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第037話(昇格進化?!)
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ファングとビークの身体が放つ光の強さに目が眩んでしまった僕の視力が少しずつ戻ってくる。相変わらず二匹は発光しているが、何とか目がくらまない程度の収まってきている。
二匹が心配になった僕が近付いて見てみると、二匹とも気持ちよさそうにスヤスヤ眠っている。僕は取り敢えず何ともなっていない事にホッとすると、僕の隣にポメがやってくる。
「これは御主人様が伝説級魔蟲を倒した時に似てるのです」
「あの急激にレベルアップした時か。という事はファングとビークも物凄く強くなる?」
「あのAというかSに近いランクの巨大岩猿を倒したのです。相当な経験子が流れ込んでましたので、もしかすると昇格進化するかもしれないのです」
「昇格進化?」
「魔物は大量の経験子や魔素を得ることで、より上位の個体に進化することがあるのです。急激に身体の構造が変わるので、休眠状態になると言われているのです」
「じゃぁこの状況は危ないじゃないか。いま魔物に襲われたら自己防衛できないよ」
「……相変わらず御主人様はアンポンタンなのです。自分がさきほど何をやらかしたのかわかっているのです?新しい湖を作るような地形変動を伴う大規模魔法をぶっ放したんですから、目につく所の魔物は全滅してますし、難を逃れた魔物も警戒してしばらくは近付いてくることなんかないのです!」
「あ……あぁ、確かにそうだね……」
「さすが森林破壊の申し子なのです」
「それ、やめて……」
情けないポメの言い分にがっくりと肩を落とす僕。うっかり地形を破壊して新たな湖を爆誕させた直後なので、何の言い訳もできないけど。
とりあえず全探索を起動し、周りに敵性生物がいない事を確認すると、ポメに頼んで小屋を出してもらう。小屋の中の方が快適だし、安全だと思うから。
僕が二匹を大事に抱えあげて後ろを振り向くと、あっというまに小屋が設置されていた。相変わらずどういう仕組みなんだろう。
小屋の中に入り、ふかふかのタオルを何枚か敷いて、そこにファングとビークをそっと横たえる。相変わらず身体が明滅しているが、呼吸は安定しているし、表情も穏やかだ。
「早いと数十分、長いと一日くらいかかるみたいなのです。とりあえず、コレでもどうぞなのです」
ポメが温かい紅茶のような飲み物を差し出してくれながら説明してくれる。
「んー。でもこの様子なら、早く終わるように思うのです」
「そうなの?」
「はいなのです。明滅の速度が少しずつ早くなっているので、恐らくもう少ししたら明確な変化が出てくると思うのです」
そう言われてみると、確かに二人を包む光の明滅の速度が上がっているような気がする。用意してくれた紅茶のような飲み物を飲みながら眺めていると、明滅が激しく、発光している光も強くなっていく。
「うわ。眩しっ!」
明滅と発光が頂点に達し、二匹からは直視できないくらいの激しい光が放たれる。
腕で目の前を多い、瞼を閉じて激しい光をやり過ごした僕は、少しずつ瞼を開いて二匹を確認する。
「え?!はぁぁぁ?!」
僕は驚いて、素っ頓狂な声を上げてしまう。
「なるほど、ファングは風狼から風爆狼に、ビークは火燕から 火喰鳥に昇格進化したみたいなのです」
ファングは少しずつ成長し体長が70cmくらいになっていたのだが、一気に120cm位のサイズに成長し、綺麗な碧玉珠《エメラルド》色の体毛はそのままだが、前歯が少し伸びて硬く鋭く、両手両足の爪も同じように長く硬く鋭くなったように見える。
ビークは体長10cm位の燕のような姿形だったのだが、体長は30cm程になり、色は変わらず綺麗な紅玉珠色だけど、大きめな燕に変化していた。
「大っきくなってる……」
「大きいだけじゃないのです」
「風狼、火燕の状態でランクC。中級冒険者級の魔獣だったのですが…… 火喰鳥はランクB、風爆狼になるとランクA級の魔物になっているのです」
「えぇぇぇぇっ?!」
「ランクB、ランクAといえば上級冒険者並みの魔物になるのです。それに進化したとなると巨大岩猿は間違いなくS級以上の魔物だったって事なのです」
「マ、本気で?」
「本気なのです」
「ちなみに、風爆狼と火喰鳥は半物半霊の特性があるのです。半物半霊は今まで通りに触ったり物理攻撃が可能ですが、霊因子への攻撃も混ぜなければ完全に倒すことが出来ない存在になるのです」
「えぇっと、つまり?」
「通常物理攻撃は傷つくけど死なない。魔法も物理特性に寄っていると火傷や凍傷になるけど死なない。アンデッドでもないので聖光属性魔法でも死なない。霊因子に働きかける対霊攻撃でなければ完全消滅できない厄介な存在なのです」
「それってほぼ無敵なんじゃ?」
「中級以下にはそうなのです。だからランクA、B級なのです。純粋な魔力による攻撃や上級以上の攻撃魔法には少なからず霊因子に働きかける要素があって、無敵な訳ではないので、油断禁物なのです」
ガフゥ……
ピィィィ……
僕がポメとそんな話をしていると、徐々に発光が収まっていき、二匹が目を覚ます。
そして僕を確認するとファングが元気よく飛びついてくる。
「ちょ、ファング、まっ!」
成長したファングの体長は120cm、僕の身長は100cmくらい。つまりファング > 僕。そんなファングが今まで通りの感じで飛びついてきたら……
ドタンッ!ゴッ!!
