70 / 80
第070話(四方良好?!)
しおりを挟む
「おぅ、来たか」
クーフェさんが二階の行き止まりの部屋をノックすると、中から返事があり、僕達は扉をくぐる。すると、野太い声をした、頬に傷のある偉丈夫が、書類の束が積まれた頑丈そうな机に座り、書類を持った手をペラペラ振りながらこちらに獰猛な笑みを送ってくる。
「冒険者ギルドに居る人は、なんでこうもむさ苦しいのばかりなのです?」
ポメが溜息混じりに言う。
「ガハハハハハ!生き残った冒険者っつーのは、そんなヤロウばかりなんだよ。基本的に優男なんて言うのは大成しないことが多いから、どうしてもギルド関係者はムサい男どもになるっつー寸法よ」
獰猛そうな人はポメの発言を気にもせずに、豪快な笑い声を上げる。
なるほど、確かに大成する冒険者と言えば、ベテランの筋骨隆々な人が多そうだ。
「まぁエルデのギルドマスターは優男だけどな。ガハハハハハ!」
「ギルドマスター、この子が話をした例の子です」
「クーフェの嬢ちゃんのお気に入りの子っていうやつか。こんな子供なのに罪作りだぁな。他の奴らがやっかんでたぜ?」
「彼らには言わせておけば良いんです。どうせ胸が大きければ誰でもいいんですから」
「ガハハハハハ!言うねぇ嬢ちゃん。だが間違っていねぇよ」
「……でしょうね」
殺気から馬鹿笑いをしているギルドマスターと、冷たいジト目でギルドマスターを見るクーフェさん。
「おっと、俺はこのウルスを任されているギルドマスターのザックっていうもんだ。見ての通り昔は冒険者で腕を鳴らしていたっていう奴だ。まぁある程度になったんで、後輩の育成なんていう慣れないものに手を出して、冒険者ギルドのギルドマスターになっちまったモンだ。よろしくな少年」
「あ、はい。僕はシン・アラガミです。よろしくお願いします」
「苗字持ちか。っつーと帰属関係なんだが、アラガミっつーのはあまり聞かんな」
「御主人様の両親は別大陸からやってきて行商人をしていたのです」
「なるほどな。じゃぁ俺が知らんのも無理ないってことだ。ちなみにそのちっこいがヤバそうな魔物は何だ?」
「この二匹は僕の仲間で、風狼のファングと、火燕のビークです」
ギルドマスターのザックさんに色々説明し、ファングとビークの紹介もする。
「んあ?風狼と火燕?」
ギルドマスターのザックさんが訝しげに首を捻る。そして席を立つと僕の側にやってくと、ファングとビークを注意深く観察する。
「シンとやら、嘘は良くないな。その狼、ファングだっけか?そいつはランクAの魔獣風爆狼、鳥のビークとやらはランクBの火喰鳥だな。まぁ滅多にお目にかかれる魔獣じゃないから、経験豊富な冒険者でもないとわからないかもしれんがな」
「……えっと」
「あぁ、いい。そんな魔獣を連れていたら町では大問題だ。しかも守護獣の契約もしていないのにお前によく懐いているようにみえるから危険でもないだろう。俺が黙っていればわからんから気にするな」
ファングとビークの種族をあっさり見抜いたザックさんはそう言うと、書類の束が積まれた机に戻る。
「でだ。話っていうのは料理のことだったな。さっきからずっと堪らん匂いがしていたんだが、それか?」
僕の皿を見ながらザックさんが言う。僕は今更感を感じながら、トレイに乗った一角兎のステーキ、リコピルソース掛けを机に置く。
ザックさんはその料理に視線を向けて、しばらく真面目な顔で考え込んでから、フォークで一角兎の肉を突き刺し口に運ぶ。
「っ!!!?」
驚きで目を見開いたまま静止し、ハッと気がついたかのように咀嚼を始める。何度か咀嚼をし、一角兎の肉を喉に流し込むと、目を瞑り余韻を楽しむ。
「なるほどな、皆が夢中になるのも頷ける。これは食文化の革命だ」
ザックさんがそう言ったのを聞いて、僕はホッと胸をなでおろす。どうやらザックさんにも気に入ってもらえたようだ。
「知っての通り、この樹海の町ウルスは王都からも離れた辺境も辺境だ。しかもこの先には町もなく、アーグ大樹海が広がる寸止まりの町になる。そのため魔物も豊富だが、強力過ぎる魔物が多く、あまり冒険者以外の者に好かれることが少ない町だ。その町の特産品は魔物の素材ぐらいしかなかったんだが……この料理なら特産品になり得る!一角兎はかなりの数生息しているから、この町の名物としてこの料理を広めれば、食事が今一と町に居着いてくれなかった冒険者への一手にもなる!!」
ザックさんは立ち上がると拳を振り上げ熱弁を振るう。
「シンとやら。この料理のレシピをこの町に教えてくれ。それ相応の対価は用意する」
「は、はい。こんなもので良ければ……」
「ありがたい。ならばこの料理で町おこしを始められる」
「対価は……この料理には血抜きした一角兎の肉が必須。そうだな?」
「は、はい」
「ならば冒険者ギルドが冒険者達に血抜きの技術を教え、血抜きした一角兎を今より高値で買い取ろう。そしてその肉を卸す時、その1割をシンに納めるとしよう」
「ギ、ギルドマスター!それは?!」
「普通の一角兎の買取額は銀貨3枚ってとこだ。血抜きして納品する事により銀貨4枚での買取とする。それを卸すとなると銀貨5枚。その1割だから、銅貨50枚ってとこだな」
「この料理が広まったら、冒険者ギルドの酒場、町の料理屋で爆発的に広まるのは間違いない。1羽あたり10人前くらいは取れるから……そうなると一日の需要量は少なくとも20体以上。という事は一日銀貨10枚。一ヶ月で銀貨300枚にもなる!」
ザックさんの説明を聞いたクーフェさんが驚きながら計算する。
一日銀貨10枚って1万円相当だから、もうそれだけで食っていけるぐらいの計算になる。
「い、いや。そんなにもらったら悪いです……」
「何言っているんだ。さっきの料理、普通に銀貨1枚で売れる。材料費で言えば、一角兎の肉を工夫して取ることで銅貨40枚、その他の野菜類で銅貨10枚としても、利益は5割も確保できる!冒険者も1羽あたりの収入が3割増、ギルドも卸値で2割の利益も見込みつつ需要が激増することで利益額も期待できる。ギルド、冒険者、料理店、シン達の4者がメリットのある4方良しの施策なんだ。気にせず受け取ってもらいたい」
「は、はい。でしたらありがたく頂くことにします」
こうして僕はクーフェさんに恩返しする為の料理が、大きな収入になってしまった事に戸惑いつつも、これから生活が安定する事への安心を同時に覚えるのだった。
クーフェさんが二階の行き止まりの部屋をノックすると、中から返事があり、僕達は扉をくぐる。すると、野太い声をした、頬に傷のある偉丈夫が、書類の束が積まれた頑丈そうな机に座り、書類を持った手をペラペラ振りながらこちらに獰猛な笑みを送ってくる。
「冒険者ギルドに居る人は、なんでこうもむさ苦しいのばかりなのです?」
ポメが溜息混じりに言う。
「ガハハハハハ!生き残った冒険者っつーのは、そんなヤロウばかりなんだよ。基本的に優男なんて言うのは大成しないことが多いから、どうしてもギルド関係者はムサい男どもになるっつー寸法よ」
獰猛そうな人はポメの発言を気にもせずに、豪快な笑い声を上げる。
なるほど、確かに大成する冒険者と言えば、ベテランの筋骨隆々な人が多そうだ。
「まぁエルデのギルドマスターは優男だけどな。ガハハハハハ!」
「ギルドマスター、この子が話をした例の子です」
「クーフェの嬢ちゃんのお気に入りの子っていうやつか。こんな子供なのに罪作りだぁな。他の奴らがやっかんでたぜ?」
「彼らには言わせておけば良いんです。どうせ胸が大きければ誰でもいいんですから」
「ガハハハハハ!言うねぇ嬢ちゃん。だが間違っていねぇよ」
「……でしょうね」
殺気から馬鹿笑いをしているギルドマスターと、冷たいジト目でギルドマスターを見るクーフェさん。
「おっと、俺はこのウルスを任されているギルドマスターのザックっていうもんだ。見ての通り昔は冒険者で腕を鳴らしていたっていう奴だ。まぁある程度になったんで、後輩の育成なんていう慣れないものに手を出して、冒険者ギルドのギルドマスターになっちまったモンだ。よろしくな少年」
「あ、はい。僕はシン・アラガミです。よろしくお願いします」
「苗字持ちか。っつーと帰属関係なんだが、アラガミっつーのはあまり聞かんな」
「御主人様の両親は別大陸からやってきて行商人をしていたのです」
「なるほどな。じゃぁ俺が知らんのも無理ないってことだ。ちなみにそのちっこいがヤバそうな魔物は何だ?」
「この二匹は僕の仲間で、風狼のファングと、火燕のビークです」
ギルドマスターのザックさんに色々説明し、ファングとビークの紹介もする。
「んあ?風狼と火燕?」
ギルドマスターのザックさんが訝しげに首を捻る。そして席を立つと僕の側にやってくと、ファングとビークを注意深く観察する。
「シンとやら、嘘は良くないな。その狼、ファングだっけか?そいつはランクAの魔獣風爆狼、鳥のビークとやらはランクBの火喰鳥だな。まぁ滅多にお目にかかれる魔獣じゃないから、経験豊富な冒険者でもないとわからないかもしれんがな」
「……えっと」
「あぁ、いい。そんな魔獣を連れていたら町では大問題だ。しかも守護獣の契約もしていないのにお前によく懐いているようにみえるから危険でもないだろう。俺が黙っていればわからんから気にするな」
ファングとビークの種族をあっさり見抜いたザックさんはそう言うと、書類の束が積まれた机に戻る。
「でだ。話っていうのは料理のことだったな。さっきからずっと堪らん匂いがしていたんだが、それか?」
僕の皿を見ながらザックさんが言う。僕は今更感を感じながら、トレイに乗った一角兎のステーキ、リコピルソース掛けを机に置く。
ザックさんはその料理に視線を向けて、しばらく真面目な顔で考え込んでから、フォークで一角兎の肉を突き刺し口に運ぶ。
「っ!!!?」
驚きで目を見開いたまま静止し、ハッと気がついたかのように咀嚼を始める。何度か咀嚼をし、一角兎の肉を喉に流し込むと、目を瞑り余韻を楽しむ。
「なるほどな、皆が夢中になるのも頷ける。これは食文化の革命だ」
ザックさんがそう言ったのを聞いて、僕はホッと胸をなでおろす。どうやらザックさんにも気に入ってもらえたようだ。
「知っての通り、この樹海の町ウルスは王都からも離れた辺境も辺境だ。しかもこの先には町もなく、アーグ大樹海が広がる寸止まりの町になる。そのため魔物も豊富だが、強力過ぎる魔物が多く、あまり冒険者以外の者に好かれることが少ない町だ。その町の特産品は魔物の素材ぐらいしかなかったんだが……この料理なら特産品になり得る!一角兎はかなりの数生息しているから、この町の名物としてこの料理を広めれば、食事が今一と町に居着いてくれなかった冒険者への一手にもなる!!」
ザックさんは立ち上がると拳を振り上げ熱弁を振るう。
「シンとやら。この料理のレシピをこの町に教えてくれ。それ相応の対価は用意する」
「は、はい。こんなもので良ければ……」
「ありがたい。ならばこの料理で町おこしを始められる」
「対価は……この料理には血抜きした一角兎の肉が必須。そうだな?」
「は、はい」
「ならば冒険者ギルドが冒険者達に血抜きの技術を教え、血抜きした一角兎を今より高値で買い取ろう。そしてその肉を卸す時、その1割をシンに納めるとしよう」
「ギ、ギルドマスター!それは?!」
「普通の一角兎の買取額は銀貨3枚ってとこだ。血抜きして納品する事により銀貨4枚での買取とする。それを卸すとなると銀貨5枚。その1割だから、銅貨50枚ってとこだな」
「この料理が広まったら、冒険者ギルドの酒場、町の料理屋で爆発的に広まるのは間違いない。1羽あたり10人前くらいは取れるから……そうなると一日の需要量は少なくとも20体以上。という事は一日銀貨10枚。一ヶ月で銀貨300枚にもなる!」
ザックさんの説明を聞いたクーフェさんが驚きながら計算する。
一日銀貨10枚って1万円相当だから、もうそれだけで食っていけるぐらいの計算になる。
「い、いや。そんなにもらったら悪いです……」
「何言っているんだ。さっきの料理、普通に銀貨1枚で売れる。材料費で言えば、一角兎の肉を工夫して取ることで銅貨40枚、その他の野菜類で銅貨10枚としても、利益は5割も確保できる!冒険者も1羽あたりの収入が3割増、ギルドも卸値で2割の利益も見込みつつ需要が激増することで利益額も期待できる。ギルド、冒険者、料理店、シン達の4者がメリットのある4方良しの施策なんだ。気にせず受け取ってもらいたい」
「は、はい。でしたらありがたく頂くことにします」
こうして僕はクーフェさんに恩返しする為の料理が、大きな収入になってしまった事に戸惑いつつも、これから生活が安定する事への安心を同時に覚えるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる