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由奈の章 甘えたがりな義妹
義妹に振り回される兄
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その日の午後、僕は由奈ちゃんに連れられてショッピングモールのゲームコーナーに来ていた。
「お出かけしよう」と言われた時は、家でゲームするよりはいいか……と思っていた。
でも、結局来たのはゲームコーナー。
これじゃ、家で遊ぶのとあまり変わらない気もする。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん!あれやろうよ~!」
由奈ちゃんが指差したのは、予想に反してクレーンゲーム。
中には、水色の服を着た犬のぬいぐるみが並んでいる。
「由奈ちゃん、犬好きなの?」
「そうなの!家じゃ飼えないけど、犬の動画とかよく見るんだよ。だから、お兄ちゃんが取ってくれたら嬉しいな~♪」
由奈ちゃんは僕の腕に抱きついて甘えてくる。
そういえば、ユーナカリアも犬耳と尻尾がついてたな……。
……というかこの子、こういう時の甘え方が本当に上手い。
「分かったよ。でも、取れるかは運次第だからね?」
「お兄ちゃんなら絶対取れるって信じてるよ!」
過度な期待はやめてほしいけど……。
由奈ちゃんの笑顔に押されて、僕はクレーンゲームに挑戦する。
一回目……失敗。
二回目……失敗。
三回目、取れたかと思ったけど……失敗。
「むぎぎぎぎ……!」
だんだんと苛立ちが増してくる。
なんでクレーンゲームのアームって、こんなに弱いんだよっ!?
「あ……あの、お兄ちゃん……?無理なら無理でいいんだよ……?」
由奈ちゃんが苦笑いを浮かべながら僕を見ている。
でも、こっちにも意地がある……!
そして四回目——
「……取れた!」
「わぁ~っ!すごいすごい!お兄ちゃん、ありがとう~っ!」
由奈ちゃんはぬいぐるみを受け取ると、ぎゅっと抱きしめて僕に笑顔を向ける。
「ふう……」
汗もかいてないのに、僕は額を腕で拭った。
これでなんとか兄の面子は保たれた気がする。
「これ、今日の思い出にするね。お兄ちゃんとの記念♪」
……なんだろう。
ちょっと大袈裟だなと思いながらも、由奈ちゃんのその言葉に胸が少しだけ熱くなる。
「次はこの太鼓ゲームやろうよ!負けたら罰ゲームねっ!」
由奈ちゃんの提案に、僕の顔は思わず引きつる。
「罰ゲーム……?何それ怖い……」
「ふふふ~、勝てばいいんだよ、お兄ちゃん♪」
由奈ちゃんはスティックを手にして、僕に挑戦状を叩きつけてくる。
……こういう時の由奈ちゃんは、ちょっとだけ小悪魔だ。
結果——僕の完敗。
「はいっ、お兄ちゃん罰ゲーム~!」
「はは……お手柔らかに……」
一体何をさせられるんだろう……。
僕の脳裏に、一抹の不安がよぎる。
「じゃあね……プリクラ撮ろっか♪」
「えっ!?」
由奈ちゃんは笑顔で僕の手を引いて、ゲームコーナーの奥にあるプリクラ機へと向かう。
「だって、せっかくだし今日の記念にしよ?ね?」
由奈ちゃんの笑顔に、僕は何も言えなくなってしまった。
……この子の“ね?”には、いつも勝てない。
プリクラ機の中、由奈ちゃんは僕の腕にそっと寄り添ってくる。
「カップル風に撮ってみよっか♪」
「……それ、冗談だよね?」
「ううん、冗談じゃないよ?」
由奈ちゃんの笑顔は、どこか本気だった。
僕は照れながらも、シャッターの音に身を任せる。
撮影が終わると、由奈ちゃんはスマホに画像を保存して、にっこりと笑った。
「これ、待ち受けにしよっと♪」
「……由奈ちゃん、それはちょっと」
「え~?だって、お兄ちゃんとの記念だもん!」
由奈ちゃんの笑顔に、僕は何も言えなくなってしまった。
……この子の“記念”って言葉、なんだかずるい。
