53 / 80
第053話(昼食選択?!)
しおりを挟む
ケイン達と別れた僕達は、再び市場のある通りにやってきていた。
「お腹空いたね。何処にしようか?」
「選ぶほど店が多くないと思うのです」
「あーうん、そうだとしても大きな声で言うのは止めようね。またトラブルに巻き込まれちゃうから」
「ポメは間違ったことを言ってはいないのです」
「間違っているかどうかは問題じゃないから」
何度言っても聞き入れてくれないポメに頭を抱えながら、ポメの言う通り何軒かしかない食事処を選ぶ。
「ここにしようか」
市場の中ほどにあった小さな店を選ぶ。選んだ理由はランチの料金が銀貨1枚でやや高めだけど無理のない金額だったからだ。折角なので、ちゃんとした料理を出すところで食事を確かめてみたかったし、かといって高いところは財布の事情的に難しい。
「はい、いらっしゃい」
ドアを開けて中に入ると、恰幅の良いオバサンが出迎えてくれる。
「あの、2人と一頭と一羽なんですが」
「おや、調教師とは珍しい。んー、他のお客さんもいるから店内はあまり良くないね。どうだい、2階のテラス席でも良いかい?」
僕の姿とファングとビークに目を向けたオバサンがそう提案してくる。今日はいい天気だし、気温も丁度いい。外で食べても問題はなさそうだ。
「はい、大丈夫です。お願いします」
「あいよ、ついてきな」
僕が答えると、オバサンが2階のテラス席へ案内してくれる。2階は道路側の半分が屋外で、反対側の半分が屋内の客席になっているみたいだ。テラス席と言っても横の壁がないだけで、屋根はついていたので、横殴りの強い雨でなければ、雨の日でもテラス席を使えそうだ。
「こちらがメニューね。今日の肉ランチは走り蜥蜴のリコピル煮、魚ランチはミキスのピリの葉包み焼きだよ」
一番道路側の席に案内されてオバサンにメニューを手渡される。先程の食料品店で教えてもらったリコピル料理とクーフェさんに教えてもらったピリの葉料理。両方気になるけどどうしようか……?
「あははは、ゆっくり選んでおくれよ。しばらくしたらまた来るから、それまでに選んどいておくれよ」
そう言って店員のオバサンが去ると、居心地が良さそうにファングは僕の足元、ビークはテラス席の手すりに止まって落ち着く。
「市場が遠くまで見えて、とても都合が良いのです」
ポメは椅子の上に乗ると、手すりから体を乗り出して、手でひさしを作りながら市場のある通りの奥の方を眺める。バランスを崩したら下に落ちてしまいそうで、危なっかしいが、崖から落ちて傷一つ付かない頑丈な身体だから、落ちてしまったとしても大丈夫だろう。
「どっちも気になるなぁ。メニューに載っている料理も気になるけど、まずはお手頃価格のランチにしたい所だなぁ」
「だったら肉と魚のランチを頼んで、ポメとハンブンコにすればいいのです」
ポメが手すりの上にお腹を載せて、足をブラブラさせてバランスを取りながら提案する。
「え?いいの?」
「良いのです。ポメも知識だけじゃない色々なホンモノの味を確かめてみたいのです」
ポメが素晴らしい提案をしてくれたので、僕は言葉に甘えることにする。ファングとビークが食べられるものもあるかな?
そう思いながらメニューをパラパラ捲っていると、店員のオバサンが2階に上がってくる。
「決まったかい?」
「えぇ、肉ランチと魚ランチを一つずつ。あと、この子達に食べさせられそうな物ってあります?」
オバサンに僕とポメの分を注文し、ファングとビークが食べられそうなものを聞いてみる。オバサンは目を細めてファングとビークを見ながら、顎に手を当てて思案する。
「しかし、大人しくていい子達じゃぁないか。そうだねぇ、ランチの主菜の走り蜥蜴とミキスを素焼きしただけのものを持ってくるかね。2つで銀貨1枚、銅貨5枚になるけど良いかい?」
「あ、はい。それでお願いします」
「わかったよ。肉ランチと魚ランチ。それに走り蜥蜴とミキスの素焼きね。ちょっと待っとくれよ」
注文を取るとオバサンは、ファングとビークを見てニヤリと笑うと、階段を降りていった。
「ファングとビーク、良かったね。一緒に食べられそうだね」
ガウッガガウッ!
ピピピピピィッ!
