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由奈の章 甘えたがりな義妹
感情の決壊、そして逃走……
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放課後。窓の外に目を向けると、校門のそばに彼方さんの姿が見えた。
制服の襟元を風が揺らしていて、なんだか映画のワンシーンみたいだった。
(嬉しい……、本当に迎えに来てくれたんだ……!)
あたしは顔を綻ばせてすぐに教室を飛び出ようとする……しかし……。
「由奈~?今日掃除当番でしょ?」
「あ……ごめん、忘れてたよ……」
あたしは「あはは……」と誤魔化すように笑みを浮かべるともう一度窓の外を見つめる……。
あたしはすぐにスマホで彼方さんに掃除当番で少し遅れることをメールで伝えると掃除を行った……。
掃除を終えたあたしは急いで校門へと向かう。
「掃除ですっかり遅くなっちゃった……!早く校門に行かないと……!」
あたしの心臓がバクバクして、足がもつれそうになりながらも走って昇降口へと急ぐ……が、運悪く先生に見つかってしまった……!
げ……!
「こら御堂!廊下を走るな……!」
「ご……ごめんなさ~い!」
あたしは走るのをやめると早歩きで昇降口へと向かう。
お説教されずに済んだのは良かったけど、とにかく急がないと……!
昇降口にたどり着いたあたしは、上履きから靴へと履き替え、校門へと出る。
しかしそこには信じ難い光景が広がっていた。
「彼方さん……!おまた……せ……」
校門の前で、彼方さんが女子たちに囲まれていた。
その中には、あたしの友達の姿もあった。
彼方さんは、少し困ったように笑いながら、それでもちゃんと答えていた。
(……なんで、他の女の子にそんな顔を見せるの?)
あたしの心の中でまたトゲトゲとした気持ちが湧き上がってくる……。
「え~、本当に先輩って由奈と同じ家に住んでるんですかっ!?」
「うん、まあ……、親の再婚でね……」
「でも、なんかそれなんか素敵~……!」
「私も……!彼氏と同棲とかできたら毎日が輝いて見えるんだろうなってもうよね~」
「先輩も、由奈と暮らして何か変わったこととかありますか?」
「いや……まあ……、それはノーコメントで……」
「先輩それはずるいですよ~!きちんと教えてくださいよ~!」
クラスの女子たちは彼方さんと楽しそうに話をしている……。
その様子を見ているとだんだんとか腹立たしく感じ、胸の奥がじわじわと黒く染まっていく。
雨雲みたいな感情とトゲトゲとしたもの気持ちが、心の中を覆っていく。
これがなんなのか、不安なのか——それとも別の何かなのか自分でも分からない。
なんで……?なんで彼方さんはそんなに他の女の子と話してるの……?
あたしを待っててくれてたんじゃないの……?
そして……あたしは気がつけば大声を発していた。
「……彼方さん!」
あたしの声に彼方さんとそれを取り囲んでいた女の子たちが驚いた表情であたしを見る……。
彼方さんはあたしの姿を確認するとすぐに笑顔を向けてくれた。
「あ、由奈。掃除終わったんだね」
そして、彼方さんを取り囲んでいた女の子たちもまた彼から離れるとこの場を去っていった。
「それじゃあ先輩、バイバ~イ!」
そのうちの一人が彼方さんへと手を振ると、彼方さんもまた手を振り返す。
その様子にあたしの胸はズキっと痛んだ。
「彼方さん……!」
あたしは彼方さんへと抱きつくと、あたしの気持ちを察してたのか事情を説明してくれた。
「ごめんね、由奈。由奈を待ってたら他の女の子たちから質問攻めにあっちゃってさ……、無視する訳にもいかなかったし……」
彼方さんの言うことはわかる……。
でも……他の女の子と話してほしくないというあたしが心のなかにいた……。
「彼方さん、一緒に帰ろ」
(あたしだけを見てほしい……!)