このあと、僕たちは買い物へと向かうことになる。
◆◆◆
ゲームコーナーを出た僕たちは、ショッピングモールの雑貨フロアへと向かっていた。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。ここで何買うの?」
由奈ちゃんは僕の隣を歩きながら、さっきクレーンゲームで取ったぬいぐるみをぎゅっと抱えている。
その姿が、なんだか……ちょっとだけ、可愛い。
「パソコンのマウスを買いにね。最近クリックの反応が悪くてさ。できれば静音タイプがいいなって思ってる」
「静音タイプ……?あ、じゃあこのへんかな~?」
由奈ちゃんは僕の腕を引いて、マウス売り場の棚の前に立つ。
僕よりも先に商品を手に取って、真剣な顔でスペックを見比べている。
「……由奈ちゃん、詳しいね?」
「えへへ~。お兄ちゃんのためにちゃんと選ばなきゃって思って♪」
そう言って、スマホを片手に、もう片方の手で僕にひとつのマウスを差し出してくる。
水色のラインが入った、シンプルだけどちょっと可愛いデザイン。
「これ、静音タイプでレビューも良かったよ。あと……水色って、お兄ちゃんに似合うと思うな」
「……僕に?」
「うん。今日のぬいぐるみも水色だったし、なんか……お兄ちゃんのイメージって“優しい青”って感じ」
由奈ちゃんの言葉に、僕は少しだけ照れてしまう。
……そんなふうに思ってくれてたんだ。
本当は僕、白が好きなんだけど……由奈ちゃんの言うように、水色も悪くないかもしれない。
「じゃあ、それにしようかな」
「やった~!あたしの選んだやつだ~!」
由奈ちゃんは嬉しそうに笑って、僕の腕にそっと抱きついてくる。
そのたびに、由奈ちゃんの胸が僕の腕に当たるわけで……。
このままでは、本当に僕の理性がすり減ってなくなってしまう……!
……さっきのゲームコーナーでもそうだったけど、この子は本当に距離が近い。
「じゃあ、他にも何か買い物しよ?次は……お兄ちゃんの部屋のアイテムを選んでみたいな~」
「……僕の部屋の?」
「うん。お兄ちゃんの部屋って白ばっかりでちょっと地味だから、あたしが“可愛くしてあげる”♪」
由奈ちゃんの笑顔に、僕は何も言えなくなってしまった。
……この子の“可愛くしてあげる”って言葉、なんだかずるい。
こうして僕は、由奈ちゃんとの買い物を続けたのだった。
「お出かけしよう」と言われた時は、家でゲームするよりはいいか……と思っていた。
でも、結局来たのはゲームコーナー。
これじゃ、家で遊ぶのとあまり変わらない気もする。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん!あれやろうよ~!」
由奈ちゃんが指差したのは、予想に反してクレーンゲーム。
中には、水色の服を着た犬のぬいぐるみが並んでいる。
「由奈ちゃん、犬好きなの?」
「そうなの!家じゃ飼えないけど、犬の動画とかよく見るんだよ。だから、お兄ちゃんが取ってくれたら嬉しいな~♪」
由奈ちゃんは僕の腕に抱きついて甘えてくる。
そういえば、ユーナカリアも犬耳と尻尾がついてたな……。
……というかこの子、こういう時の甘え方が本当に上手い。
「分かったよ。でも、取れるかは運次第だからね?」
「お兄ちゃんなら絶対取れるって信じてるよ!」
過度な期待はやめてほしいけど……。
由奈ちゃんの笑顔に押されて、僕はクレーンゲームに挑戦する。
一回目……失敗。
二回目……失敗。
三回目、取れたかと思ったけど……失敗。
「むぎぎぎぎ……!」
だんだんと苛立ちが増してくる。
なんでクレーンゲームのアームって、こんなに弱いんだよっ!?
「あ……あの、お兄ちゃん……?無理なら無理でいいんだよ……?」
由奈ちゃんが苦笑いを浮かべながら僕を見ている。
でも、こっちにも意地がある……!
