ちびっこ無双 ~手加減しないと環境破壊しちゃう過剰魔力を持った僕と、ちびっこい仲間達で異世界を無双しちゃいます~

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

文字の大きさ
2 / 80

第002話(自由落下?!)

しおりを挟む
「相変わらずのアホウっぷりなのです!」
 濃紫色の服を纏って頭にはひらひらがついたカチューシャを付けたポメが、いつの間にか巨大で無骨な棒状の物体をどこかにしまって、どう見ても鍋の蓋としか思えない物をどこからか取り出しながら言う。そして鍋の蓋を地上方向に向けて、頭から降下していく。

ずっひゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 僕は落ちていく恐怖に慄きながらもポメを見みると、なんかバランス崩してワタワタ・バタバタしているのが見えた。そして……あーぁ、頭から落ちた……

ドゴアァァァァァァッッッ!!!!!!

 樹海を揺るがすような大音量が響き、木々に止まっていた鳥達が、何事かと一斉に飛び立つ。

 ポメが着弾した地面からは物凄い土煙が上がっており、状況を見通すことができない。僕が同じように落ちたら間違いなく死んでしまうので、碧玉珠エメラルド色の小狼のファングを抱き寄せて魔法を発動させる。紅玉珠ルビー色の燕のビークは飛べるから保護しなくても問題ない。

空気柔袋ウィンド・クッション
 風を膜のように展開し、枕のような弾力性のある風の層を作る魔法を展開する。その風の層は何層にも展開しており、その風の層を通り過ぎるたびに、僕の身体は減速していき、地上に降りる頃には減速しきっていて、安全に着地する事ができた。

「いたたたた……頭ぶつけちゃいましたです」
 僕達が崖下についた時には、土埃もある程度収まっていて、その中からポメが額を抑えながら立ち上がる。

 あの高さから落ちて着地失敗して、どうして何事もなく無事なんだろう?しかも額をこすっているけど、土汚れが多少ついているだけで、傷などの外傷は全くない。だが、周辺の地形は完全に陥没していてクレーターのようになっている。

「やはり、コレのおかげなのですっ!」
 ポメはそう言いながら手に持った、どう見ても鍋の蓋にしか見えない物を、誇らしそうに掲げる。

「それ、どこで使ったんだ?」
 僕は呆れ顔を隠せずにジト目でポメに突っ込む。

「そんなの乙女メイドの秘密に決まっているのです!本当に御主人様マスターはデリカシーのないガキなのです」
 ポメは頬を膨らませ、両手を腰に当てながら、憮然とした顔で僕に言ってくる。しかし鍋の蓋を使う事のどこが乙女メイドの秘密にあたるのか謎すぎる。

「とりあえず、一旦お茶にするですかね」
 ポメはそう言いながら、どこからか真っ白なテーブルと、背もたれに花の意匠をあしらった真っ白な椅子を取り出す。そして、テーブルの上に白いクロスをかけると、椅子の上に立ち上がってティーセットの用意を始める。

「いつも思うんだけど、どこから取り出しているのそれ?」
御主人様マスターはいつも聞いてばかりです。たまには頭を使わないと痴呆が進むのです」
「いやぁ、だって謎すぎるでしょ」
「ポメは謎の多い乙女メイドなのです。御主人様マスターは黙ってその恩恵を受けていればいいのです。余計なことは考える必要はないのです」
 無駄のない所作でティーポットに茶葉を入れてお湯を注ぎながら、当たり前のように罵られる。 

 クレーターのようになった崖下でそんな事をしていると、何事があったのかと様子見に来た魔獣たちがクレータの縁に姿を現す。とりあえずは襲ってくる気配がないので、そのままゆっくりとお茶を楽しむことにする。
 ファングは軽くジャンプすると、僕の膝上の定位置にすっぽりと収まり、物欲しげな顔で僕を見上げてきて、ビークは僕の右肩に留まると、僕の頬に身体を擦り付けてくる。

 定位置でスタンバイしているのを横目で見たポメが、僕の前にサクサクのクッキーを出してくれたので、それをファングとビークの鼻先に持っていくと、嬉しそうに咥え、啄む。

 嬉しそうに食べる二匹を微笑みながら僕が見ていると、ティーカップが僕の前に差し出される。真っ白な磁器のティーカップに、淡い茶色の紅茶が映える。

 僕は火傷しないように、フーフーと息を吹きかけて冷ますと、小さな両手でティーカップを掴んで、少しずつ飲んでいく。

 そうこうしているうちに、クレーターの外周いっぱいに魔獣が集まってきて、僕達を餌か餌じゃないかを値踏みをしながら、動向を窺っている。

 集団心理のせいか、どんどん殺気が増してきているように見える。僕は意図的に気にしないで、とりあえずクッキーと紅茶を楽しむ。

「そろそろやろうかな?」
 僕は紅茶の最後の一口を飲み干して、椅子から降りようとすると、それを察知したファングとビークが離れる。僕は椅子から飛び降りると、右手を横に突き出し、左手で肘を左手前にギューッと引き絞るストレッチで、肩を伸ばす。

「キチンと手加減するです!」
「ワンッ」
「ピィッ」
 僕がやる気なのを見て、ポメが注意を促すと、同意と言わんばかりにファングとビークも一声上げる。

「なんで僕はこんなに信用がないんだろう?」
「少しは自分の行動を振り返って考えてみれば自明の理なのです!」
 僕が少しぼやくと、瞬時にポメが突っ込んでくる。

「あははははは」
 僕は頬をポリポリとかきながら遠い目をしてみる。そんなやり取りをしながら、僕はクレーター周囲をぐるっと見回し、魔物の数や種類を把握する。そして両手を横に広げて魔力を練り上げていく。

「さて、始めようか!」
 僕はそう言って戦いの火蓋を切って落とすのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

処理中です...