チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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二章 冒険者の少女

冒険者としての翌朝

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 翌朝、下から聞こえてくる喧騒で目を覚ました。

 冒険者達が殺到する時間なのだろう、様々な人の声が聞こえてくる。

「しま……っ!」

 いけない!寝坊した!
 慌てて起きるが、よく考えれば昨日冒険者に転向したことを思い出した。

「ふう……、焦った……」

 壁に掛けられている時計で時間を確認すると、今は朝の8時くらいのようだ。
 私は額から流れた変な汗を拭うと着替えを済ませ、ホールへと降りることにした。


「3番テーブルに4人でーす!」

「おーい!注文いいかーっ!?」

「お待たせしました、骨付きもも肉でーす!」

 ホールへと降りると予想通りかなり賑わっていた。

(私もなにか食べたいんだけど……、どこか空いてるかな……?)

 空いた席を探している、ファナさんと目が合った。

「あーっ!カナちゃんっ!冒険者に転向したって聞いてないよっ!お陰ですっごく大変なんだからっ!!」

「す……すみません」

「なんてね冗談よ、冗談。頑張ってね。私応援してるからね♪」

「今までご指導いただきありがとうございました」

「なら、そのうち何かの形でお礼をしてもらおうかな♡」

「分かりました、そのうちにでも……」

「本気にしないでよ、冗談だよ。それより、なにか食べるんでしょ?何食べる?カウンターなら一つ空いてるけど、そこでいい?」

「いいですよ。じゃあ、フレンチトーストで」

「はーい。カウンター席2番、フレンチトースト一つでーす!」

 ファナさんに注文をすると、空いているカウンター席へと座った。

 今まで注文を受けた料理を運ぶ側だったので、こうして席に座って料理を待つのは新鮮な気分だ。

「お?カナちゃん冒険者になったのか。がんばれよ、応援してるぜ!」

「冒険者の世界にようこそ!」

「あまり無理はすんじゃねえぞ!」

「頑張ってね!応援してるからね!」

 ファナさんの言葉を聞いてか、冒険者の皆からエールを受けた。


 ◆◆◆


「私が出来そうな仕事は……っと。」

 食事を済ませたあと、掲示板に貼られている仕事の依頼書を眺めてみるが、どれも私に出来そうなものはない。

 あるのは、討伐依頼や護衛依頼、収集はあるにはあるけど、全く知らい土地の名前に、見たこともない指定品。

「今日仕事はどうしようかな……」

「あれ?カナちゃん、なにかいい仕事あった?」

 掲示板の前で腕組みしながら思い悩んでいると、ファナさんが声をかけてきた。

「私にも出来そうな仕事は今日は無いなっと思って……」

「そうだね~、初心者向けの薬草集めやホーンラビットの角集めもいつもあるわけじゃないからね~。あ、でも薬屋に持っていけば買ってくれるよ」

 薬屋か……、なるほど……。

「あと、ホーンラビットの毛皮は仕立て屋に持っていけば買い取ってくれるし、あと、肉はここでも買い取ってもらえるよ」

 なるほど……。意外とホーンラビットは売れるところが多いのか……。

「でも流石に頭と内蔵は売れないかな……。森に捨てておけば夜に狼が食べてくれるよ。あ、でもブルラビットには気を付けて!」

「ブルラビット……ですか……?」

「そう!ホーンラビットの親玉みたいなやつで、体長は2メートル近くあるヤツも居るの……」

 ファナさんは、両手を広げてそのブルラビットの大きさをジェスチャーで表す。

 に……2メートルくらいか……、結構大きいな……。

「それに、ホーンラビットと違って好戦的な性格だから、出会ったら無理せずに逃げたほうが良いよ」

「な……なるほど……、分かりました。情報ありがとうございます」

 私はファナさんにお礼を述べると、間借りした部屋に戻り、支度を整えると冒険者ギルドを後にした。
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