そして四回目——
「……取れた!」
「わぁ~っ!すごいすごい!お兄ちゃん、ありがとう~っ!」
由奈ちゃんはぬいぐるみを受け取ると、ぎゅっと抱きしめて僕に笑顔を向ける。
「ふう……」
汗もかいてないのに、僕は額を腕で拭った。
これでなんとか兄の面子は保たれた気がする。
「これ、今日の思い出にするね。お兄ちゃんとの記念♪」
……なんだろう。
ちょっと大袈裟だなと思いながらも、由奈ちゃんのその言葉に胸が少しだけ熱くなる。
「次はこの太鼓ゲームやろうよ!負けたら罰ゲームねっ!」
由奈ちゃんの提案に、僕の顔は思わず引きつる。
「罰ゲーム……?何それ怖い……」
「ふふふ~、勝てばいいんだよ、お兄ちゃん♪」
由奈ちゃんはスティックを手にして、僕に挑戦状を叩きつけてくる。
……こういう時の由奈ちゃんは、ちょっとだけ小悪魔だ。
結果——僕の完敗。
「はいっ、お兄ちゃん罰ゲーム~!」
「はは……お手柔らかに……」
一体何をさせられるんだろう……。
僕の脳裏に、一抹の不安がよぎる。
「じゃあね……プリクラ撮ろっか♪」
「えっ!?」
由奈ちゃんは笑顔で僕の手を引いて、ゲームコーナーの奥にあるプリクラ機へと向かう。
「だって、せっかくだし今日の記念にしよ?ね?」
由奈ちゃんの笑顔に、僕は何も言えなくなってしまった。
……この子の“ね?”には、いつも勝てない。
プリクラ機の中、由奈ちゃんは僕の腕にそっと寄り添ってくる。
「カップル風に撮ってみよっか♪」
「……それ、冗談だよね?」
「ううん、冗談じゃないよ?」
由奈ちゃんの笑顔は、どこか本気だった。
僕は照れながらも、シャッターの音に身を任せる。
撮影が終わると、由奈ちゃんはスマホに画像を保存して、にっこりと笑った。
「これ、待ち受けにしよっと♪」
「……由奈ちゃん、それはちょっと」
「え~?だって、お兄ちゃんとの記念だもん!」
由奈ちゃんの笑顔に、僕は何も言えなくなってしまった。
……この子の“記念”って言葉、なんだかずるい。
このあと、僕たちは買い物へと向かうことになる。
◆◆◆
ゲームコーナーを出た僕たちは、ショッピングモールの雑貨フロアへと向かっていた。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。ここで何買うの?」
由奈ちゃんは僕の隣を歩きながら、さっきクレーンゲームで取ったぬいぐるみをぎゅっと抱えている。
その姿が、なんだか……ちょっとだけ、可愛い。
「パソコンのマウスを買いにね。最近クリックの反応が悪くてさ。できれば静音タイプがいいなって思ってる」
「静音タイプ……?あ、じゃあこのへんかな~?」
由奈ちゃんは僕の腕を引いて、マウス売り場の棚の前に立つ。
僕よりも先に商品を手に取って、真剣な顔でスペックを見比べている。
「……由奈ちゃん、詳しいね?」
「えへへ~。お兄ちゃんのためにちゃんと選ばなきゃって思って♪」
そう言って、スマホを片手に、もう片方の手で僕にひとつのマウスを差し出してくる。
水色のラインが入った、シンプルだけどちょっと可愛いデザイン。
「これ、静音タイプでレビューも良かったよ。あと……水色って、お兄ちゃんに似合うと思うな」
「……僕に?」
「うん。今日のぬいぐるみも水色だったし、なんか……お兄ちゃんのイメージって“優しい青”って感じ」
由奈ちゃんの言葉に、僕は少しだけ照れてしまう。
……そんなふうに思ってくれてたんだ。
本当は僕、白が好きなんだけど……由奈ちゃんの言うように、水色も悪くないかもしれない。
「じゃあ、それにしようかな」
「やった~!あたしの選んだやつだ~!」
由奈ちゃんは嬉しそうに笑って、僕の腕にそっと抱きついてくる。
そのたびに、由奈ちゃんの胸が僕の腕に当たるわけで……。
このままでは、本当に僕の理性がすり減ってなくなってしまう……!
……さっきのゲームコーナーでもそうだったけど、この子は本当に距離が近い。
「じゃあ、他にも何か買い物しよ?次は……お兄ちゃんの部屋のアイテムを選んでみたいな~」
「……僕の部屋の?」
「うん。お兄ちゃんの部屋って白ばっかりでちょっと地味だから、あたしが“可愛くしてあげる”♪」
由奈ちゃんの笑顔に、僕は何も言えなくなってしまった。
……この子の“可愛くしてあげる”って言葉、なんだかずるい。
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