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江戸城中奥詮議の場
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その頃 江戸城中奥では 下前田藩家老 岩井弾膳の配下数名を御庭番衆が捕らえ、厳しい詮議の末 神鶴藩の隠し金山の在処を突き止めさらに密かに新たな金鉱脈を掘り当てている事まで情報を押さえた。
「岩井の詮議はいつじゃっ」
吉宗は加納久通 有馬氏倫 両名の御側御用取次と、表向きは南町奉行職を奉じる大岡忠相を呼び立てていた。
「上様 恐れながら焦りは禁物かと‥岩井弾膳と言う男は兎にも角にも己れに火の粉が飛ばぬよう何重にも配下を巡らし 己れのみ1番甘い汁を啜っているような輩。かの御側用人間部様とて 莫大な富を、岩井ごときがまさか懐深くに収めていようなどとは 夢にも思い及ばない巧妙さ‥ これほど迄の悪どき輩 逃げ場を全て抑えた上 情け無用のお裁きが寛容かと‥」
大岡忠相の奏上に
「忠相っ お主を見ておると腹が立って仕方がないわっ、しのごの言わず 斬首っ 斬首じゃ!」
「有馬っ そちは黙っておれっ 詮議の邪魔を致すで無いっ」
吉宗の一喝で 直情型の有馬氏倫は口を真一文字に結び だんまりを決め込む。
「加納‥して、例の神鶴の浪人共は如何した?」
吉宗は、藩主直胤の謹慎に関与した奥方を抱き込み下前田の傀儡と成り果てた藩政に異を唱え脱藩した水埜彦四郎他の元藩士の行方を問いただした。
「上様ぁ‥我をお試しあるか、お人が悪い。根来の狛鼠共から 仔細報告は我ら幕閣より早く上様の御耳に届いていようものを‥」
久通は紀州次代から吉宗と共に加納家にて寝食を供にしていた為 他の御側衆よりも吉宗に対しては馴れ馴れしく接する。
吉宗は紀州より直々に選り優りの根来衆精鋭を身辺に常に侍らせていた。
「たわけ者めっ 加納っ、もうろくしよってっ
余が聴きたいのは 奥越の由宇姫の行方じゃっ‥ 由宇には何の落ち度も無い。 騒動に巻き込まれ不憫でならぬ‥」
吉宗はまだ新之助を名乗っていた頃、藩主で父君光貞公の参勤交代に伴い江戸城で時の将軍綱吉から越前丹生郡の3万石を拝領。吉宗は十代で葛野藩の藩主となった。しかし吉宗自身が葛野藩に下向するのでは無く側近を遣わし藩政を取り仕切りさせたが3万石とは名ばかりの不毛の地であったことから隣国の奥越藩主結城勝兼に北国の藩運営の教えを乞うていた。 そのやりとりが信頼を生み由宇姫との縁が生じた。しかし、その後吉宗の親兄弟が次々と落命し紀州55万石は四男の吉宗が家督相続する事になった。紀州の家督相続のゴタゴタの間に奥越藩は跡継ぎが決まらず 幕府召し上げ 領地替えとなった。
頼方を名乗っている頃、奥越藩に下向した事があり その時に僅か5歳の由宇姫と会っていた。
紀州藩の家督を継がなければ、部屋住のところ由宇姫と婚儀をかわしていたなら 葛山藩主奥方の由宇姫が神隠し遭う事も、奥越藩の領地没収もまぬがれたかもしれない。
※吉宗14歳頃です。由宇姫と9歳差 縁談成立しとけばなぁ…
🙄!しかし、そうなると吉宗の運命変わっちゃうよね
「上様、恐れながら忠相めの配下が由宇姫様の行方を突き止めたよしにございます。」
大岡忠相の情勢を読む力は持って生まれた才能としかいいようが無い。
「忠相 苦しゅうない 申せっ」
吉宗は身を乗り出す勢いで 忠相の報告を注視した。
「やはり、ご推察通り由宇姫様神隠しは 下前田の岩井が深く関与しております。岩井弾膳配下の忍びが、由宇姫様を拐かし岩井の指示を待って始末せんと下前田のとある場所にて姫様を、軟禁していたご様子。しかし、由宇姫様 お見かけによらず勇ましく、ご自身で隙を見て逃げ出したところ たまたま神鶴藩元江戸詰家老で下前田城下で剣術道場を開いていた猿渡頼母殿に助けられたとの事。しかし時すでに岩井弾膳配下の者にお命狙われしお二人。猿渡殿は 脱藩した水埜等と連絡を取りながら由宇姫様と鬼ケ沢岳の深山に隠れ申した。その時既に由宇姫ご懐妊の兆し。猿渡殿は例の水埜他配下の助けで無事由宇姫様、お子様をお産みになられました。」
ここまで話し終えて 忠相が一息つくか、
「忠相っ してその子は!誰の胤じゃっ 両名息災なのか?」
「恐れながら、時すでに遅く、猿渡殿、由宇姫様既に岩井弾膳配下の手練れのもの達の手によって‥‥」
忠相の報告に、
「えぇいっ もう良いっ 何とした事かっ 由宇はもうこの世には居らぬのじゃなっ」
吉宗の怒りは 怒髪天の如くその場の空気を凍らせた。
吉宗は立ち上がるや、脇息を蹴飛ばし、床間の柱に向かって力任せに相撲の突き押しが如く 当たり散らした。
「上様っ 御庭番頭村垣が参っております」
留守居役が 知らせた。
「左太夫っ 参れっ」
吉宗の許しを得て 御庭番頭が詮議中の末席に入ってきた。
「苦しゅうない 申せっ」
「畏れながら 元奥越藩由宇姫様 お腹のお子の胤につきましては、神隠し寸前 加賀前田家藩主五男 利章様との縁組のお話しがあったと‥」
村垣の報告には 吉宗も目を見開いたが、
「縁組の話しと 由宇の懐妊は何処で繋がるのじゃ?」
村垣は 畳に額を押し付けたまま、
「畏れながら、これは推測の範疇を脱してはいませんが、前田家、利章(としあきら)様はお生まれになったあと 前田家支流大聖寺藩前田家に御養子に入られたよし。成長なさるにつれ日頃のご乱行 目に余るとの情報あり 手下を飛ばして調べましたるところ 当時の利章様は豪放磊落怖い者知らずの無頼漢なりと‥
奥越と縁組話しが利章様の御耳に入るなり 利章様は配下の者数名と密かに奥越藩内に入られ、由宇姫様御見分されたかと…」
「うむ‥其方の推測ならば 由宇を気に入り先に手を付けた‥という事かっ⁈」
吉宗は扇を広げて忙しなく仰ぎだした。
「御意 利章様 由宇姫様お年も近く、私の立場で誠に申し上げにくき事なれど、その事 利章様に確かめてみる価値はあるかと‥」
大胆な推論を奏上した村垣左太夫の肩が僅かに震えた。間違いであれば加賀前田百万石を誹謗した事にもなり ただでは済まない。
パチンッと開いた扇を閉じて掌を叩いた吉宗は、
「えーえいっ 前田利章っ 誠であれば この始末どう付けさせようっ 」
「殿っ、殿っ お鎮まりくだされっ 」
加納久通が 吉宗の足元までにじり寄る。
「久通っ 殿では無いっ 何度申せばわかるのじゃっ」
今の今までだんまりを決め込んでいた 有馬氏倫が意趣返しのように場違いなダメ出し‥
😩💦←作者登場:前回の仕返しね…💦
上様っ 上様っ 蟄居謹慎中の神鶴藩主 安藤直胤
江戸上屋敷にて自刃っ 同じく元小姓頭片岡頼矩連座候
「岩井の詮議はいつじゃっ」
吉宗は加納久通 有馬氏倫 両名の御側御用取次と、表向きは南町奉行職を奉じる大岡忠相を呼び立てていた。
「上様 恐れながら焦りは禁物かと‥岩井弾膳と言う男は兎にも角にも己れに火の粉が飛ばぬよう何重にも配下を巡らし 己れのみ1番甘い汁を啜っているような輩。かの御側用人間部様とて 莫大な富を、岩井ごときがまさか懐深くに収めていようなどとは 夢にも思い及ばない巧妙さ‥ これほど迄の悪どき輩 逃げ場を全て抑えた上 情け無用のお裁きが寛容かと‥」
大岡忠相の奏上に
「忠相っ お主を見ておると腹が立って仕方がないわっ、しのごの言わず 斬首っ 斬首じゃ!」
「有馬っ そちは黙っておれっ 詮議の邪魔を致すで無いっ」
吉宗の一喝で 直情型の有馬氏倫は口を真一文字に結び だんまりを決め込む。
「加納‥して、例の神鶴の浪人共は如何した?」
吉宗は、藩主直胤の謹慎に関与した奥方を抱き込み下前田の傀儡と成り果てた藩政に異を唱え脱藩した水埜彦四郎他の元藩士の行方を問いただした。
「上様ぁ‥我をお試しあるか、お人が悪い。根来の狛鼠共から 仔細報告は我ら幕閣より早く上様の御耳に届いていようものを‥」
久通は紀州次代から吉宗と共に加納家にて寝食を供にしていた為 他の御側衆よりも吉宗に対しては馴れ馴れしく接する。
吉宗は紀州より直々に選り優りの根来衆精鋭を身辺に常に侍らせていた。
「たわけ者めっ 加納っ、もうろくしよってっ
余が聴きたいのは 奥越の由宇姫の行方じゃっ‥ 由宇には何の落ち度も無い。 騒動に巻き込まれ不憫でならぬ‥」
吉宗はまだ新之助を名乗っていた頃、藩主で父君光貞公の参勤交代に伴い江戸城で時の将軍綱吉から越前丹生郡の3万石を拝領。吉宗は十代で葛野藩の藩主となった。しかし吉宗自身が葛野藩に下向するのでは無く側近を遣わし藩政を取り仕切りさせたが3万石とは名ばかりの不毛の地であったことから隣国の奥越藩主結城勝兼に北国の藩運営の教えを乞うていた。 そのやりとりが信頼を生み由宇姫との縁が生じた。しかし、その後吉宗の親兄弟が次々と落命し紀州55万石は四男の吉宗が家督相続する事になった。紀州の家督相続のゴタゴタの間に奥越藩は跡継ぎが決まらず 幕府召し上げ 領地替えとなった。
頼方を名乗っている頃、奥越藩に下向した事があり その時に僅か5歳の由宇姫と会っていた。
紀州藩の家督を継がなければ、部屋住のところ由宇姫と婚儀をかわしていたなら 葛山藩主奥方の由宇姫が神隠し遭う事も、奥越藩の領地没収もまぬがれたかもしれない。
※吉宗14歳頃です。由宇姫と9歳差 縁談成立しとけばなぁ…
🙄!しかし、そうなると吉宗の運命変わっちゃうよね
「上様、恐れながら忠相めの配下が由宇姫様の行方を突き止めたよしにございます。」
大岡忠相の情勢を読む力は持って生まれた才能としかいいようが無い。
「忠相 苦しゅうない 申せっ」
吉宗は身を乗り出す勢いで 忠相の報告を注視した。
「やはり、ご推察通り由宇姫様神隠しは 下前田の岩井が深く関与しております。岩井弾膳配下の忍びが、由宇姫様を拐かし岩井の指示を待って始末せんと下前田のとある場所にて姫様を、軟禁していたご様子。しかし、由宇姫様 お見かけによらず勇ましく、ご自身で隙を見て逃げ出したところ たまたま神鶴藩元江戸詰家老で下前田城下で剣術道場を開いていた猿渡頼母殿に助けられたとの事。しかし時すでに岩井弾膳配下の者にお命狙われしお二人。猿渡殿は 脱藩した水埜等と連絡を取りながら由宇姫様と鬼ケ沢岳の深山に隠れ申した。その時既に由宇姫ご懐妊の兆し。猿渡殿は例の水埜他配下の助けで無事由宇姫様、お子様をお産みになられました。」
ここまで話し終えて 忠相が一息つくか、
「忠相っ してその子は!誰の胤じゃっ 両名息災なのか?」
「恐れながら、時すでに遅く、猿渡殿、由宇姫様既に岩井弾膳配下の手練れのもの達の手によって‥‥」
忠相の報告に、
「えぇいっ もう良いっ 何とした事かっ 由宇はもうこの世には居らぬのじゃなっ」
吉宗の怒りは 怒髪天の如くその場の空気を凍らせた。
吉宗は立ち上がるや、脇息を蹴飛ばし、床間の柱に向かって力任せに相撲の突き押しが如く 当たり散らした。
「上様っ 御庭番頭村垣が参っております」
留守居役が 知らせた。
「左太夫っ 参れっ」
吉宗の許しを得て 御庭番頭が詮議中の末席に入ってきた。
「苦しゅうない 申せっ」
「畏れながら 元奥越藩由宇姫様 お腹のお子の胤につきましては、神隠し寸前 加賀前田家藩主五男 利章様との縁組のお話しがあったと‥」
村垣の報告には 吉宗も目を見開いたが、
「縁組の話しと 由宇の懐妊は何処で繋がるのじゃ?」
村垣は 畳に額を押し付けたまま、
「畏れながら、これは推測の範疇を脱してはいませんが、前田家、利章(としあきら)様はお生まれになったあと 前田家支流大聖寺藩前田家に御養子に入られたよし。成長なさるにつれ日頃のご乱行 目に余るとの情報あり 手下を飛ばして調べましたるところ 当時の利章様は豪放磊落怖い者知らずの無頼漢なりと‥
奥越と縁組話しが利章様の御耳に入るなり 利章様は配下の者数名と密かに奥越藩内に入られ、由宇姫様御見分されたかと…」
「うむ‥其方の推測ならば 由宇を気に入り先に手を付けた‥という事かっ⁈」
吉宗は扇を広げて忙しなく仰ぎだした。
「御意 利章様 由宇姫様お年も近く、私の立場で誠に申し上げにくき事なれど、その事 利章様に確かめてみる価値はあるかと‥」
大胆な推論を奏上した村垣左太夫の肩が僅かに震えた。間違いであれば加賀前田百万石を誹謗した事にもなり ただでは済まない。
パチンッと開いた扇を閉じて掌を叩いた吉宗は、
「えーえいっ 前田利章っ 誠であれば この始末どう付けさせようっ 」
「殿っ、殿っ お鎮まりくだされっ 」
加納久通が 吉宗の足元までにじり寄る。
「久通っ 殿では無いっ 何度申せばわかるのじゃっ」
今の今までだんまりを決め込んでいた 有馬氏倫が意趣返しのように場違いなダメ出し‥
😩💦←作者登場:前回の仕返しね…💦
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