choice

陽芹孝介

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第一章 接触そして……

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  九条のオフィスを引続き調査をしているが、他に手掛かりはなかった。
  歩が言った。
 「それにしても九条はどうして、このアドレスにアクセスできた?俺たちのように、紙切れを?」
  葵が言った。
 「おそらくこれでしょう……見て下さい」
  葵は歩にPCを見せた。
 「これは……」
 「メールが届いていますね…『親愛なる九条司へ…Aより』アドレスが添付してあります。送信元のメールアドレスは……もう使えなくしてありますね…」
  歩が言った。
 「まぁ……開けちゃうよね…」
  葵も同意した。
 「僕も……開けますねぇ…」
  歩が言った。
 「じゃあ……そろそろ、撤収しますか……」
 「そうですね……。これ以上ここには手掛かりは無さそうです」
  葵は部屋の隅々をカメラに納めている五月に言った。
 「そろそろ帰りますよ…」
 「えっ?もう帰るの?有名人の九条司のオフィスを撮るなんて、めったに出来ないのに…」
  五月は残念そうだが、葵は気にすることなく言った。
 「困った人ですね……あまり良い趣味では無いですよ…」
 「ぐっ、わ、わかったよっ!で?次は?」
  葵はとぼけたように言った。
 「次とはなんです?もう解散ですよ…」
 「撮った写真を見るんじゃ?」
 「あぁ……写真ですか?写真を撮らせといたら、あなたがおとなしくしてくれると思いましてね…」
 「あんた……まさか…」
 「ええ……おかげで邪魔なく、スムーズに調査ができましたよ…」
  五月はまたもや激昂した。
 「つ、月島 葵~っ!あんた私を、騙したのねっ!」
  五月は怒り狂っている。
  すかさず歩が五月を落ち着かせる。
 「まぁまぁ……九条のオフィスの写真も撮れたんだから……めったに出来ないよ…」
  歩の言葉に五月は少し落ち着きを取り戻した。
 「まぁ…確かに…」
  葵が言った。
 「とにかく、出ましょう……。会社の人達にも迷惑です…」
  そうして3人は、オフィスの社員らに礼を言い、オフィスを出た。
  オフィスを後にした3人は、オフィス街を歩いていた。
  葵が五月に言った。
 「あなたはもういいでしょう……。そろそろ帰ったらどうです?」
 「11時に何かあるんでしょう?帰るわけないじゃないっ!」
 「あなたもわからない人だ……。迷惑ですよ…」
 「なに~っ!」
  またまた歩が間に入る。
 「まあまあ、二人とも……とりあえず五月ちゃんはもう帰ってよ…」
 「歩さんまで……なにを……」
  歩は五月に提案した。
 「そのかわり、明日……君が知りたがっている事を、教えるから……。そうだなぁ…明日の正午に東鷹医大の喫茶店まで来てよ」
  五月は少し悩んで言った。
 「う~ん、わかりました。そのかわり絶対教えて下さいよ…」
 「それでいいかい?葵君?」
  葵は渋々答えた。
 「仕方ないですね……わかりました」
  五月は納得した。
 「よっし!月島葵……明日は逃げんなよっ!」
  そう言うと五月は「また明日」と言い、帰って行った。
  葵は呟いた。
 「僕は……逃げも隠れもした事はありませんけど。しかし、えらく素直に帰りましたねぇ…」  
  歩もホッとした表情で言った。
 「素直に帰ってくれて良かったよ…」
 「しかし、彼女は明日どのような反応を、するのでしょうか…」
 「呆気にとられるかもね……待ち合わせ場所にきたら、俺達…昏睡状態だもん…」
 「それを見て、火が着かなければいいのですが…」
  歩が言った。
 「とにかく、11時までまだ時間がある…」
  葵は時計を見て言った。
 「まだ5時過ぎですねぇ……。一度家に戻って、持ってきたい物があるのですが…」
 「そうだね……。じゃあ昨日、晩飯食った店で待っとくわ…」
 「わかりました……。では、また後で…」
  葵の帰り間際に歩が言った。
 「葵君……別に来なくてもいいからな…」
  葵は振り向いて、そして少しにやけて言った。
 「まさか……」


  ……午後七時……

 「なるほどな……取りに戻ったのはそれか」
  歩は葵が持ってきたノートパソコンを見て、納得した。
  「無線LAN付きですから、何処にいてもアクセスできます…」
  「ここでやるのかい?」
  「いえ、店に迷惑をかけるわけにいきません。お会計を済まして、別の場所へ…」
 「何処でやるの?」
 「東鷹医大に行きましょう…」
 「なるほどね……皆で仲良く昏睡ってわけか」
 「それもありますが……ストーカーさんを待ちぼうけさすわけにも、いきませんから」
 「確かに……。まぁさすがの彼女も、異常に気付くだろ…」
  二人は適当に食事を済ませ、東鷹医大に向かった。
  指定時間が迫るなか、二人は夜の病院に到着した。さすがに夜もあってか、病院は静かだ。
  二人は深夜の喫茶店へ行った。何故か喫茶店はまだ営業している。
  歩が言った。
 「ここ医師も来るから、遅くまで営業してんだよ…」
  席についた二人はそれぞれ注文をした。
  葵はいつものアイスカフェラテ、歩はホットコーヒーをそれぞれ頼んだ。
  時間が迫るなか、歩の表情に緊張感があるのがわかる。
  葵はPCで何かをタイピングをしている。
 「葵君……何してるの?」
 「書き置きです…」
 「書き置き?」  
 「ええ…もう終わりました…」
 「まさか遺書とか言わないよね…」
  歩は冗談混じりに葵に言うと、葵は口角を上げて言った。
 「さぁ……どうでしょうか…」
  歩は不器用に思って言った。
 「冗談やめてよ」
 「そろそろ時間です……。僕の隣へ…」
  時刻は22時57分……指定の時刻まで後3分。
  歩が隣に座ったのを確認すると、葵はアドレスを打ち込んだ。
 「11時になったら、enterキーを押します…」
  時刻は迫ってくる…。
  残り……10秒、9.8.7.6.5.4.3.2.1……。
  葵はenterキーを押した。
  すると画面から『あの白い光』が発せられた。

  光からの闇…。

  あの時と同じ……。

  意識が朦朧とする……。

  あれが始まった……。皆は無事だろうか?

  意識が……なく……な……る………。
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