10 / 12
一章
8
しおりを挟む
「あれと、あれは?」
「ばっちし。あとこっちの飾りの方がいいんじゃない? 儚い雰囲気がさいっこうに際立つ!」
「いーや、わかってないわね。今の流行は野生感よ。このファーで……」
「だめだめだめ! 絶対こっち! 裏地は深青で」
「他の家にも殿下にも負けないように……」
自室の壁の向こうでは、使用人たちによる賑やかな議論が交わされている。数日後の祝宴に向けて、セラスの装いを選んでいる真っ最中なのだ。
ふさわしい一着はどれか、ああでもないこうでもないと言い合っている。
正直なところどれでもいいのだが、彼らに間違いはないのでお任せしておく。
(あぁ、でも野性味だけは……うん、やめてほしいな)
この様子ならまだまだ時間はかかるだろう。
そう踏んだセラスは、鍵のついた引き出しを開けた。そこに仕舞われているのは、一冊の分厚い日記。
目覚めてからの印象深い出来事や、忘れたくない瞬間を綴っているものだ。直近ならば、双子とのかくれんぼ。お得意の茂みに隠れていたあの二人は、ちょっとだけ伸びた身長の分、小さな頭がちょこんと飛び出していた――あまりにもばればれで、可愛かった。
思い出すだけで、頬が緩んでしまう。
だが、と頭を振る。甘い回顧は今は必要ない。
パラパラとめくっていく。
最後の三ページ。こここそ今回の目的。
びっしりとページを埋め尽くすのは、一度辿った未来の出来事だ。覚えている限りを思いつくままに書き散らした結果、非常に気持ちの悪い文字量になってしまった。
正直どうでもいいことまで書いてある。
母の着せ替え人形になっているときに、レオンに見られて一生いじられるとか。
指先で行をなぞりながら、目当ての日付へとたどり着く。
十一の月、二十二日。
アウルム殿下の十二歳の誕生祭。
聖樹のおひざもと――麗光に満ちた聖宮で開かれる盛大な祝祭だ。
もちろん生誕祝い自体は毎年行われているのだが、この年は特別な意味を持つ。だからこそ、国中のお偉いどころのみならず、周辺諸国の重鎮たちまでもを招待するのだ。
それはそれは荘厳で息をのむほどに優美な幕開けから始まり。
色鮮やかな花びらが空を彩り、まばゆい光が祝福のように降り注ぐ。そして、その中でも全く霞むことのない主役。彼の口から紡がれる祈りは、流麗でありながら陽だまりめいた響きを帯び、誠実さがあって――聴く者すべての胸にまっすぐ届いていく。
(……まぁ、今はそれはいいか)
余計な脱線をしかける思考を手繰り寄せる。
何はともあれ、祝祭の滑り出しは順調であった。
問題はその後、国内外からの賓客のみが招かれた夜の宮中祝宴でのこと。終盤に差し掛かるといった頃だった。
賑わうあちこちで、一人、また一人とその場に崩れ落ち始めたのだ。それも無作為に。グラスは音を立てて床に散って、赤や琥珀の液体が広がった。
ただの酔い潰れかと思われたのも束の間、まるで糸が切れたようにへたり込んでいくその様子に、会場内は一瞬にしてざわめき立った。しかし、そんな大きな混乱もよそに、倒れた当人たちは皆、苦しむ様子もなく、ただ気持ちよさそうに寝入っていただけであった。中には、へにゃりとした顔つきや、“ぽやん”と酔っ払いのような笑みを浮かべる者もいたほどだ。
被害はそれだけ。
だが、客人の身の安全が第一である以上、祝いの席はそこまでとなった。多くの者が夢に浸りきってしまったことや、主要なお披露目と挨拶はすでに終わっていたこともあって幕を下ろすこととなったのだ。
(たしか、あのあとは……)
幸いにも、それ以上の大事になることも、アウルムの名前に傷がつくこともなかった。
不思議体験として内々で処理されたのだ。
口止めはしなかったと聞いたが、どこの国も口外しなかったらしい。
まぁ、理由は明白だ。
仮に広めたところで、エテルニアにとっては痛くも痒くもない。すべてを自己完結させている国だ。食料も国防も。外に依存しているものなど何一つなく、そういうところも他国から見たら鼻についたのかもしれないが。
強大な影響力や支配力こそ持っていなかった我が国だが、違う意味での畏れは抱かれていた。つながりを保つメリットは十分にあったのだ。となれば、関係が悪くなりかねない行動は控え、むしろ恩を売れる行動をとる。
それにあの事件、不可解ではあったが、特定の誰かを狙った悪意ある類とは考えにくいとされた。
理由はいくつかある。国内外の双方に影響が出たこと、被害内容が”究極の睡魔”のみで後遺症も特になかったこと、そしてなにより、現場が悪意が弾かれると噂の聖国であった、ということも後押しとなった。
とはいえ、一件のお詫びとして、外にとっては至宝とも呼べる精霊石をいくつか渡す羽目にはなった。こちらでは有り余るほどの代物ゆえにさほど惜しくもなかったし、無用な諍いの対策としては妥当なところだが、普通に損であることに変わりはない。
それよりも――。
セラスは苦い顔になる。
この騒動は、アウルムの心にたしかに翳りを落とした。その方が気に食わない。
たとえ一時的なことであったとしても、彼の貴い人生に”引っ掛かり”を残したのは到底許しがたいことであった。
もっとも、アウルムは気丈だ。だから気に病むことも、誰かの憐憫を煽ることもしなかった。
けれど、ほんの刹那。事後処置後に、たまたま見てしまったのだ……琥珀の瞳に陰が降りたのを。
でなければ、あの夜、様子を見に行ってばったりと会うことも。まして、体温が癖になるほどに距離が近づくことも、鋭い美丈夫が甘くふやける瞬間のたまらなさも、知ることはなかった。
全てが愛おしくてしょうがなくなることだって――。
今ならまだ鮮明に思い出せる、肌から伝わる熱のかけらも、握った手のささやかな硬さも、まっすぐの髪がするりと指から抜けていく感触も。
「……っ」
ふっとノイズが走った。
純粋な”赤”が割り込んでくる。
警告のように。
(……わかっているよ)
思い出の中の、大好きな貌が、汚され。
ぽた、ぽたと。水滴が広がるように塗りつぶされていく。赤く、赤く、血に染まる。
熱で溶けていたはずの瞳は、今はただ、自分への憎悪で溢れている。
十分に……わかっている。
彼から光を奪ったのは、他でもない自分だ。
美しい思い出に浸る資格など、この身にはない。
頭を振り、脳内をお眠り騒動に戻す。
結局、原因という原因は分からなかった。
強いての可能性として挙げられたのは、あの日奏でられていた旋律――歌の刺激が強かったのではないか、という説だ。たしかにあれには、大気を穏やかに揺らして、聴く者の心地を満たし安寧に導く効果はある。しかし、それだけだ。
だから、その一点だけで調査を済ませたのはいささか雑に思えるのだが、万全の準備に加え、精霊たちの守りがある状況下では無理もないのもまた事実。実際に、何一つ怪しい痕跡は出てこなかったはずだから。
セラスは日記を閉じ、ぐっと眉間を押さえる。
考えられる理由はいくつかある。
まず、本当に偶然であった場合。
分析の通り、ただただあの波長が眠気を誘ってしまっただけ。現に、国内でも血が濃いものはあまり影響を受けていなかったはず。
次いで、精霊たちのいたずらの場合。
だがこれはほぼないと言っていいだろう。彼らが大好きな王家の一人、アウルムの祝いなのだ。祝福はすれど、邪魔をするはずがない。それに誰か眠らせたいものがいたなら、そいつだけに悪さをすればいいだけの話。
最後に、何か外部からの働きかけがあった場合。
仮に、エテルニア人への影響を実験していたとすれば……。だが、これも疑問がある。あの時点ではまだ、精霊の壁は正常に機能していたはずだ。
それともなにか……今のセラスがそうであるように、欺く抜け道があるとでもいうのか。
(うーん、どうなんだろうか)
あの時は、気の合ったアウルムとのくだらない会話が楽しくて、そっちに夢中になってしまっていた。
ゆえに、他国の使者たちへそこまで意識を向けていなかった。興味もなかったし、そもそも、あんなことが起きるなど誰も予想していなかった。
いや。だが、すでに崩壊のシナリオが動き始めていたとしたら……。
とりあえず注視しておく必要がありそうだ。
「ばっちし。あとこっちの飾りの方がいいんじゃない? 儚い雰囲気がさいっこうに際立つ!」
「いーや、わかってないわね。今の流行は野生感よ。このファーで……」
「だめだめだめ! 絶対こっち! 裏地は深青で」
「他の家にも殿下にも負けないように……」
自室の壁の向こうでは、使用人たちによる賑やかな議論が交わされている。数日後の祝宴に向けて、セラスの装いを選んでいる真っ最中なのだ。
ふさわしい一着はどれか、ああでもないこうでもないと言い合っている。
正直なところどれでもいいのだが、彼らに間違いはないのでお任せしておく。
(あぁ、でも野性味だけは……うん、やめてほしいな)
この様子ならまだまだ時間はかかるだろう。
そう踏んだセラスは、鍵のついた引き出しを開けた。そこに仕舞われているのは、一冊の分厚い日記。
目覚めてからの印象深い出来事や、忘れたくない瞬間を綴っているものだ。直近ならば、双子とのかくれんぼ。お得意の茂みに隠れていたあの二人は、ちょっとだけ伸びた身長の分、小さな頭がちょこんと飛び出していた――あまりにもばればれで、可愛かった。
思い出すだけで、頬が緩んでしまう。
だが、と頭を振る。甘い回顧は今は必要ない。
パラパラとめくっていく。
最後の三ページ。こここそ今回の目的。
びっしりとページを埋め尽くすのは、一度辿った未来の出来事だ。覚えている限りを思いつくままに書き散らした結果、非常に気持ちの悪い文字量になってしまった。
正直どうでもいいことまで書いてある。
母の着せ替え人形になっているときに、レオンに見られて一生いじられるとか。
指先で行をなぞりながら、目当ての日付へとたどり着く。
十一の月、二十二日。
アウルム殿下の十二歳の誕生祭。
聖樹のおひざもと――麗光に満ちた聖宮で開かれる盛大な祝祭だ。
もちろん生誕祝い自体は毎年行われているのだが、この年は特別な意味を持つ。だからこそ、国中のお偉いどころのみならず、周辺諸国の重鎮たちまでもを招待するのだ。
それはそれは荘厳で息をのむほどに優美な幕開けから始まり。
色鮮やかな花びらが空を彩り、まばゆい光が祝福のように降り注ぐ。そして、その中でも全く霞むことのない主役。彼の口から紡がれる祈りは、流麗でありながら陽だまりめいた響きを帯び、誠実さがあって――聴く者すべての胸にまっすぐ届いていく。
(……まぁ、今はそれはいいか)
余計な脱線をしかける思考を手繰り寄せる。
何はともあれ、祝祭の滑り出しは順調であった。
問題はその後、国内外からの賓客のみが招かれた夜の宮中祝宴でのこと。終盤に差し掛かるといった頃だった。
賑わうあちこちで、一人、また一人とその場に崩れ落ち始めたのだ。それも無作為に。グラスは音を立てて床に散って、赤や琥珀の液体が広がった。
ただの酔い潰れかと思われたのも束の間、まるで糸が切れたようにへたり込んでいくその様子に、会場内は一瞬にしてざわめき立った。しかし、そんな大きな混乱もよそに、倒れた当人たちは皆、苦しむ様子もなく、ただ気持ちよさそうに寝入っていただけであった。中には、へにゃりとした顔つきや、“ぽやん”と酔っ払いのような笑みを浮かべる者もいたほどだ。
被害はそれだけ。
だが、客人の身の安全が第一である以上、祝いの席はそこまでとなった。多くの者が夢に浸りきってしまったことや、主要なお披露目と挨拶はすでに終わっていたこともあって幕を下ろすこととなったのだ。
(たしか、あのあとは……)
幸いにも、それ以上の大事になることも、アウルムの名前に傷がつくこともなかった。
不思議体験として内々で処理されたのだ。
口止めはしなかったと聞いたが、どこの国も口外しなかったらしい。
まぁ、理由は明白だ。
仮に広めたところで、エテルニアにとっては痛くも痒くもない。すべてを自己完結させている国だ。食料も国防も。外に依存しているものなど何一つなく、そういうところも他国から見たら鼻についたのかもしれないが。
強大な影響力や支配力こそ持っていなかった我が国だが、違う意味での畏れは抱かれていた。つながりを保つメリットは十分にあったのだ。となれば、関係が悪くなりかねない行動は控え、むしろ恩を売れる行動をとる。
それにあの事件、不可解ではあったが、特定の誰かを狙った悪意ある類とは考えにくいとされた。
理由はいくつかある。国内外の双方に影響が出たこと、被害内容が”究極の睡魔”のみで後遺症も特になかったこと、そしてなにより、現場が悪意が弾かれると噂の聖国であった、ということも後押しとなった。
とはいえ、一件のお詫びとして、外にとっては至宝とも呼べる精霊石をいくつか渡す羽目にはなった。こちらでは有り余るほどの代物ゆえにさほど惜しくもなかったし、無用な諍いの対策としては妥当なところだが、普通に損であることに変わりはない。
それよりも――。
セラスは苦い顔になる。
この騒動は、アウルムの心にたしかに翳りを落とした。その方が気に食わない。
たとえ一時的なことであったとしても、彼の貴い人生に”引っ掛かり”を残したのは到底許しがたいことであった。
もっとも、アウルムは気丈だ。だから気に病むことも、誰かの憐憫を煽ることもしなかった。
けれど、ほんの刹那。事後処置後に、たまたま見てしまったのだ……琥珀の瞳に陰が降りたのを。
でなければ、あの夜、様子を見に行ってばったりと会うことも。まして、体温が癖になるほどに距離が近づくことも、鋭い美丈夫が甘くふやける瞬間のたまらなさも、知ることはなかった。
全てが愛おしくてしょうがなくなることだって――。
今ならまだ鮮明に思い出せる、肌から伝わる熱のかけらも、握った手のささやかな硬さも、まっすぐの髪がするりと指から抜けていく感触も。
「……っ」
ふっとノイズが走った。
純粋な”赤”が割り込んでくる。
警告のように。
(……わかっているよ)
思い出の中の、大好きな貌が、汚され。
ぽた、ぽたと。水滴が広がるように塗りつぶされていく。赤く、赤く、血に染まる。
熱で溶けていたはずの瞳は、今はただ、自分への憎悪で溢れている。
十分に……わかっている。
彼から光を奪ったのは、他でもない自分だ。
美しい思い出に浸る資格など、この身にはない。
頭を振り、脳内をお眠り騒動に戻す。
結局、原因という原因は分からなかった。
強いての可能性として挙げられたのは、あの日奏でられていた旋律――歌の刺激が強かったのではないか、という説だ。たしかにあれには、大気を穏やかに揺らして、聴く者の心地を満たし安寧に導く効果はある。しかし、それだけだ。
だから、その一点だけで調査を済ませたのはいささか雑に思えるのだが、万全の準備に加え、精霊たちの守りがある状況下では無理もないのもまた事実。実際に、何一つ怪しい痕跡は出てこなかったはずだから。
セラスは日記を閉じ、ぐっと眉間を押さえる。
考えられる理由はいくつかある。
まず、本当に偶然であった場合。
分析の通り、ただただあの波長が眠気を誘ってしまっただけ。現に、国内でも血が濃いものはあまり影響を受けていなかったはず。
次いで、精霊たちのいたずらの場合。
だがこれはほぼないと言っていいだろう。彼らが大好きな王家の一人、アウルムの祝いなのだ。祝福はすれど、邪魔をするはずがない。それに誰か眠らせたいものがいたなら、そいつだけに悪さをすればいいだけの話。
最後に、何か外部からの働きかけがあった場合。
仮に、エテルニア人への影響を実験していたとすれば……。だが、これも疑問がある。あの時点ではまだ、精霊の壁は正常に機能していたはずだ。
それともなにか……今のセラスがそうであるように、欺く抜け道があるとでもいうのか。
(うーん、どうなんだろうか)
あの時は、気の合ったアウルムとのくだらない会話が楽しくて、そっちに夢中になってしまっていた。
ゆえに、他国の使者たちへそこまで意識を向けていなかった。興味もなかったし、そもそも、あんなことが起きるなど誰も予想していなかった。
いや。だが、すでに崩壊のシナリオが動き始めていたとしたら……。
とりあえず注視しておく必要がありそうだ。
18
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
聖女を演じた巻き添え兄は、王弟殿下の求愛から逃げられない
深嶋(深嶋つづみ)
BL
谷口理恩は一年ほど前、妹と一緒に異世界に転移してしまった。
聖女として魔術の才を開花させた妹・世奈のおかげもあって、二人はアルゼノール王国の大教会に保護され、不自由のない暮らしを送ることができている。が、最近は世奈の奔放さに理恩は頭を抱えることもあった。
ある日、世奈の仕事を肩代わりした理恩は、病に臥せっている幼い第二王子・イヴァン王子のもとに参じることに。
――「僕が大人になったら、僕の妃になってくれませんか」。
何度も謁見を重ねるうちに理恩に懐いた彼は、目の前の聖女が偽者であることに気付かぬまま、やがて理恩に求愛する。
理恩は驚き、後ろめたい気持ちを抱きながらも、「大人になっても同じ気持ちでいてくれたなら」と約束を交わした。
その直後、何者かの陰謀に陥れられた世奈の巻き添えとなり、理恩は辺境の地へと飛ばされてしまい……。
――数年後、アルゼノール王国を出て世界中を巡っていた理恩は、とある国で偶然、王弟・イヴァンと再会する。
傷心の旅をしているのだという彼は、どういうわけか理恩との交流を持ちたがって――?
推し様たちを法廷で守ったら気に入られちゃいました!?~前世で一流弁護士の僕が華麗に悪役を弁護します~
いつく しいま
BL
下級兵の僕はある日一流弁護士として生きた前世を思い出した。
――この世界、前世で好きだったBLゲームの中じゃん!
ここは「英雄族」と「ヴィラン族」に分かれて二千年もの間争っている世界で、ヴィランは迫害され冤罪に苦しむ存在――
いやっ僕ヴィランたち全員箱推しなんですけど。
これは見過ごせない……!
腐敗した司法、社交界の陰謀、国家規模の裁判戦争――全てを覆して〝弁護人〟として推したちを守ろうとしたら、推し皆が何やら僕の周りで喧嘩を始めて…?
「俺のものになって」
「ちょっと、この子を独占しないでよ」
「お前こそ」
ちょっと困るって!
これは、法的事案だよ……!
***
※男主人公をめぐる逆ハーレムあり
※法廷・ミステリーパートの描写あり(基本理解できる範囲になっております)
以前こちらで投稿していた作品を、2章の構成を整えて再投稿します。以前読んでくださっていた方、本当にありがとうございました。36話まで1日3回(11時半、15時半、19時半)予約投稿済みです。
【完結】「婚約を破棄する!」から始まる話は大抵名作だと聞いたので書いてみたら現実に婚約破棄されたんだが
ivy
BL
俺の名前はユビイ・ウォーク
王弟殿下の許嫁として城に住む伯爵家の次男だ。
余談だが趣味で小説を書いている。
そんな俺に友人のセインが「皇太子的な人があざとい美人を片手で抱き寄せながら主人公を指差してお前との婚約は解消だ!から始まる小説は大抵面白い」と言うものだから書き始めて見たらなんとそれが現実になって婚約破棄されたんだが?
全8話完結
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
美貌の貧乏男爵、犬扱いしていた隣国の王子に求婚される
muku
BL
父亡き後、若くして男爵となったノエルは領地経営に失敗し、多額の借金を抱えて途方に暮れていた。そこへやって来たのは十年前に「野良犬」として保護していた少年レオで、彼の成長を喜ぶノエルだったが、実はその正体が大国の王子であったと知って驚愕する。
復讐に来たのだと怯えて逃げ出すノエルだったが、レオことレオフェリス王子はノエルに結婚してほしいと頼み始める。
男爵邸に滞在すると言い出す王子は「自分はあなたの犬だ」と主張し、ノエルは混乱するしかない。見通しの立たない返済計画、積極的な犬王子、友人からのありえない提案と、悩みは尽きない美貌の男爵。
借金完済までの道のりは遠い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる