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二章 冒険者の少女
訓練 二日目
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翌日、訓練場所に行くと私以外誰もいなかった……。
「あ……あれ……?場所間違えた……?」
右を見ても左を見ても、後ろを向いても誰もいない。
まさか上かと思い、上を向いても当然誰もいない。
ということは、考えられることはただ一つ……。
他の人はみんな逃げたらしい。
(初日から結構キツかったもんね……)
私もどちらかと言うと、やりたくない気持ちは山々だったが、元の世界に帰りたいという気持ちのほうが強かった。
元の世界に帰るためにはどうすればいいのか検討は未だにつかないし、この街を離れ、旅をすることだってあるかもしれない。
そうなると、今の私ではどう考えても力不足でしかない。
地道に自分で経験を積んで強くなるという手もあるけど、それだと何年、下手したら何十年先になるか分かったものじゃない。
ベテランで凄腕の人から指導を受けられるのならこれ程の近道は存在しないだろう。
(とりあえず、もう少し待って誰も来なかったら帰ろうかな……)
(いい天気だな~……)
寝転がって空を眺めながら待つこと暫く……。
人の話し声が聞こえてきた。
「おい、誰もいないぞ……」
「ディンが初日から素振り5千回とか無茶な事するからだろ?」
「お前らだって朝のルーティンだって言って色々やってるじゃねーか」
「うん……?よく見ると誰か寝転がってるみたいだよ……?」
「あれは……、カナちゃんかしら……?」
名前を呼ばれたので起き上がると、そこにはディンさん達がいた。
「皆さん、おはようございます」
「ああ、カナおはよう」
「他の人達は?」
「私が来てから今まで誰もいませんでした……」
「ふ……、昨日ディンが素振り5千回とかやらせたからみんな逃げ出したんだろうね」
「俺のせいかよっ!」
「ま、ディンのせいでしょうね……。それより、カナちゃんがここにいるということは今日も訓練に参加ということでいいのかしら?」
「はい!今日もよろしくお願いします!」
「よし!今日も素振り5千回から始めるぞっ!」
「ディンお前……、素振り5千回を変える気はないのかよ……」
「剣士にとって素振りは基本中の基本だろ!俺は冒険者になってから毎日欠かさず素振り6千回はしてるぞっ!そういう訳だからカナ、俺と一緒に素振りをするぞ!」
「はいっ!」
私は剣を抜くと今日も素振りを行うことにした。
「……5,000っ!は……!はあ……!はぁ……っ!」
素振り5千回を終えると昨日同様その場に座り込んだ。
昨日出来た手の豆は昨日の夜に自分で治癒魔法で癒やしたが、今日の素振りでまた出来たマメが潰れてしまっていた。
「さて、次は模擬戦だ。他に相手がいないから俺が相手だ。安心しろ、手加減はしてやる」
ディンさんは、そう言うと木剣を構えた。
さっきまで私と一緒に素振りをしていたとは思えない程、息一つ乱れていない。
「ヒール!」
私は治癒魔法で手の潰れたマメを癒やすと、木剣を構えた。
全てにおいてディンさんのほうが遥かに上。
(ここは胸を借りる気で本気でぶつかって行こうっ!)
「それでは……、行きますっ!」
木剣を握る手に力を込めると、私はディンさんに向かって走り出した。
「あ……あれ……?場所間違えた……?」
右を見ても左を見ても、後ろを向いても誰もいない。
まさか上かと思い、上を向いても当然誰もいない。
ということは、考えられることはただ一つ……。
他の人はみんな逃げたらしい。
(初日から結構キツかったもんね……)
私もどちらかと言うと、やりたくない気持ちは山々だったが、元の世界に帰りたいという気持ちのほうが強かった。
元の世界に帰るためにはどうすればいいのか検討は未だにつかないし、この街を離れ、旅をすることだってあるかもしれない。
そうなると、今の私ではどう考えても力不足でしかない。
地道に自分で経験を積んで強くなるという手もあるけど、それだと何年、下手したら何十年先になるか分かったものじゃない。
ベテランで凄腕の人から指導を受けられるのならこれ程の近道は存在しないだろう。
(とりあえず、もう少し待って誰も来なかったら帰ろうかな……)
(いい天気だな~……)
寝転がって空を眺めながら待つこと暫く……。
人の話し声が聞こえてきた。
「おい、誰もいないぞ……」
「ディンが初日から素振り5千回とか無茶な事するからだろ?」
「お前らだって朝のルーティンだって言って色々やってるじゃねーか」
「うん……?よく見ると誰か寝転がってるみたいだよ……?」
「あれは……、カナちゃんかしら……?」
名前を呼ばれたので起き上がると、そこにはディンさん達がいた。
「皆さん、おはようございます」
「ああ、カナおはよう」
「他の人達は?」
「私が来てから今まで誰もいませんでした……」
「ふ……、昨日ディンが素振り5千回とかやらせたからみんな逃げ出したんだろうね」
「俺のせいかよっ!」
「ま、ディンのせいでしょうね……。それより、カナちゃんがここにいるということは今日も訓練に参加ということでいいのかしら?」
「はい!今日もよろしくお願いします!」
「よし!今日も素振り5千回から始めるぞっ!」
「ディンお前……、素振り5千回を変える気はないのかよ……」
「剣士にとって素振りは基本中の基本だろ!俺は冒険者になってから毎日欠かさず素振り6千回はしてるぞっ!そういう訳だからカナ、俺と一緒に素振りをするぞ!」
「はいっ!」
私は剣を抜くと今日も素振りを行うことにした。
「……5,000っ!は……!はあ……!はぁ……っ!」
素振り5千回を終えると昨日同様その場に座り込んだ。
昨日出来た手の豆は昨日の夜に自分で治癒魔法で癒やしたが、今日の素振りでまた出来たマメが潰れてしまっていた。
「さて、次は模擬戦だ。他に相手がいないから俺が相手だ。安心しろ、手加減はしてやる」
ディンさんは、そう言うと木剣を構えた。
さっきまで私と一緒に素振りをしていたとは思えない程、息一つ乱れていない。
「ヒール!」
私は治癒魔法で手の潰れたマメを癒やすと、木剣を構えた。
全てにおいてディンさんのほうが遥かに上。
(ここは胸を借りる気で本気でぶつかって行こうっ!)
「それでは……、行きますっ!」
木剣を握る手に力を込めると、私はディンさんに向かって走り出した。
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