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澪の章 寡黙なクラス委員長
フードファイター澪……?
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アクセサリーショップのシフトが終わったあと、僕は澪と一緒に模擬店を巡っていた——けれど。
「彼方くん……これ美味しい、食べてみて……」
「ごめん澪……僕もうお腹いっぱいで……」
澪はイカ焼きを差し出してくるけど、僕のお腹はすでに限界突破していた。
というのも僕たちのシフトが終わり、澪のお母さんと別れたあと澪はすぐに食べ物系の模擬店巡りを始めた。
僕も最初こそ色々食べ回り、味の感想などを言い合って楽しげに歩いていたのだけど今となってはもう無理……入らない……。
「……彼方くんって意外と少食?」
澪は無表情で僕に問いながらイカ焼きを口へと頬張る。
「そうだね……、"澪よりは"少食だと思うよ……」
多分澪が大食なんだと思う……。
僕はその言葉をどうにか飲み込んでいく言葉を濁す。
というか、澪に比べたらほとんどの人が少食になると思う……。
このイカ焼きに至るまで何を食べたか……、焼きそば、お好み焼き、たこ焼き、焼きもろこし、フランクフルト、箸巻き、焼き鳥、そして締めにかき氷——これだけ食べれば普通の人ならお腹いっぱいになると思うのだけど、澪はまだ食べれるらしい……。
(……澪って、もしかしてフードファイターの血筋?)
僕の頭の中にその言葉が思い浮かぶ。
「彼方くん……、わたし次あれ食べたい……」
イカ焼きを食べ終わった澪が今度は回転焼きを指さす。
澪が指さした回転焼きの模擬店は、すでに行列ができていた。
その列の先頭に並ぶ生徒たちの笑い声が校舎内に響く。
「……澪、まだ食べるの?」
僕は思わず問いかけてしまう。
澪を傷つけないようできるだけトーンを押さえて……。
「うん……。あんこ、好き……」
澪はそう言って、僕の袖を軽く引いた。
その手は小さくて、でもしっかりと僕を引っ張る力があった。
列に並びながら、僕は澪の横顔をちらりと見る。
無表情だけど、どこか満たされているような……そんな顔。
「澪ってさ……模擬店、好きなんだね」
「……うん。お祭りの空気、好き。おいしいものいっぱいでるから……」
澪の言葉に、僕は苦笑する……。
なんというか……澪は色気より食い気の方なのかもそれない……。
でも……そこが彼女の魅力なのかもしれない。
やがて順番が来ると澪はメニューを見てブツブツと呟いていた。
「どうしよう……、どれにしようか悩む……。チョコレートもカスタードも好き……。あんこも白あんと黒あんもこしあんも好き……。あ……、チーズに抹茶あん、それに芋あんまである……。迷う……」
どうやらどれにするかで迷ってるようだ。
「……それより澪、お金は足りるの?」
僕は苦笑しながら澪へと問う。
まあ、最悪僕が出してもいいわけなんだけど……。
「大丈夫……、この日のためにバイト頑張った……!」
澪はフンスと鼻息を荒らげながら胸元で手を握り絞める。
「でも、バイト代って家に入れてるんじゃ……」
「全部じゃない……。わたしのお小遣いもある……。だから軍資金はバッチリ……!それより……彼方くんどれがいいと思う……?」
「……全部頼めばいいんじゃないかな」
僕は投げやり気にそう言うと澪はポンと手をたたく。
「その手があった……、流石彼方くん……!すみません……、全種類ひとつずつください……!」
澪は目を輝かせながら店員へと注文する。
(はは……、ははは……本当に頼むんだ……)
もう乾いた笑いしか出ない……。
僕は苦笑しながら澪を見つめていた。
澪が回転焼きを受け取り、食べながら歩いていると突然誰かに声をかけられた。
「おい……!そこのお前!」
ん……?誰だろ……?
僕は辺りを見渡すけど誰の姿もない……。
(気の所為なのかな……?)
僕はそう思いながら歩き出そうとすると再び声が聞こえてくる。
「どこを見ている!こっちだ……!」
(ん……?)
僕は視線を下げると、そこにはブロンドヘアをポニーテールに結んだ小柄な女の子が腕を組んで立っていた。
その目は、まっすぐ僕を射抜いていた。
見た目にして140センチくらいの身長をしたその女の子は腕組みをしながら僕を見つめている。
どこか小生意気な感じが印象的な子だった。
「……付属中学の子?」
澪は回転焼きを食べながら僕へと問う。
「失礼な……!ミレイは如月・ミレイ・柚葉だ!本校の3年で生徒会長だ!」
自分のことをミレイと呼ぶ彼女は僕へと腕章を見せる。
確かにそこには「生徒会長」と書かれていた。
……そう言えば生徒会長ってそんな名前だったような気がする。
「それで、その生徒会長が僕に何か用ですか……?」
「うむ……先ほどは生徒会のメンバーが君たちに失礼を働いたと聞き、生徒会長であるミレイが直々に謝罪に来たのだ……。どうかこのミレイに免じて許してほしい」
彼女はそう言うと申し訳なさそうにペコリと頭を下げる。
見た目こそ付属中学の子に見えるけど、その対応はまさに生徒会長のそれだった。
「いえ、そんなもう済んだことですし……」
「わたしももう気にしてない……」
「そう言ってくれると助かる……。それでは引き続き学園祭を楽しんでくれ!」
生徒会長は笑顔で手を振り、軽やかにその場を去っていった。
その背中は、小さくても確かな風格をまとっていた。
「彼方くん……これ美味しい、食べてみて……」
「ごめん澪……僕もうお腹いっぱいで……」
澪はイカ焼きを差し出してくるけど、僕のお腹はすでに限界突破していた。
というのも僕たちのシフトが終わり、澪のお母さんと別れたあと澪はすぐに食べ物系の模擬店巡りを始めた。
僕も最初こそ色々食べ回り、味の感想などを言い合って楽しげに歩いていたのだけど今となってはもう無理……入らない……。
「……彼方くんって意外と少食?」
澪は無表情で僕に問いながらイカ焼きを口へと頬張る。
「そうだね……、"澪よりは"少食だと思うよ……」
多分澪が大食なんだと思う……。
僕はその言葉をどうにか飲み込んでいく言葉を濁す。
というか、澪に比べたらほとんどの人が少食になると思う……。
このイカ焼きに至るまで何を食べたか……、焼きそば、お好み焼き、たこ焼き、焼きもろこし、フランクフルト、箸巻き、焼き鳥、そして締めにかき氷——これだけ食べれば普通の人ならお腹いっぱいになると思うのだけど、澪はまだ食べれるらしい……。
(……澪って、もしかしてフードファイターの血筋?)
僕の頭の中にその言葉が思い浮かぶ。
「彼方くん……、わたし次あれ食べたい……」
イカ焼きを食べ終わった澪が今度は回転焼きを指さす。
澪が指さした回転焼きの模擬店は、すでに行列ができていた。
その列の先頭に並ぶ生徒たちの笑い声が校舎内に響く。
「……澪、まだ食べるの?」
僕は思わず問いかけてしまう。
澪を傷つけないようできるだけトーンを押さえて……。
「うん……。あんこ、好き……」
澪はそう言って、僕の袖を軽く引いた。
その手は小さくて、でもしっかりと僕を引っ張る力があった。
列に並びながら、僕は澪の横顔をちらりと見る。
無表情だけど、どこか満たされているような……そんな顔。
「澪ってさ……模擬店、好きなんだね」
「……うん。お祭りの空気、好き。おいしいものいっぱいでるから……」
澪の言葉に、僕は苦笑する……。
なんというか……澪は色気より食い気の方なのかもそれない……。
でも……そこが彼女の魅力なのかもしれない。
やがて順番が来ると澪はメニューを見てブツブツと呟いていた。
「どうしよう……、どれにしようか悩む……。チョコレートもカスタードも好き……。あんこも白あんと黒あんもこしあんも好き……。あ……、チーズに抹茶あん、それに芋あんまである……。迷う……」
どうやらどれにするかで迷ってるようだ。
「……それより澪、お金は足りるの?」
僕は苦笑しながら澪へと問う。
まあ、最悪僕が出してもいいわけなんだけど……。
「大丈夫……、この日のためにバイト頑張った……!」
澪はフンスと鼻息を荒らげながら胸元で手を握り絞める。
「でも、バイト代って家に入れてるんじゃ……」
「全部じゃない……。わたしのお小遣いもある……。だから軍資金はバッチリ……!それより……彼方くんどれがいいと思う……?」
「……全部頼めばいいんじゃないかな」
僕は投げやり気にそう言うと澪はポンと手をたたく。
「その手があった……、流石彼方くん……!すみません……、全種類ひとつずつください……!」
澪は目を輝かせながら店員へと注文する。
(はは……、ははは……本当に頼むんだ……)
もう乾いた笑いしか出ない……。
僕は苦笑しながら澪を見つめていた。
澪が回転焼きを受け取り、食べながら歩いていると突然誰かに声をかけられた。
「おい……!そこのお前!」
ん……?誰だろ……?
僕は辺りを見渡すけど誰の姿もない……。
(気の所為なのかな……?)
僕はそう思いながら歩き出そうとすると再び声が聞こえてくる。
「どこを見ている!こっちだ……!」
(ん……?)
僕は視線を下げると、そこにはブロンドヘアをポニーテールに結んだ小柄な女の子が腕を組んで立っていた。
その目は、まっすぐ僕を射抜いていた。
見た目にして140センチくらいの身長をしたその女の子は腕組みをしながら僕を見つめている。
どこか小生意気な感じが印象的な子だった。
「……付属中学の子?」
澪は回転焼きを食べながら僕へと問う。
「失礼な……!ミレイは如月・ミレイ・柚葉だ!本校の3年で生徒会長だ!」
自分のことをミレイと呼ぶ彼女は僕へと腕章を見せる。
確かにそこには「生徒会長」と書かれていた。
……そう言えば生徒会長ってそんな名前だったような気がする。
「それで、その生徒会長が僕に何か用ですか……?」
「うむ……先ほどは生徒会のメンバーが君たちに失礼を働いたと聞き、生徒会長であるミレイが直々に謝罪に来たのだ……。どうかこのミレイに免じて許してほしい」
彼女はそう言うと申し訳なさそうにペコリと頭を下げる。
見た目こそ付属中学の子に見えるけど、その対応はまさに生徒会長のそれだった。
「いえ、そんなもう済んだことですし……」
「わたしももう気にしてない……」
「そう言ってくれると助かる……。それでは引き続き学園祭を楽しんでくれ!」
生徒会長は笑顔で手を振り、軽やかにその場を去っていった。
その背中は、小さくても確かな風格をまとっていた。
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