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由奈の章 甘えたがりな義妹
感情とバランスを揺さぶるゲーム、バランス・オブ・カオス!
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僕と由奈は体育館へとやって来ると、そこには丸印が描かれたシートの上で、生徒たちが手や足を伸ばしてバランスを取っていた。
これは確か、"バランス・オブ・カオス"というバランスチャレンジゲームで、何組かの生徒と、生徒会執行部と思われる数人の人たちの姿があった。
生徒会の人が音声プレイヤーを流し、その指示通りにマスへ手足を置くルールらしい。
しかし、なかなか難しいのかバランスを崩してチャレンジ失敗した生徒たちが体育館を出て行っていた。
もしかしたら中々難しいのかもしれない……。
「……由奈、次はこれみたいだけどどうする?」
「彼方さん、折角だからやろうよ!」
なんとなく嫌な予感を覚える僕に対して由奈はやる気満々らしい……。
(まあ……取り敢えずやってみるか……)
そう思った僕は、生徒会の人と思われる人に声を掛ける。
「すみません、このゲームに参加したいんですけど……」
「分かりました、ではシートの上に立ってください」
僕と由奈は言われた通りシートの上へと立つと、生徒会の人がプレイヤーを再生させる。
『はーっははは……っ!ようこそ、バランス・オブ・カオスへ!』
再生されたプレイヤーから聞こえてきたのは紛れもなく高藤の声だった!
『ルールは簡単だ!二人一組で指示されたマスへと出や足を置いていくゲームだ。さらに付け加えるならどちらが先に動いても構わんが、必ず交互に動け!もちろんマスから手や足が離れたり、倒れたりしたら失格だ。うまくクリア出来れば体育館のスタンプを授ける!では健闘を祈るっ!』
高藤の声はここで終わると、AIによる音声へと代わりにゲームの開始が告げられる。
(あいつ……本当に楽しんでないか……?)
僕の心のツッコミをよそに、AI音声が淡々と告げる。
『1番の人、右足を赤マスへ』
「彼方さん、あたしからいくね。えっと……これかな?」
由奈が右足を前に出して赤マスを踏む。
すこし大股になっていなくもないけど……まあ……まだ大丈夫か……?
『2番の人、左足を青マスへ』
「……よし」
僕は由奈のすぐ横に足を伸ばすと、由奈との距離がすこし縮まる。
『1番、左手を緑マスへ』
「うーん、ちょっと届かないかも……」
由奈が前屈みになって赤マスに手を伸ばす。
その瞬間、制服の襟元がふわりと開き、僕の視界に危険なラインが入りかける。
(……見ちゃダメだ!)
僕は慌てて視線を逸らす。
由奈は何も気づいていない様子で、無邪気に笑っている。
(これは……試練だ……)
『2番、右手を黄色マスへ』
僕が手を伸ばすと、由奈の顔がすぐ目の前に来る。
ほんの数センチ。
呼吸が重なる距離。
「……彼方さん、顔……近いね」
「……うん。ごめん、これ……ルールだから」
由奈が小さく笑う。
その笑顔が、僕の心を揺らす。
(高藤……お前、これ絶対狙ってるだろ……!)
体育館の空気が、静かに甘く沈んでいく。
バランス・オブ・カオス——噂には聞いていたけど、これはただのゲームじゃなかった。
ふたりの距離を、心ごと近づける“感情の装置”だった。
そして、次の指示が告げられる。
『1番は、右手を2番の左足の外側に』
「えっ……それって……」
由奈の手が僕の足の外側を通り抜ける。
その瞬間、彼女の顔が僕の太ももに近づきすぎて、僕は思わず息を止めた。
(……これはもう、試練じゃなくて罰ゲームだろ……!)
由奈は何も気づいていないのか、無邪気に笑っている。
その笑顔が、逆に僕の動揺を加速させる。
『2番は、左手を1番の右肩に』
「……えっ」
僕は一瞬ためらう。
由奈の肩は、今の体勢だとかなり近い。
というか、顔の距離が……ゼロに近い。
(肩ってマスじゃないよね!? どこまで自由なんだよ、このゲーム!)
僕は心の中で盛大なツッコミを入れる。
「……彼方さん、いいよ。ルールだし」
由奈が小さく笑いながら言う。
その笑顔が、僕の手を動かす。
そっと、彼女の肩に触れる。
指先に伝わる体温。
肩越しに見える彼女の横顔。
そして、ふたりの間に流れる沈黙。
(……高藤……お前、これ絶対計算してるだろ……!)
周囲の生徒たちがざわついているのが聞こえる。
でも、僕らの空間は、もうふたりだけのものになっていた。
『1番は、左足を2番の右足の内側に』
「えっ……それって……」
由奈が僕の足をまたぐように動く。
スカートがふわりと揺れて、僕の視界に危険なラインが入りかける。
(……ダメだってば!)
僕は再び視線を逸らす。
でも、由奈の顔がすぐ近くにある。
呼吸が重なる。
視線が交差する。
「……彼方さん、なんか……恥ずかしいね」
「……うん」
由奈が目を見開いて、少しだけ笑う。
その笑顔が、僕の理性を優しく揺さぶる。
バランス・オブ・カオス——、それは、ただのゲームじゃなかった。
ふたりの距離を、心ごと近づける“感情の装置”。
高藤の声はもう流れていないのに、彼の設計は空気を支配していた。
そして、最後の指示が告げられる。
『2番は、顔を1番の右側に寄せてください』
沈黙。
照れ。
そして、心拍数の上昇。
(……由奈を守る。何が起きても、絶対に)
僕はそう誓いながら、由奈の顔にそっと近づいていく。
体育館の空気が、さらに甘く沈んでいく。
次のスタンプは、もうすぐそこだった——。
『そのまま1分間キープしてください』
僕と由奈は指示通り今の体制をキープする……。
く……!この体制……結構キツイ……!
「か……彼方さん……この体制キツイね……」
由奈も今の体制がキツイのか、笑顔を浮かべながらもその顔には冷や汗のようなものを流していた。
『48、47、46……』
AI音声がカウントダウンを行う……。
たった一分がやけに長く感じる……。
と、その時僕の体に限界が訪れ、由奈の方へと倒れそうになる……!
(く……ダメだ……!倒れる……!)
「彼方さん……ゴメン……!あたしもう限界……!」
ここまで来て……そう思っていると由奈もまた限界が来たのか由奈もまた僕の方へと倒れてくる。
しかし……、幸いにもお互いの体が支えとなり僕と由奈は倒れることはなかった……のだけど……。
「……」
「……」
気づけば、僕と由奈の唇が触れていた——。
周囲からは「おぉ~……!」と言うざわめきが聞こえてくる……。
僕と由奈は図らずもキスをしながらカウントダウンを聞く……。
そして……。
『ははははは……!見事クリアできたようだなっ!二人の健闘を称え、体育館のスタンプを送ろうではないか!』
カウントダウンがゼロになると再び高藤の音声へと代わり、僕と由奈はバランス・オブ・カオスをクリアすることが出来た……。
これは確か、"バランス・オブ・カオス"というバランスチャレンジゲームで、何組かの生徒と、生徒会執行部と思われる数人の人たちの姿があった。
生徒会の人が音声プレイヤーを流し、その指示通りにマスへ手足を置くルールらしい。
しかし、なかなか難しいのかバランスを崩してチャレンジ失敗した生徒たちが体育館を出て行っていた。
もしかしたら中々難しいのかもしれない……。
「……由奈、次はこれみたいだけどどうする?」
「彼方さん、折角だからやろうよ!」
なんとなく嫌な予感を覚える僕に対して由奈はやる気満々らしい……。
(まあ……取り敢えずやってみるか……)
そう思った僕は、生徒会の人と思われる人に声を掛ける。
「すみません、このゲームに参加したいんですけど……」
「分かりました、ではシートの上に立ってください」
僕と由奈は言われた通りシートの上へと立つと、生徒会の人がプレイヤーを再生させる。
『はーっははは……っ!ようこそ、バランス・オブ・カオスへ!』
再生されたプレイヤーから聞こえてきたのは紛れもなく高藤の声だった!
『ルールは簡単だ!二人一組で指示されたマスへと出や足を置いていくゲームだ。さらに付け加えるならどちらが先に動いても構わんが、必ず交互に動け!もちろんマスから手や足が離れたり、倒れたりしたら失格だ。うまくクリア出来れば体育館のスタンプを授ける!では健闘を祈るっ!』
高藤の声はここで終わると、AIによる音声へと代わりにゲームの開始が告げられる。
(あいつ……本当に楽しんでないか……?)
僕の心のツッコミをよそに、AI音声が淡々と告げる。
『1番の人、右足を赤マスへ』
「彼方さん、あたしからいくね。えっと……これかな?」
由奈が右足を前に出して赤マスを踏む。
すこし大股になっていなくもないけど……まあ……まだ大丈夫か……?
『2番の人、左足を青マスへ』
「……よし」
僕は由奈のすぐ横に足を伸ばすと、由奈との距離がすこし縮まる。
『1番、左手を緑マスへ』
「うーん、ちょっと届かないかも……」
由奈が前屈みになって赤マスに手を伸ばす。
その瞬間、制服の襟元がふわりと開き、僕の視界に危険なラインが入りかける。
(……見ちゃダメだ!)
僕は慌てて視線を逸らす。
由奈は何も気づいていない様子で、無邪気に笑っている。
(これは……試練だ……)
『2番、右手を黄色マスへ』
僕が手を伸ばすと、由奈の顔がすぐ目の前に来る。
ほんの数センチ。
呼吸が重なる距離。
「……彼方さん、顔……近いね」
「……うん。ごめん、これ……ルールだから」
由奈が小さく笑う。
その笑顔が、僕の心を揺らす。
(高藤……お前、これ絶対狙ってるだろ……!)
体育館の空気が、静かに甘く沈んでいく。
バランス・オブ・カオス——噂には聞いていたけど、これはただのゲームじゃなかった。
ふたりの距離を、心ごと近づける“感情の装置”だった。
そして、次の指示が告げられる。
『1番は、右手を2番の左足の外側に』
「えっ……それって……」
由奈の手が僕の足の外側を通り抜ける。
その瞬間、彼女の顔が僕の太ももに近づきすぎて、僕は思わず息を止めた。
(……これはもう、試練じゃなくて罰ゲームだろ……!)
由奈は何も気づいていないのか、無邪気に笑っている。
その笑顔が、逆に僕の動揺を加速させる。
『2番は、左手を1番の右肩に』
「……えっ」
僕は一瞬ためらう。
由奈の肩は、今の体勢だとかなり近い。
というか、顔の距離が……ゼロに近い。
(肩ってマスじゃないよね!? どこまで自由なんだよ、このゲーム!)
僕は心の中で盛大なツッコミを入れる。
「……彼方さん、いいよ。ルールだし」
由奈が小さく笑いながら言う。
その笑顔が、僕の手を動かす。
そっと、彼女の肩に触れる。
指先に伝わる体温。
肩越しに見える彼女の横顔。
そして、ふたりの間に流れる沈黙。
(……高藤……お前、これ絶対計算してるだろ……!)
周囲の生徒たちがざわついているのが聞こえる。
でも、僕らの空間は、もうふたりだけのものになっていた。
『1番は、左足を2番の右足の内側に』
「えっ……それって……」
由奈が僕の足をまたぐように動く。
スカートがふわりと揺れて、僕の視界に危険なラインが入りかける。
(……ダメだってば!)
僕は再び視線を逸らす。
でも、由奈の顔がすぐ近くにある。
呼吸が重なる。
視線が交差する。
「……彼方さん、なんか……恥ずかしいね」
「……うん」
由奈が目を見開いて、少しだけ笑う。
その笑顔が、僕の理性を優しく揺さぶる。
バランス・オブ・カオス——、それは、ただのゲームじゃなかった。
ふたりの距離を、心ごと近づける“感情の装置”。
高藤の声はもう流れていないのに、彼の設計は空気を支配していた。
そして、最後の指示が告げられる。
『2番は、顔を1番の右側に寄せてください』
沈黙。
照れ。
そして、心拍数の上昇。
(……由奈を守る。何が起きても、絶対に)
僕はそう誓いながら、由奈の顔にそっと近づいていく。
体育館の空気が、さらに甘く沈んでいく。
次のスタンプは、もうすぐそこだった——。
『そのまま1分間キープしてください』
僕と由奈は指示通り今の体制をキープする……。
く……!この体制……結構キツイ……!
「か……彼方さん……この体制キツイね……」
由奈も今の体制がキツイのか、笑顔を浮かべながらもその顔には冷や汗のようなものを流していた。
『48、47、46……』
AI音声がカウントダウンを行う……。
たった一分がやけに長く感じる……。
と、その時僕の体に限界が訪れ、由奈の方へと倒れそうになる……!
(く……ダメだ……!倒れる……!)
「彼方さん……ゴメン……!あたしもう限界……!」
ここまで来て……そう思っていると由奈もまた限界が来たのか由奈もまた僕の方へと倒れてくる。
しかし……、幸いにもお互いの体が支えとなり僕と由奈は倒れることはなかった……のだけど……。
「……」
「……」
気づけば、僕と由奈の唇が触れていた——。
周囲からは「おぉ~……!」と言うざわめきが聞こえてくる……。
僕と由奈は図らずもキスをしながらカウントダウンを聞く……。
そして……。
『ははははは……!見事クリアできたようだなっ!二人の健闘を称え、体育館のスタンプを送ろうではないか!』
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