ちびっこ無双 ~手加減しないと環境破壊しちゃう過剰魔力を持った僕と、ちびっこい仲間達で異世界を無双しちゃいます~

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )

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第071話(所用終了?!)

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「そういえばシン達は、明日からのギルド講習会に参加するんだったよな?」
「はい。色々分からないことが多いので、教えて頂ければと」
「上がってきた報告を見ると採取や討伐は問題なさそうだが?」
「そうなんですが、地理とか、周辺の町とか、ここら辺に出没する野獣や魔獣の特徴など、知っておかないと困ることがあって……」
「ってなると、座学中心か。小さいのに情報の大事さっていうのをわかってるじゃねぇか。若いやつは、とにかく魔物の討伐だと躍起になりやがる。そういうやつから死んでいくんだけどな。最後に残るのは、相当に運が良いヤロウか、慎重に慎重を重ねた賢いやつよ」
 ザックさんが意味深にニヤリと笑う。

「それでは、ギルドマスターは相当に運が良かった手合ということなのです!」
 そしてポメが用意されていた地雷をあっさりと踏みぬく。

「ガハハハハハ!そういうことだ!嬢ちゃん!」
 下品な大笑いをあげるザックさん。そして次の瞬間強烈な殺気を迸らせる。

「っ!!?」
 その殺気に僕はとっさに身構えてしまう。だがその殺気をモロに浴びているポメは素知らