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第二章
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しおりを挟む影のメンバー
・二メートルはある大柄の男、ヴォルフガング
・色気ダダ漏れの男、ロビン
・猫目の男、レン
・少年、メル
・妖艶美女、ティアラ
・老人の、爺
・美少年、シルヴィ
リリーは上記七名の影と騎士五人を連れて王都から離れた草原へやって来た。この草原には比較的中型魔獣が出現しやすい。今日は魔獣狩りにやって来たのだ。
潜入任務でもなく、身体を売る仕事でもなく、人を殺す仕事でもない魔獣狩りの任務は影達にとって存分に体を動かせる一番好きな仕事だ。彼らは遠足気分でこの草原にやって来た。
一方の騎士達もワクワクしていた。
最近の彼らの騎士業は警備の仕事だったり、模擬戦等だ。でも相手が弱く張合いを感じていなかった。何よりも強い影達の動きを見れる事が楽しみで仕方がない。
騎士達は優秀で影の移動について来られるようになっていた。おかげで予定より早い時間に草原へ辿り着いた。
だが一人だけムスッとしている人物がいた。
エレンだ。
彼は最近リリー宅を訪れていない。その理由は仲間の騎士達に邪魔をされているから。行こうとした日に必ず誰かしらに呼び止められ部屋飲みや外での飲み会に誘われる。仲間が好きなエレンは断らずに参加するのだが、どうもリリー不足だ。
別にリリーと一緒にいたって何をする訳でもない。
ただ一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、一緒のベッドで寝る。特別な事はしない。居心地が良くてそれだけで満たされるのに・・・多少のスキンシップはあるけども。
今日も朝からリリーを見るが、仕事中の彼女は無表情で必要最低限の言葉のみ淡々と話し、あまり目を合わせてくれない。
だからプライベートで会いたいのに・・・。
そんな考えのエレンを仲間の騎士達はどう思っているのか、彼らはリリー宅へ行こうとしているエレンを捕まえる事に成功すると、とても良い笑顔で酒を飲むのだ。
今日こそ絶対にリリーの家に行く。
そう決心したエレンは魔獣狩りに集中する為前を見た。
メル、ヴォルフガング、ティアラの三人が魔獣を引き連れて来るのを待っている間、ロビンが騎士達の前に投擲武器をジャラジャラと置いた。
ロビンの愛用武器は小刀だ。器用に五本の指の間で小刀を挟み持ち、一本の大木に目掛けて投げた。刺さった小刀は見事にハートの形をしている。
「君達は近距離型らしいけど投擲武器を使いこなせるようになったらより多くの敵を倒せる。今日は後衛と前衛の両方で使いこなして戦ってもらうから好きな武器持って?まずは僕達の戦い方を見てもらうよ」
淡々と説明したシルヴィ。
すると、遠くから地響きが聞こえてきた。
ギョッとする騎士達。
なんと数十頭の魔獣が勢いよく駆けて来たのだ。
魔獣ビッグウェーブでも起きたかのような数に驚愕した騎士達。
魔獣ビッグウェーブとは数多の魔獣が発生し群がり大波のように襲いかかる現象の事だ。
まずい、こんな数相手にどうすればと緊張した面持ちで各自武器を構えた。
徐に彼らの前に立ち尽くした影の爺。
深呼吸をした後勢い良く口を開いた。
“ 喝 !! ”
ビリビリと空気が揺れ魔獣達の動きが爺の覇気により鈍くなった。空かさずロビンが小刀を投げ、的確に急所に当て倒れていく魔獣達。
凄い、あんな小刀で魔獣を倒すなんて。
騎士達は開いた口が塞がらない。
今度はレンが勢いが衰えない魔獣達の前に立ちはだかった。
「レンは影の中でもダントツに近距離戦が上手いから良く見た方がいいよ」
シルヴィの言葉に固唾を呑んだ騎士達。
レンの愛武器は騎士達と同じナイトソード。
武器を構え勢い良く飛び出すとあっという間に魔獣達を倒した。無駄な動きは一切なく、的確に急所を狙い倒していくその動きは息を飲むほどにかっこよかった。
普通の騎士ならばこの数の魔獣を倒すのにかなりの時間と人数を要する。怪我人が出てもおかしくないのに余裕の姿で立っている爺とロビンとレンを見た騎士達は彼らに憧れを抱いた。
すごい、これが影。彼らの実力。
