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六章 奴隷にされた少女
ワーウルフ戦
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初戦を勝った私は武器を返したあと、再び牢へ戻される……。
服はこのままでいいのか、返さなくて良いと言われた。
あの奴隷のような服よりはいいが、これも決して良くはない……。
「ふう……」
私は牢の中に備え付けられている石のベッドの上へと座ると、先程のことを思い起こす……。
あれはディンさんやミーナとしていた模擬戦などとは違い、ただの殺し合いだ……。
そこにはなんの充実感も無ければ喜びもない……。ただ胸くそ悪い気持ちだけが残る……。
アッシュが最後に生き地獄だと言っていたが、たしかにこれは気持ちの良いものではない……。
そして、その殺し合いにタイタスを始めとした観客は、まるでゲームの観戦を楽しんでいるかのように歓声を上げる……。
そして、どちらかが追い詰められると殺せコールが巻き起こる……。
さらに賭けまで行われているらしく、控室で兵士が賭けに勝ったとか負けたとか言っていた……。
私達の戦い……、もとい殺し合いを文字通りゲームとしか見ていないようだ……。
「はあ……っ!」
私は思いっきり石のベッドへと寝転がる……。
ベッドで頭を強く打ったため痛かったが、考えを中断するには丁度よかったのかもしれない……。
思い出せば思い出すほど……、考えれば考えるほど嫌な気になってくる。
「おい、食事だ」
冷たい石のベッドに寝転がっていると、兵士の声がした。
どうやら食事のようだ……。
またひどい味のする食事なのかと思いきや、少しばかり美味しかった上に、肉まで付いていた。
もしかすると死合に勝てば美味しい食事にありつけるのかも知れない……。
こうすることで、奴隷たちの戦闘意欲を高めようと言う意味があるのだろうか……?
ふと、視線を感じ真向かいの牢を見るともう既に新しい奴隷が入れられていた……。
いつの間にか新たな奴隷を仕入れたのだろう。
私と同じ新人と思われる奴隷は悲観に満ちた顔をしていた……。
◆◆◆
初戦から数日経った頃、私が闘技場へと立つと観客からは「殺せ!」ではなく、「犯せっ!」という声が聞こえてくる。
殺し合いよりも女である私が犯されている方が観客……特に男性が喜ぶのだろう……。
だからといって、はいそうですかと犯される訳には行かない……。
無理やり犯されるのが嫌なのは勿論だが、避妊魔法が使えない今、妊娠という危険にも直結するからだ……。
「次の相手は女か……。これは運が良い。ほらメスらしく寝転がって股を開いてみせろよ!そしたら許してやるぜ」
ワーウルフがイヤらしい目つきで私を見る。
「誰が……っ!!」
私はワーウルフへと向かって走り出す……!
「人間が獣人に勝てると思うな……っ!!」
ワーウルフは鉄の鉤爪を装備した右腕を振り払う……!
私はそれを何とか躱したが、頬に鉤爪が掠る……!
「へへ……、次は服をゆっくりと切り裂いてやろうか?」
ワーウルフは私の血が付いた鉤爪をぺろりと舐める。
く……、流石に獣人だけあってスピードが早い……。
ならばと私はそっと目を閉じる……。
「どうした……?観念したのか?なら……裸にひん剥いて犯してやるよっ!!」
ワーウルフが走ってくる気配を感じる……。
そして、その殺気も……。
(くる……!)
攻撃の気配を感じたので咳き込みながら後ろへと避けると鉤爪が空を切る音がする。
更に立てつづけにワーウルフは攻撃を繰り出すが私はそれを全て躱していく。
「くそ……!なんでだ……!目を瞑ってる奴に攻撃が当たらねえんだ……っ!!」
ワーウルフの焦りの声が聞こえる……。
相手は攻撃力は確かに高いのかもしれないが、当たらなければどうということはない……。
むしろスピードだけで言えばミーナのほうが遥かに早かった。
「この……!人間如きがーー……っ!!」
「遅い……っ!」
ワーウルフの攻撃が繰り出された気配を感じ、私は剣でその腕を切り払う……!
「腕が……!俺の腕がーー……っ!!」
「はあぁ……っ!!」
私はそのまま前へと踏み込むと、ワーウルフの胴体を真っ二つに切り裂く……!
そしてそのままワーウルフは絶命をした……。
『勝者!カナぁぁぁーーーっ!!』
剣身に付いたワーウルフの血を振り払い、鞘へと収めると観客から歓声が湧き上がる!
中には犯されてほしかったのか、ブーイングを上げるものもいるようだが、私は無視をしてゲートへと戻っていった。
「ほう……、あの女強いな……。今回俺が優勝したらあの女を抱かせろとタイタスに頼むとするか……」
そんな私の身体を狙う者がいたことをこのときはまだ知る由もなかった……。
服はこのままでいいのか、返さなくて良いと言われた。
あの奴隷のような服よりはいいが、これも決して良くはない……。
「ふう……」
私は牢の中に備え付けられている石のベッドの上へと座ると、先程のことを思い起こす……。
あれはディンさんやミーナとしていた模擬戦などとは違い、ただの殺し合いだ……。
そこにはなんの充実感も無ければ喜びもない……。ただ胸くそ悪い気持ちだけが残る……。
アッシュが最後に生き地獄だと言っていたが、たしかにこれは気持ちの良いものではない……。
そして、その殺し合いにタイタスを始めとした観客は、まるでゲームの観戦を楽しんでいるかのように歓声を上げる……。
そして、どちらかが追い詰められると殺せコールが巻き起こる……。
さらに賭けまで行われているらしく、控室で兵士が賭けに勝ったとか負けたとか言っていた……。
私達の戦い……、もとい殺し合いを文字通りゲームとしか見ていないようだ……。
「はあ……っ!」
私は思いっきり石のベッドへと寝転がる……。
ベッドで頭を強く打ったため痛かったが、考えを中断するには丁度よかったのかもしれない……。
思い出せば思い出すほど……、考えれば考えるほど嫌な気になってくる。
「おい、食事だ」
冷たい石のベッドに寝転がっていると、兵士の声がした。
どうやら食事のようだ……。
またひどい味のする食事なのかと思いきや、少しばかり美味しかった上に、肉まで付いていた。
もしかすると死合に勝てば美味しい食事にありつけるのかも知れない……。
こうすることで、奴隷たちの戦闘意欲を高めようと言う意味があるのだろうか……?
ふと、視線を感じ真向かいの牢を見るともう既に新しい奴隷が入れられていた……。
いつの間にか新たな奴隷を仕入れたのだろう。
私と同じ新人と思われる奴隷は悲観に満ちた顔をしていた……。
◆◆◆
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殺し合いよりも女である私が犯されている方が観客……特に男性が喜ぶのだろう……。
だからといって、はいそうですかと犯される訳には行かない……。
無理やり犯されるのが嫌なのは勿論だが、避妊魔法が使えない今、妊娠という危険にも直結するからだ……。
「次の相手は女か……。これは運が良い。ほらメスらしく寝転がって股を開いてみせろよ!そしたら許してやるぜ」
ワーウルフがイヤらしい目つきで私を見る。
「誰が……っ!!」
私はワーウルフへと向かって走り出す……!
「人間が獣人に勝てると思うな……っ!!」
ワーウルフは鉄の鉤爪を装備した右腕を振り払う……!
私はそれを何とか躱したが、頬に鉤爪が掠る……!
「へへ……、次は服をゆっくりと切り裂いてやろうか?」
ワーウルフは私の血が付いた鉤爪をぺろりと舐める。
く……、流石に獣人だけあってスピードが早い……。
ならばと私はそっと目を閉じる……。
「どうした……?観念したのか?なら……裸にひん剥いて犯してやるよっ!!」
ワーウルフが走ってくる気配を感じる……。
そして、その殺気も……。
(くる……!)
攻撃の気配を感じたので咳き込みながら後ろへと避けると鉤爪が空を切る音がする。
更に立てつづけにワーウルフは攻撃を繰り出すが私はそれを全て躱していく。
「くそ……!なんでだ……!目を瞑ってる奴に攻撃が当たらねえんだ……っ!!」
ワーウルフの焦りの声が聞こえる……。
相手は攻撃力は確かに高いのかもしれないが、当たらなければどうということはない……。
むしろスピードだけで言えばミーナのほうが遥かに早かった。
「この……!人間如きがーー……っ!!」
「遅い……っ!」
ワーウルフの攻撃が繰り出された気配を感じ、私は剣でその腕を切り払う……!
「腕が……!俺の腕がーー……っ!!」
「はあぁ……っ!!」
私はそのまま前へと踏み込むと、ワーウルフの胴体を真っ二つに切り裂く……!
そしてそのままワーウルフは絶命をした……。
『勝者!カナぁぁぁーーーっ!!』
剣身に付いたワーウルフの血を振り払い、鞘へと収めると観客から歓声が湧き上がる!
中には犯されてほしかったのか、ブーイングを上げるものもいるようだが、私は無視をしてゲートへと戻っていった。
「ほう……、あの女強いな……。今回俺が優勝したらあの女を抱かせろとタイタスに頼むとするか……」
そんな私の身体を狙う者がいたことをこのときはまだ知る由もなかった……。
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