その言葉が喉まで出かかったけど、どうにか飲み込んだ。
代わりに、精一杯の笑顔を作って、彼方さんの腕にしがみつく。
それだけで、少しだけ安心できた。
「うん、そうだね」
あたしは限界寸前まで来ていた心のモヤモヤをどうにか押し込め、彼方さんと下校した。
◆◆◆
彼方さんとの帰り道……それは起きた。
「あれ~?御堂くん、さっき急いで教室出てったと思ったら……妹ちゃんのお迎えだったのね?へぇ~、御堂君って優しいんだ~」
付属中学と本校との道が交わる辺りで茶色いゆるふわロングの先輩が、笑いながら彼方さんに話しかけてくる。
その“親しげな距離感”が、あたしの胸をじわじわと締めつけていく。
「早乙女さん……、別にねだられた訳じゃ……。僕が迎えに行くって由奈に言ってたんだよ。それに由奈は僕の妹とかじゃなくて僕の彼女で……」
彼女……、やや苦笑しながらその早乙女先輩にそう紹介してくれたことにあたしは少し嬉しく感じた。
「ふぅ~ん……。でも付属の子と付き合うなんてね……。御堂君って意外と妹属性が付いてる……みたいな?」
妹……。
早乙女先輩が笑いながら言った言葉にあたしの胸は締め付けられ気がつけば目からは涙が溢れていた。
「まあ、一応義妹ではあるけど、でも由奈はそんなんじゃなくてれっきとした僕の……て、由奈……っ!?」
「うう……ひっく……!ぐす……!あたし……妹なんかじゃない……!彼方さんの……恋人なのに……!」
あたしは顔を真っ赤にして泣いていた。
声にならない言葉が喉につかえて、涙だけが溢れてくる。
「あ……あら……?ちょっと……これ……」
早乙女先輩が困惑気味にあたしの方を気にかけてくれるけど、今のあたしにはそれを感じる余裕なんて全くなかった……。
きっと彼方さんも本当は心の何処かであたしのことを妹だって思うからお姉ちゃんや他の女の子たちに優しくするんだ……!
本当はそうじゃないというのはわかっている……。
でも……そうなんじゃないかと思ったら悲しくて辛くて苦しくて……涙が止まらなくなっていた。
「ぐす……!うう……!妹なんてやだ……!あたしは……彼方さんの恋人なのに……!」
あたしはその場にしゃがみ込むと泣きじゃくりながら叫ぶ。
「由奈……大丈夫、僕は——」
彼方さんがそっと抱きしめてくれる。
でも、その腕の中でさえ、あたしの涙は止まらなかった。
彼方さんはそう言ってくれるけど……その優しさが今のあたしには辛い……。
今まで溜め込んでいた不安やモヤモヤを全部流すかのように涙が止まらなくなっていた。
「やだ……!もう……何もかもやだ……っ!」
あたしは彼方さんを突き飛ばして、走り出した。
「由奈……!」
背中に彼方さんの声が届いた気がしたけど、振り返る余裕なんてなかった。
涙で視界が滲んで、世界がぐしゃぐしゃに見えた。
制服の襟元を風が揺らしていて、なんだか映画のワンシーンみたいだった。
(嬉しい……、本当に迎えに来てくれたんだ……!)
あたしは顔を綻ばせてすぐに教室を飛び出ようとする……しかし……。
「由奈~?今日掃除当番でしょ?」
「あ……ごめん、忘れてたよ……」
あたしは「あはは……」と誤魔化すように笑みを浮かべるともう一度窓の外を見つめる……。
あたしはすぐにスマホで彼方さんに掃除当番で少し遅れることをメールで伝えると掃除を行った……。
掃除を終えたあたしは急いで校門へと向かう。
「掃除ですっかり遅くなっちゃった……!早く校門に行かないと……!」
あたしの心臓がバクバクして、足がもつれそうになりながらも走って昇降口へと急ぐ……が、運悪く先生に見つかってしまった……!
げ……!
「こら御堂!廊下を走るな……!」
「ご……ごめんなさ~い!」
あたしは走るのをやめると早歩きで昇降口へと向かう。
お説教されずに済んだのは良かったけど、とにかく急がないと……!
昇降口にたどり着いたあたしは、上履きから靴へと履き替え、校門へと出る。
しかしそこには信じ難い光景が広がっていた。
「彼方さん……!おまた……せ……」
校門の前で、彼方さんが女子たちに囲まれていた。
その中には、あたしの友達の姿もあった。
彼方さんは、少し困ったように笑いながら、それでもちゃんと答えていた。
(……なんで、他の女の子にそんな顔を見せるの?)
あたしの心の中でまたトゲトゲとした気持ちが湧き上がってくる……。
「え~、本当に先輩って由奈と同じ家に住んでるんですかっ!?」
「うん、まあ……、親の再婚でね……」
「でも、なんかそれなんか素敵~……!」
「私も……!彼氏と同棲とかできたら毎日が輝いて見えるんだろうなってもうよね~」
「先輩も、由奈と暮らして何か変わったこととかありますか?」
「いや……まあ……、それはノーコメントで……」
「先輩それはずるいですよ~!きちんと教えてくださいよ~!」
クラスの女子たちは彼方さんと楽しそうに話をしている……。
その様子を見ているとだんだんとか腹立たしく感じ、胸の奥がじわじわと黒く染まっていく。
雨雲みたいな感情とトゲトゲとしたもの気持ちが、心の中を覆っていく。
これがなんなのか、不安なのか——それとも別の何かなのか自分でも分からない。
なんで……?なんで彼方さんはそんなに他の女の子と話してるの……?
