罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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由奈の章 甘えたがりな義妹

窮地に立つ彼方

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 由奈ちゃんに連れて行かれた僕は場違いな場所に立っていた……。

「ねえ、お兄ちゃん。これとこれどっちがいいと思う?」

 由奈ちゃんは僕へと二着の水着を持って笑顔で聞いてくると、僕は顔を赤くしながらこの状況に戸惑っていた……。

「え……?えっと……その……」

 そう、僕が今いるのは商店街にある女性用の水着専門店……!

 多くの女性客の中に男の僕がいるものだから、周囲からの視線が冷たく突き刺さる。  
 僕はできるだけ目を合わせないように、由奈ちゃんの声に集中するしかなかった。

「ねえ、お兄ちゃん聴いてる?こっちとこっちの水着どっちがいいと思う?」

 由奈ちゃんは僕へと水色のワンピース型の水着と同じく水色のビキニを見せてくる。

 水色で色が決まっているのはいいとして……なんで僕に聞くの……っ!?

「あ……あの……由奈ちゃん……?そもそもなんで水着を買いに……?」

 僕は彼女へと率直な疑問を投げかける。

「今度友達とプールに行くの。だから水着を新調しようと思って買いに来たの!」

「な……ならその友達と買いに来ればいいんじゃないかな……?」

 僕は冷や汗を流しながら真っ当な事を言ってみる。

「分かってないなぁ~。女の子同士じゃなくて、こういうのは男の人の意見も大事なんだよ?」

「だ……だからって別に僕じゃなくても……」

「……鈍感」

 由奈ちゃんはボソッと呟くと頬を膨らませる、

「え……?由奈ちゃん今何か言った……?」

「言ってないよ!とりあえずどっちが選んでよ!」

 さっきまでの機嫌の良さから一転、少し拗ねたように由奈ちゃんは僕へと詰め寄ってくる。

 お……女の子ってよくわかんないな……。
 と……とりあえずどっちが選べばいいんだよね……?

(で……でも、選んだほうを由奈ちゃんが着るわけで……)

 僕の選んだ水着を由奈ちゃんが着ている姿を想像すると胸がドキドキと高鳴る……。

「な……ならこっち……!」

 僕は思わず目を閉じて水着を指差す!

「え……?」

 すると由奈ちゃんの声と共に何か指先に柔らかな感触を感じる。

 な……何に触れたんだろう……?
 僕は恐る恐る目を開ける……。
 なんと僕の指は由奈ちゃんの胸に触れてしまっていた……!

「ご……ごめ……!」

 僕は慌てて由奈ちゃんの胸から指を離すも周囲の女性客からは一斉に冷たくも非難に満ちた視線を向けられる……!

「もう……、お兄ちゃんのエッチ……!」

 僕は由奈ちゃんの顔を怖々とみると、少し顔を赤くしながら拗ねている彼女の顔があった。

「ごめん……!こっち……!こっちを指さそうとしただけだから……!」

「分かった、じゃあこれ買ってくるね♪」

 僕はワンピースの水着を指さすと由奈ちゃんは上機嫌でレジへと向かうと、他の女性客の視線もまた収まり僕はホッと胸をなで下ろした。

(さて……待ってる間どうしようかな……)

 いつまでもここにいる訳にも行かず、どこで待っていようかと思っていると店の入り口の辺りにガチャガチャがあったことを思い出す。

(と……取敢えずガチャガチャの方でも見てみようかな……)

 僕は逃げるように店を出て、入り口近くのガチャガチャへと向かった。  
 ……とにかく、あの空間から逃げ出したかった。  


 ガチャガチャのラインナップを見ていると、見覚えのあるキャラの商品を見つける。

 それはヴァリアント・ブレイドと言う、武装した女の子が敵と戦うというアニメのグッズで、一回500円。

 僕は500円を入れてガチャガチャを回すと、キャラクターのストラップが出てきた。

(不知火か……)

 不知火は青を基調としたキャラクターで、右腕がドリルになっている。

 まあ、折角買ったんだから部屋にでも置いておくか……。

 でも、何か忘れてるような……。

 僕はそう思いながら不知火のストラップの入ったカプセルをズボンのポケットへとねじ込むと、丁度由奈ちゃんが店から出てきた。

「あ~っ!お兄ちゃん、こんなとこにいたの!?お店の中をずいぶん探したんだからねっ!」

 由奈ちゃんは水着の袋を手に、頬を膨らませて僕をにらむ。

「いや……そうは言われてもあの場に一人でいるのは僕には無理だから……」

「それはそうかもだけど、一言いってよ!」

「……ごめん」

 由奈ちゃんの言うことが正論だったため、僕はおとなしく謝ることにする。

「もういいよ……!それより、お兄ちゃんは本校に戻るんだよね?」

「え……?あ……っ!」

 由奈ちゃんに言われて思い出す……!
 しまった……!早く戻らないと……!

「そ……それじゃあ由奈ちゃん!僕が本校のほうに戻るから……!」

「うん、お兄ちゃんありがとね♪」

 僕は手を振る由奈ちゃんに見送られながら学園へと走った。

 しかし……

「……御堂君帰って来るの遅い、御堂君まで高藤君みたいに消えたのかと思った」

「ご……ごめん……!」

 教室へと戻ると、1人教室でポツンと取り残され、拗ねている柊さんの姿があったのだった……。
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