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【おまけ話】7の後日談 2 〜キザシの『知られたくない』夜〜
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時は少々遡り、暗刃会拠点ビルの休憩室での一件があった、その夜。
任務から帰ったキザシは、マンションの鍵を回し、靴を蹴るように脱いで部屋へ上がった。
2LDKのそこそこに広めの部屋。
ソファとローテーブル、筋トレ用のダンベルが雑に転がっている。
生活感はあるが、掃除はしてある。
それなりにキレイな独身男の家——まさにそんな空間だ。
(……疲れた)
汗を流そうとシャワーの方向へ歩きかけたが、ふとポケットのスマホが震えた。
画面をのぞくと、同僚から。
『キザシさん! ミリアの新作キタらしいんで、お知らせしときます! サンプルだけでも』
「あのバカ……」
溜息をつきつつ、スマホを置こうとして——気づけば、親指でURLをタップしていた。
開いたのは大手アダルト動画サイト。
サムネイルに映っているのは、魔法少女的な衣装に身を包んだミリア・ユマモリだ。
キザシは画面を見つめながら、わずかに眉をひそめた。
(まんま、だろ……)
見てはいけない。だめだ。と思いつつも、視線は釘付けになる。
【超絶技巧なセラピスト】✕【美乳魔法少女】~闘いの疲労を癒やしに来ただけだったのに!~
そんな煽り文句がついた動画の内容は以下の通りである。
魔法少女が激戦後に訪れたマッサージサロン。
施術師が胸のマッサージと言いながら美乳を弄び。
性感帯を暴かれ、絶頂寸前まで追い詰められながらも抵抗を試みるものの――最終的に堕ちてしまう、というものだった。
(この場合の正解はどれだよ……?)
理性と本能の狭間で逡巡しつつも、キザシの目は画面に釘付けだった。
つつ、と動いた指先がサンプル動画の再生に触れる。
最初に流れてきたのは、魔法少女姿のミリアが施術台に横たわるシーンだった。短いフレアスカートからのぞく白い太腿と、谷間が見え隠れする胸元のライン。
現実世界の魔法少女たちはそこまで露出は激しくないが、うまい具合にアレンジされた衣装だった。
施術師役の男が登場し、ミリアの肩や首を解し始める。最初は普通のマッサージだったが――。
『えっ⁉ あのっ……?』
戸惑うミリアの声。
サンプル動画だからだろう、カットが何度か入り、男の指がミリアの鎖骨をなぞり、胸元へと滑り込むシーン。
『ひっ♡ あ、のっ、そこ……はっ……んんっ♡』
男の手がミリアの衣装を掴み、胸元を広げる。
『やめ――っ!』
甲高い悲鳴とともに白い肌があらわになり、豊かな乳房がぷるんと零れ落ちる。
ミリアは両手で必死に覆い隠そうとするが、男の大きな手に簡単に払いのけられてしまう。
『んっ♡ ダメです……っ♡ おっぱいだめぇ……っ♡』
『いやっ♡ あっ♡ んんっ♡』
画面越しに伝わる熱気。
ミリアの頬は紅潮し、喘ぎ声は次第に甘さを増していく。
『相当、疲れが溜まっていますね。しっかりほぐしておかないと』
男の荒い吐息に合わせるようにミリアの喉がか細く鳴る。
『お願いっ♡ ダメっ♡ あぁんっ♡ そこばっかりぃ♡』
カメラが接写になり、形の良い胸がプルプルと震える様がアップで映し出される。その中心にはツンと尖った桜色の頂が――。
「――っ」
キザシがごくりと喉を鳴らすのと、画面が購入画面に切り替わるのはほぼ同時だった。
『新人発掘セール対象作品!』と銘打たれた動画ページ。
「セール価格……」
キザシは思わず小さく呟いていた。
サンプルだけ見て終えるつもりだった。
なのに――。
(ということはセールが終われば値段が上がる。ということだよな?)
当たり前のことを心の中で呟いて、キザシは迷うことなく決済ボタンを押していた。
キザシはいよいよ本格的にソファに腰を下ろすと、ローテーブルにスマホを置いてじっくり鑑賞しはじめた。
動画はサンプルではカットされていたミリアがマッサージサロンを見つけ、入店するところから始まり、施術師と対面でカウンセリングを受けているシーンもあった。
少し恥ずかしそうに笑う仕草がいっそうミルティに重なり、キザシは一瞬、ミルティの動画を見ているような錯覚すらした。
(あ、これ、やばいかも……)
すでに下半身に熱が溜まり始めている。
やがて施術台に案内されたミリアは、魔法少女らしいミニ丈のワンピースの裾を整えながら施術師の指示通りにうつ伏せになる。
施術師は肩、首周りをほぐしながらカウンセリングを続ける。時折挟まれる猥談めいた質問に対して初々しく返すミリア。その頬はだんだん赤みを帯びてくる。
そのあたりまできて、キザシはとうとう右手を股間に伸ばした。
スボンの上から軽く圧迫してさする。触れただけで脈動する存在を感じた。
――普段のオナニーのときの倍くらいは硬く熱く膨張しているような気がする。
これからミルティがどんな風に乱れるのか――その想像だけで十分すぎるほどの刺激だった。
そして、サンプルで見た場面も越え、しばらくしたころ。
『あ……っ♡ やっ♡ ダメです……っ♡』
ミリアは涙目になりながらも男の手を押し返そうとするが力及ばず。
『だめぇ……っ♡ そこばかり……っ♡』
『ここがいいんですね』
(ああ……くそ……)
『あ゙っ♡ んんっ♡ やっ♡ そこ……っ♡ あんっ♡ んっ♡』
(……なんだよ。この声、反則だろ)
頭では『ミルティじゃない』とわかっている。
しかし、雰囲気に加えて声も似ているのだ。
『キザシさん……♡』
耳の奥でミルティの声がする。
「あ゙~~~~……」
意志とは裏腹に、身体の方が先に反応していた。
熱と鼓動が集中したそこが、ギチギチと痛いくらいに怒張しているのが分かる。
「はっ……」
焦燥感に似た衝動が込み上げてきたキザシは慌ててベルトを外した。
すでにズボンの布地を押し上げている硬いものはパンツの中に窮屈そうに収まっている。
苦しそうに張り詰めるそれを解放してやりたくてたまらず――やがてキザシはズボンごと下着もずり下ろした。
解放された雄がぶるりと跳ね上がった。先端からは透明な蜜が溢れている。
『ほら……見てください。あなたの身体ですよ』
施術師がミリアの脚を左右に大きく開いたシーンが大写しになる。
(うわ……)
『あ゙っ♡ だめ……っ♡』
『ダメじゃないでしょ? ここ……すごく硬くなってる』
モザイクの向こうに、ぐちゃぐちゃに蕩けた秘所が見える。
愛液で濡れた割れ目を指で広げられ――ミリアは羞恥に身悶える。
「っ……は……」
親指でカリの部分を重点的に擦り上げる。自然と腰が浮き上がり、快楽の波に飲み込まれていく。
『ああっ♡ やっ♡ そんな……っ♡ ああんっ♡』
ミリアの艶っぽい声が部屋に響く。
『んんっ♡ やあぁっ♡ 気持ちいいぃっ♡』
「――っ! くそ……!」
キザシは歯噛みした。
「――ミルティ……っ」
気がつけば彼女の名前を呼んでいた。
妄想と現実の境目が曖昧になりかけている。
やがて動画の中では、ミリアが施術師に組み敷かれるシーンになった。
(ミルティ……っ!)
キザシは夢中で自身の性器を扱いた。ぬめりと熱を持った先走りが手の平に絡みついてくる。その滑らかさがさらに興奮を高めていった。
ミリアが脚を開かれ、正面から挿入される映像に――まるで自分がミルティを犯しているような錯覚に陥る。
『あ゙っ♡ あ゙ぁっ♡ ダメ……っ♡ いやぁ……っ♡』
『ふぁっ♡ んんっ♡ そこぉ……っ♡ もっとぉ……っ♡』
ミリアが施術師に突かれるたびに漏れ出る嬌声は次第に激しさを増していく。
「はっ、はっ……」
キザシの手の動きも激しさを増していく。
