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第002話(自由落下?!)
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「相変わらずのアホウっぷりなのです!」
濃紫色の服を纏って頭にはひらひらがついたカチューシャを付けたポメが、いつの間にか巨大で無骨な棒状の物体をどこかにしまって、どう見ても鍋の蓋としか思えない物をどこからか取り出しながら言う。そして鍋の蓋を地上方向に向けて、頭から降下していく。
ずっひゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
僕は落ちていく恐怖に慄きながらもポメを見みると、なんかバランス崩してワタワタ・バタバタしているのが見えた。そして……あーぁ、頭から落ちた……
ドゴアァァァァァァッッッ!!!!!!
樹海を揺るがすような大音量が響き、木々に止まっていた鳥達が、何事かと一斉に飛び立つ。
ポメが着弾した地面からは物凄い土煙が上がっており、状況を見通すことができない。僕が同じように落ちたら間違いなく死んでしまうので、碧玉珠色の小狼のファングを抱き寄せて魔法を発動させる。紅玉珠色の燕のビークは飛べるから保護しなくても問題ない。
「空気柔袋」
風を膜のように展開し、枕のような弾力性のある風の層を作る魔法を展開する。その風の層は何層にも展開しており、その風の層を通り過ぎるたびに、僕の身体は減速していき、地上に降りる頃には減速しきっていて、安全に着地する事ができた。
「いたたたた……頭ぶつけちゃいましたです」
僕達が崖下についた時には、土埃もある程度収まっていて、その中からポメが額を抑えながら立ち上がる。
あの高さから落ちて着地失敗して、どうして何事もなく無事なんだろう?しかも額をこすっているけど、土汚れが多少ついているだけで、傷などの外傷は全くない。だが、周辺の地形は完全に陥没していてクレーターのようになっている。
「やはり、コレのおかげなのですっ!」
ポメはそう言いながら手に持った、どう見ても鍋の蓋にしか見えない物を、誇らしそうに掲げる。
「それ、どこで使ったんだ?」
僕は呆れ顔を隠せずにジト目でポメに突っ込む。
「そんなの乙女メイドの秘密に決まっているのです!本当に御主人様はデリカシーのないガキなのです」
ポメは頬を膨らませ、両手を腰に当てながら、憮然とした顔で僕に言ってくる。しかし鍋の蓋を使う事のどこが乙女メイドの秘密にあたるのか謎すぎる。
「とりあえず、一旦お茶にするですかね」
ポメはそう言いながら、どこからか真っ白なテーブルと、背もたれに花の意匠をあしらった真っ白な椅子を取り出す。そして、テーブルの上に白いクロスをかけると、椅子の上に立ち上がってティーセットの用意を始める。
「いつも思うんだけど、どこから取り出しているのそれ?」
「御主人様はいつも聞いてばかりです。たまには頭を使わないと痴呆が進むのです」
「いやぁ、だって謎すぎるでしょ」
「ポメは謎の多い乙女メイドなのです。御主人様は黙ってその恩恵を受けていればいいのです。余計なことは考える必要はないのです」
無駄のない所作でティーポットに茶葉を入れてお湯を注ぎながら、当たり前のように罵られる。
クレーターのようになった崖下でそんな事をしていると、何事があったのかと様子見に来た魔獣たちがクレータの縁に姿を現す。とりあえずは襲ってくる気配がないので、そのままゆっくりとお茶を楽しむことにする。
ファングは軽くジャンプすると、僕の膝上の定位置にすっぽりと収まり、物欲しげな顔で僕を見上げてきて、ビークは僕の右肩に留まると、僕の頬に身体を擦り付けてくる。
定位置でスタンバイしているのを横目で見たポメが、僕の前にサクサクのクッキーを出してくれたので、それをファングとビークの鼻先に持っていくと、嬉しそうに咥え、啄む。
嬉しそうに食べる二匹を微笑みながら僕が見ていると、ティーカップが僕の前に差し出される。真っ白な磁器のティーカップに、淡い茶色の紅茶が映える。
僕は火傷しないように、フーフーと息を吹きかけて冷ますと、小さな両手でティーカップを掴んで、少しずつ飲んでいく。
そうこうしているうちに、クレーターの外周いっぱいに魔獣が集まってきて、僕達を餌か餌じゃないかを値踏みをしながら、動向を窺っている。
集団心理のせいか、どんどん殺気が増してきているように見える。僕は意図的に気にしないで、とりあえずクッキーと紅茶を楽しむ。
「そろそろやろうかな?」
僕は紅茶の最後の一口を飲み干して、椅子から降りようとすると、それを察知したファングとビークが離れる。僕は椅子から飛び降りると、右手を横に突き出し、左手で肘を左手前にギューッと引き絞るストレッチで、肩を伸ばす。
「キチンと手加減するです!」
「ワンッ」
「ピィッ」
僕がやる気なのを見て、ポメが注意を促すと、同意と言わんばかりにファングとビークも一声上げる。
「なんで僕はこんなに信用がないんだろう?」
「少しは自分の行動を振り返って考えてみれば自明の理なのです!」
僕が少しぼやくと、瞬時にポメが突っ込んでくる。
「あははははは」
僕は頬をポリポリとかきながら遠い目をしてみる。そんなやり取りをしながら、僕はクレーター周囲をぐるっと見回し、魔物の数や種類を把握する。そして両手を横に広げて魔力を練り上げていく。
「さて、始めようか!」
僕はそう言って戦いの火蓋を切って落とすのだった。
濃紫色の服を纏って頭にはひらひらがついたカチューシャを付けたポメが、いつの間にか巨大で無骨な棒状の物体をどこかにしまって、どう見ても鍋の蓋としか思えない物をどこからか取り出しながら言う。そして鍋の蓋を地上方向に向けて、頭から降下していく。
ずっひゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
僕は落ちていく恐怖に慄きながらもポメを見みると、なんかバランス崩してワタワタ・バタバタしているのが見えた。そして……あーぁ、頭から落ちた……
ドゴアァァァァァァッッッ!!!!!!
樹海を揺るがすような大音量が響き、木々に止まっていた鳥達が、何事かと一斉に飛び立つ。
ポメが着弾した地面からは物凄い土煙が上がっており、状況を見通すことができない。僕が同じように落ちたら間違いなく死んでしまうので、碧玉珠色の小狼のファングを抱き寄せて魔法を発動させる。紅玉珠色の燕のビークは飛べるから保護しなくても問題ない。
「空気柔袋」
風を膜のように展開し、枕のような弾力性のある風の層を作る魔法を展開する。その風の層は何層にも展開しており、その風の層を通り過ぎるたびに、僕の身体は減速していき、地上に降りる頃には減速しきっていて、安全に着地する事ができた。
「いたたたた……頭ぶつけちゃいましたです」
僕達が崖下についた時には、土埃もある程度収まっていて、その中からポメが額を抑えながら立ち上がる。
あの高さから落ちて着地失敗して、どうして何事もなく無事なんだろう?しかも額をこすっているけど、土汚れが多少ついているだけで、傷などの外傷は全くない。だが、周辺の地形は完全に陥没していてクレーターのようになっている。
「やはり、コレのおかげなのですっ!」
ポメはそう言いながら手に持った、どう見ても鍋の蓋にしか見えない物を、誇らしそうに掲げる。
「それ、どこで使ったんだ?」
僕は呆れ顔を隠せずにジト目でポメに突っ込む。
「そんなの乙女メイドの秘密に決まっているのです!本当に御主人様はデリカシーのないガキなのです」
ポメは頬を膨らませ、両手を腰に当てながら、憮然とした顔で僕に言ってくる。しかし鍋の蓋を使う事のどこが乙女メイドの秘密にあたるのか謎すぎる。
「とりあえず、一旦お茶にするですかね」
ポメはそう言いながら、どこからか真っ白なテーブルと、背もたれに花の意匠をあしらった真っ白な椅子を取り出す。そして、テーブルの上に白いクロスをかけると、椅子の上に立ち上がってティーセットの用意を始める。
「いつも思うんだけど、どこから取り出しているのそれ?」
「御主人様はいつも聞いてばかりです。たまには頭を使わないと痴呆が進むのです」
「いやぁ、だって謎すぎるでしょ」
「ポメは謎の多い乙女メイドなのです。御主人様は黙ってその恩恵を受けていればいいのです。余計なことは考える必要はないのです」
無駄のない所作でティーポットに茶葉を入れてお湯を注ぎながら、当たり前のように罵られる。
クレーターのようになった崖下でそんな事をしていると、何事があったのかと様子見に来た魔獣たちがクレータの縁に姿を現す。とりあえずは襲ってくる気配がないので、そのままゆっくりとお茶を楽しむことにする。
ファングは軽くジャンプすると、僕の膝上の定位置にすっぽりと収まり、物欲しげな顔で僕を見上げてきて、ビークは僕の右肩に留まると、僕の頬に身体を擦り付けてくる。
定位置でスタンバイしているのを横目で見たポメが、僕の前にサクサクのクッキーを出してくれたので、それをファングとビークの鼻先に持っていくと、嬉しそうに咥え、啄む。
嬉しそうに食べる二匹を微笑みながら僕が見ていると、ティーカップが僕の前に差し出される。真っ白な磁器のティーカップに、淡い茶色の紅茶が映える。
僕は火傷しないように、フーフーと息を吹きかけて冷ますと、小さな両手でティーカップを掴んで、少しずつ飲んでいく。
そうこうしているうちに、クレーターの外周いっぱいに魔獣が集まってきて、僕達を餌か餌じゃないかを値踏みをしながら、動向を窺っている。
集団心理のせいか、どんどん殺気が増してきているように見える。僕は意図的に気にしないで、とりあえずクッキーと紅茶を楽しむ。
「そろそろやろうかな?」
僕は紅茶の最後の一口を飲み干して、椅子から降りようとすると、それを察知したファングとビークが離れる。僕は椅子から飛び降りると、右手を横に突き出し、左手で肘を左手前にギューッと引き絞るストレッチで、肩を伸ばす。
「キチンと手加減するです!」
「ワンッ」
「ピィッ」
僕がやる気なのを見て、ポメが注意を促すと、同意と言わんばかりにファングとビークも一声上げる。
「なんで僕はこんなに信用がないんだろう?」
「少しは自分の行動を振り返って考えてみれば自明の理なのです!」
僕が少しぼやくと、瞬時にポメが突っ込んでくる。
「あははははは」
僕は頬をポリポリとかきながら遠い目をしてみる。そんなやり取りをしながら、僕はクレーター周囲をぐるっと見回し、魔物の数や種類を把握する。そして両手を横に広げて魔力を練り上げていく。
「さて、始めようか!」
僕はそう言って戦いの火蓋を切って落とすのだった。
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