「と、言う事で今から君達に今の一連を繰り返して貰います!遠くの敵は投擲武器で倒して近くに来たら持ち武器で近距離戦ね。僕達はサポートするから頑張ってね~」
「「「・・・え・・・?」」」
こうして影達によるスパルタ魔獣狩りが始まった。
***
現在、影達と騎士達はある酒場の個室で飲み会をしていた。
魔獣討伐訓練後ぐったりと地面に倒れ込んだ騎士達をよそにキャイキャイと騎士達が倒した魔獣からコアを回収した影達。その後返り血を浴びまくった騎士達を連れて彼らと共に野外にある露天風呂に全員で浸かった。
勿論そこには裸のリリーとティアラも含まれているのだが疲れきった騎士達は気にすることなく魂を抜かれた状態で湯に浸かっていた。
街へ戻るとコアを売り、そのお金でこうして酒場まで来たのだ。
あまり体力を使うこと無く金を稼いだ影達は能天気に笑っている。
一方、今迄で一番体力を削られた騎士達はぐったりしたまま酒をチビチビと飲んでいた。
大将気質のヴォルフガングがリヒャルトの背中をバンバンと叩いて褒め称える。
「お前らまじで強くなったな!偉いぞ!おかげで今日はただ酒が美味い!!」
「そりゃどうも。明日全身筋肉痛になりそう」
「そりゃいかん!柔軟手伝うか?」
「いやいいよ。ヴォルフガングに押されたら体折れそう」
「ガッハッハッ!違ぇねえ!」
暫く時間が経つと余程疲れているせいか酔いが回るのが早い騎士達。特にルークとノエルはウトウトふらふらしている。
「ねぇリリー、俺酔った。トイレ連れてって?」
少年メルがリリーの手を引っ張り個室から出ていった。リリーが個室から居なくなったのを確認するとレンが堂々と宣言をした。
「俺この後リリーの家行くから誰も来るなよ」
ピクッと反応したのはロビンとシルヴィ、それに騎士達。ロビンとシルヴィがレンを睨んだ。
「独り占めは良くないよ。交代な?一人十五分ってとこ?」
「リリーさん明日早いから十五分は無理。長くて十分!」
「・・・ちっ。おいエレン。お前は来るなよ」
ビシッとレンに指をさされたエレン。
リリー宅に行く気満々だったエレンは瞠目してしまう。そもそもリリーに聞かず勝手に決めるのはどうかとレンに呆れた表情を向けた。
「なんで僕はダメなの?」
「お前ガン見し過ぎ。ちょっとは遠慮しろ」
確かにこの三人がリリーに悪戯をしてる時は隣で見ているがそれとこれとは話が別だ。
レンに物言おうとしたがその前に個室の扉が開いた。
メルがリリーの手を握り上機嫌で戻って来たのだ。戻ってきたリリーに笑顔を向け片手をあげたシルヴィ。
「リリーさん今日レンとロビンと三人でリリーさんの家行くねー!」
ピクっと反応したリリーは下を向いて拒否をした。
「今日はダメ」
まさかの拒否を食らった三人は眉間に皺を寄せた。リリーは顔を赤く染め視線を泳がせ、メルに握られた手をきゅっと握り返した。
「さっきメルにいっぱい気持ちよくしてもらったの。明日早いからこれ以上気持ちよくなったら起きれなくなっちゃう」
「リリーまじで雑魚。指だけなのに三回すぐにイっちゃったよ?」
「「「はあ?」」」
「クソ餓鬼がなにやらかしてくれてんだよ」
鬼の形相でメルを睨みつけたレン。
騎士達は状況が理解出来ずリリーとメルを交互に見た。
諦めたレンとロビンとシルヴィ。
レンは舌打ちをしノエルの腕を掴んだ。
「ちっ。やってられっか!おいお前娼館行くぞ。付き合え」
「え!?どうしてですか僕行きたくないです」
「っるせえ。溜まってんだよ三Pするぞ」
「ええ!?リリー助けて!」
そんな二人の様子を見たロビンはルークの腕を掴んだ。
「それじゃあ俺はこの子にするよ。顔タイプなんだよね」
「は?嫌だ!断じて断る!掘られてたまるか!」
「ハハッ!いいよ。掘る気ないし・・・別の刺激を与えてあげる」
そんな彼らを見た他の影達はゲラゲラと笑い、ノエルとルーク以外の騎士達はご愁傷さまと脳内で手を合わせた。
シルヴィはため息を吐きながらメルを見た。
「メルねぇ、リリーさんは敏感だから簡単にイっちゃうの!それで満足してちゃ全然ダメ。仕方ないからこの後娼館で教えてあげるよ」
「そうなの?確かに俺リリーしか相手してないから他分かんない。女のアソコの舐め方も教えてくれる?」
「うげ!リリーさんの以外舐めるの気が引けるな~。仕事だと思って割り切るか~、別の方法探すか~」
え?
シルヴィとメルの言葉にショックを受けたリリーの脳内には“敏感で雑魚”という言葉がループされる。
ぎゅっとメルの手を握り若干顔を赤らめ真剣にメルを見た。
「メルごめん・・・練習にならなかった?・・・イかないように勉強すればいい?」
リリーの言葉に反応したのは影と騎士達。
まっさきにシルヴィがボソッと呟いた。
「寸止め調教」
キランッと瞳を輝かせた影達。
「はい!はい!私が調教するわ!」
元気よく手をあげたティアラ。
寸止めをし強請るリリーを想像し興奮する面々。
「ふぉっふぉっふぉっ。ワシが感度を抑える薬でも作ろうか?」
爺の提案にコクコクと頷くリリー。
咄嗟にシルヴィが爺の肩を掴んだ。
「ねぇ爺!その薬内緒で媚薬にすり替えてよ。感度が抑えられてる筈なのにより敏感になって焦りながら善がるリリーさん想像しただけで萌える!勃つ!て言うか勃った!」
「シルヴィ最高!アンタの性癖ぶっささり」
シルヴィの発言に賞賛するティアラを含めた影達。ガッハッハッとヴォルフガングが笑った。
「リリー無駄だぜ!散々こいつらに遊ばれてるんだ。その敏感は治らねぇ。て言うかそもそもこいつらがそんな事リリーにさせねぇよ。でもそのせいで稼げる幅が少ないのはちと可哀想だったけどな」
「潜入させたとて快楽でダメになる事が目に見えておるからのお」
んー、可哀想。と酒を飲むヴォルフガングと爺。
エレンを除いた騎士達は凄まじい混乱を抱いていた。影だからそういう仕事をしなくてはいけない事は理解出来る。だがこんなにも大っぴらに当たり前のように話す内容なのか?メルにイかされたとはどういう事だ?リリーで遊ぶとはどういう事だ?リリーは処女だよな?処女なんだよな?
「ま、今日はリリーさん諦めるよ。明日早いのに無理させたくないし解散って事で、メル行くよ」
シルヴィとメルが退席したのを皮切りに動き出した面々。いつの間にかノエルとルークはレンとロビンにより縄でグルグル巻にされ身動きが取れず彼らに担がれていた。
「じゃ、こいつ借りるぞ」
「またね~」
「「嫌だー!!」」
「本人が嫌がる事はしないでねー!!」
抱え去ってしまったレンとロビンに対しリヒャルトが大声を出した。今日で学んだ。レンとロビンは自分達より遥かに強い。そんな彼らに喧嘩を売ることなんて出来ず、すまない仲間よと頭の中で合掌する事しか出来ないとリヒャルトは深々と頭を下げた。
続々と解散し残ったのはリリーとウィルフレッド、リヒャルト、エレンの四人。エレンはリリーが動くのを待っていた。
「おやすみ」
立ち上がったリリーと一緒にエレンも立った。
「僕も一緒にリリーの家に行っていい?」
リリーはぱちぱちと瞬きをしながらエレンを見上げた。
「いいの?」
「え?」
「最近来ないから女出来たかと思ってた」
意外なリリーの発言にきょとん顔のエレン。
「そんな人いないよ。気にしてたの?」
気には・・・してたな。
あんなに頻繁に泊まりに来ていたのにパタッと来なくなり気にしない方が無理があるのでは。
リリーが頷くとエレンは嬉しそうに笑った。
「それじゃあ行こうか。二人とも気をつけて帰ってね」
「「・・・・・・。」」
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