罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー

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おまけ

おまけエピソード ──亜希──

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 亜希と付き合い始めて初めて迎える冬。
 商店街はすっかりクリスマス一色に染まっていた。

(亜希からプレゼント交換しようって言われたけど……何にしようかな~)

 僕は腕を組みながら商店街を歩く。
 けれど、これといって“これだ”と思えるものが見つからない。

 服は好みがあるし、かといってお金を渡して「好きなの買って」っていうのも味気ないし……。

 そんなことを考えながら歩いていると、ふとショーケースの中に目が留まった。
 そこには、ある衣装を着たマネキンが立っていた。

(……これだ!)

 僕はすぐにそれを購入し、ラッピングしてもらって家へと戻った。


 ◆◆◆


 そして迎えたクリスマスの夜。
 亜希が僕の部屋にやってきて、さっそくプレゼント交換が始まる。

「はい、彼方。私からはこれよ」

 亜希は丁寧にラッピングされた、少し大きめの箱を手渡してくれた。

「ありがとう、亜希!開けていい?」

「ええ、どうぞ」

 包みを開けると、中には『ヴァリアント・ブレイド』というアニメに登場する“楓”の美プラが入っていた。

「これ……欲しかったやつだ!ありがとう、亜希!」

「べ、別に……たまたま見かけただけなんだからね……!」

 亜希は腕を組みながら、顔を少し赤らめて視線を逸らす。

 うん、分かってるよ亜希。
 “たまたま”僕が好きそうなのを探してくれたんだよね。
 こういうツンデレなところ、本当に可愛いと思う。

「次は僕からの番。開けてみてよ」

「ええ、じゃあ……」

 亜希が包みを開けた瞬間、その表情が固まった。

「な、なにこれ……?」

 彼女の手にあったのは、サンタのコスプレ衣装。
 ノースリーブの上着にヘソ出し、ミニスカート。
 亜希の可愛さを最大限に引き出す、クリスマス仕様の勝負服!
 しかも、ケープ付き。

「気に入ってくれると嬉しいな」

「はあっ!? 誰がこんなの着るのよっ!? 私は着ないからねっ!」

 顔を真っ赤にして怒る亜希。
 ……うん、怒ってても可愛いよ、亜希。

「えぇ~、せっかく似合うと思って買ったのに……着てくれないの?」

「わ、私は着ないって言ってるでしょ!」

 僕がすがるような目で見つめると、亜希は少したじろいだ。

(……もう一押しか?)

「サンタコスの亜希、見てみたいな……」

「……わ、分かったわよ!じ、じゃあ着替えてくるから、待ってなさいよね!」

 亜希は衣装を抱えて部屋を出ていった。

(よし、成功!)

 心の中でガッツポーズ。
 亜希は、意外と押しに弱い。


 しばらくして——

「は……入るわよ……」

 顔を真っ赤にした亜希が、僕の部屋に戻ってきた。
 胸元とお腹を手で隠しながら。

「亜希、それじゃ意味ないよ?」

「む、ムリよ……!私にはこれが限界なんだからっ!」

 ため息をつきながらも、僕はその姿に見惚れていた。
 彼女は唸り声をあげながら、僕を睨んでくる。

「せっかく買ったのに……亜希の可愛い姿、見れないのか……」

「くっ……仕方ないわね……!」

 僕がションボリと肩を落とすと、観念したように亜希は手を下ろし、後ろに組む。
 そこには、ヘソ出しのサンタコスを着た亜希の姿があった。

 ケープで肩は隠れているけど、それでも十分すぎるほど可愛い。
 僕は、しばらく言葉を失って見とれていた。

「ち、ちょっと!言われたとおりにしたんだから、何か言いなさいよ!」

「……亜希!」

 僕が何も言わないのが不満だったのか、唇を尖らせる亜希。
 その姿があまりに愛おしくて、思わず抱きしめてしまった。

「ちょっ……!? 彼方っ!?」

「ごめん……。可愛すぎて、つい……」

「……バカ」

 最初は抵抗していた亜希も、やがて静かに僕に身を預けてくれた。

「亜希、キスしていい?」

 返事を待たずに、僕はそっと唇を重ねた。
 驚いたように目を見開いた亜希だったけど、すぐに目を閉じて、僕の背中にそっと腕を回してくれる。

 部屋の中は静かで、外からはかすかにジングルベルのメロディが聞こえていた。
 まるで、僕たちの時間を祝福してくれているようだった。

 唇を離すと、亜希は少し潤んだ瞳で僕を見つめていた。

「……クリスマスに、こんなことされるなんて思ってなかったわよ」

「ごめん、嫌だった?」

「……バカ。嫌なわけないでしょ」

 そう言って、亜希は僕の胸に額を預ける。

「……でも、来年はもっとまともなプレゼントにしてよね。こんなの、恥ずかしすぎるんだから……」

「うん。でも……来年も、再来年も、ずっと一緒にクリスマス過ごしたいな」

「……ふふ、そうね。私も、そう思ってる」

 亜希の声は、いつもより少しだけ優しくて、少しだけ甘かった。

 僕はそのまま、彼女の肩をそっと抱き寄せる。

 窓の外では、粉雪が静かに舞い始めていた。
 この夜が、ずっと続けばいい。
 そう願いながら、僕たちは寄り添い合っていた。
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