あたしを待っててくれてたんじゃないの……?
そして……あたしは気がつけば大声を発していた。
「……彼方さん!」
あたしの声に彼方さんとそれを取り囲んでいた女の子たちが驚いた表情であたしを見る……。
彼方さんはあたしの姿を確認するとすぐに笑顔を向けてくれた。
「あ、由奈。掃除終わったんだね」
そして、彼方さんを取り囲んでいた女の子たちもまた彼から離れるとこの場を去っていった。
「それじゃあ先輩、バイバ~イ!」
そのうちの一人が彼方さんへと手を振ると、彼方さんもまた手を振り返す。
その様子にあたしの胸はズキっと痛んだ。
「彼方さん……!」
あたしは彼方さんへと抱きつくと、あたしの気持ちを察してたのか事情を説明してくれた。
「ごめんね、由奈。由奈を待ってたら他の女の子たちから質問攻めにあっちゃってさ……、無視する訳にもいかなかったし……」
彼方さんの言うことはわかる……。
でも……他の女の子と話してほしくないというあたしが心のなかにいた……。
「彼方さん、一緒に帰ろ」
(あたしだけを見てほしい……!)
その言葉が喉まで出かかったけど、どうにか飲み込んだ。
代わりに、精一杯の笑顔を作って、彼方さんの腕にしがみつく。
それだけで、少しだけ安心できた。
「うん、そうだね」
あたしは限界寸前まで来ていた心のモヤモヤをどうにか押し込め、彼方さんと下校した。
◆◆◆
彼方さんとの帰り道……それは起きた。
「あれ~?御堂くん、さっき急いで教室出てったと思ったら……妹ちゃんのお迎えだったのね?へぇ~、御堂君って優しいんだ~」
付属中学と本校との道が交わる辺りで茶色いゆるふわロングの先輩が、笑いながら彼方さんに話しかけてくる。
その“親しげな距離感”が、あたしの胸をじわじわと締めつけていく。
「早乙女さん……、別にねだられた訳じゃ……。僕が迎えに行くって由奈に言ってたんだよ。それに由奈は僕の妹とかじゃなくて僕の彼女で……」
彼女……、やや苦笑しながらその早乙女先輩にそう紹介してくれたことにあたしは少し嬉しく感じた。
「ふぅ~ん……。でも付属の子と付き合うなんてね……。御堂君って意外と妹属性が付いてる……みたいな?」
妹……。
早乙女先輩が笑いながら言った言葉にあたしの胸は締め付けられ気がつけば目からは涙が溢れていた。
「まあ、一応義妹ではあるけど、でも由奈はそんなんじゃなくてれっきとした僕の……て、由奈……っ!?」
「うう……ひっく……!ぐす……!あたし……妹なんかじゃない……!彼方さんの……恋人なのに……!」
あたしは顔を真っ赤にして泣いていた。
声にならない言葉が喉につかえて、涙だけが溢れてくる。
「あ……あら……?ちょっと……これ……」
早乙女先輩が困惑気味にあたしの方を気にかけてくれるけど、今のあたしにはそれを感じる余裕なんて全くなかった……。
きっと彼方さんも本当は心の何処かであたしのことを妹だって思うからお姉ちゃんや他の女の子たちに優しくするんだ……!
本当はそうじゃないというのはわかっている……。
でも……そうなんじゃないかと思ったら悲しくて辛くて苦しくて……涙が止まらなくなっていた。
「ぐす……!うう……!妹なんてやだ……!あたしは……彼方さんの恋人なのに……!」
あたしはその場にしゃがみ込むと泣きじゃくりながら叫ぶ。
「由奈……大丈夫、僕は——」
彼方さんがそっと抱きしめてくれる。
でも、その腕の中でさえ、あたしの涙は止まらなかった。
彼方さんはそう言ってくれるけど……その優しさが今のあたしには辛い……。
今まで溜め込んでいた不安やモヤモヤを全部流すかのように涙が止まらなくなっていた。
「やだ……!もう……何もかもやだ……っ!」
あたしは彼方さんを突き飛ばして、走り出した。
「由奈……!」
背中に彼方さんの声が届いた気がしたけど、振り返る余裕なんてなかった。
涙で視界が滲んで、世界がぐしゃぐしゃに見えた。
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