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終章 愛する人と生きる少女
世話焼きな年寄り
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「ところで、二人は祝言は挙げぬのか?」
「ぶふぅぅぅぅーーーーー………っ!!!」
マーゼを出て、サンバルの町の食堂兼酒場で食事をしていると、アレクさんが唐突に変なことを聞いてきたので、思わず口の中のものをふきだしてしまったっ!
と言うか、なんでいるの……?
「カナ、汚いわい……」
「げほ……!げほげほ……っ!!き……急に何を……っ!?ていうか、アレクさんマーゼを出るときも思ったんだけど、なんで普通にいるの……っ!?」
「何でと言われてものう……。儂はこの身体じゃし、元の身体はもう灰になってしもうとるしのう……。他に行き場もない哀れな年寄りをカナは薄情にも見捨てるのか?お~いおいおい……っ!」
アレクさんは縫いぐるみの手を使って泣き真似をして見せている。
いや、縫いぐるみに涙は出ないから……。
「それは置いておいて……じゃ。好きな者同士一緒になるのが道理と言うものじゃ。カナ、お主はこのままザクスと宙ぶらりんな関係で良いのか?このままでは誰とも知れぬ余所の女に好いた男を盗られるやもしれぬぞ?せっかく助けたのに、知らぬ女にやるつもりか?」
「うぐ……!」
「ザクス、お主もじゃ。もしカナがどこの馬の骨とも知れぬ男に嫁に取られたらどうする気じゃ……?お主のためにカナは文字通り命懸けの旅をしてきたのじゃ。それだけお主のことを好いておる女を別の男にくれてやる気か……?」
「そ……それは……!」
年の功と言うか何と言うか……、アレクさんの言うことには一々説得力があった。
「ならば、二人できちんと祝言を挙げて、他人が入る隙を与えぬようにするのが一番だと思わぬか?」
「う……うん……。そうだよね……」
ザクスと結婚……。
夢にまで思い描いていた事が直ぐ目の前に……。
「ほれほれ、ザクス。お主はどうするんじゃ?カナの方からプロポーズさせる気か?男なら自分から言わんでどうする?」
「わ……分かっている……!か……カナっ!」
「は……はいっ!」
「その、なんだ……。俺と結婚してくれるか……?その、俺は不器用だしお前の満足の行くような事が出来るか分からんが、少なくとも悲しませはしないし、い……一生……愛するから……!だからその……一緒に幸せになろうっ!」
「はい……ザクス、あなたのプロポーズ……、お受けします」
ザクスのプロポーズを聞き、私は思わず目から涙が流れ出る。
「ここにおられる皆様方!晴れてこの二人は夫婦となった!もしよければ手を貸して頂き拍手をお願いしたいっ!!」
「おめでとうっ!」
「よ!ご両人幸せになっ!!」
「おい男の方!その可愛い嫁さんを泣かせるんじゃないぞっ!!」
「お嬢さんも旦那さんをしっかりと尻に敷いておくのよっ!!」
アレクさんの呼びかけで、ここにいた全員から祝福の拍手と言葉わ貰い、私達は思わず顔が真っ赤になりながら手を振るのだった。
「ぶふぅぅぅぅーーーーー………っ!!!」
マーゼを出て、サンバルの町の食堂兼酒場で食事をしていると、アレクさんが唐突に変なことを聞いてきたので、思わず口の中のものをふきだしてしまったっ!
と言うか、なんでいるの……?
「カナ、汚いわい……」
「げほ……!げほげほ……っ!!き……急に何を……っ!?ていうか、アレクさんマーゼを出るときも思ったんだけど、なんで普通にいるの……っ!?」
「何でと言われてものう……。儂はこの身体じゃし、元の身体はもう灰になってしもうとるしのう……。他に行き場もない哀れな年寄りをカナは薄情にも見捨てるのか?お~いおいおい……っ!」
アレクさんは縫いぐるみの手を使って泣き真似をして見せている。
いや、縫いぐるみに涙は出ないから……。
「それは置いておいて……じゃ。好きな者同士一緒になるのが道理と言うものじゃ。カナ、お主はこのままザクスと宙ぶらりんな関係で良いのか?このままでは誰とも知れぬ余所の女に好いた男を盗られるやもしれぬぞ?せっかく助けたのに、知らぬ女にやるつもりか?」
「うぐ……!」
「ザクス、お主もじゃ。もしカナがどこの馬の骨とも知れぬ男に嫁に取られたらどうする気じゃ……?お主のためにカナは文字通り命懸けの旅をしてきたのじゃ。それだけお主のことを好いておる女を別の男にくれてやる気か……?」
「そ……それは……!」
年の功と言うか何と言うか……、アレクさんの言うことには一々説得力があった。
「ならば、二人できちんと祝言を挙げて、他人が入る隙を与えぬようにするのが一番だと思わぬか?」
「う……うん……。そうだよね……」
ザクスと結婚……。
夢にまで思い描いていた事が直ぐ目の前に……。
「ほれほれ、ザクス。お主はどうするんじゃ?カナの方からプロポーズさせる気か?男なら自分から言わんでどうする?」
「わ……分かっている……!か……カナっ!」
「は……はいっ!」
「その、なんだ……。俺と結婚してくれるか……?その、俺は不器用だしお前の満足の行くような事が出来るか分からんが、少なくとも悲しませはしないし、い……一生……愛するから……!だからその……一緒に幸せになろうっ!」
「はい……ザクス、あなたのプロポーズ……、お受けします」
ザクスのプロポーズを聞き、私は思わず目から涙が流れ出る。
「ここにおられる皆様方!晴れてこの二人は夫婦となった!もしよければ手を貸して頂き拍手をお願いしたいっ!!」
「おめでとうっ!」
「よ!ご両人幸せになっ!!」
「おい男の方!その可愛い嫁さんを泣かせるんじゃないぞっ!!」
「お嬢さんも旦那さんをしっかりと尻に敷いておくのよっ!!」
アレクさんの呼びかけで、ここにいた全員から祝福の拍手と言葉わ貰い、私達は思わず顔が真っ赤になりながら手を振るのだった。
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