ちびっこ無双 ~手加減しないと環境破壊しちゃう過剰魔力を持った僕と、ちびっこい仲間達で異世界を無双しちゃいます~

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

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第054話(落胆昼食?!)

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 机の上に置かれた、走り蜥蜴リザードのリコピル煮とミキスのピリの葉包み焼きからは、美味しそうな匂いと共に湯気が立ち上っており、僕達の鼻孔をくすぐる。
 ファングとビーク用にただ焼いただけの、走り蜥蜴リザードとミキスも、素材本来の焼いた香りがしていて、ファングとビークも堪らなさそうだ。

「あははははは。パンは籠に入っている分、全部食べていいからね。それじゃごゆっくり」
 辛坊たまらなくなっている僕達を見て店員のオバサンが豪快に笑い声を上げながら、料理をテーブルの上に置くと、1階に降りていく。

「ファングとビーク、辛抱堪らないのはわかっているけど、冷ましてからね」
 僕はまずファングとビークの素焼きを冷めやすいように、食べやすいようにばらしていく。一通りの骨をばらし終わったら、二匹の前に差し出す。

ガウッ!ガウッ!
ピィッ!ピィッ!

 二匹は嬉しそうに吠え/鳴き声を上げると料理に齧り付いていく。そしてあっという間に平らげてしまう。

ガウッ!
ピィッ!

 そしてこちらを物欲しそうな目で見てくる。全然足りなかったようだ。

「店員さんが来たらお代わりを注文するから待っててね」
 僕は2匹にそう伝えると、自分たちの料理に向き合う。

 走り蜥蜴リザードのリコピル煮だが、一口大に切られた肉片と根菜が真っ赤なソースに浸かっている。鼻に抜けるのは肉の香りとリコピルの強い酸味を含んだ香り。うん、トマトと一緒だなコレ。
 ミキスのピリの葉包み焼きの魚は大型のニジマスのように見える。それを大きな赤紫蘇風の葉に包まれていて、シソのような強い香りが漂っている。

「美味しい!……けど一緒だなぁ」
 肉片をフォークで突き刺し口に運ぶと、リコピルの旨味と強い酸味が鼻に抜け、その後淡白だが、奥深い肉の味わいが口に広がる。
 しかし相変わらずのバラバラな味加減だ。単品ではいい味が出ていると思うのだが、リコピルと走り蜥蜴リザードの肉の味がバラバラになってしまっている。

「これもダメなのです。素材の味しか引き立っていないのです」
 ポメも同じ意見のようだ。これだったら普通に塩振って焼いて食べているのとあまり変わりがない。

「ちゃんとした店でもこれだっていうことは、ダシ文化が無いってことなんだろうなぁ……」
 ポメの頼んだミキスのピリの葉包み焼きも食べながら呟く。こちらはピリの葉の香りが相当強いので、川魚の香りが飛んでしまっている。口に含んだ瞬間は、ミキスの旨味は感じられるけど。

「これは自分たちで作るしか無いかなぁ」
「なのです」
 ポメの作ってくれた料理は、味がバラバラなんて事はなかったので、過去においてはダシ文化が合ったのだろう。とはいえ、あの施設に出てきた食べ物は栄養が取れればそれで良いというような、機能的食事だったが。

 素材の味自体は悪くないので、違和感を覚えながらも完食し、二匹はお代わりも平らげたところで、僕達は店を出る。

 先程の食料品店に行けば、多少の乾物は置いてあったけどダシに使えそうなのはキノコ類くらいだった。キノコのダシも独特の香りがあるから、ここは一つガラからダシを取る方法でいきたい。
 という事で、僕達は精肉店を探す。ポメがだいたい当たりをつけてくれていた細い路地には、肉や野菜が置いてある露店が立ち並んでいた。

 僕は一つ一つ店舗を眺めながらその路地にある露店を全て回ってみる。露店では元気の良いオジサンやオバサンが今日取れた質の良い品物をPRしてくるが、僕は一通り回らしてくださいと、それらの客引きを断っていく。

「なかったね」
「なかったのです」
 全ての露店を回ってみたが、僕達の求める商品はなかった。

「あのー、骨がついたままのお肉は置いていないんですか?」
 僕達は近くの精肉を売っている露店のオジサンに声をかける

「あぁ?骨のついた肉だって?そんなの置いといても売れないから仕入れてないな」
 そうなのだ。店においてあるのは全て切り分けられた肉ばかりで、僕達の探しているガラのような商品は見当たらなかったのだ。

「しかも、それも仕入れられるルートが限られているからな」
「ルート?」
「あぁ、狩人が狩ってきた獲物は、まず大体ギルドに卸される。角や牙、毛皮など貴重な素材が多く、専門の解体師が解体しないとダメにしちまうからだ。その時点で骨も内蔵も素材にしたり捨てたりされてしまって、精肉には卸されないんだ。ま、そんなの卸されても売れないから誰も買わんがな」
 精肉店のオジサンが僕達に丁寧に教えてくれる。

「そのギルドっていうのは?」
「この町だと冒険者ギルドだな。冒険者がこないような所だと狩人ギルド、もしくは商人ギルドが兼任してたりするな」
「冒険者ギルドか……」
 今から行って相談に乗ってもらうことも出来なくはないが、できるだけ白い目で見られて不審がられるのは避けたい。ここは自分で狩ってくるしか無いかと思案する。とは言え狩りをするために町の外に出ようとするとキリクさんに止められそうだ。

「ありがとうございます。それでは冒険者ギルドに行ってみます」
「何を求めているかわからんが、少しでも力になれたんだったら良かった。今度なにか買っていってくれ」
「はい、ありがとうございます。その時は是非立ち寄らせてもらいます」
 僕は精肉店のオジサンに頭を下げると、クーフェさんと約束していた通りに冒険者ギルドに向かう事にするのだった。
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