【R18】 その娼婦、王宮スパイです

ぴぃ

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第三章

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 エレンと入籍してから二ヶ月が経った。三人家族の生活は驚くほどに穏やかで楽しい生活だ。エレンとリヒャルトは二人で家具を作ったり、剣を交合わせたり、ハンターをしたり仲良く過ごしている。

妊婦健診にエレンを連れて行った時には医者と看護婦達が驚き狂っていた。この街で平民が重婚するなんてよっぽどの事が無い限り有り得ない話だからである。しかもリヒャルトとエレンは超絶イケメンだ。そんな男二人を虜にしたリリーは何者だと驚く医者達。しかもエレンもお腹の子と親子関係がない事に驚きを隠せないでいた。

今思い出しても医者の反応が面白かったな。
リリーは自宅で独り、白湯を飲みながら陽が差し込む窓の外を眺めていた。

あと二ヶ月。あともう少しでこの子に会える。
そっと大きく膨らんだお腹に手を当て優しく撫でる。

夫二人と毎日キスをして愛してると言い合って、時々言い争う二人を眺めて。リリーにとって今の生活はとっても幸せだった。

「・・・私はリヒャルトとエレンが好き」

今では心からそう思える。

今日はエレンとリヒャルトがハンターとして稼ぎに出た。討伐任務が楽しいようで初めて二人でパーティーを組んだ日はそれはそれは楽しそうな顔をして帰ってきたのを思い出す。

今日も討伐依頼があると二人は喜ぶんだけどな。

そんなことを思いながら二人が喜びそうな肉料理を作ろうと決めたリリーであった。



***



 ギルドを訪れたエレンとリヒャルトは掲示されてる任務の中に討伐依頼がなくて落胆していた。それでも稼がない訳にはいかないので掲示されている任務の中でも比較的報酬が高い依頼を受ける。だがそれも二人にとっては簡単な事で昼を過ぎた頃には終わってしまった。

街のカフェでリリーにケーキを買っていこうとエレンの提案に乗り二人で街に向かった。折角だから一杯飲もうと店の外にある席でビールを飲み合う二人。

「あと二ヶ月で僕達も父親だね」

「ほんとそれ。リリー名前決めたのかな?」

「候補は考えてるって言ってたけど三人で決めたいって。何だかんだ僕達のこと大事にしてくれるよね」

「未だに愛してるって言う時顔赤くなるの可愛くてやばくない?」

「わかる。・・・はあ、早くリリーとしたい」

「まじでいつ出来るんだろ。出産した後も暫くは出来なさそうだね。くそー!ウィルが羨ましいッリリーを抱いて子供も作るなんて」

「・・・まあでもリリーのそばにいるのは僕達なんだし。何だって僕達は離れられないリリーの夫なんだから」

「あー、でも銀髪の子が産まれる可能性も高いよね。男の子だったらウィルにする?名前とってあげた方がいいんかな?」

「気にしなくていいと思うけどリリーが付けたいのならって感じかな。リリーそっくりの子だったら溺愛しそうで怖い。嫌われたくなくて怖い」

「・・・大丈夫じゃない?今でも俺ら相当ヤバいくらいリリーのこと溺愛してるっしょ。お腹の子はそれを聞いてるんだから多少くらい大丈夫だって・・・いや、やっぱ怖くなってきた。今からでもめっちゃ稼いどいて欲しい物全部与えられるようにしなくちゃヤバいかな」

楽しく今後のことを話していた二人に人の影がさした。

「その話、詳しく聞かせてもらおうか」

突然現れたフードを被った長身の男。
エレンとリヒャルトはその男を見上げ顔を見ると驚愕して固まった。

フードをとった男はサラサラした銀髪の隙間から鋭く光る碧眼を覗かせ二人を射るように見つめた。

「うぃ、ウィル・・・ッ」

平民の装いをしているがフードを外した途端に周囲の女性が悲鳴を上げた。

エレンとリヒャルトの二人も女性からの視線を集めていたが、二人は今ではこの街で一番のイケメンを誇るも二人とも妻であるリリーを溺愛している愛妻家であることが街中に知られている。その為二人を誘う女がいなくなったのだ。それでもイケメンを見ようと彼らを遠巻きから見ていた女性達だったが、二人とは別の極上のイケメンが現れ悲鳴が上がった。

お洒落な格好でもないのにウィルフレッドが着ると普通の平民服も高級な服に見えてしまう。

ウィルフレッドは爽やかな表情を浮かべていた。

「久しぶりだな」

久しぶりに聞く彼の声はどことなく棘を感じる。

「ほ、本当に久しぶりだね。元気にしてた?」

たじろぐリヒャルト。ウィルフレッドと目を合わせるが、ずっと見ている事が出来ず視線を逸らす。ウィルフレッドはリヒャルトからエレンに視線を変えた。

「彼女に会いたい」

「・・・誰のこと?」

「リリー。彼女は今どこにいる」

「・・・さあ?僕達は知らないよ」

「とぼけても無駄だ。隣町で話題になっていたぞ。整った顔をした男二人が一人の女を溺愛していると。その特徴にお前達が当てはまるんだがな」

「「・・・・・・。」」

なんだその話。隣町でそんな噂をされているなんて聞いていないぞ。冷や汗が頬を伝う。

エレンとリヒャルトがイケメン過ぎるがあまり、そんな二人から愛されるリリーが羨ましいと街人が三人の恋仲に色を付け話題になっていたのだ。

「久しぶりに友に会ったのに歓迎してくれないのか?」

「そりゃ会えて嬉しいけどさ、突然過ぎて驚きが勝ってる」

「なら住家に案内してくれ。積もる話もあるだろう」

ウィルフレッドに対して聞きたい話は沢山ある。でも仲のいい友人との再会に花を咲かせるよりも、彼をリリーと会わせたくない。

リリーはウィルフレッドとの子をお腹に宿している。自分達とは違い血の繋がった本当の父親だ。彼女が彼を見たら?特別にウィルフレッドを気にかけるかもしれない。今まで平等にリヒャルトとエレンに接していたがウィルフレッドには特別な感情を抱いてしまうかもしれない。そうなったら耐えられない。

同じことを考えているのかエレンとリヒャルトは視線を合わせ小さく頷き合った。瞬時にお互い別の方向へ走り出す。


突然逃げるように居なくなってしまった友人。
空いた席を見つめウィルフレッドはニヒルな笑みを浮かべた。

「無駄なことを」

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