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由奈の章 甘えたがりな義妹
ご主人様、最後の一撃です♡
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付属中学へとやって来た僕は、由奈のクラスである3年C組の教室へと向かう。
教室のドアにはメイド喫茶と書かれており、少し中を覗くと多くの人……主に男子たちで賑わっていた。
(由奈はどこかな……?)
僕は教室のドア越しに由奈を探すとすぐに見つかった……が、何か様子が変だ。
教室の奥の方の席に座っている付属中学の男子がしつこくメイド姿の由奈に話しかけているように見える。
「ねえねえ、この後時間空いてる?一緒に学園祭回ろうよ!」
「御堂さんって、ほんと可愛いよね。ねえ、一緒に写真撮らない?」
「あの……ごめんなさい、ちょっと忙しくて……」
由奈は笑顔を保ったまま、言葉を選んでいた。
でも、その笑顔はどこかぎこちなくて、目だけが助けを求めていた。
男子たちは空気を読まずにさらに距離を詰めてくる……。
由奈の指先が、スカートの裾をぎゅっと握りしめていた。
(まさか……由奈がナンパされてる……っ!?)
そう思った僕は急いで教室の中へと入る!
「由奈……!」
「……彼方さん!」
由奈の瞳が潤み、僕の姿を確認した瞬間、そっと背中に隠れた。
「ちょ……!なんすかあんたは……?」
付属男子の一人は立ち上がると僕を睨んでくる。
「僕は由奈の彼氏である本校2年の御堂だ!」
「ち……!本校かよ……!」
僕が本校の生徒だと知った付属の男子たちは舌打ちをしながら教室を出ていく。
(ふぅ……)
僕は心の中で大きく息を吐きながら由奈へと振り向く。
「由奈、大丈夫……?」
「彼方さん……!」
由奈が僕へと抱きついてくると周囲からの生暖かい視線が僕たちへと集まる。
な……なにこれ……?すっごく恥ずかしいんだけど……!
「ユナっち大丈夫……!」
「えっと……あなたがユナっちがいつも言ってる本校の彼氏さんですか?」
そんな中、二人の女生徒が僕たちへと近づいてくる。
ゆ……ユナっち……?
ニュアンスからして由奈の愛称みたいだけど……由奈の友達かな……?
「確かに僕は由奈の彼氏だけど……君たちは……?」
「私たちは由奈の友人の斎藤由貴です」
「わたしは安藤奈津美です」
「彼方さん、ユッキーとナッチーはあたしの幼馴染なんだよ!」
なるほど、僕と出会う前からの友人なのか……。
「さっきの二人ずっとユナっちにしつこく話しかけてたんですよ……!」
「私たちも注意しようとはしたのですが……やっぱり男子だと怖くて……」
安藤さんと斎藤さんは申し訳なさそうに顔をうつむかせる……。
確かに男子二人が相手だと女子では怖いだろうな……。
「でも……彼方さんが助けに来てくれてあたし本当に嬉しかったよ!」
由奈はそう言い、笑顔で僕の胸へと顔をうずめると安藤さんと斎藤さんから生暖かい視線が向けられる。
は……恥ずかしい……!
「ユナっちラブラブ~!」
「いいなぁ、わたしもそんな彼氏ほしいなぁ~……」
「えへへ……彼方さん、お礼したいから、そこ座ってて♪」
僕は由奈に促されるまま、教室の空いている席に座る。
周囲の視線がまだ少し気になるけれど、由奈の笑顔を見ていると、それもどうでもよくなってくる。
「じゃあ……ちょっと待っててね。すぐ戻るから!」
由奈はそう言って、奥の控えスペースへと走っていった。
そして待つこと少し、カーテンの隙間から由奈がそっと顔を覗かせると僕の所へとやってくる。
「おかえりなさいませ、ご主人様♡……えへへ、どう?」
由奈はそう言うと僕へとメニュー表を差し出してくる。
その姿に僕の心臓はドキっと跳ねた。
黒と白のフリルが揺れるメイド服。
胸元には小さなリボン、スカートは膝上でふわりと広がり、髪にはレースのカチューシャ。
そして……何よりほんのり赤く染まった由奈の頬……。
今の由奈の姿や表情に僕の理性は一瞬で崩壊した。
(無理だ……これは無理だ……!由奈のこんな可愛い姿、僕以外に見せないでほしい……!)
僕は顔を手で覆いながら、心の中で叫ぶ……。
心の中で独占欲が渦巻いていた。
「彼方さん……?変な顔してる……?」
「い、いや……その……由奈が可愛すぎて……」
僕がそう言うと、由奈は嬉しそうに微笑んで僕の前に立つ。
「じゃあ……ご主人様。今日のおすすめはコチラのケーキセットです♡」
「う……うん、それじゃあ……それをお願いしようかな……」
「かしこまりました、ご主人様♪」
由奈は笑顔で僕へとウインクをすると再び奥の方へと消えていく。
そして待つこと少し、ケーキとコーヒーを手に持った由奈が戻ってきた。
「お待たせ致しましたご主人様、ケーキセットです。それと最後に……少し恥ずかしいけど……、ご主人様にだけ、ね。萌え萌えキュン♡」
「……っ!?」
由奈は笑顔で僕へと手で作ったハートマークを向けると僕の心は撃ち抜かれた……!
まさにオーバーキルだった……!
(由奈……、君は本当に……僕の理性を壊しにきてるんだね……)
由奈のクラスのメイド喫茶に来た早々僕の理性は由奈の笑顔に完全降伏したのだった……。
教室のドアにはメイド喫茶と書かれており、少し中を覗くと多くの人……主に男子たちで賑わっていた。
(由奈はどこかな……?)
僕は教室のドア越しに由奈を探すとすぐに見つかった……が、何か様子が変だ。
教室の奥の方の席に座っている付属中学の男子がしつこくメイド姿の由奈に話しかけているように見える。
「ねえねえ、この後時間空いてる?一緒に学園祭回ろうよ!」
「御堂さんって、ほんと可愛いよね。ねえ、一緒に写真撮らない?」
「あの……ごめんなさい、ちょっと忙しくて……」
由奈は笑顔を保ったまま、言葉を選んでいた。
でも、その笑顔はどこかぎこちなくて、目だけが助けを求めていた。
男子たちは空気を読まずにさらに距離を詰めてくる……。
由奈の指先が、スカートの裾をぎゅっと握りしめていた。
(まさか……由奈がナンパされてる……っ!?)
そう思った僕は急いで教室の中へと入る!
「由奈……!」
「……彼方さん!」
由奈の瞳が潤み、僕の姿を確認した瞬間、そっと背中に隠れた。
「ちょ……!なんすかあんたは……?」
付属男子の一人は立ち上がると僕を睨んでくる。
「僕は由奈の彼氏である本校2年の御堂だ!」
「ち……!本校かよ……!」
僕が本校の生徒だと知った付属の男子たちは舌打ちをしながら教室を出ていく。
(ふぅ……)
僕は心の中で大きく息を吐きながら由奈へと振り向く。
「由奈、大丈夫……?」
「彼方さん……!」
由奈が僕へと抱きついてくると周囲からの生暖かい視線が僕たちへと集まる。
な……なにこれ……?すっごく恥ずかしいんだけど……!
「ユナっち大丈夫……!」
「えっと……あなたがユナっちがいつも言ってる本校の彼氏さんですか?」
そんな中、二人の女生徒が僕たちへと近づいてくる。
ゆ……ユナっち……?
ニュアンスからして由奈の愛称みたいだけど……由奈の友達かな……?
「確かに僕は由奈の彼氏だけど……君たちは……?」
「私たちは由奈の友人の斎藤由貴です」
「わたしは安藤奈津美です」
「彼方さん、ユッキーとナッチーはあたしの幼馴染なんだよ!」
なるほど、僕と出会う前からの友人なのか……。
「さっきの二人ずっとユナっちにしつこく話しかけてたんですよ……!」
「私たちも注意しようとはしたのですが……やっぱり男子だと怖くて……」
安藤さんと斎藤さんは申し訳なさそうに顔をうつむかせる……。
確かに男子二人が相手だと女子では怖いだろうな……。
「でも……彼方さんが助けに来てくれてあたし本当に嬉しかったよ!」
由奈はそう言い、笑顔で僕の胸へと顔をうずめると安藤さんと斎藤さんから生暖かい視線が向けられる。
は……恥ずかしい……!
「ユナっちラブラブ~!」
「いいなぁ、わたしもそんな彼氏ほしいなぁ~……」
「えへへ……彼方さん、お礼したいから、そこ座ってて♪」
僕は由奈に促されるまま、教室の空いている席に座る。
周囲の視線がまだ少し気になるけれど、由奈の笑顔を見ていると、それもどうでもよくなってくる。
「じゃあ……ちょっと待っててね。すぐ戻るから!」
由奈はそう言って、奥の控えスペースへと走っていった。
そして待つこと少し、カーテンの隙間から由奈がそっと顔を覗かせると僕の所へとやってくる。
「おかえりなさいませ、ご主人様♡……えへへ、どう?」
由奈はそう言うと僕へとメニュー表を差し出してくる。
その姿に僕の心臓はドキっと跳ねた。
黒と白のフリルが揺れるメイド服。
胸元には小さなリボン、スカートは膝上でふわりと広がり、髪にはレースのカチューシャ。
そして……何よりほんのり赤く染まった由奈の頬……。
今の由奈の姿や表情に僕の理性は一瞬で崩壊した。
(無理だ……これは無理だ……!由奈のこんな可愛い姿、僕以外に見せないでほしい……!)
僕は顔を手で覆いながら、心の中で叫ぶ……。
心の中で独占欲が渦巻いていた。
「彼方さん……?変な顔してる……?」
「い、いや……その……由奈が可愛すぎて……」
僕がそう言うと、由奈は嬉しそうに微笑んで僕の前に立つ。
「じゃあ……ご主人様。今日のおすすめはコチラのケーキセットです♡」
「う……うん、それじゃあ……それをお願いしようかな……」
「かしこまりました、ご主人様♪」
由奈は笑顔で僕へとウインクをすると再び奥の方へと消えていく。
そして待つこと少し、ケーキとコーヒーを手に持った由奈が戻ってきた。
「お待たせ致しましたご主人様、ケーキセットです。それと最後に……少し恥ずかしいけど……、ご主人様にだけ、ね。萌え萌えキュン♡」
「……っ!?」
由奈は笑顔で僕へと手で作ったハートマークを向けると僕の心は撃ち抜かれた……!
まさにオーバーキルだった……!
(由奈……、君は本当に……僕の理性を壊しにきてるんだね……)
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