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母のプライド
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俺…何やってんだ⁈
一瞬 此処が何処なのか…記憶がすっ飛んでた。
やっちまったか…
古めかしい内装、何かじめっとしたカビ臭い空気。
薄暗い部屋の真ん中に置かれたベッドの上で横になっている…
はぁ! あり得ないだろ! 何だコレッ
見たくないモノが視界に入った。
…… 双葉… オマエェェ
寝息をたてて 寝ている 双葉。
ウソだろっ
俺は無意識に ち○こを確認した。
パンツは履いてる!
このチビが 俺を裸にして…ヤッタあと …パンツを穿かすか?
無い無い
おぞましい双葉の寝顔を見ないようにしながら 脱ぎ散らかした服をかき集めた。
このまま トンズラして 無かった事にするか…
いや 双葉は さらにまとわりつき 俺の女を気取るっ
絶対やばい…
俺は服を着ながら 何故こうなったか…記憶を引きずり出す。
……
「なっ何ですって! 進学しないって…どう言う事?ヒカルさんっ 説明して頂戴っ」
予想通り 16違いの母は狼狽えている。
眉を寄せて 怒りと悲しみと失望が母の頭の中に渦巻いているだろう表情。
母は 目的もない俺に大学に行かせて何をさせたいのだろうか?
せめて 今まで俺を育ててくれた母に 恩を返すとしたら、母の思いに答える事しか 18の俺には出来ないよな…
暫く母の顔を眺めて そんな事を考えていたら、はらはらと母の瞳から涙が溢れてきた。
どんな窮地も 笑顔で乗り切ってきた、決して息子の前で涙を見せた事の無い母が 今 目の前で泣いている。
泣かしているのは … 俺か?
「 お母さん、何故泣くんですか? 大学なんていつだって行けますよ! ただ 目的無く大学行っても無駄だと言っているんです。
将来何で飯食って行きたいのか、俺 まだわからないんですよっ 目標を見つけてからでも 遅くは無いでしょ?ねえ お母さんっ」
優しく労わる言葉が見つからない。
母が俺に何を望んでいるのか…
「あなたには わからない…お父さんは私やあなたを本当に愛してくれているわ…それだけで生きていけるなら……何もかもお母さんが悪いのよ、わかってる… 悪いのは私…」
うわーっ とうとう机に突っ伏して 本格的悲嘆モードに入ってしまった。
1人息子の俺だが 母の、女性の機微を理解できる程 人間が完成しているわけがない。
ここは 親父に 助けてもらうか…
あ〝~ そうすると…
「わっわかりましたっ!お母さんっ 大学に行きますっ
取り敢えず、受験します」
母はげんきんなもので、
「ヒカルさんっ 本当ねっ! 行ってくれるのね!」
泣き腫らした母の顔に明るさが戻った。
とりあえず、今の実力で確実に合格する地方の文系大学を受験すれば、母も納得するだろうと甘い考えだった。
「ヒカルさん!早速家庭教師を付けて 予備校も行って頂戴。本宅の御長男はK大学の医学部のご卒業なのよっ あなたもそれに並ぶ大学に入って頂戴っ お母さんの一生に一度きりのお願いよっ」
ハァ~ッ とんでも無い事になった…
医者になれ とか言い出すなよ! 本宅と張り合うって…どうかしてるぞっ…
何があったんだ…
「お母さん、医者になれ…とかは 無しにしてください。異母兄が卒業した大学レベルと同等の大学は受験しますが、受かる可能性もあるかどうか… 流石に医者には全く興味ありませんから! そこは 、お母さんっ 勘弁してください。」
やっと思い出した。
そのあと、散々 血筋がどうだの、氏素性がどうだの…と、父の愛人になった事で 母は若い頃から本妻に蔑まれ、上級国民である本宅の親戚筋や交遊関係者からも疎外されてきた。
もし、産んだ子供が男で無く 女だったら…そこまで惨めな思いをする事も無かったかもしれなかった。
つまり、俺が異母兄の上を行く事が 母の本宅への宣戦布告なのだ…
マジかっ!
…と言う訳で、
母の一生に一度きりの願いを 引き受けてしまった自分自身の愚かさに…自暴自棄と化して やばい行動をしたらしい。
今ごろ 警察のお世話になって 母の一生の願いはおろか、自分の将来も棒に振る羽目になっていたかもしれない。
双葉が現場に出くわさなかったら…
双葉は相変わらず、時折イビキをかいて熟睡している。
…まいったなぁ… 取り敢えず、泥酔状態の俺をどうやって
ラブホに引っ張り込んだのやら…
待て待て、マジで双葉に手を出してないよな…
俺は再び股間に手を突っ込んで、パンツが湿気って無いか? ち○こに 形跡がないか 手探りで確かめて、
今、風呂で全身調べたい衝動をかろうじて押し殺した。 双葉が起きたら、ややこしい思い込みをされかねない。
しかし…だ、双葉の寝顔を何処からどう見ても…ムラムラしない。
たぶん ま○こをおっ広げられても 金髪のAVお姉さんの大開脚の方がまだマシかも…
とにかく 双葉を起こす事にした。
面倒くさい双葉との やり取りは割愛させていただく。
結局のところ 双葉曰く、
「早瀬君にハグされて、私はめちゃくちゃ報われたよ…でも早瀬君酔っ払って 手当たり次第に当たり散らすから大変だったわ。たまたまこのラブホの前だったから、飛び込んだのよっ! でも私達 生徒指導の巡回やお巡りさんに見つかったら2人とも 退学? うふっ 早瀬君と一緒なら どうなっても平気!」
双葉には 手を出してないらしい。
正気を失っても 本能が自制した。ち○こは反応しなかった。
取り敢えず タクシーをフロントに手配させて、まだ明け方の薄暗闇の中 双葉を先に帰らせた。
俺は と言うと…今更ジタバタしても同級生とラブホに入った事実は消せない。…二度寝してからチェックアウトした。
俺が大学受験すると返事した途端の母の行動は凄まじかった。
元々おばあちゃんが花街で顔が広かっただけでなく、母も黒崎総合病院院長の〝別宅〟と言う暗黙の了解のような強力なコネをフル活用してありとあらゆる入試合格請負人を手配して俺の退路は完全に断たれた。
※大学共通一次試験目前の ある日。
俺は、堂々と母に宣言した。
「お母さん、T大の医学部を受験します。もし本試験で合格したら、とりあえず この家と本家から解放して下さい。
医学部合格を果たせたら お母さんのプライドも、早瀬の血筋も上等だと証明できるでしょう? あとは 俺の好きなようにさせて下さい」
共通一次の結果次第だが T大に合格できれば使命は果たせる。
入学辞退して 日本脱出するぜ。
母に俺が出した条件を無理やり呑ませた。
※1979年から11年間実施された国公立大受験の足切り制度。
一瞬 此処が何処なのか…記憶がすっ飛んでた。
やっちまったか…
古めかしい内装、何かじめっとしたカビ臭い空気。
薄暗い部屋の真ん中に置かれたベッドの上で横になっている…
はぁ! あり得ないだろ! 何だコレッ
見たくないモノが視界に入った。
…… 双葉… オマエェェ
寝息をたてて 寝ている 双葉。
ウソだろっ
俺は無意識に ち○こを確認した。
パンツは履いてる!
このチビが 俺を裸にして…ヤッタあと …パンツを穿かすか?
無い無い
おぞましい双葉の寝顔を見ないようにしながら 脱ぎ散らかした服をかき集めた。
このまま トンズラして 無かった事にするか…
いや 双葉は さらにまとわりつき 俺の女を気取るっ
絶対やばい…
俺は服を着ながら 何故こうなったか…記憶を引きずり出す。
……
「なっ何ですって! 進学しないって…どう言う事?ヒカルさんっ 説明して頂戴っ」
予想通り 16違いの母は狼狽えている。
眉を寄せて 怒りと悲しみと失望が母の頭の中に渦巻いているだろう表情。
母は 目的もない俺に大学に行かせて何をさせたいのだろうか?
せめて 今まで俺を育ててくれた母に 恩を返すとしたら、母の思いに答える事しか 18の俺には出来ないよな…
暫く母の顔を眺めて そんな事を考えていたら、はらはらと母の瞳から涙が溢れてきた。
どんな窮地も 笑顔で乗り切ってきた、決して息子の前で涙を見せた事の無い母が 今 目の前で泣いている。
泣かしているのは … 俺か?
「 お母さん、何故泣くんですか? 大学なんていつだって行けますよ! ただ 目的無く大学行っても無駄だと言っているんです。
将来何で飯食って行きたいのか、俺 まだわからないんですよっ 目標を見つけてからでも 遅くは無いでしょ?ねえ お母さんっ」
優しく労わる言葉が見つからない。
母が俺に何を望んでいるのか…
「あなたには わからない…お父さんは私やあなたを本当に愛してくれているわ…それだけで生きていけるなら……何もかもお母さんが悪いのよ、わかってる… 悪いのは私…」
うわーっ とうとう机に突っ伏して 本格的悲嘆モードに入ってしまった。
1人息子の俺だが 母の、女性の機微を理解できる程 人間が完成しているわけがない。
ここは 親父に 助けてもらうか…
あ〝~ そうすると…
「わっわかりましたっ!お母さんっ 大学に行きますっ
取り敢えず、受験します」
母はげんきんなもので、
「ヒカルさんっ 本当ねっ! 行ってくれるのね!」
泣き腫らした母の顔に明るさが戻った。
とりあえず、今の実力で確実に合格する地方の文系大学を受験すれば、母も納得するだろうと甘い考えだった。
「ヒカルさん!早速家庭教師を付けて 予備校も行って頂戴。本宅の御長男はK大学の医学部のご卒業なのよっ あなたもそれに並ぶ大学に入って頂戴っ お母さんの一生に一度きりのお願いよっ」
ハァ~ッ とんでも無い事になった…
医者になれ とか言い出すなよ! 本宅と張り合うって…どうかしてるぞっ…
何があったんだ…
「お母さん、医者になれ…とかは 無しにしてください。異母兄が卒業した大学レベルと同等の大学は受験しますが、受かる可能性もあるかどうか… 流石に医者には全く興味ありませんから! そこは 、お母さんっ 勘弁してください。」
やっと思い出した。
そのあと、散々 血筋がどうだの、氏素性がどうだの…と、父の愛人になった事で 母は若い頃から本妻に蔑まれ、上級国民である本宅の親戚筋や交遊関係者からも疎外されてきた。
もし、産んだ子供が男で無く 女だったら…そこまで惨めな思いをする事も無かったかもしれなかった。
つまり、俺が異母兄の上を行く事が 母の本宅への宣戦布告なのだ…
マジかっ!
…と言う訳で、
母の一生に一度きりの願いを 引き受けてしまった自分自身の愚かさに…自暴自棄と化して やばい行動をしたらしい。
今ごろ 警察のお世話になって 母の一生の願いはおろか、自分の将来も棒に振る羽目になっていたかもしれない。
双葉が現場に出くわさなかったら…
双葉は相変わらず、時折イビキをかいて熟睡している。
…まいったなぁ… 取り敢えず、泥酔状態の俺をどうやって
ラブホに引っ張り込んだのやら…
待て待て、マジで双葉に手を出してないよな…
俺は再び股間に手を突っ込んで、パンツが湿気って無いか? ち○こに 形跡がないか 手探りで確かめて、
今、風呂で全身調べたい衝動をかろうじて押し殺した。 双葉が起きたら、ややこしい思い込みをされかねない。
しかし…だ、双葉の寝顔を何処からどう見ても…ムラムラしない。
たぶん ま○こをおっ広げられても 金髪のAVお姉さんの大開脚の方がまだマシかも…
とにかく 双葉を起こす事にした。
面倒くさい双葉との やり取りは割愛させていただく。
結局のところ 双葉曰く、
「早瀬君にハグされて、私はめちゃくちゃ報われたよ…でも早瀬君酔っ払って 手当たり次第に当たり散らすから大変だったわ。たまたまこのラブホの前だったから、飛び込んだのよっ! でも私達 生徒指導の巡回やお巡りさんに見つかったら2人とも 退学? うふっ 早瀬君と一緒なら どうなっても平気!」
双葉には 手を出してないらしい。
正気を失っても 本能が自制した。ち○こは反応しなかった。
取り敢えず タクシーをフロントに手配させて、まだ明け方の薄暗闇の中 双葉を先に帰らせた。
俺は と言うと…今更ジタバタしても同級生とラブホに入った事実は消せない。…二度寝してからチェックアウトした。
俺が大学受験すると返事した途端の母の行動は凄まじかった。
元々おばあちゃんが花街で顔が広かっただけでなく、母も黒崎総合病院院長の〝別宅〟と言う暗黙の了解のような強力なコネをフル活用してありとあらゆる入試合格請負人を手配して俺の退路は完全に断たれた。
※大学共通一次試験目前の ある日。
俺は、堂々と母に宣言した。
「お母さん、T大の医学部を受験します。もし本試験で合格したら、とりあえず この家と本家から解放して下さい。
医学部合格を果たせたら お母さんのプライドも、早瀬の血筋も上等だと証明できるでしょう? あとは 俺の好きなようにさせて下さい」
共通一次の結果次第だが T大に合格できれば使命は果たせる。
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