チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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五章 探し求める少女

ディン達との再会

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 ディンさん達は腰にランタンを下げ、手にはそれぞれ武器を持っていた。
 そして、私達が敵ではないことを確認すると、武器を収め、こちらへと近づいて来た。

「ザクス……?お前もこのアラクネの洞窟に来ていたのか……?」

「ああ、このカナの付き添いでね……。レーテの北にある洞穴から入ってきた」

「あ……、本当にカナちゃんだ。久しぶりね。最後にあったのはスケベ通りだったかしら……?」

「みなさん、お久しぶりです」

 私はザクスの後ろから姿を表す。

「久しぶりだな、カナ。……この大蜘蛛やアラクネは二人が倒したのか?」

「ああ、だがアラクネだけじゃない。ここに来るまでの大蜘蛛も全部カナが倒した。俺が倒したのはここで死んでいる大蜘蛛達だけだ」

 ディンさんの問いに、ザクスが答える。
 そして、私はディンさん達にここに来た目的や、レーテの北にある洞穴からやって来たことも伝えた……。

「……なるほどな。それでカナちゃん達はこの後どうするんだ?」

 ザクスの話を聞いた上で、アルトさんが尋ねる。

「あとは皆さんにお任せして私とザクスは引き上げようかなと思っています」

「なるほど、分かったよ」

 私の返答に今度はサラさんが答える。

 あとどのくらい大蜘蛛やアラクネが残っているのかは分からないけど、ディンさん達なら大丈夫だろう。

「ちょっと待った!兎に角、短期間でカナの実力がかなり上がったと言うことは分かった……。ならその実力、俺が確かめさせてもらう……!」

 私とザクスが立ち去ろうとすると、ディンさんが待ったをかけてきた。
 いや……、私は別にそんな気はないんだけど……。

「ディン……、お前なあ……。別にカナちゃんと戦わなくてもいいだろ……?」

「カナは俺の弟子みたいなものだ。弟子の力を確かめるのは師として当然のことだ」

 呆れるアルトさんに対して、ディンさんは謎の持論を展開させていた。

 というか、私はいつからディンさんの弟子になったんだろう……?
 いや、確かにディンさんから訓練は受けたけど……。

「カナちゃんゴメンネ……。ちょっと付き合ってあげて……」

 セーラさんが申し訳無さそうに苦笑していた……。

「木剣はないから、この鞘に収めた剣で勝負だ、カナ……!」

 ディンさんは鞘に収められた剣を私へと向けてくる。
 どうやら断るという選択肢はなさそうだ……。

「分かりました……」

 私も鞘に収められたままの剣を構える……。

「行くぞ……!」

 ディンさんは言うと同時に全力で私へと走り、鋭い薙ぎ払いを放ってきた……!

 私はそれを後ろへと避けると、立て続けにディンさんの連続攻撃とも言える素早い攻撃を立て続けに放ってくる……!

(く……!相変わらずディンさんの攻撃は早くて鋭い……っ!でも……!)

 でもリーツェで戦ったミーナのほうがまだ早かった……。

 ミーナの攻撃は残像が見えるほどのものだったが、ディンさんのはそこまてではない……。

 人間と猫の半獣人の違いはあるのだろうけど、避けようと思えばいくらでも避けれる。

「どうしたカナ……!避けるのが上手くなっただけか……っ!?」

 ディンさんは袈裟斬りを放ってきた……!
 私はそれを盾で弾き返す……!

「な……っ!?」

「はあっ!!」

 そして、隙が生じたディンさんの腹部を私は剣で打ち抜いた……っ!

「ぐ……は……っ!?」

 お腹に一撃を受けたディンさんが膝をつく……。

「すげー……、ディンに一撃を入れた……!」

 その攻撃にアルトさんが感嘆の声を漏らしていた。

「いててて……、はぁ~あ……、カナに一撃を入れられちまった……。これが実戦なら俺はカナに斬られて死んでるな……」

 ディンさんがため息をつけながら立ち上がる。
 彼の手は自分のお腹を擦っていた。

「ディンさん……、大丈夫ですか……?」

「ああ、大丈夫だが、いい一撃だ……。お前一体何と戦ってたんだ……?」

「はい……、猫の半獣人とか……。あとはキメラやサンドワーム……」

「化け物揃いじゃねえか……。カナが生きてるってことはそいつら倒したんだろ……?」

「はい……。実際かなり手強かったです……」

 ミーナとの戦いに至っては実戦だと私は100回くらいは死んでいる……。

「はぁ~あ……、いつの間にかカナのほうが上を行っちまったな……。もう俺はお前に師匠面は出来ないらしい……」

「そんな事は……!ここまで来れたのもディンさんの指導があったからで……!」

「嬉しいこと言ってくれるぜ」

 ディンさんは笑みを浮かべながら私の頭をポンポンと軽く叩く。

「はいはい、もう遊びは終わりよ……。ディン、私達は引き続き大蜘蛛とアラクネを倒しに行きましょう」

「セーラ……、そうだな……。カナ、ザクス。それじゃあな」

 ディンさん達は手を振りながらこの広間を去ったいった。

「カナ、俺達は戻るか……?」

「うん……、そうだね」

 私はマジックオーブを取り出すと、ラウルの北門をイメージした……。
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