僕はファングの飛びつきを受け止めることが出来ず、当然後ろに転倒。そして受け身も取れずに強烈に後頭部を床に叩きつけられてしまう。
「あっ、いたぁ……」
そして僕の意識は闇に沈んでいったのだった。
二匹が心配になった僕が近付いて見てみると、二匹とも気持ちよさそうにスヤスヤ眠っている。僕は取り敢えず何ともなっていない事にホッとすると、僕の隣にポメがやってくる。
「これは御主人様が伝説級魔蟲を倒した時に似てるのです」
「あの急激にレベルアップした時か。という事はファングとビークも物凄く強くなる?」
「あのAというかSに近いランクの巨大岩猿を倒したのです。相当な経験子が流れ込んでましたので、もしかすると昇格進化するかもしれないのです」
「昇格進化?」
「魔物は大量の経験子や魔素を得ることで、より上位の個体に進化することがあるのです。急激に身体の構造が変わるので、休眠状態になると言われているのです」
「じゃぁこの状況は危ないじゃないか。いま魔物に襲われたら自己防衛できないよ」
「……相変わらず御主人様はアンポンタンなのです。自分がさきほど何をやらかしたのかわかっているのです?新しい湖を作るような地形変動を伴う大規模魔法をぶっ放したんですから、目につく所の魔物は全滅してますし、難を逃れた魔物も警戒してしばらくは近付いてくることなんかないのです!」
「あ……あぁ、確かにそうだね……」
「さすが森林破壊の申し子なのです」
「それ、やめて……」
情けないポメの言い分にがっくりと肩を落とす僕。うっかり地形を破壊して新たな湖を爆誕させた直後なので、何の言い訳もできないけど。
とりあえず全探索を起動し、周りに敵性生物がいない事を確認すると、ポメに頼んで小屋を出してもらう。小屋の中の方が快適だし、安全だと思うから。
僕が二匹を大事に抱えあげて後ろを振り向くと、あっというまに小屋が設置されていた。相変わらずどういう仕組みなんだろう。
小屋の中に入り、ふかふかのタオルを何枚か敷いて、そこにファングとビークをそっと横たえる。相変わらず身体が明滅しているが、呼吸は安定しているし、表情も穏やかだ。
「早いと数十分、長いと一日くらいかかるみたいなのです。とりあえず、コレでもどうぞなのです」
ポメが温かい紅茶のような飲み物を差し出してくれながら説明してくれる。
「んー。でもこの様子なら、早く終わるように思うのです」
「そうなの?」
「はいなのです。明滅の速度が少しずつ早くなっているので、恐らくもう少ししたら明確な変化が出てくると思うのです」
そう言われてみると、確かに二人を包む光の明滅の速度が上がっているような気がする。用意してくれた紅茶のような飲み物を飲みながら眺めていると、明滅が激しく、発光している光も強くなっていく。
「うわ。眩しっ!」
明滅と発光が頂点に達し、二匹からは直視できないくらいの激しい光が放たれる。
腕で目の前を多い、瞼を閉じて激しい光をやり過ごした僕は、少しずつ瞼を開いて二匹を確認する。
「え?!はぁぁぁ?!」
僕は驚いて、素っ頓狂な声を上げてしまう。
「なるほど、ファングは風狼から風爆狼に、ビークは火燕から 火喰鳥に昇格進化したみたいなのです」
ファングは少しずつ成長し体長が70cmくらいになっていたのだが、一気に120cm位のサイズに成長し、綺麗な碧玉珠《エメラルド》色の体毛はそのままだが、前歯が少し伸びて硬く鋭く、両手両足の爪も同じように長く硬く鋭くなったように見える。
ビークは体長10cm位の燕のような姿形だったのだが、体長は30cm程になり、色は変わらず綺麗な紅玉珠色だけど、大きめな燕に変化していた。
「大っきくなってる……」
「大きいだけじゃないのです」
「風狼、火燕の状態でランクC。中級冒険者級の魔獣だったのですが…… 火喰鳥はランクB、風爆狼になるとランクA級の魔物になっているのです」
「えぇぇぇぇっ?!」
「ランクB、ランクAといえば上級冒険者並みの魔物になるのです。それに進化したとなると巨大岩猿は間違いなくS級以上の魔物だったって事なのです」
「マ、本気で?」
「本気なのです」
「ちなみに、風爆狼と火喰鳥は半物半霊の特性があるのです。半物半霊は今まで通りに触ったり物理攻撃が可能ですが、霊因子への攻撃も混ぜなければ完全に倒すことが出来ない存在になるのです」
「えぇっと、つまり?」
「通常物理攻撃は傷つくけど死なない。魔法も物理特性に寄っていると火傷や凍傷になるけど死なない。アンデッドでもないので聖光属性魔法でも死なない。霊因子に働きかける対霊攻撃でなければ完全消滅できない厄介な存在なのです」
「それってほぼ無敵なんじゃ?」
「中級以下にはそうなのです。だからランクA、B級なのです。純粋な魔力による攻撃や上級以上の攻撃魔法には少なからず霊因子に働きかける要素があって、無敵な訳ではないので、油断禁物なのです」
ガフゥ……
ピィィィ……
僕がポメとそんな話をしていると、徐々に発光が収まっていき、二匹が目を覚ます。
そして僕を確認するとファングが元気よく飛びついてくる。
「ちょ、ファング、まっ!」
成長したファングの体長は120cm、僕の身長は100cmくらい。つまりファング > 僕。そんなファングが今まで通りの感じで飛びついてきたら……
ドタンッ!ゴッ!!
僕はファングの飛びつきを受け止めることが出来ず、当然後ろに転倒。そして受け身も取れずに強烈に後頭部を床に叩きつけられてしまう。
「あっ、いたぁ……」
そして僕の意識は闇に沈んでいったのだった。
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