルティまでもクローゼットの中に引きずり込まれる。
バタン、と扉が閉まり、そこは一瞬で小さな密室になった。
半畳ほどのスペース、着替えや雑貨類も収納しているから、人が二人も――片方は背も高く、それなりに筋肉質な男性が入ればかなり窮屈である。
ミルティとノクスは向かい合わせでぴったりと密着してしまう。
「狭いね♡ ミルティの体温、すぐ感じられそう♡」
「ちょ! なんで、わたしまで⁉」
「そのつもりだったんじゃないの? あ、ほら、静かにしないとバレちゃうよ?」
「――っ!」
クローゼットのすぐ外で扉が開く音がした。
「お邪魔しま~す。あら? ミルティちゃん、いないのかしら?」
支部長の声が部屋に入ってくる。ミルティは息をひそめ、クローゼットの壁にぴたりと背をつけた。
こうなってしまってはもう、外に出ることはできない。
(お願い、お願いだから……このまま気づかず帰ってください……)
息を潜める中、ミルティの太ももに、冷たい指先がすべり込んできた。
(ちょ、ノクス……今はダメ……!)
スカートの裾がそっと持ち上げられる。
ストッキングの上をノクスの手がゆっくりと這い回った。
(や、やめて……!)
「あら~? おかしいわね……確か今日は内勤だったはず」
支部長が部屋を歩き回る気配がする。
「ノクス……、だめです。やめて……」
「しー……。声、出しちゃダメだよ?」
「でも、ちょっ……! んんっ♡」
「あーあ、ミルティはすぐ声出ちゃうもんね♡ でも、よかったね。気づかれなかったよ」
唇が耳元に近づき、吐息混じりの声が鼓膜をくすぐる。
ドクン――心臓が跳ねた。
「んー……。仕方ない。これは後で見ておいてもらおうかな」
支部長の足音が近づき、デスクの書類をめくる音がした。
気まぐれな足音が部屋を一周し、しばらく逡巡した末、ようやく出口へと向かう。
「もう! 部屋を開けっぱなしにするなんて……ミルティちゃんたら、油断大敵よ~」
扉が閉まる音。それから足音が遠ざかっていく。
「……行った?」
ミルティは小声でつぶやき、大きく息を吐き出した。
「……ん、行ったね。じゃあ、もう少し大丈夫だね?」
「大丈夫じゃありませんっ、ノクス、もう出ま――」
ミルティがクローゼットの扉に手をかける。
しかし、
「……え? 開かない。なんで?」
扉が押してもなにしてもびくともしない。
「あー。歪んじゃったのかな?」
「そんな……」
「ね、ミルティ。この距離感すごくいいね。僕、興奮する♡」
ノクスがにやりと笑うのが、暗がりの中でもわかる。
「あなたという人は……っ」
ミルティが悔しげに呟くと、すぐ耳元で、ノクスの声が囁いた。
「……せっかくだから、楽しもうよ?」
低く甘い声音は、ふたりきりの狭い密室にとろけるように広がっていく。
すぐそばにある体温、肌の感触、吐息。
「もう、逃げ場ないんだからさ……ね?」
耳元にそっと囁かれたその言葉に、ミルティの背筋がぞわりと震えた。
「ちょ、ノクス……。ここでは、あの、よくないと……っ」
「うんうん、わかってる。君は『真面目』で『慎み深い』もんね」
そう言いながらも、ノクスの指先はすでにミルティの腰に回り込み、背中をゆっくりと撫でていた。
そのまま滑るように背骨をなぞり、薄い布越しに温度を伝えてくる。
「ふたりきりでこんなに密着してたら、ドキドキしちゃうよね」
ノクスの手のひらが、鼓動を確かめるようにミルティの胸元に添えられる。
中心で高鳴るリズムが、ミルティの理性をじわじわと溶かしていく。
「ミルティ、こっち向いて?」
ノクスが顔の仮面をそっと外した。
驚くほどに整った顔立ちが現れる。
「……っ、やだ、近い……!」
「ほら、目、そらさないで……ちゅーしよ?」
甘く囁く声が、すぐ目の前で吐息となってかかる。
そして、ふわりと唇が触れた。最初は優しく、様子をうかがうように。
だが、ミルティが抵抗せずに唇を受け入れてしまった瞬間、ノクスは舌先を絡めるように差し入れた。
「んっ……ちょ、まって……ぅん、んちゅ……♡」
濃密なキスは、音を立てないようにという配慮の皮をかぶって、逆に淫らさを際立たせるようだった。
舌と舌が触れ合い、唾液がこっそりと交換されるたびに、ミルティの脚から力が抜け、身体がノクスの方へ預けられていく。
「ダメ、こんなの……こんなところで……」
「いいじゃん、外からは絶対見えないよ? ね、もっと感じて……? いつもの格好もいいけど、この制服も可愛いね、ミルティ」
ノクスが、指先でミルティの胸元にそっと触れた。
その声音はどこかからかっているようでいて、どこまでも甘い。
ミルティが押し返そうとする前に、ノクスの指はスカーフをほどき、ブラウスのボタンにかかる。
「でもさ、ここらへん、危うくない? ちょっと引っかかったら……ほら、すぐに」
ぷちっ、と小さな音とともに、ボタンがひとつ外される。
ミルティの口が「やめて」と動いたが、声にはならなかった。
「ね、簡単に取れちゃうんだよ? こういうのって、破くよりもずっとえっちだよね」
次のボタン、そして次。
ブラウスの前が開かれていくたびに、涼しい空気が肌に触れてゾクゾクとした感覚が広がる。
「っ……ノクス、ほんとに……やめて……っ」
「やめないよ、だって……」
ノクスの指が、柔らかな胸の膨らみに触れた。
レースの下着越しに指先でなぞり、ブラの中心から外側へ円を描くように撫でまわす。
「ここ、もうこんなに……」
指先がブラ越しに乳首をぴん♡ と軽く弾いた。
「やぁ……♡ んんっ♡」
次第に力が入らなくなっていくミルティの身体を、ノクスが支えるように抱き寄せる。
クローゼットの壁に背を預けた彼女の胸元に顔を寄せ、ブラの上から唇を押し当てる。
「ほら、ミルティの可愛い乳首♡ こんなに尖って……。気持ちいい?」
言葉のあとに、布越しに舌先でくすぐるように舐めた。
さらに、舌でゆっくりと乳首を押し潰すように転がし、唇で優しく吸い上げる。
「んっ……♡ ぁあ♡ あ、あっ♡ んぅ……♡」
ブラの布地が唾液でじっとりと濡れ、そこを吸われるたびに乳首がびくびくと反応する。
ノクスの指はもう一方の胸にも伸び、両方同時に刺激しはじめた。
「ミルティの声、どんどん甘くなってる」
そう囁きながら、ノクスの手が背中にまわり、ブラのホックを外した。
「……見せて?」
ふるり♡ とこぼれ出た乳房に、ノクスが顔を埋める。
「相変わらず、ミルティの身体、素直で可愛い……」
ノクスの指が、愛おしそうに乳房のふくらみをなぞる。
やがて乳首へと届くと、人差し指と親指で優しく挟み、きゅっ♡ と摘まんだ。
「ひぁっ……♡ あっ……だ、め……そんな……っ」
「だめじゃないよ。気持ちいいよね。ちゃんとわかる」
ノクスの唇が乳首に近づき、そっとキスを落とす。
そのままちゅっ、ちゅっ、と赤子のように吸い付きながら、舌で周囲をゆっくりとなぞっていく。
「……んっ♡ あ、んぅ……♡ やぁ……♡」
指ではもう一方の乳首を弄り、口ではもう片方を。左右同時に責め立てられ、ミルティの身体はびくびくと震えた。
指が、乳首の根元をつまみながら、小刻みに引っ張った。吸い付く口は、少しだけ強く、深く――ミルティの奥に響くように吸い上げる。
「ノクス……やぁ……♡ だ、めぇ……乳首……いじめな、でっ……♡」
「うそつき。好きなくせに……。んっ、ちゅ♡ もっと感じるようになる。ミルティのここ、もっと……ね?」
そう言って、ノクスは一度口を離し、濡れた乳首に息を吹きかけた。
唾液に濡れた先端が冷たい空気に晒されてピクリと小さく跳ねる。
「わかる? 濡れたここに、冷たい空気が当たると……ゾクッとするでしょ?」
「んんっ♡ う、うん……♡ ゾクゾクする……っ♡」
快感に震えるミルティの声を聞きながら、ノクスは乳首の先端にちゅっ、と音を立ててキスを繰り返した。
そのたびに、舌先で尖端を押し潰し、吸って、転がして――まるで執着するように愛し続けた。
「こんなに震えて……。どっちが好き? 指? それとも、舌……?」
指先は、乳輪の周りをくるくると円を描きながら撫で回す。
舌は、反対の乳首をちゅく、ちゅぷ、と水音を立てながら優しく吸い続ける。
「んっ、ぁっ♡ どっちも……♡ 両方とも……きも、ちい……のっ……♡」
「そっか、じゃあ……両方で、もっと気持ちよくなろっか♡」
ノクスの指先は、両方の乳首をリズムよく摘みながら、くにくにと柔らかく弄ぶ。
その一方で、空いた手がそっと下がっていく。
「ん……や、だ……っ、そこ……」
ミルティが小さく声を震わせる。
けれどその声も、乳首をつままれ、ねっとりと舌で責められるたびに、甘く蕩けていった。
「ねぇ、ミルティ。ストッキングの上からでも、わかるくらい……濡れてる。すごく、くちゅって……」
「そんな……言わないで……っ!」
ノクスの中指がぴたりと密着する。
「ここ……触るね?」
トン、と小さく叩くように触れられて、ミルティは肩を跳ねさせた。
そのまま、円を描くようにくり返しなぞられる。
「んんっ……♡ あっ、だ、だめ♡ そこは……♡」
「感じてるの、すっごく伝わってくる。……もっと気持ちよくしてあげる」
ストッキングの上からでもしっかり伝わるように、執拗に、しかし優しくノクスが指を動かした。
「ひぁっ……♡ んんっ……っ♡ や、やだぁ……♡」
「ここが、気持ちいいんだよね? ちゃんと教えて、ミルティ……どれくらい感じてるか」
乳首をひねる指は、じわじわと力を加えながら、そのまま根元をぐにゅ、と潰すように弄ぶ。
同時に、クリトリスに押し当てられた中指が、円を描くようにじっくりと擦り上げてくる。
「んっ♡ あ、やっ……だめぇっ……ノクスっ、いっしょ、だめ……♡ きもち、よくなっちゃう……っ♡」
「なっていいよ。ミルティが気持ちよくなるなら、なんでもしてあげる」
耳元で囁かれる声に、ぞくぞくと肌が泡立つ。
乳首を舐められながら、同時にクリトリスを撫で回される。
羞恥と快感がせめぎ合い、ミルティの身体は熱く、震えていた。
「ねぇ、ミルティ……こんなに濡れて、乳首もクリも敏感になって……全部、僕のせいだよね?」
「ぅんっ……♡ ノクス、の……せい、なの……♡ おかしく……なっちゃう……♡」
ストッキング越しに擦られるクリトリスは、薄布の摩擦でじんじんと痺れたような感覚を起こしていた。
腰が勝手にかくかくと震えてしまうのを、ミルティは自分でも止められなくなっていた。
「ミルティが、僕のせいでこんなに気持ちよくなってるのは……すっごく嬉しい」
「あっ♡ あぅ……っ♡ んんっ♡」
「おまんこ、もうトロトロだよ。どうする? このままイっちゃう?」
耳元で低く囁かれて、ミルティはこくこくと何度も頷いた。
「んっ♡ いかせ、てっ♡ イキたい……♡ ノクス、おねがいっ……ッ♡」
ミルティの声は涙混じりで、震えていた。
全身が熱に包まれ、乳首は舌にちゅくちゅく♡ と吸われながら、ストッキング越しのクリトリスには執拗な愛撫。
あと少し。ほんの、あと数回擦られれば――。
コンコン……。
「――っ!」
無情なノックの音が部屋の中に響いた。
ノクスの指先が反射的に止まり、彼女のクリトリスの上で静止した。
「うそ……っ……」
ミルティは、耳まで真っ赤に染めながら、肩で荒く息をし続ける。
身体中が火照って、敏感になったまま、肝心なところで止められて――快感の余韻が引かず、脚の間がじんじんと脈打っていた。
「な、んで……いま……っ」
震える声で、ミルティが訴えるようにノクスを見上げる。
ノクスは、彼女の唇に指を当てて、小さく囁いた。
「邪魔されちゃったね」
「ミルティー? いるー?」
外から聞こえてきたのは、明るく間延びした声とドアが開いて誰かが入ってくる物音だった。
ミルティの顔が、さっと青ざめる。
(この声は……事務局のモチヅキさん……! なんで今……⁉)
全身が、羞恥と快感のはざまで凍りつく。
「声……。我慢しないと、ね」
ノクスが、唇の端を上げて、ささやく。
「だ、だめっ、ノクス、外に……っ、人が……ッ」
ミルティはひそひそと抗議するけれど、ノクスは止める気などないようだった。
ストッキング越しにぴたりと密着していた中指が、再びぬるりと円を描き始める。
焦らすように、優しく――しかし確実に、敏感な突起をなぞっていく。
「っ、ん゛ん゛……♡」
ミルティは口元を手で覆い、声が漏れるのを必死にこらえた。
けれど脚の間はとろとろに熱を帯び、腰が勝手に跳ねてしまう。
「いないのかー」
「んん゛っ……♡ ぅ、んっ……♡」
ぐりりっ♡ と押し潰すように刺激されて、ミルティはなんとか声を殺した。
(ひぁ……っ♡ だめぇ……!)
ドアの外に人の気配を感じながらも、ノクスの指は止まることなく動く。
もう絶頂寸前だった身体は、敏感すぎるほどで、ただ下着越しに弄られているだけで気がおかしくなりそうだった。
(やだぁ……っ♡ こんなの、無理ぃ……♡)
そんな焦燥とは裏腹に、ノクスの指はさらに執拗さを増していく。
「濡れすぎてて、僕の指がすべっちゃう♡」
「っ……ぁ、ふっ♡ っふ、ふう……ッ♡」
「なんかさ、ここって意外と男の職員ばっかなんだね」
彼の囁きが耳を撫で、くちゅ、くちゅ……といやらしい音が、布越しに響いてしまう。
「え……?」
「さっきの支部長もそうだけど、こいつも……。妬けちゃうな」
ノクスの囁きが、微笑の奥にある黒い衝動を孕んでいた。
次の瞬間、指先の動きが変わった。
ぐり、ぐちゅっ……♡
まるで意地の悪い子供が、玩具を壊すような強さで――。
「っひ……♡ ん゛ぅぅっ……♡♡」
ストッキング越しの布がねじれて、敏感な突起が押し潰される。
もうそれだけで、腰がびくんと跳ね、脚がつっぱった。
ノクスはわざと、外の足音に合わせるように、指先をずらしながらぐちゅぐちゅと撫で続ける。
「……もしかして、ほんとは気づかれたい? 外のアイツの気を引きたいのかな?」
「っ、んんんっ……♡」
必死に首を振るミルティの頬を、ノクスは指でなぞり、甘く歪んだ笑みを浮かべる。
「じゃあ、証明して? 気づかれないようにイケるよね?」
その言葉と同時に、指が一段と強く、速く動き始める。
ストッキングのざらりとした感触が、熱く充血した突起を無慈悲に刺激していく。
「っふ、ぅんんっ……♡♡」
(むり……無理ぃ……! こんなの絶対無理だよぉっ♡♡)
爪先立ちになったミルティの脚はがくがくと震え、目の端に涙が滲んだ。
両手で口を塞いで、声を必死に抑える。
(だめ……声……っ……でも……♡)
愛撫というにはあまりに荒々しい刺激に、身体の芯がぐらぐらと揺さぶられた。
「~~~~ッッ♡♡♡」
――次の瞬間。ミルティは必死に両手で口を塞いで、絶頂の声を殺した。
鋭い快楽の稲妻が背筋を駆け抜け、びくん! と身体が跳ねてしまう。
「ん゛ふぅ……っ♡」
両手をぎゅっと握りしめて、目をつぶる。
脚の間に感じる甘い痺れに、腰から下が完全に蕩けてしまったようだった。
(あ……ぁ……イっちゃった……♡♡)
ストッキングの奥、布がひたひたに濡れていく。
ノクスはそれを見届けると、ぴたりと動きを止め、満足げに微笑んだ。
「声出さずに、ちゃんとできたね♡ いいこ♡」
ミルティはぐったりとノクスに身体を預けると、口元を覆ったまま、ただ頷くしかなかった。
そして外では――。
「ま、いっかー。またあとで来よーっと」
軽い足音が、ようやく遠ざかっていった。
「――よく頑張ったね」
ノクスはミルティを優しく抱きとめると、囁くように言った。
その声には、達成感と――どこか、独占欲に似た甘い悦びが滲んでいる。
「広いとこ、いこっか? 一緒に気持ち良くなろ……」
ノクスがクローゼットの扉を押すと、最初、あんなにびくともしなかった扉があっさりと開いた。
「え……?」
「ごめんね。開かないように、ちょっと細工してた。君とくっつきたかったし」
ノクスが悪びれもせず、楽しげに笑う。
ミルティの身体はふわりと抱き上げられて、ソファの上に下ろされた。
「さ、もっと気持ちいいことしよ……? 破いていい?」
「えっ⁉ ちょっ……!」
ノクスの手がストッキングにかかったと思うと、一気にびりっ! と引き裂かれる。
ちょうどクロッチの部分だけが破れ、ミルティの恥ずかしい部分が露わになる。
「や……やだ……っ!」
「あは♡ やっぱり破くのもえっちだね♡」
ノクスの指がショーツのクロッチを横にずらし、愛液まみれの割れ目が冷たい空気に晒された。
「美味しそう♡ ほら……こんなにとろとろに濡れて」
ノクスは躊躇うことなくミルティの秘部へ吸い付いた。
ぢゅるっ♡ と粘ついた水音をさせながら啜られ、舌がクリトリスを撫でる。
「ひぁ……♡ あっ、ああっ♡ や、だめ、あ、あぅ……っ♡♡」
「あんまりおっきい声出すと、部屋の外まで聞こえちゃうよ?」
「っ……!」
ミルティは、慌てて両手で口を塞いだ。
「ん、ちゅ♡ どこまで我慢できるかな?」
ノクスの舌がぬるりとクリトリスを包み込み、ゆっくりと舐め上げる。
同時に指も膣内に潜り込んできて、じゅぷじゅぷ♡ と音を立てながら優しくかき回した。
「ひぅ♡ あっ、あっ♡ そこ、すご、い……ッ♡」
ミルティの腰がびくびくと跳ねる。
その動きに合わせて、指が膣壁をこすり上げていく。
「イっていいよ? 我慢しないで」
にゅぷにゅぷにゅぷっ♡ ぐちゅんっ♡
ノクスの指が、ゆっくりと膣奥をなぞりながら、敏感な部分を的確に探っていく。
舌と指が同時に与える快楽の波に、ミルティの身体の熱は上がっていった。
「ん、ふっ……♡ あっ、や……っ♡」
声を殺そうと口元を押さえるも、熱い吐息は漏れ、震える腰がソファに擦れて小さく軋んだ。
ノクスはその反応を逃さず、指先の角度を変える。
そこは――何度も触れられて、ひどく敏感になっている場所だ。
いつもノクスに責められてすぐにイッてしまうところ。
「ここだよね。ここ触ると、気持ちいいもんね」
にゅぷっ♡ と中で押し上げるように撫でられ、ミルティの喉が小さくひくついた。
「あっ、あ、ああっ……♡ ノクスっ、そこ、は、だめっ……♡」
言葉にならない甘い悲鳴が漏れた。
ぬちゅ♡ くちゅっ♡
じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷっ♡
指先の動きが速まり、まるで意地悪く探るように膣壁を掻き回してくる。水音がだんだんと濃く、ねっとりとした響きに変わっていく。
「ノクスっ……っ♡ だ、め♡ なんかっ……きちゃっ……うっ♡ そこ、でちゃ……ッ♡」
ぐりゅ♡ と強く押し込まれ、同時にクリトリスを舌で転がされ、ミルティはびくんと身体をしならせた。
「ひぁっ♡ あ、あ……ッ!♡ ほん、とに、でちゃ……うぅッ♡」
じゅるるるるるっ♡
ひときわ強く吸われた瞬間に、快感が弾けた。
「ひぅッ♡ あ゛っ……~~ッッ♡♡」
ぷしゃあっ♡ と音がした。
ミルティの太腿の奥から、透明な雫が弧を描いて噴き上がる。
甘い震えが何度も全身を駆け抜け、痙攣するように何度も身体が跳ねた。
「……っは、あ……ぁ……♡」
ノクスの顔にかかった水滴が、彼の頬をつたう。それを、ゆっくりと手の甲で拭いべろりと舌で舐め取る。
「ミルティの味がする♡」
「ノクスっ……わたし……ご、ごめ……なさ……」
「なんで謝るの。気持ちよかったんでしょ?」
ノクスの手が再び伸びてきて、今度は優しく髪を撫でた。
「ノクス……」
か細く震える声で名を呼ぶミルティに、ノクスは唇を寄せて囁いた。
「まだ、終わりじゃないよ?」
くすっと笑うその声は、どこまでも甘く優しいのに――ぞくりと背筋が震えるほど、淫靡だった。
そのままミルティの脚をそっと開かせ、柔らかな太腿の間に身を沈める。
「ほら、まだ……ここ、こんなに震えてる」
先ほど噴き出したばかりのそこに、ノクスの指先がぬるりと触れる。とろけた蜜が絡まり、敏感になりきった膣口がぴくりと痙攣した。
「やぁっ♡ だめ、まって……っ」
「君の『だめ』は、いつも『もっとして』に聞こえるんだよね……」
ぬぷっ♡ ぬちゅっ♡ ぐちゅんっ♡
とろけた音を立てながら、指が再び膣内を擦ってくる。
「君の中に挿入りたくてたまらない。いい?」
ノクスが言ってズボンの前をくつろげた。
ぶるん♡ と勢いよく飛び出してきたノクスの陰茎は、硬く張り詰めて天を向いていた。
「見て、ほら、僕のもびしょびしょ……♡」
「……ん、うん……♡ ノクスの、わたし、も……ほしい……ッ♡」
「ん……。奥まで挿入るよ? さっきイッちゃったここも可愛がってあげたいし」
ノクスの陰茎がずるりと膣口をこすり上げ、柔らかな襞を押し広げる。
溢れだした愛液と先走りの液を絡ませるように擦りつけ、さらに硬さを増したそれをぐっと押し込んだ。
「んああっ♡ っは……ぁ……♡」
ミルティが甘い吐息を漏らしながら腰を震わせる。
その声ごと飲み込むように唇を重ねると、ノクスはゆっくりと腰を揺すり始めた。
「ん、んっ♡ ちゅ……ふっ……♡ はむ……っ♡」
舌を絡ませながら、ノクスの腰が動く。
ぐちゅっ♡ ずちゅっ♡
ぱちゅんっ♡ ぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅっ♡
淫らな水音が響き、そのたびにミルティの喉からは甘い声が漏れた。
もう声を抑える余裕なんてなかった。
ノクスが腰を動かすたびに、頭が真っ白になるほどの快楽に飲み込まれていく。
「ひぁッ! あぅ、あっ、ああっ♡」
ぬちゅっ♡ と音を立てながら、ゆっくりとノクスの熱がミルティの中に沈んでいく。
最奥まで押し広げられていく感覚に、ミルティの目尻から涙が零れた。
「あっ、あっ♡ ん゛あ゛あっ♡ いっぱいっ♡ いっぱい、きてうっ……♡」
「やば……♡ なか、すげ……♡ さいっこう……ッ♡」
「んあ、あっ、あっ♡ ノクス、しょれ、きもひ、よすぎて……ッ♡」
「ぎゅってしてくる♡ かわいいな……♡ 君の全部、僕のだから♡」
「んっ、んうっ♡ あ゛あっ♡ い、く♡ いっちゃうっ……♡」
ぐちゅっ♡ ぐちゅんっ♡
何度も、何度も奥まで届くたび、愛情ごと注ぎ込まれてるみたいだった。
繋がったまま何度もキスを交わし、手を重ね、名前を呼び合いながら――ふたりはまるで一つの存在になるかのように、深く結ばれていく。
「も、イクね……っ♡ ミルティの中に、いっぱい出すよ……っ」
「んんっ♡ わた、しも、いく……っ♡ いっしょに……っ♡」
ミルティが脚をノクスの腰に回し、ぎゅうっと強く引き寄せる。
その動きと共に奥まで捻じ込まれた陰茎は、その先端を子宮口に押しつけながら、どぷっと大量の精液を放った。
「ひぁっ♡ ~~~~っ♡♡♡」
びくん! と大きく身体が跳ねる。
同時に膣内も激しく痙攣し、ノクスのものを締め付けた。
「くっ……♡」
搾り取るようなその動きに、ノクスも小さく声を漏らす。
やがて長い射精が終わると、ミルティの膣内は熱く蕩けて、まるでひとつに溶けあってしまったかのような感覚に包まれた。
「あ……っ♡ あぅ……♡」
「ん……いっぱい出ちゃった……」
ぬるり、と温もりの残る感触がミルティの中から抜けていく。
その直後、とろりと零れ出す精に、ミルティは反射的に太腿を閉じようとしたが、ノクスがそれをふわりと抱きしめて止めた。
「だめだよ。……可愛いところ、ちゃんと見せて」
「や、はずかしい……っ」
「あ~♡ 僕の、いっぱい♡」
「……っ」
蕩けた瞳でノクスを見上げると、彼は満足そうに笑って、ミルティの頬にキスを落とした。
ぴとりと肌を重ねたまま、互いの鼓動を感じ合うように静かに抱きしめ合う。
「……あったかい」
「うん。君、やっぱりすごくいい匂いする」
言葉と共に唇が重なる。
今度は穏やかで、でも深くて熱いキスだった。
「ちゅー、好き?」
問われてミルティは小さく頷いた。
「……ん。好き」
「もっとしてあげる。何度だって」
ソファの上でふたりはもう一度ゆるく抱き合って、何度もキスを交わし、肌を寄せ合った。
幸福がじんわりと胸に広がる。
けれど――。
「……ねぇ、ノクス」
「ん?」
「これ……」
ミルティがソファの横をちらりと見る。
どこかから落ちた書類や、言葉にするには憚られる水滴が床に広がっていた。
「これ……。まずいですよね?」
「夢中だったからなあ……」
ノクスが笑ってミルティの頭を撫でる。
「あとで手伝うから、今はもう少しぎゅーってさせて? 今は君が可愛すぎてそれどころじゃない」
「でも、また、支部長とか誰か来たら……」
「大丈夫。誰も来れないように廊下に壁作っといた」
「……え⁉ それはそれで騒ぎになるんじゃ」
「大丈夫、大丈夫」
ノクスは平然と言ってのけ、ミルティをぎゅっと抱き寄せた。
「だから、もう少しだけ……君の体温を感じてたいんだ。だめ?」
ノクスの甘い囁きに、ミルティは一度視線を彷徨わせたあと、ノクスの身体を抱きしめ返した。
「だめじゃない、です……」
「……ん。ありがと」
ミルティは目を閉じたまま、ぼんやりと考える。
このあとのことを考えると頭が痛いけれど――でも今は、ミルティも彼の体温にただ包まれていたかった。
(了)
日々の任務報告、魔力測定、そして『もしもの時のための対怪異』に備えた待機室でもある、れっきとした『職場』だ。
そしてその個室の中央に、足を組んでソファに腰かけているのは――よりにもよって敵だった。
顔の上半分を仮面で隠し、漆黒をまとったその男は怪人ノクス。ミルティの宿敵――だった人物だ。
「ねえ、ミルティ。もうちょっと柔らかいお菓子、なかったっけ?」
「……どうして勝手に来たんですか、ノクス! 夜にわたしの部屋の約束だったはずでしょう⁉」
ミルティは書類をデスクに置くと、ソファのノクスに詰め寄った。
聖封機関――それは魔法少女の力を正しく導き、世界に満ちる魔的災厄を封じるために設立された公的機関。
民間的には「白輝会」の名で親しまれ、華やかな制服と勇敢な魔法少女たちの姿に、多くの少女が憧れる。
だがその裏で、怪異や災い、悪の組織の怪人と呼ばれる存在との戦いは絶えず、その最前線に立つミルティは、決して遊び半分では許されない――はず、なのに。
「だって、待ちきれなかったし。事務仕事してる君も見てみたかったし……」
仮面越しの碧い瞳が細められる。
今日のミルティは魔法少女として戦うときの、煌びやかな変身衣装ではない。
あくまで勤務中の姿――白輝会支部における事務・待機任務用の制服に身を包んでいた。
白を基調とした軽やかなブラウスに、薄桃色のスカーフが襟元でふわりと結ばれている。胸元には白輝会の小さな紋章が輝いていて、魔法少女であることをさりげなく示していた。
スカートは膝上丈で、清潔感のある藍色。タイトすぎずふんわりと広がるデザインが可愛らしいものだ。
ストッキングは透け感のある白で、脚のラインをほんのりと浮かび上がらせていた。
ノクスのまなざしはその一つ一つをゆっくりとなぞり、ミルティは居心地の悪さに身じろぎした。
「な、なんでそんなにじっと見るんですか……?」
「別に……。ただ、可愛いなと思って」
「……ッ⁉」
ミルティは、思わず声を詰まらせた。
仮面越しにノクスの眼差しが注がれるたび、頬が熱くなる。
「し、支部への来訪は困ります」
「君の魔力の匂い、ここからしてたからすぐわかったよ。――警備ガバガバだね~」
テーブルの上のお菓子を食べながら、ノクスがあっけらかんと言う。
それを見て、ミルティは頭を抱えた。
怪人ノクスが正義の守護者ミルティ=クラウゼの個室でクッキーをつまんでるなんて――もしも、こんなところを同僚に見られたら、当然厳罰、いや、解雇処分になってもおかしくない事態だ。
「…………」
わかっていて徹底的に追い返せない自分も自分だと思う。
と、ちょうどその時だった。
出入り口の扉が控えめにノックされた。
「ミルティちゃ~ん? アタシだけど、いる~?」
低く太い声が響いた。
やたらと体格のいい、筋肉質な男性だけれど、艷やかな口調が特徴的な支部長だ。
(うそうそうそっ……! 来るって聞いてないっ……!!)
「報告書の件でちょっと話があるんだけど~。あと渡したい書類があって~」
パニックになったミルティは、反射的にノクスの腕を引っ張る。
「え⁉ なに、なに? ミルティ、どうしたの⁉」
「いいから入ってください! そこ! クローゼット!!」
「え、今日はそういう遊び?」
「ちがいますっ! 黙って入って!!」
ミルティはノクスを強引に備え付けのクローゼットに押し込んで、支部長を迎えるべく踵を返そうとした――が、できなかった。
「えっ⁉ ちょっ⁉」
ぐい、と腕が引っ張られ、ミルティまでもクローゼットの中に引きずり込まれる。
バタン、と扉が閉まり、そこは一瞬で小さな密室になった。
半畳ほどのスペース、着替えや雑貨類も収納しているから、人が二人も――片方は背も高く、それなりに筋肉質な男性が入ればかなり窮屈である。
ミルティとノクスは向かい合わせでぴったりと密着してしまう。
「狭いね♡ ミルティの体温、すぐ感じられそう♡」
「ちょ! なんで、わたしまで⁉」
「そのつもりだったんじゃないの? あ、ほら、静かにしないとバレちゃうよ?」
「――っ!」
クローゼットのすぐ外で扉が開く音がした。
「お邪魔しま~す。あら? ミルティちゃん、いないのかしら?」
支部長の声が部屋に入ってくる。ミルティは息をひそめ、クローゼットの壁にぴたりと背をつけた。
こうなってしまってはもう、外に出ることはできない。
(お願い、お願いだから……このまま気づかず帰ってください……)
息を潜める中、ミルティの太ももに、冷たい指先がすべり込んできた。
(ちょ、ノクス……今はダメ……!)
スカートの裾がそっと持ち上げられる。
ストッキングの上をノクスの手がゆっくりと這い回った。
(や、やめて……!)
「あら~? おかしいわね……確か今日は内勤だったはず」
支部長が部屋を歩き回る気配がする。
「ノクス……、だめです。やめて……」
「しー……。声、出しちゃダメだよ?」
「でも、ちょっ……! んんっ♡」
「あーあ、ミルティはすぐ声出ちゃうもんね♡ でも、よかったね。気づかれなかったよ」
唇が耳元に近づき、吐息混じりの声が鼓膜をくすぐる。
ドクン――心臓が跳ねた。
「んー……。仕方ない。これは後で見ておいてもらおうかな」
支部長の足音が近づき、デスクの書類をめくる音がした。
気まぐれな足音が部屋を一周し、しばらく逡巡した末、ようやく出口へと向かう。
「もう! 部屋を開けっぱなしにするなんて……ミルティちゃんたら、油断大敵よ~」
扉が閉まる音。それから足音が遠ざかっていく。
「……行った?」
ミルティは小声でつぶやき、大きく息を吐き出した。
「……ん、行ったね。じゃあ、もう少し大丈夫だね?」
「大丈夫じゃありませんっ、ノクス、もう出ま――」
ミルティがクローゼットの扉に手をかける。
しかし、
「……え? 開かない。なんで?」
扉が押してもなにしてもびくともしない。
「あー。歪んじゃったのかな?」
「そんな……」
「ね、ミルティ。この距離感すごくいいね。僕、興奮する♡」
ノクスがにやりと笑うのが、暗がりの中でもわかる。
「あなたという人は……っ」
ミルティが悔しげに呟くと、すぐ耳元で、ノクスの声が囁いた。
「……せっかくだから、楽しもうよ?」
低く甘い声音は、ふたりきりの狭い密室にとろけるように広がっていく。
すぐそばにある体温、肌の感触、吐息。
「もう、逃げ場ないんだからさ……ね?」
耳元にそっと囁かれたその言葉に、ミルティの背筋がぞわりと震えた。
「ちょ、ノクス……。ここでは、あの、よくないと……っ」
「うんうん、わかってる。君は『真面目』で『慎み深い』もんね」
そう言いながらも、ノクスの指先はすでにミルティの腰に回り込み、背中をゆっくりと撫でていた。
そのまま滑るように背骨をなぞり、薄い布越しに温度を伝えてくる。
「ふたりきりでこんなに密着してたら、ドキドキしちゃうよね」
ノクスの手のひらが、鼓動を確かめるようにミルティの胸元に添えられる。
中心で高鳴るリズムが、ミルティの理性をじわじわと溶かしていく。
「ミルティ、こっち向いて?」
ノクスが顔の仮面をそっと外した。
驚くほどに整った顔立ちが現れる。
「……っ、やだ、近い……!」
「ほら、目、そらさないで……ちゅーしよ?」
甘く囁く声が、すぐ目の前で吐息となってかかる。
そして、ふわりと唇が触れた。最初は優しく、様子をうかがうように。
だが、ミルティが抵抗せずに唇を受け入れてしまった瞬間、ノクスは舌先を絡めるように差し入れた。
「んっ……ちょ、まって……ぅん、んちゅ……♡」
濃密なキスは、音を立てないようにという配慮の皮をかぶって、逆に淫らさを際立たせるようだった。
舌と舌が触れ合い、唾液がこっそりと交換されるたびに、ミルティの脚から力が抜け、身体がノクスの方へ預けられていく。
「ダメ、こんなの……こんなところで……」
「いいじゃん、外からは絶対見えないよ? ね、もっと感じて……? いつもの格好もいいけど、この制服も可愛いね、ミルティ」
ノクスが、指先でミルティの胸元にそっと触れた。
その声音はどこかからかっているようでいて、どこまでも甘い。
ミルティが押し返そうとする前に、ノクスの指はスカーフをほどき、ブラウスのボタンにかかる。
「でもさ、ここらへん、危うくない? ちょっと引っかかったら……ほら、すぐに」
ぷちっ、と小さな音とともに、ボタンがひとつ外される。
ミルティの口が「やめて」と動いたが、声にはならなかった。
「ね、簡単に取れちゃうんだよ? こういうのって、破くよりもずっとえっちだよね」
次のボタン、そして次。
ブラウスの前が開かれていくたびに、涼しい空気が肌に触れてゾクゾクとした感覚が広がる。
「っ……ノクス、ほんとに……やめて……っ」
「やめないよ、だって……」
ノクスの指が、柔らかな胸の膨らみに触れた。
レースの下着越しに指先でなぞり、ブラの中心から外側へ円を描くように撫でまわす。
「ここ、もうこんなに……」
指先がブラ越しに乳首をぴん♡ と軽く弾いた。
「やぁ……♡ んんっ♡」
次第に力が入らなくなっていくミルティの身体を、ノクスが支えるように抱き寄せる。
クローゼットの壁に背を預けた彼女の胸元に顔を寄せ、ブラの上から唇を押し当てる。
「ほら、ミルティの可愛い乳首♡ こんなに尖って……。気持ちいい?」
言葉のあとに、布越しに舌先でくすぐるように舐めた。
さらに、舌でゆっくりと乳首を押し潰すように転がし、唇で優しく吸い上げる。
「んっ……♡ ぁあ♡ あ、あっ♡ んぅ……♡」
ブラの布地が唾液でじっとりと濡れ、そこを吸われるたびに乳首がびくびくと反応する。
ノクスの指はもう一方の胸にも伸び、両方同時に刺激しはじめた。
「ミルティの声、どんどん甘くなってる」
そう囁きながら、ノクスの手が背中にまわり、ブラのホックを外した。
「……見せて?」
ふるり♡ とこぼれ出た乳房に、ノクスが顔を埋める。
「相変わらず、ミルティの身体、素直で可愛い……」
ノクスの指が、愛おしそうに乳房のふくらみをなぞる。
やがて乳首へと届くと、人差し指と親指で優しく挟み、きゅっ♡ と摘まんだ。
「ひぁっ……♡ あっ……だ、め……そんな……っ」
「だめじゃないよ。気持ちいいよね。ちゃんとわかる」
ノクスの唇が乳首に近づき、そっとキスを落とす。
そのままちゅっ、ちゅっ、と赤子のように吸い付きながら、舌で周囲をゆっくりとなぞっていく。
「……んっ♡ あ、んぅ……♡ やぁ……♡」
指ではもう一方の乳首を弄り、口ではもう片方を。左右同時に責め立てられ、ミルティの身体はびくびくと震えた。
指が、乳首の根元をつまみながら、小刻みに引っ張った。吸い付く口は、少しだけ強く、深く――ミルティの奥に響くように吸い上げる。
「ノクス……やぁ……♡ だ、めぇ……乳首……いじめな、でっ……♡」
「うそつき。好きなくせに……。んっ、ちゅ♡ もっと感じるようになる。ミルティのここ、もっと……ね?」
そう言って、ノクスは一度口を離し、濡れた乳首に息を吹きかけた。
唾液に濡れた先端が冷たい空気に晒されてピクリと小さく跳ねる。
「わかる? 濡れたここに、冷たい空気が当たると……ゾクッとするでしょ?」
「んんっ♡ う、うん……♡ ゾクゾクする……っ♡」
快感に震えるミルティの声を聞きながら、ノクスは乳首の先端にちゅっ、と音を立ててキスを繰り返した。
そのたびに、舌先で尖端を押し潰し、吸って、転がして――まるで執着するように愛し続けた。
「こんなに震えて……。どっちが好き? 指? それとも、舌……?」
指先は、乳輪の周りをくるくると円を描きながら撫で回す。
舌は、反対の乳首をちゅく、ちゅぷ、と水音を立てながら優しく吸い続ける。
「んっ、ぁっ♡ どっちも……♡ 両方とも……きも、ちい……のっ……♡」
「そっか、じゃあ……両方で、もっと気持ちよくなろっか♡」
ノクスの指先は、両方の乳首をリズムよく摘みながら、くにくにと柔らかく弄ぶ。
その一方で、空いた手がそっと下がっていく。
「ん……や、だ……っ、そこ……」
ミルティが小さく声を震わせる。
けれどその声も、乳首をつままれ、ねっとりと舌で責められるたびに、甘く蕩けていった。
「ねぇ、ミルティ。ストッキングの上からでも、わかるくらい……濡れてる。すごく、くちゅって……」
「そんな……言わないで……っ!」
ノクスの中指がぴたりと密着する。
「ここ……触るね?」
トン、と小さく叩くように触れられて、ミルティは肩を跳ねさせた。
そのまま、円を描くようにくり返しなぞられる。
「んんっ……♡ あっ、だ、だめ♡ そこは……♡」
「感じてるの、すっごく伝わってくる。……もっと気持ちよくしてあげる」
ストッキングの上からでもしっかり伝わるように、執拗に、しかし優しくノクスが指を動かした。
「ひぁっ……♡ んんっ……っ♡ や、やだぁ……♡」
「ここが、気持ちいいんだよね? ちゃんと教えて、ミルティ……どれくらい感じてるか」
乳首をひねる指は、じわじわと力を加えながら、そのまま根元をぐにゅ、と潰すように弄ぶ。
同時に、クリトリスに押し当てられた中指が、円を描くようにじっくりと擦り上げてくる。
「んっ♡ あ、やっ……だめぇっ……ノクスっ、いっしょ、だめ……♡ きもち、よくなっちゃう……っ♡」
「なっていいよ。ミルティが気持ちよくなるなら、なんでもしてあげる」
耳元で囁かれる声に、ぞくぞくと肌が泡立つ。
乳首を舐められながら、同時にクリトリスを撫で回される。
羞恥と快感がせめぎ合い、ミルティの身体は熱く、震えていた。
「ねぇ、ミルティ……こんなに濡れて、乳首もクリも敏感になって……全部、僕のせいだよね?」
「ぅんっ……♡ ノクス、の……せい、なの……♡ おかしく……なっちゃう……♡」
ストッキング越しに擦られるクリトリスは、薄布の摩擦でじんじんと痺れたような感覚を起こしていた。
腰が勝手にかくかくと震えてしまうのを、ミルティは自分でも止められなくなっていた。
「ミルティが、僕のせいでこんなに気持ちよくなってるのは……すっごく嬉しい」
「あっ♡ あぅ……っ♡ んんっ♡」
「おまんこ、もうトロトロだよ。どうする? このままイっちゃう?」
耳元で低く囁かれて、ミルティはこくこくと何度も頷いた。
「んっ♡ いかせ、てっ♡ イキたい……♡ ノクス、おねがいっ……ッ♡」
ミルティの声は涙混じりで、震えていた。
全身が熱に包まれ、乳首は舌にちゅくちゅく♡ と吸われながら、ストッキング越しのクリトリスには執拗な愛撫。
あと少し。ほんの、あと数回擦られれば――。
コンコン……。
「――っ!」
無情なノックの音が部屋の中に響いた。
ノクスの指先が反射的に止まり、彼女のクリトリスの上で静止した。
「うそ……っ……」
ミルティは、耳まで真っ赤に染めながら、肩で荒く息をし続ける。
身体中が火照って、敏感になったまま、肝心なところで止められて――快感の余韻が引かず、脚の間がじんじんと脈打っていた。
「な、んで……いま……っ」
震える声で、ミルティが訴えるようにノクスを見上げる。
ノクスは、彼女の唇に指を当てて、小さく囁いた。
「邪魔されちゃったね」
「ミルティー? いるー?」
外から聞こえてきたのは、明るく間延びした声とドアが開いて誰かが入ってくる物音だった。
ミルティの顔が、さっと青ざめる。
(この声は……事務局のモチヅキさん……! なんで今……⁉)
全身が、羞恥と快感のはざまで凍りつく。
「声……。我慢しないと、ね」
ノクスが、唇の端を上げて、ささやく。
「だ、だめっ、ノクス、外に……っ、人が……ッ」
ミルティはひそひそと抗議するけれど、ノクスは止める気などないようだった。
ストッキング越しにぴたりと密着していた中指が、再びぬるりと円を描き始める。
焦らすように、優しく――しかし確実に、敏感な突起をなぞっていく。
「っ、ん゛ん゛……♡」
ミルティは口元を手で覆い、声が漏れるのを必死にこらえた。
けれど脚の間はとろとろに熱を帯び、腰が勝手に跳ねてしまう。
「いないのかー」
「んん゛っ……♡ ぅ、んっ……♡」
ぐりりっ♡ と押し潰すように刺激されて、ミルティはなんとか声を殺した。
(ひぁ……っ♡ だめぇ……!)
ドアの外に人の気配を感じながらも、ノクスの指は止まることなく動く。
もう絶頂寸前だった身体は、敏感すぎるほどで、ただ下着越しに弄られているだけで気がおかしくなりそうだった。
(やだぁ……っ♡ こんなの、無理ぃ……♡)
そんな焦燥とは裏腹に、ノクスの指はさらに執拗さを増していく。
「濡れすぎてて、僕の指がすべっちゃう♡」
「っ……ぁ、ふっ♡ っふ、ふう……ッ♡」
「なんかさ、ここって意外と男の職員ばっかなんだね」
彼の囁きが耳を撫で、くちゅ、くちゅ……といやらしい音が、布越しに響いてしまう。
「え……?」
「さっきの支部長もそうだけど、こいつも……。妬けちゃうな」
ノクスの囁きが、微笑の奥にある黒い衝動を孕んでいた。
次の瞬間、指先の動きが変わった。
ぐり、ぐちゅっ……♡
まるで意地の悪い子供が、玩具を壊すような強さで――。
「っひ……♡ ん゛ぅぅっ……♡♡」
ストッキング越しの布がねじれて、敏感な突起が押し潰される。
もうそれだけで、腰がびくんと跳ね、脚がつっぱった。
ノクスはわざと、外の足音に合わせるように、指先をずらしながらぐちゅぐちゅと撫で続ける。
「……もしかして、ほんとは気づかれたい? 外のアイツの気を引きたいのかな?」
「っ、んんんっ……♡」
必死に首を振るミルティの頬を、ノクスは指でなぞり、甘く歪んだ笑みを浮かべる。
「じゃあ、証明して? 気づかれないようにイケるよね?」
その言葉と同時に、指が一段と強く、速く動き始める。
ストッキングのざらりとした感触が、熱く充血した突起を無慈悲に刺激していく。
「っふ、ぅんんっ……♡♡」
(むり……無理ぃ……! こんなの絶対無理だよぉっ♡♡)
爪先立ちになったミルティの脚はがくがくと震え、目の端に涙が滲んだ。
両手で口を塞いで、声を必死に抑える。
(だめ……声……っ……でも……♡)
愛撫というにはあまりに荒々しい刺激に、身体の芯がぐらぐらと揺さぶられた。
「~~~~ッッ♡♡♡」
――次の瞬間。ミルティは必死に両手で口を塞いで、絶頂の声を殺した。
鋭い快楽の稲妻が背筋を駆け抜け、びくん! と身体が跳ねてしまう。
「ん゛ふぅ……っ♡」
両手をぎゅっと握りしめて、目をつぶる。
脚の間に感じる甘い痺れに、腰から下が完全に蕩けてしまったようだった。
(あ……ぁ……イっちゃった……♡♡)
ストッキングの奥、布がひたひたに濡れていく。
ノクスはそれを見届けると、ぴたりと動きを止め、満足げに微笑んだ。
「声出さずに、ちゃんとできたね♡ いいこ♡」
ミルティはぐったりとノクスに身体を預けると、口元を覆ったまま、ただ頷くしかなかった。
そして外では――。
「ま、いっかー。またあとで来よーっと」
軽い足音が、ようやく遠ざかっていった。
「――よく頑張ったね」
ノクスはミルティを優しく抱きとめると、囁くように言った。
その声には、達成感と――どこか、独占欲に似た甘い悦びが滲んでいる。
「広いとこ、いこっか? 一緒に気持ち良くなろ……」
ノクスがクローゼットの扉を押すと、最初、あんなにびくともしなかった扉があっさりと開いた。
「え……?」
「ごめんね。開かないように、ちょっと細工してた。君とくっつきたかったし」
ノクスが悪びれもせず、楽しげに笑う。
ミルティの身体はふわりと抱き上げられて、ソファの上に下ろされた。
「さ、もっと気持ちいいことしよ……? 破いていい?」
「えっ⁉ ちょっ……!」
ノクスの手がストッキングにかかったと思うと、一気にびりっ! と引き裂かれる。
ちょうどクロッチの部分だけが破れ、ミルティの恥ずかしい部分が露わになる。
「や……やだ……っ!」
「あは♡ やっぱり破くのもえっちだね♡」
ノクスの指がショーツのクロッチを横にずらし、愛液まみれの割れ目が冷たい空気に晒された。
「美味しそう♡ ほら……こんなにとろとろに濡れて」
ノクスは躊躇うことなくミルティの秘部へ吸い付いた。
ぢゅるっ♡ と粘ついた水音をさせながら啜られ、舌がクリトリスを撫でる。
「ひぁ……♡ あっ、ああっ♡ や、だめ、あ、あぅ……っ♡♡」
「あんまりおっきい声出すと、部屋の外まで聞こえちゃうよ?」
「っ……!」
ミルティは、慌てて両手で口を塞いだ。
「ん、ちゅ♡ どこまで我慢できるかな?」
ノクスの舌がぬるりとクリトリスを包み込み、ゆっくりと舐め上げる。
同時に指も膣内に潜り込んできて、じゅぷじゅぷ♡ と音を立てながら優しくかき回した。
「ひぅ♡ あっ、あっ♡ そこ、すご、い……ッ♡」
ミルティの腰がびくびくと跳ねる。
その動きに合わせて、指が膣壁をこすり上げていく。
「イっていいよ? 我慢しないで」
にゅぷにゅぷにゅぷっ♡ ぐちゅんっ♡
ノクスの指が、ゆっくりと膣奥をなぞりながら、敏感な部分を的確に探っていく。
舌と指が同時に与える快楽の波に、ミルティの身体の熱は上がっていった。
「ん、ふっ……♡ あっ、や……っ♡」
声を殺そうと口元を押さえるも、熱い吐息は漏れ、震える腰がソファに擦れて小さく軋んだ。
ノクスはその反応を逃さず、指先の角度を変える。
そこは――何度も触れられて、ひどく敏感になっている場所だ。
いつもノクスに責められてすぐにイッてしまうところ。
「ここだよね。ここ触ると、気持ちいいもんね」
にゅぷっ♡ と中で押し上げるように撫でられ、ミルティの喉が小さくひくついた。
「あっ、あ、ああっ……♡ ノクスっ、そこ、は、だめっ……♡」
言葉にならない甘い悲鳴が漏れた。
ぬちゅ♡ くちゅっ♡
じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷっ♡
指先の動きが速まり、まるで意地悪く探るように膣壁を掻き回してくる。水音がだんだんと濃く、ねっとりとした響きに変わっていく。
「ノクスっ……っ♡ だ、め♡ なんかっ……きちゃっ……うっ♡ そこ、でちゃ……ッ♡」
ぐりゅ♡ と強く押し込まれ、同時にクリトリスを舌で転がされ、ミルティはびくんと身体をしならせた。
「ひぁっ♡ あ、あ……ッ!♡ ほん、とに、でちゃ……うぅッ♡」
じゅるるるるるっ♡
ひときわ強く吸われた瞬間に、快感が弾けた。
「ひぅッ♡ あ゛っ……~~ッッ♡♡」
ぷしゃあっ♡ と音がした。
ミルティの太腿の奥から、透明な雫が弧を描いて噴き上がる。
甘い震えが何度も全身を駆け抜け、痙攣するように何度も身体が跳ねた。
「……っは、あ……ぁ……♡」
ノクスの顔にかかった水滴が、彼の頬をつたう。それを、ゆっくりと手の甲で拭いべろりと舌で舐め取る。
「ミルティの味がする♡」
「ノクスっ……わたし……ご、ごめ……なさ……」
「なんで謝るの。気持ちよかったんでしょ?」
ノクスの手が再び伸びてきて、今度は優しく髪を撫でた。
「ノクス……」
か細く震える声で名を呼ぶミルティに、ノクスは唇を寄せて囁いた。
「まだ、終わりじゃないよ?」
くすっと笑うその声は、どこまでも甘く優しいのに――ぞくりと背筋が震えるほど、淫靡だった。
そのままミルティの脚をそっと開かせ、柔らかな太腿の間に身を沈める。
「ほら、まだ……ここ、こんなに震えてる」
先ほど噴き出したばかりのそこに、ノクスの指先がぬるりと触れる。とろけた蜜が絡まり、敏感になりきった膣口がぴくりと痙攣した。
「やぁっ♡ だめ、まって……っ」
「君の『だめ』は、いつも『もっとして』に聞こえるんだよね……」
ぬぷっ♡ ぬちゅっ♡ ぐちゅんっ♡
とろけた音を立てながら、指が再び膣内を擦ってくる。
「君の中に挿入りたくてたまらない。いい?」
ノクスが言ってズボンの前をくつろげた。
ぶるん♡ と勢いよく飛び出してきたノクスの陰茎は、硬く張り詰めて天を向いていた。
「見て、ほら、僕のもびしょびしょ……♡」
「……ん、うん……♡ ノクスの、わたし、も……ほしい……ッ♡」
「ん……。奥まで挿入るよ? さっきイッちゃったここも可愛がってあげたいし」
ノクスの陰茎がずるりと膣口をこすり上げ、柔らかな襞を押し広げる。
溢れだした愛液と先走りの液を絡ませるように擦りつけ、さらに硬さを増したそれをぐっと押し込んだ。
「んああっ♡ っは……ぁ……♡」
ミルティが甘い吐息を漏らしながら腰を震わせる。
その声ごと飲み込むように唇を重ねると、ノクスはゆっくりと腰を揺すり始めた。
「ん、んっ♡ ちゅ……ふっ……♡ はむ……っ♡」
舌を絡ませながら、ノクスの腰が動く。
ぐちゅっ♡ ずちゅっ♡
ぱちゅんっ♡ ぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅっ♡
淫らな水音が響き、そのたびにミルティの喉からは甘い声が漏れた。
もう声を抑える余裕なんてなかった。
ノクスが腰を動かすたびに、頭が真っ白になるほどの快楽に飲み込まれていく。
「ひぁッ! あぅ、あっ、ああっ♡」
ぬちゅっ♡ と音を立てながら、ゆっくりとノクスの熱がミルティの中に沈んでいく。
最奥まで押し広げられていく感覚に、ミルティの目尻から涙が零れた。
「あっ、あっ♡ ん゛あ゛あっ♡ いっぱいっ♡ いっぱい、きてうっ……♡」
「やば……♡ なか、すげ……♡ さいっこう……ッ♡」
「んあ、あっ、あっ♡ ノクス、しょれ、きもひ、よすぎて……ッ♡」
「ぎゅってしてくる♡ かわいいな……♡ 君の全部、僕のだから♡」
「んっ、んうっ♡ あ゛あっ♡ い、く♡ いっちゃうっ……♡」
ぐちゅっ♡ ぐちゅんっ♡
何度も、何度も奥まで届くたび、愛情ごと注ぎ込まれてるみたいだった。
繋がったまま何度もキスを交わし、手を重ね、名前を呼び合いながら――ふたりはまるで一つの存在になるかのように、深く結ばれていく。
「も、イクね……っ♡ ミルティの中に、いっぱい出すよ……っ」
「んんっ♡ わた、しも、いく……っ♡ いっしょに……っ♡」
ミルティが脚をノクスの腰に回し、ぎゅうっと強く引き寄せる。
その動きと共に奥まで捻じ込まれた陰茎は、その先端を子宮口に押しつけながら、どぷっと大量の精液を放った。
「ひぁっ♡ ~~~~っ♡♡♡」
びくん! と大きく身体が跳ねる。
同時に膣内も激しく痙攣し、ノクスのものを締め付けた。
「くっ……♡」
搾り取るようなその動きに、ノクスも小さく声を漏らす。
やがて長い射精が終わると、ミルティの膣内は熱く蕩けて、まるでひとつに溶けあってしまったかのような感覚に包まれた。
「あ……っ♡ あぅ……♡」
「ん……いっぱい出ちゃった……」
ぬるり、と温もりの残る感触がミルティの中から抜けていく。
その直後、とろりと零れ出す精に、ミルティは反射的に太腿を閉じようとしたが、ノクスがそれをふわりと抱きしめて止めた。
「だめだよ。……可愛いところ、ちゃんと見せて」
「や、はずかしい……っ」
「あ~♡ 僕の、いっぱい♡」
「……っ」
蕩けた瞳でノクスを見上げると、彼は満足そうに笑って、ミルティの頬にキスを落とした。
ぴとりと肌を重ねたまま、互いの鼓動を感じ合うように静かに抱きしめ合う。
「……あったかい」
「うん。君、やっぱりすごくいい匂いする」
言葉と共に唇が重なる。
今度は穏やかで、でも深くて熱いキスだった。
「ちゅー、好き?」
問われてミルティは小さく頷いた。
「……ん。好き」
「もっとしてあげる。何度だって」
ソファの上でふたりはもう一度ゆるく抱き合って、何度もキスを交わし、肌を寄せ合った。
幸福がじんわりと胸に広がる。
けれど――。
「……ねぇ、ノクス」
「ん?」
「これ……」
ミルティがソファの横をちらりと見る。
どこかから落ちた書類や、言葉にするには憚られる水滴が床に広がっていた。
「これ……。まずいですよね?」
「夢中だったからなあ……」
ノクスが笑ってミルティの頭を撫でる。
「あとで手伝うから、今はもう少しぎゅーってさせて? 今は君が可愛すぎてそれどころじゃない」
「でも、また、支部長とか誰か来たら……」
「大丈夫。誰も来れないように廊下に壁作っといた」
「……え⁉ それはそれで騒ぎになるんじゃ」
「大丈夫、大丈夫」
ノクスは平然と言ってのけ、ミルティをぎゅっと抱き寄せた。
「だから、もう少しだけ……君の体温を感じてたいんだ。だめ?」
ノクスの甘い囁きに、ミルティは一度視線を彷徨わせたあと、ノクスの身体を抱きしめ返した。
「だめじゃない、です……」
「……ん。ありがと」
ミルティは目を閉じたまま、ぼんやりと考える。
このあとのことを考えると頭が痛いけれど――でも今は、ミルティも彼の体温にただ包まれていたかった。
(了)
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