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由奈の章 甘えたがりな義妹
散らかった部屋と崩れた心
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家に帰ったあたしは、靴も脱ぎっぱなしでそのまま部屋へ入った。
鞄を放り投げて、机の上のノートもペンも、全部ぐちゃぐちゃにした。
散らかっていく部屋が、今のあたしの心そのものみたいにも見える。
「もういいっ!もうイヤ!何もかもイヤ……っ!」
涙はもう出なかった。
でも、胸の奥がずっとズキズキしてて、息をするのも苦しかった。
「ちょっと……!由奈どうしたの……っ!?」
あたしの叫び声と物音を聞きつけたお姉ちゃんが部屋へとやってくる。
「お姉ちゃんには関係ないよ……っ!」
「もしかして彼方と何かあったの……?」
お姉ちゃんのその言葉にあたしは昨日お姉ちゃんへと笑顔を向けていた彼方さんを思い出す。
「もういいから出ていってよ……!」
枕を投げつけた瞬間、お姉ちゃんの顔が驚きから怒りに変わった。
言い合いになって、叫んで、泣いて……そして最後には手まであげて……気づけば部屋の空気がぐちゃぐちゃになっていた。
ひとしきりお姉ちゃんとケンカしたあと……あたしはベッドの上にで、膝を抱えてうずくまった。
部屋の中は散らかっていて、あたしの心みたいだった。
(なんで……あたし、こんなこと……)
お姉ちゃんはあたしを心配して来てくれた……。
でも……あたしはそれを疎ましく思ってしまった……。
彼方さんの時だってそう……、あたしを心配してくれてたのに……あたしは彼方さんを突き飛ばしてしまった……。
(彼方さん……)
名前を呼ぶだけで、また胸が痛くなる。
(あたし……本当にだんだん嫌な子になっちゃってる……。素直で人懐っこかったあたしはどこに言っちゃっんだろう……)
誰にも聞かれない問いを、心の中で何度も繰り返す。
でも、答えは出なかった。
ただ、膝の中に顔を埋めて、あたしは動けなくなった。
──彼方──
早乙女さんと別れたあと、僕は由奈を探していた。
別れ際に早乙女さんは、「からかい過ぎたみたいで悪いことしちゃったね……、本当にごめんね……」と言ってたけど、今はそんなことより由奈だ……!
商店街を走り回って、由奈のクラスメイトに声をかけて、駅前まで足を伸ばしてみたり……。
でも、誰も由奈を見ていなかった。
(どこに行ったんだよ……由奈……!)
僕は由奈のスマホに電話をかけるも、出ない……。
もしかしたら家に帰ってるのかもしれない……、そう思った僕は亜希のスマホへと電話をかけることにする。
いつもなら気にならないコール音がやけに長く感じる……。
(早く……!亜希早く出てよ……!)
そして、数回コール音がなった後に亜希が電話に出る。
『もしもし……?』
「あ……、亜希っ!?由奈家にいる……っ!?」
『……いるわよもう!由奈との間に何があったのかは知らないけど、由奈があたしに殴りかかってきたのよっ!?』
亜希は不機嫌らしく、僕に由奈のことで文句を言ってくる。
「えっと……それはゴメン……。とにかく家に帰るよ」
『そうして!それで早く由奈と仲直りでもしてもらわないと変に八つ当たりされたらこっちがたまったものじゃないわっ!』
それだけを言うと亜希は電話を切る。
……どうやら亜希にも迷惑をかけてしまったようだ。
「ひとまず家に急ごう……!」
僕は一人呟くと家へと向かった走った。
◆◆◆
家へと帰ると、乱雑に脱ぎ捨てられた由奈の靴が玄関にあった。
靴を脱いだ僕はひとまずリビングへと向かうと、そこには頬をタオルで冷やしている亜希の姿があった。
「ただいま……。亜希、頬どうしたの……?」
「……電話で言ったでしょ?由奈に殴りかかられたって」
……つまり由奈が亜希の頬を叩いたということらしい。
「なんかゴメン……」
「とにかく、早くあの子を何とかして。彼氏なんでしょ?だったら、ちゃんと向き合ってあげなさいよ」
亜希の声は苛立っていたけど、どこか“妹を心配する姉”の響きも混ざっていた。
「本当にゴメン……!」
僕は亜希への謝罪をそこそこに由奈の部屋を目指した。
鞄を放り投げて、机の上のノートもペンも、全部ぐちゃぐちゃにした。
散らかっていく部屋が、今のあたしの心そのものみたいにも見える。
「もういいっ!もうイヤ!何もかもイヤ……っ!」
涙はもう出なかった。
でも、胸の奥がずっとズキズキしてて、息をするのも苦しかった。
「ちょっと……!由奈どうしたの……っ!?」
あたしの叫び声と物音を聞きつけたお姉ちゃんが部屋へとやってくる。
「お姉ちゃんには関係ないよ……っ!」
「もしかして彼方と何かあったの……?」
お姉ちゃんのその言葉にあたしは昨日お姉ちゃんへと笑顔を向けていた彼方さんを思い出す。
「もういいから出ていってよ……!」
枕を投げつけた瞬間、お姉ちゃんの顔が驚きから怒りに変わった。
言い合いになって、叫んで、泣いて……そして最後には手まであげて……気づけば部屋の空気がぐちゃぐちゃになっていた。
ひとしきりお姉ちゃんとケンカしたあと……あたしはベッドの上にで、膝を抱えてうずくまった。
部屋の中は散らかっていて、あたしの心みたいだった。
(なんで……あたし、こんなこと……)
お姉ちゃんはあたしを心配して来てくれた……。
でも……あたしはそれを疎ましく思ってしまった……。
彼方さんの時だってそう……、あたしを心配してくれてたのに……あたしは彼方さんを突き飛ばしてしまった……。
(彼方さん……)
名前を呼ぶだけで、また胸が痛くなる。
(あたし……本当にだんだん嫌な子になっちゃってる……。素直で人懐っこかったあたしはどこに言っちゃっんだろう……)
誰にも聞かれない問いを、心の中で何度も繰り返す。
でも、答えは出なかった。
ただ、膝の中に顔を埋めて、あたしは動けなくなった。
──彼方──
早乙女さんと別れたあと、僕は由奈を探していた。
別れ際に早乙女さんは、「からかい過ぎたみたいで悪いことしちゃったね……、本当にごめんね……」と言ってたけど、今はそんなことより由奈だ……!
商店街を走り回って、由奈のクラスメイトに声をかけて、駅前まで足を伸ばしてみたり……。
でも、誰も由奈を見ていなかった。
(どこに行ったんだよ……由奈……!)
僕は由奈のスマホに電話をかけるも、出ない……。
もしかしたら家に帰ってるのかもしれない……、そう思った僕は亜希のスマホへと電話をかけることにする。
いつもなら気にならないコール音がやけに長く感じる……。
(早く……!亜希早く出てよ……!)
そして、数回コール音がなった後に亜希が電話に出る。
『もしもし……?』
「あ……、亜希っ!?由奈家にいる……っ!?」
『……いるわよもう!由奈との間に何があったのかは知らないけど、由奈があたしに殴りかかってきたのよっ!?』
亜希は不機嫌らしく、僕に由奈のことで文句を言ってくる。
「えっと……それはゴメン……。とにかく家に帰るよ」
『そうして!それで早く由奈と仲直りでもしてもらわないと変に八つ当たりされたらこっちがたまったものじゃないわっ!』
それだけを言うと亜希は電話を切る。
……どうやら亜希にも迷惑をかけてしまったようだ。
「ひとまず家に急ごう……!」
僕は一人呟くと家へと向かった走った。
◆◆◆
家へと帰ると、乱雑に脱ぎ捨てられた由奈の靴が玄関にあった。
靴を脱いだ僕はひとまずリビングへと向かうと、そこには頬をタオルで冷やしている亜希の姿があった。
「ただいま……。亜希、頬どうしたの……?」
「……電話で言ったでしょ?由奈に殴りかかられたって」
……つまり由奈が亜希の頬を叩いたということらしい。
「なんかゴメン……」
「とにかく、早くあの子を何とかして。彼氏なんでしょ?だったら、ちゃんと向き合ってあげなさいよ」
亜希の声は苛立っていたけど、どこか“妹を心配する姉”の響きも混ざっていた。
「本当にゴメン……!」
僕は亜希への謝罪をそこそこに由奈の部屋を目指した。
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