罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

文字の大きさ
213 / 223
瀬玲奈の章 ギャル気質なガールフレンド

商店街のガラポン抽選会

しおりを挟む
 補習と更衣室の掃除を終えた僕と瀬玲奈は、手を繋いで商店街を歩いていた。
 そのとき、通りの片隅で福引をやっているのを見つけた。

「福引か……」

 僕は抽選券があったかなと思い、ポケットの中を探すも残念ながら持っていないようだ。

(確か家に置いてるんだったかな……)

「えへへ~♡ウチ、抽選券1枚ならあるよ!この前、彼方の部屋の雑貨を買ったときにもらったんだ♡」

「えっ、持ってたの?」

「うん♡ 彼方の部屋を“ウチ色”に染めたときの戦利品~♪え~と、たしかここに……あ!あったあった♡」

 瀬玲奈はそう言って、背中に背負っていたリュックを下ろして手を突っ込むと、1枚の福引の抽選券を取り出す。

 ピンク色の紙に「商店街福引券」と書かれたその券は、少し折れ曲がっていたけど、ちゃんと使えそうだった。

「じゃあ、せっかくだし引いてみようか」

「うんっ!」

 僕は瀬玲奈の後を追って福引に向かうと、そこにはよく見かけるガラポン型の抽選機が置かれ、その前には多くの人々が並んでいた。

(景品はなんだろう……?)

 待っている間、大きく貼られている貼り紙に書かれている景品を見ると、白い玉はお決まりのハズレで、ポケットティッシュ。
 あとは、生活雑貨やちょっとした家電……そして特賞が「温泉旅館ペア招待券」と書かれていた。

「彼方見て!温泉旅館ペアチケットだって!これはもう特賞を引くしかないよね!」

「確かに特賞は魅力的だけど……でも、福引券は1枚だけだし、難しいんじゃないのかなぁ~……」

 テンション高めで貼り紙を指差す瀬玲奈に対し、僕は少し冷ややかな目で貼り紙を見ていた。

「もう~、彼方そんな消極的じゃダメだよ~!ウチ、ガラポン必勝法の裏技知ってるから任せて♡」

 瀬玲奈は笑顔でウインクをしてみせると、僕は思わずドキっとした。


 前の人たちが抽選を終え、いよいよ瀬玲奈の番がやって来ると、中年くらいの男性が笑顔で迎えてくれた。

「いらっしゃい。お嬢ちゃん、1枚ね。さあ、運試ししていって!」

 瀬玲奈はガラポン抽選機の前で「お願い!」と言いながら手を合わせる。
 そしてハンドルを持つとなぜか矢印とは反対側に回し始めた。

(いやいや……逆回しが“必勝法”って、そんなの聞いたことないけど!?)

 それでもカラカラと音を立てて回るその音に、僕の心もなぜか少しだけ高鳴った。

 そして――

「……あっ!」

 コロン、と出てきた玉は……金色だった。

「おおっ!? き、金色……!? これ、特賞じゃない!?」

「おめでとうございます~!特賞ですっ!」

 周囲がざわつき、鐘の音が鳴り響く。  
 僕と瀬玲奈は顔を見合わせて、ぽかんとした。

「やった!ウチやったよっ!特賞だって彼方っ!」

 瀬玲奈は僕に抱きつくと、大はしゃぎで飛び跳ね、彼女の髪から甘い香りが僕の鼻をくすぐる。
 しかも、夏の制服で抱きついてくるものだから瀬玲奈の胸が僕の胸に当たって、特賞の興奮とは別のドキドキが一気に押し寄せてきた。

「こちら、温泉旅館のペア宿泊券になります~!」

「えへへ……♡ 彼方、これって……運命、かな?」

「う、運命って……!」

 瀬玲奈は嬉しそうに宿泊券を受け取ると、僕の手をぎゅっと握った。

(……運命。そう言われると、そんな気がしてくるから不思議だ)

 一見大げさだとも思うけど、でも、瀬玲奈と一緒にいると、そう思えてしまう自分がいる。

「ウチ、彼方と一緒に行きたいな~♡」

「……うん。僕も、行きたい」

 そう答えると、瀬玲奈は満面の笑みを浮かべた。

 修学旅行には行けなかったけど――でも、僕たちだけの“特別な旅”が、これから始まるのかもしれない。
 僕はそう思いながら瀬玲奈の手をぎゅっと握り返した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ルピナス

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。  そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。  物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。 ※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。  ※1日3話ずつ更新する予定です。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

元おっさんの幼馴染育成計画

みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。 だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。 ※この作品は小説家になろうにも掲載しています。 ※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。

処理中です...