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由奈の章 甘えたがりな義妹
制服での告白と淡い恋心
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──彼方──
それは、ゴブリンを倒している最中のことだった。
『ねえ、お兄ちゃんちょっといい?』
なぜか壁越しの会話ではなく、パーティーチャットで由奈ちゃんが話しかけてきた。
『とうしたの?』
『お兄ちゃんもこのグレイス学園の制服って持ってる?』
『うん、あるよ』
というか、僕の方もついさっき男用の制服をゴブリンが落としたばかりだけど……。
『じゃあさ、この制服着て、ヴァルミールの学園に行ってみようよ!』
『まあいいけど……』
僕は由奈ちゃんの言っている意味がイマイチ分からないままゴブリンを倒すのをやめると、カナタに制服を着せて街へと戻る。
街に戻ると一足先に由奈ちゃんが戻っていたのかユーナカリアの姿があった。
『えへへ~、お兄ちゃん見て見て~!』
由奈ちゃんもユーナカリアに制服を着せているようで、青を基調としたブレザー風の制服を僕に見せてくる。
『なんか、ユーナカリアの水色の髪と制服の青が似合ってるね』
『そうでしょっ!?あたし青とか水色とかの色が好きなんだ~!』
なるほど、それでユーナカリアの髪の色は水色なのか。
『ところで、制服を着て学園で何するの?』
『制服を着てお兄ちゃんと学園に行くの!ね、行こうよっ!』
由奈ちゃんはユーナカリアに手を振らせると学園のある方へと向かって行った。
ゲーム内でも学園って……。
……まあいいか。
そんな事を思いながら街にある学園へと向かった。
◆◆◆
学園に入ると、思った以上に作り込まれていて驚いた。
教室や廊下、掲示板までまるで本物みたいだ。
『ねえ見てお兄ちゃん!ちゃんと教室まであるよっ!』
『学園の中に入ったことなかったけど、こうなってるのか……』
教室の中には数人のNPCが配置されてはいるものの、他のプレイヤーの姿はあまり居ないようだ。
『ねえ!お兄ちゃんこっち来て!』
僕は由奈ちゃんに言われるまま一つの教室へとはいる。
案内された教室の扉には「2-B」の文字。
……現実の僕の教室と、まったく同じだった。
というか、すごい作り込みだな……。
こういうちょっとしたところまできちんと再現されているあたりゲームの運営会社の本気度が伺える。
『みて!お兄ちゃん、椅子に座れるよっ!』
『えっ!?椅子に座れるのっ!?』
机も椅子も置いてあるだけかと思ったけど、実際に座れることに僕は驚いた。
『ねえ、お兄ちゃんはあたしの後ろの席に座ってよ!』
『分かった』
僕は由奈ちゃんに言われるがままユーナカリアの後ろの席へと座る。
『えへへ、こうしてると同じ教室で勉強してるみたいだね』
『まあ、そうだね』
『あたしさ、まだ中学生だし、歳も2つくらい離れてるからさ……ゲームでもいいから、こうしてお兄ちゃんと同じ学園に通ってみたかったの!』
『でも、来年には一緒に行けるよ?』
『えぇ~!来年まで待てない~!だからゲームでもいいからこうしてお兄ちゃんと同じ学園に行きたかったの!』
『そ……そうなんだ』
なんだろう、画面越しのはずなのに由奈ちゃんの圧を感じるのは……。
『ねえ、こうしてるとあたしってお兄ちゃんのクラスメイトに見える?それとも後輩?』
『まあ、実際に年下だから後輩かな……?』
『え~……!まあ、いいやそれでも……。じゃあさ……こう言うのはどう……?』
由奈ちゃんはユーナカリアを操作して僕の座っている席のすぐ横へと移動させた。
『ユーナカリア……?』
『先輩……好きです。付き合ってください……』
え……?
画面越しに伝えられた告白に僕は思わずドキっとする。
『あはははは~……!ビックリしたっ!?』
『な……っ!?』
告白が冗談だと知った僕は顔を少し赤くしながら画面を見つめる。
『でもさ、こう言う学園での告白ってなんか憧れるよね~』
『そ……そうだね……』
『……お兄ちゃん照れてる?』
『ノーコメント……』
『あははは……!あたしの冗談の告白に照れてるんだっ!』
『ノーコメント!』
このあとも、僕は由奈ちゃんにゲーム内の学園で、たっぷり振り回されることになる……。
~サイドストーリー~
──由奈──
しばらくお兄ちゃんとゲームで遊んだあと、あたしは「ちょっと休憩」と言ってログアウトした。
ベッドに仰向けに寝転がると、ほんのり熱くなっている自分の顔に手を当てる。
(あたし……ゲームの中で、お兄ちゃんに告白しちゃった……)
最後は笑って誤魔化しちゃったから、本気には受け取られてないと思う。
でも——あたしは、お兄ちゃんが好き。
義理の兄としても、もちろん大切。
でもそれ以上に、御堂彼方という一人の男の人に、あたしは淡い恋心を抱いていた。
きっかけは、同居が始まって次の日くらいにあたしが男の人に腕を掴まれた時。
お兄ちゃんが助けてくれた、あの瞬間。
あの時のお兄ちゃんは、本当にヒーローみたいだった。
すごく、すごくカッコよかった。
あんなの見せられたら好きになるに決まってるよ……!
(お兄ちゃん……あたし、本当に……お兄ちゃんのことが好きなんだよ)
心の中でそう呟いて、あたしは近くにあった枕をぎゅっと抱きしめた。
それは、ゴブリンを倒している最中のことだった。
『ねえ、お兄ちゃんちょっといい?』
なぜか壁越しの会話ではなく、パーティーチャットで由奈ちゃんが話しかけてきた。
『とうしたの?』
『お兄ちゃんもこのグレイス学園の制服って持ってる?』
『うん、あるよ』
というか、僕の方もついさっき男用の制服をゴブリンが落としたばかりだけど……。
『じゃあさ、この制服着て、ヴァルミールの学園に行ってみようよ!』
『まあいいけど……』
僕は由奈ちゃんの言っている意味がイマイチ分からないままゴブリンを倒すのをやめると、カナタに制服を着せて街へと戻る。
街に戻ると一足先に由奈ちゃんが戻っていたのかユーナカリアの姿があった。
『えへへ~、お兄ちゃん見て見て~!』
由奈ちゃんもユーナカリアに制服を着せているようで、青を基調としたブレザー風の制服を僕に見せてくる。
『なんか、ユーナカリアの水色の髪と制服の青が似合ってるね』
『そうでしょっ!?あたし青とか水色とかの色が好きなんだ~!』
なるほど、それでユーナカリアの髪の色は水色なのか。
『ところで、制服を着て学園で何するの?』
『制服を着てお兄ちゃんと学園に行くの!ね、行こうよっ!』
由奈ちゃんはユーナカリアに手を振らせると学園のある方へと向かって行った。
ゲーム内でも学園って……。
……まあいいか。
そんな事を思いながら街にある学園へと向かった。
◆◆◆
学園に入ると、思った以上に作り込まれていて驚いた。
教室や廊下、掲示板までまるで本物みたいだ。
『ねえ見てお兄ちゃん!ちゃんと教室まであるよっ!』
『学園の中に入ったことなかったけど、こうなってるのか……』
教室の中には数人のNPCが配置されてはいるものの、他のプレイヤーの姿はあまり居ないようだ。
『ねえ!お兄ちゃんこっち来て!』
僕は由奈ちゃんに言われるまま一つの教室へとはいる。
案内された教室の扉には「2-B」の文字。
……現実の僕の教室と、まったく同じだった。
というか、すごい作り込みだな……。
こういうちょっとしたところまできちんと再現されているあたりゲームの運営会社の本気度が伺える。
『みて!お兄ちゃん、椅子に座れるよっ!』
『えっ!?椅子に座れるのっ!?』
机も椅子も置いてあるだけかと思ったけど、実際に座れることに僕は驚いた。
『ねえ、お兄ちゃんはあたしの後ろの席に座ってよ!』
『分かった』
僕は由奈ちゃんに言われるがままユーナカリアの後ろの席へと座る。
『えへへ、こうしてると同じ教室で勉強してるみたいだね』
『まあ、そうだね』
『あたしさ、まだ中学生だし、歳も2つくらい離れてるからさ……ゲームでもいいから、こうしてお兄ちゃんと同じ学園に通ってみたかったの!』
『でも、来年には一緒に行けるよ?』
『えぇ~!来年まで待てない~!だからゲームでもいいからこうしてお兄ちゃんと同じ学園に行きたかったの!』
『そ……そうなんだ』
なんだろう、画面越しのはずなのに由奈ちゃんの圧を感じるのは……。
『ねえ、こうしてるとあたしってお兄ちゃんのクラスメイトに見える?それとも後輩?』
『まあ、実際に年下だから後輩かな……?』
『え~……!まあ、いいやそれでも……。じゃあさ……こう言うのはどう……?』
由奈ちゃんはユーナカリアを操作して僕の座っている席のすぐ横へと移動させた。
『ユーナカリア……?』
『先輩……好きです。付き合ってください……』
え……?
画面越しに伝えられた告白に僕は思わずドキっとする。
『あはははは~……!ビックリしたっ!?』
『な……っ!?』
告白が冗談だと知った僕は顔を少し赤くしながら画面を見つめる。
『でもさ、こう言う学園での告白ってなんか憧れるよね~』
『そ……そうだね……』
『……お兄ちゃん照れてる?』
『ノーコメント……』
『あははは……!あたしの冗談の告白に照れてるんだっ!』
『ノーコメント!』
このあとも、僕は由奈ちゃんにゲーム内の学園で、たっぷり振り回されることになる……。
~サイドストーリー~
──由奈──
しばらくお兄ちゃんとゲームで遊んだあと、あたしは「ちょっと休憩」と言ってログアウトした。
ベッドに仰向けに寝転がると、ほんのり熱くなっている自分の顔に手を当てる。
(あたし……ゲームの中で、お兄ちゃんに告白しちゃった……)
最後は笑って誤魔化しちゃったから、本気には受け取られてないと思う。
でも——あたしは、お兄ちゃんが好き。
義理の兄としても、もちろん大切。
でもそれ以上に、御堂彼方という一人の男の人に、あたしは淡い恋心を抱いていた。
きっかけは、同居が始まって次の日くらいにあたしが男の人に腕を掴まれた時。
お兄ちゃんが助けてくれた、あの瞬間。
あの時のお兄ちゃんは、本当にヒーローみたいだった。
すごく、すごくカッコよかった。
あんなの見せられたら好きになるに決まってるよ……!
(お兄ちゃん……あたし、本当に……お兄ちゃんのことが好きなんだよ)
心の中でそう呟いて、あたしは近くにあった枕をぎゅっと抱きしめた。
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