僕がそう声をかけると、二匹は嬉しそうに吠え/鳴き声を上げる。町中で生活するときには2匹の食事や寝床をどうするかが課題だよなぁと今更ながらに頭を悩ませる。
二匹は僕の言うことをしっかり聞いてくれて、大人しくしてくれているんだけど、魔獣は魔獣なので、場所によっては入れなかったりしそうだ。
「おぉ!あそこは面白そうなのです。いやいや、こっちにも行ってみたいのです」
ポメは相変わらず、手足でバランスを取りながら、手すりの上にお腹を載せて市場を観察しているようだ。
「はい、おまちどーさま」
しばらく待っていると、店員のオバチャンが美味しそうな匂いを漂わせる料理を持って料理とパン籠をもって2階に上がってくるのだった。
「お腹空いたね。何処にしようか?」
「選ぶほど店が多くないと思うのです」
「あーうん、そうだとしても大きな声で言うのは止めようね。またトラブルに巻き込まれちゃうから」
「ポメは間違ったことを言ってはいないのです」
「間違っているかどうかは問題じゃないから」
何度言っても聞き入れてくれないポメに頭を抱えながら、ポメの言う通り何軒かしかない食事処を選ぶ。
「ここにしようか」
市場の中ほどにあった小さな店を選ぶ。選んだ理由はランチの料金が銀貨1枚でやや高めだけど無理のない金額だったからだ。折角なので、ちゃんとした料理を出すところで食事を確かめてみたかったし、かといって高いところは財布の事情的に難しい。
「はい、いらっしゃい」
ドアを開けて中に入ると、恰幅の良いオバサンが出迎えてくれる。
「あの、2人と一頭と一羽なんですが」
「おや、調教師とは珍しい。んー、他のお客さんもいるから店内はあまり良くないね。どうだい、2階のテラス席でも良いかい?」
僕の姿とファングとビークに目を向けたオバサンがそう提案してくる。今日はいい天気だし、気温も丁度いい。外で食べても問題はなさそうだ。
「はい、大丈夫です。お願いします」
「あいよ、ついてきな」
僕が答えると、オバサンが2階のテラス席へ案内してくれる。2階は道路側の半分が屋外で、反対側の半分が屋内の客席になっているみたいだ。テラス席と言っても横の壁がないだけで、屋根はついていたので、横殴りの強い雨でなければ、雨の日でもテラス席を使えそうだ。
「こちらがメニューね。今日の肉ランチは走り蜥蜴のリコピル煮、魚ランチはミキスのピリの葉包み焼きだよ」
一番道路側の席に案内されてオバサンにメニューを手渡される。先程の食料品店で教えてもらったリコピル料理とクーフェさんに教えてもらったピリの葉料理。両方気になるけどどうしようか……?
「あははは、ゆっくり選んでおくれよ。しばらくしたらまた来るから、それまでに選んどいておくれよ」
そう言って店員のオバサンが去ると、居心地が良さそうにファングは僕の足元、ビークはテラス席の手すりに止まって落ち着く。
「市場が遠くまで見えて、とても都合が良いのです」
ポメは椅子の上に乗ると、手すりから体を乗り出して、手でひさしを作りながら市場のある通りの奥の方を眺める。バランスを崩したら下に落ちてしまいそうで、危なっかしいが、崖から落ちて傷一つ付かない頑丈な身体だから、落ちてしまったとしても大丈夫だろう。
「どっちも気になるなぁ。メニューに載っている料理も気になるけど、まずはお手頃価格のランチにしたい所だなぁ」
「だったら肉と魚のランチを頼んで、ポメとハンブンコにすればいいのです」
ポメが手すりの上にお腹を載せて、足をブラブラさせてバランスを取りながら提案する。
「え?いいの?」
「良いのです。ポメも知識だけじゃない色々なホンモノの味を確かめてみたいのです」
ポメが素晴らしい提案をしてくれたので、僕は言葉に甘えることにする。ファングとビークが食べられるものもあるかな?
そう思いながらメニューをパラパラ捲っていると、店員のオバサンが2階に上がってくる。
「決まったかい?」
「えぇ、肉ランチと魚ランチを一つずつ。あと、この子達に食べさせられそうな物ってあります?」
オバサンに僕とポメの分を注文し、ファングとビークが食べられそうなものを聞いてみる。オバサンは目を細めてファングとビークを見ながら、顎に手を当てて思案する。
「しかし、大人しくていい子達じゃぁないか。そうだねぇ、ランチの主菜の走り蜥蜴とミキスを素焼きしただけのものを持ってくるかね。2つで銀貨1枚、銅貨5枚になるけど良いかい?」
「あ、はい。それでお願いします」
「わかったよ。肉ランチと魚ランチ。それに走り蜥蜴とミキスの素焼きね。ちょっと待っとくれよ」
注文を取るとオバサンは、ファングとビークを見てニヤリと笑うと、階段を降りていった。
「ファングとビーク、良かったね。一緒に食べられそうだね」
ガウッガガウッ!
ピピピピピィッ!
僕がそう声をかけると、二匹は嬉しそうに吠え/鳴き声を上げる。町中で生活するときには2匹の食事や寝床をどうするかが課題だよなぁと今更ながらに頭を悩ませる。
二匹は僕の言うことをしっかり聞いてくれて、大人しくしてくれているんだけど、魔獣は魔獣なので、場所によっては入れなかったりしそうだ。
「おぉ!あそこは面白そうなのです。いやいや、こっちにも行ってみたいのです」
ポメは相変わらず、手足でバランスを取りながら、手すりの上にお腹を載せて市場を観察しているようだ。
「はい、おまちどーさま」
しばらく待っていると、店員のオバチャンが美味しそうな匂いを漂わせる料理を持って料理とパン籠をもって2階に上がってくるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる