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由奈の章 甘えたがりな義妹
お兄ちゃんとゲームとあたし
しおりを挟む──由奈──
ある土曜日の朝――
「お兄ちゃん!一緒にエリシアしよっ!」
朝食を済ませたあと、あたしは勢いよくお兄ちゃんに抱きついた!
お母さんと新しくできたお父さんは一緒にどこかに出かけている。
ならあたしはしばらくお兄ちゃんを独占しちゃおう!
お姉ちゃんが何か言いかけてた気がするけど、こういうのは早い者勝ちなんだよっ!
「うわ……っ!?な……なに由奈ちゃん……?」
「お兄ちゃん、あたしとエリシアで遊ぼ!レベル上げ手伝ってよぉ~!」
「うん、いいよ」
「やったぁ~!」
お兄ちゃんの返事に気を良くしたあたしは、早速お兄ちゃんの手を引っ張って二階へと向かった。
二階の自分の部屋に駆け込んだあたしは、さっそくパソコンを立ち上げて……エリシア・オンラインを起動!
アバターはもちろん、犬耳と犬の尻尾をもつ水色の髪をした魔法使いの女の子、ユーナカリア!
『こんにちは!』
『こんにちは』
あたしはチームチャットで挨拶をすると今INしているのはあたしの他にはお兄ちゃんだけみたい。
『それじゃあ、お兄ちゃん!よろしくねっ!』
『それはいいけど、ユーナカリアはどこにいるの?』
えっと……今どこだっけ……?
あたしはメニュー画面でマップを開くと現在位置を確認する……。
『えっと……今あたしがいるのはヴァルミールにある学園の前だよ』
『分かった、すぐに行くよ』
あたしはチームチャットでお兄ちゃんへと伝へると学園前の目立つところにユーナカリアを移動させる。
ヴァルミール……、確かここはトリスタから数えて3番目の街で駆け出しなプレイヤー達が拠点にしている。
それはいいんだけど……もうそろそろお兄ちゃん来る頃かな……?
あたしはパソコンの画面の視点を変えながらお兄ちゃんのキャラクターを探す……。
すると、街の入り口から、剣と盾を装備した銀髪の男性キャラが歩いてくる。
頭上には「カナタ」の名前……お兄ちゃんのアバターだ。
このカナタというのがお兄ちゃんのアバター。
名前そのままじゃん……。
キャラ名考えるの、めんどくさかったのかな?
……まあ、あたしも似たようなもんだけどね。
『お兄ちゃんこっちだよ!』
『お待たせ』
あたしはユーナカリアに手を振らせるとお兄ちゃんも手を振り返してくれる。
『ねえお兄ちゃん、この辺りだとどこでレベル上げればいい?』
『今レベルはどのくらい?』
えっと……レベルは……と……。
あたしはメニュー画面を開いてユーナカリアのレベルを確認する。
『レベル19だよ』
『19か……、それならこの街を出たところにある廃村がいいかな……?』
『そこって、何が出るの?』
『ゴブリン。ちょっと強いけど、経験値は美味しいよ』
『いくいく!連れてって!』
『うん、それじゃあパーティーに誘うね』
『お願いします』
あたしはお兄ちゃんのパーティーに参加して——いざ、廃村のゴブリン退治へ出発っ!
◆◆◆
ヴァルミールの街を抜けて廃村に到着すると、そこには、うじゃうじゃとゴブリンたちが待ち構えていた!
「よ~し!いっくよ~っ!行けユーナカリア!ファイアロー!」
あたしは画面の前で叫びながら、サブパレットにセットした初級魔法「ファイアロー」を発動!
ユーナカリアが杖を構え、小さな火の玉を放つとそれがゴブリンに命中!
……でも、一撃じゃ倒れない!
「あ……あれれ……?当たったのに倒れないよ……?」
「この辺の敵はちょっと強いから、ファイアローだと2~3発当てないと倒せないよ」
あたしの疑問に答えるように隣の部屋から壁越しにお兄ちゃんの声が聞こえてくると、カナタが剣を構えてゴブリンを倒していく。
さすがにお兄ちゃんのアバターはレベルが高いこともあってか、ゴブリンたちを一撃で倒していく。
「ねえねえ、お兄ちゃん。魔法ってどうやったら強くなるの?」
「魔法はね、レベル上げたりINTを強化するアイテムを使ったり……あとは、強い魔法を買うしかないかな。でも、レベルが低いと覚えられないけどね」
「なるほど~……」
ふむ……。
あたしはお兄ちゃんの説明にユーナカリアを操作しながら考える……。
このままゴブリンを倒してレベル上げを行うか、魔法を買いに行くか……どうしようかな~……。
そう思いながらゴブリンを倒していると、何かをアイテムをドロップした。
なんだコレ……?
ゴブリンのドロップしたアイテムを拾うと、「グレイス学園の制服・女」というのを手に入れた。
「お兄ちゃん、何か制服が出たよ」
「ん……?ああ、ゴブリンを倒すとたまに落とすんだよ」
「へぇ~……」
(ん……?そういえば、ヴァルミールの街って学園があったよね……)
制服……学園……この組み合わせって……!
あたしの頭に、ある“アイデア”がひらめいた。
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