ぐちゅぐちゅという水音とミリアの淫らな声が重なって部屋に響く。
「あ゙~~……っ……、ミルティも、こんな、顔、すんのか……っ……?」
罪悪感にも似た疼きが走るが、快楽の波が押し流してくる。
『あ゙っ、あっ、あっ♡ イクッ♡ イッちゃううぅっ♡♡♡』
画面の中のミリアが甘く震えた瞬間――。
『キザシさっ……♡ イッちゃい、ます♡ いっしょ、にっ……♡』
キザシは息を呑んだ。
「ミルティ……ッ」
(……っ、……やべ……くる……)
喉を震わせ、ソファが軋むほど背を反らす。
頭の中はぐちゃぐちゃだった。
ミリアの顔。
ミルティの声。
混じって、溶けて――。
「~~~~ッ!」
息が途切れ、身体の奥が震える。
しばらく荒い呼吸が続いた。
静寂の部屋で、キザシはぐったりとソファに沈んだ。
「――……あ゙ー、くそ。終わったあとに冷静になるの……ほんっといやだ……」
天井を仰いで、息とともに吐き出す。
(こんなん、本人に知られたら……ガチで死ねるな……)
そんなことを思いながらも、横目でスマホを見る自分がまた嫌になる。
キザシは頭を抱えながら、ひとり密かに悶絶する夜を過ごした。
✢
翌日。
白輝会支部の受付に、黒いフードをかぶった大柄な男が現れた——キザシだ。
彼は昨夜ほぼ眠れず、目の下にかすかな隈を残していた。
原因はもちろん、ミリア・ユマモリの動画だ。
だめだ。やめようと言い聞かせながらも、あのあと3回も同じことを繰り返した。
(俺は、ほんとに……)
玄関ホールを歩きながら、キザシは己を殴りたい衝動を必死に抑えていた。
とはいえ、仕事は仕事だ。
暗刃会から白輝会へ提出する共同任務の報告書。
その確認のため、今日は白輝会を訪れることになっていた。
「あっ、キザシさん? お疲れさまです」
その声が耳に届いた瞬間、キザシは硬直した。
ギギギ、と機械のように首を回して振り向く。
そこに立っていたのは、内勤時の制服に身を包んだ魔法少女——ミルティ=クラウゼだ。
柔らかな笑顔で、手に書類ファイルを抱えている。
「今日、暗刃会から報告書が届くって聞いてたんですけど、キザシさんが持ってきてくださったんですか?」
「あっ、ああ、まあ……」
(なんで今日……よりによって今日……!)
昨日の“行為”のせいで、ミルティの顔を見るだけで胸がざわつく。
目を合わせるどころじゃない。
見たら絶対思い出す。
いやもう思い出してる。
まずい。ほんとうにまずい。
「その……ええと……」
自分でも驚くほど情けない声が漏れる。
ミルティが不思議そうに小首を傾げた。
その仕草さえも眩しくて直視できない。
「あの……大丈夫ですか? なんだか具合悪そうですけど……」
「いや、その……それは全然問題ない……」
先日の飲み会でも醜態を晒してしまったのだ。
これ以上の失態は避けたい。
「これがその報告書だ」
「では、わたし、受け取ります。ちょうど、別の書類も出しに行くところだったので」
「そうか。助かる」
キザシは必死に平静を装いながら、書類ファイルを差し出す。
ミルティも受け取るために手を伸ばし、瞬間――。
パチッ!
「――っ⁉」
静電気だ。
ほんの一瞬、衝撃とも呼べない、本当にささやかなもの。
それなのに、
「大丈夫か⁉ すまない」
キザシは咄嗟にミルティの手を握りしめていた。
細い指がびくりと跳ねる。
「えっ⁉ あの? キザシさん……? だ、大丈夫です。ええと、その、こちらこそ……すみません」
驚いたミルティの瞳が揺れる。
その潤んだ瞳を見た瞬間――。
『あぁっ♡ キザシさん……っ♡ もっとぉ……っ♡』
――妄想の中で何度も聞いた声が鮮明に蘇った。
「~~~~っ! すっ、すまない!」
パッと手を離す。
まるで火傷でもしたみたいに後ずさるキザシを、ミルティはぽかんと見つめていた。
「いやっ……これは……その……違う! 誤解だ!」
自分でも何を言ってるのか分からないまま弁解してしまう。
(なにやってんだ俺は!)
あまりの気まずさに耐えきれず、キザシは踵を返した。
「報告書は頼む。やはり、あんたの言う通り、体調が優れないのかもしれない。――俺はこれで失礼する」
「えっ⁉ あ! はい。お大事になさってくださいね」
ミルティの声を背中に聞きながらも足早にエントランスを抜ける。
ガラス扉を出て、しばらくそのまま歩き続けた。
「あ゙~~~~っ!!」
建物の陰まで来て、キザシはその場にしゃがみ込む。
「帰りたい……」
情けない声が出た。
と、そこで車を停めたのが地下駐車場だったことを思い出す。
慌ててエントランスを飛び出したが、車までたどり着くにはエレベーターか階段を使わなければならない。
どちらもエントランスを抜けなければ行けないわけだが――。
「…………今、行ったらまだいるよな」
キザシはしばらくの間、出入り口近くの植え込みの影で気配を殺すこととなった。
任務から帰ったキザシは、マンションの鍵を回し、靴を蹴るように脱いで部屋へ上がった。
2LDKのそこそこに広めの部屋。
ソファとローテーブル、筋トレ用のダンベルが雑に転がっている。
生活感はあるが、掃除はしてある。
それなりにキレイな独身男の家——まさにそんな空間だ。
(……疲れた)
汗を流そうとシャワーの方向へ歩きかけたが、ふとポケットのスマホが震えた。
画面をのぞくと、同僚から。
『キザシさん! ミリアの新作キタらしいんで、お知らせしときます! サンプルだけでも』
「あのバカ……」
溜息をつきつつ、スマホを置こうとして——気づけば、親指でURLをタップしていた。
開いたのは大手アダルト動画サイト。
サムネイルに映っているのは、魔法少女的な衣装に身を包んだミリア・ユマモリだ。
キザシは画面を見つめながら、わずかに眉をひそめた。
(まんま、だろ……)
見てはいけない。だめだ。と思いつつも、視線は釘付けになる。
【超絶技巧なセラピスト】✕【美乳魔法少女】~闘いの疲労を癒やしに来ただけだったのに!~
そんな煽り文句がついた動画の内容は以下の通りである。
魔法少女が激戦後に訪れたマッサージサロン。
施術師が胸のマッサージと言いながら美乳を弄び。
性感帯を暴かれ、絶頂寸前まで追い詰められながらも抵抗を試みるものの――最終的に堕ちてしまう、というものだった。
(この場合の正解はどれだよ……?)
理性と本能の狭間で逡巡しつつも、キザシの目は画面に釘付けだった。
つつ、と動いた指先がサンプル動画の再生に触れる。
最初に流れてきたのは、魔法少女姿のミリアが施術台に横たわるシーンだった。短いフレアスカートからのぞく白い太腿と、谷間が見え隠れする胸元のライン。
現実世界の魔法少女たちはそこまで露出は激しくないが、うまい具合にアレンジされた衣装だった。
施術師役の男が登場し、ミリアの肩や首を解し始める。最初は普通のマッサージだったが――。
『えっ⁉ あのっ……?』
戸惑うミリアの声。
サンプル動画だからだろう、カットが何度か入り、男の指がミリアの鎖骨をなぞり、胸元へと滑り込むシーン。
『ひっ♡ あ、のっ、そこ……はっ……んんっ♡』
男の手がミリアの衣装を掴み、胸元を広げる。
『やめ――っ!』
甲高い悲鳴とともに白い肌があらわになり、豊かな乳房がぷるんと零れ落ちる。
ミリアは両手で必死に覆い隠そうとするが、男の大きな手に簡単に払いのけられてしまう。
『んっ♡ ダメです……っ♡ おっぱいだめぇ……っ♡』
『いやっ♡ あっ♡ んんっ♡』
画面越しに伝わる熱気。
ミリアの頬は紅潮し、喘ぎ声は次第に甘さを増していく。
『相当、疲れが溜まっていますね。しっかりほぐしておかないと』
男の荒い吐息に合わせるようにミリアの喉がか細く鳴る。
『お願いっ♡ ダメっ♡ あぁんっ♡ そこばっかりぃ♡』
カメラが接写になり、形の良い胸がプルプルと震える様がアップで映し出される。その中心にはツンと尖った桜色の頂が――。
「――っ」
キザシがごくりと喉を鳴らすのと、画面が購入画面に切り替わるのはほぼ同時だった。
『新人発掘セール対象作品!』と銘打たれた動画ページ。
「セール価格……」
キザシは思わず小さく呟いていた。
サンプルだけ見て終えるつもりだった。
なのに――。
(ということはセールが終われば値段が上がる。ということだよな?)
当たり前のことを心の中で呟いて、キザシは迷うことなく決済ボタンを押していた。
キザシはいよいよ本格的にソファに腰を下ろすと、ローテーブルにスマホを置いてじっくり鑑賞しはじめた。
動画はサンプルではカットされていたミリアがマッサージサロンを見つけ、入店するところから始まり、施術師と対面でカウンセリングを受けているシーンもあった。
少し恥ずかしそうに笑う仕草がいっそうミルティに重なり、キザシは一瞬、ミルティの動画を見ているような錯覚すらした。
(あ、これ、やばいかも……)
すでに下半身に熱が溜まり始めている。
やがて施術台に案内されたミリアは、魔法少女らしいミニ丈のワンピースの裾を整えながら施術師の指示通りにうつ伏せになる。
施術師は肩、首周りをほぐしながらカウンセリングを続ける。時折挟まれる猥談めいた質問に対して初々しく返すミリア。その頬はだんだん赤みを帯びてくる。
そのあたりまできて、キザシはとうとう右手を股間に伸ばした。
スボンの上から軽く圧迫してさする。触れただけで脈動する存在を感じた。
――普段のオナニーのときの倍くらいは硬く熱く膨張しているような気がする。
これからミルティがどんな風に乱れるのか――その想像だけで十分すぎるほどの刺激だった。
そして、サンプルで見た場面も越え、しばらくしたころ。
『あ……っ♡ やっ♡ ダメです……っ♡』
ミリアは涙目になりながらも男の手を押し返そうとするが力及ばず。
『だめぇ……っ♡ そこばかり……っ♡』
『ここがいいんですね』
(ああ……くそ……)
『あ゙っ♡ んんっ♡ やっ♡ そこ……っ♡ あんっ♡ んっ♡』
(……なんだよ。この声、反則だろ)
頭では『ミルティじゃない』とわかっている。
しかし、雰囲気に加えて声も似ているのだ。
『キザシさん……♡』
耳の奥でミルティの声がする。
「あ゙~~~~……」
意志とは裏腹に、身体の方が先に反応していた。
熱と鼓動が集中したそこが、ギチギチと痛いくらいに怒張しているのが分かる。
「はっ……」
焦燥感に似た衝動が込み上げてきたキザシは慌ててベルトを外した。
すでにズボンの布地を押し上げている硬いものはパンツの中に窮屈そうに収まっている。
苦しそうに張り詰めるそれを解放してやりたくてたまらず――やがてキザシはズボンごと下着もずり下ろした。
解放された雄がぶるりと跳ね上がった。先端からは透明な蜜が溢れている。
『ほら……見てください。あなたの身体ですよ』
施術師がミリアの脚を左右に大きく開いたシーンが大写しになる。
(うわ……)
『あ゙っ♡ だめ……っ♡』
『ダメじゃないでしょ? ここ……すごく硬くなってる』
モザイクの向こうに、ぐちゃぐちゃに蕩けた秘所が見える。
愛液で濡れた割れ目を指で広げられ――ミリアは羞恥に身悶える。
「っ……は……」
親指でカリの部分を重点的に擦り上げる。自然と腰が浮き上がり、快楽の波に飲み込まれていく。
『ああっ♡ やっ♡ そんな……っ♡ ああんっ♡』
ミリアの艶っぽい声が部屋に響く。
『んんっ♡ やあぁっ♡ 気持ちいいぃっ♡』
「――っ! くそ……!」
キザシは歯噛みした。
「――ミルティ……っ」
気がつけば彼女の名前を呼んでいた。
妄想と現実の境目が曖昧になりかけている。
やがて動画の中では、ミリアが施術師に組み敷かれるシーンになった。
(ミルティ……っ!)
キザシは夢中で自身の性器を扱いた。ぬめりと熱を持った先走りが手の平に絡みついてくる。その滑らかさがさらに興奮を高めていった。
ミリアが脚を開かれ、正面から挿入される映像に――まるで自分がミルティを犯しているような錯覚に陥る。
『あ゙っ♡ あ゙ぁっ♡ ダメ……っ♡ いやぁ……っ♡』
『ふぁっ♡ んんっ♡ そこぉ……っ♡ もっとぉ……っ♡』
ミリアが施術師に突かれるたびに漏れ出る嬌声は次第に激しさを増していく。
「はっ、はっ……」
キザシの手の動きも激しさを増していく。
ぐちゅぐちゅという水音とミリアの淫らな声が重なって部屋に響く。
「あ゙~~……っ……、ミルティも、こんな、顔、すんのか……っ……?」
罪悪感にも似た疼きが走るが、快楽の波が押し流してくる。
『あ゙っ、あっ、あっ♡ イクッ♡ イッちゃううぅっ♡♡♡』
画面の中のミリアが甘く震えた瞬間――。
『キザシさっ……♡ イッちゃい、ます♡ いっしょ、にっ……♡』
キザシは息を呑んだ。
「ミルティ……ッ」
(……っ、……やべ……くる……)
喉を震わせ、ソファが軋むほど背を反らす。
頭の中はぐちゃぐちゃだった。
ミリアの顔。
ミルティの声。
混じって、溶けて――。
「~~~~ッ!」
息が途切れ、身体の奥が震える。
しばらく荒い呼吸が続いた。
静寂の部屋で、キザシはぐったりとソファに沈んだ。
「――……あ゙ー、くそ。終わったあとに冷静になるの……ほんっといやだ……」
天井を仰いで、息とともに吐き出す。
(こんなん、本人に知られたら……ガチで死ねるな……)
そんなことを思いながらも、横目でスマホを見る自分がまた嫌になる。
キザシは頭を抱えながら、ひとり密かに悶絶する夜を過ごした。
✢
翌日。
白輝会支部の受付に、黒いフードをかぶった大柄な男が現れた——キザシだ。
彼は昨夜ほぼ眠れず、目の下にかすかな隈を残していた。
原因はもちろん、ミリア・ユマモリの動画だ。
だめだ。やめようと言い聞かせながらも、あのあと3回も同じことを繰り返した。
(俺は、ほんとに……)
玄関ホールを歩きながら、キザシは己を殴りたい衝動を必死に抑えていた。
とはいえ、仕事は仕事だ。
暗刃会から白輝会へ提出する共同任務の報告書。
その確認のため、今日は白輝会を訪れることになっていた。
「あっ、キザシさん? お疲れさまです」
その声が耳に届いた瞬間、キザシは硬直した。
ギギギ、と機械のように首を回して振り向く。
そこに立っていたのは、内勤時の制服に身を包んだ魔法少女——ミルティ=クラウゼだ。
柔らかな笑顔で、手に書類ファイルを抱えている。
「今日、暗刃会から報告書が届くって聞いてたんですけど、キザシさんが持ってきてくださったんですか?」
「あっ、ああ、まあ……」
(なんで今日……よりによって今日……!)
昨日の“行為”のせいで、ミルティの顔を見るだけで胸がざわつく。
目を合わせるどころじゃない。
見たら絶対思い出す。
いやもう思い出してる。
まずい。ほんとうにまずい。
「その……ええと……」
自分でも驚くほど情けない声が漏れる。
ミルティが不思議そうに小首を傾げた。
その仕草さえも眩しくて直視できない。
「あの……大丈夫ですか? なんだか具合悪そうですけど……」
「いや、その……それは全然問題ない……」
先日の飲み会でも醜態を晒してしまったのだ。
これ以上の失態は避けたい。
「これがその報告書だ」
「では、わたし、受け取ります。ちょうど、別の書類も出しに行くところだったので」
「そうか。助かる」
キザシは必死に平静を装いながら、書類ファイルを差し出す。
ミルティも受け取るために手を伸ばし、瞬間――。
パチッ!
「――っ⁉」
静電気だ。
ほんの一瞬、衝撃とも呼べない、本当にささやかなもの。
それなのに、
「大丈夫か⁉ すまない」
キザシは咄嗟にミルティの手を握りしめていた。
細い指がびくりと跳ねる。
「えっ⁉ あの? キザシさん……? だ、大丈夫です。ええと、その、こちらこそ……すみません」
驚いたミルティの瞳が揺れる。
その潤んだ瞳を見た瞬間――。
『あぁっ♡ キザシさん……っ♡ もっとぉ……っ♡』
――妄想の中で何度も聞いた声が鮮明に蘇った。
「~~~~っ! すっ、すまない!」
パッと手を離す。
まるで火傷でもしたみたいに後ずさるキザシを、ミルティはぽかんと見つめていた。
「いやっ……これは……その……違う! 誤解だ!」
自分でも何を言ってるのか分からないまま弁解してしまう。
(なにやってんだ俺は!)
あまりの気まずさに耐えきれず、キザシは踵を返した。
「報告書は頼む。やはり、あんたの言う通り、体調が優れないのかもしれない。――俺はこれで失礼する」
「えっ⁉ あ! はい。お大事になさってくださいね」
ミルティの声を背中に聞きながらも足早にエントランスを抜ける。
ガラス扉を出て、しばらくそのまま歩き続けた。
「あ゙~~~~っ!!」
建物の陰まで来て、キザシはその場にしゃがみ込む。
「帰りたい……」
情けない声が出た。
と、そこで車を停めたのが地下駐車場だったことを思い出す。
慌ててエントランスを飛び出したが、車までたどり着くにはエレベーターか階段を使わなければならない。
どちらもエントランスを抜けなければ行けないわけだが――。
「…………今、行ったらまだいるよな」
キザシはしばらくの間、出入り口近くの植え込みの影で気配を殺すこととなった。
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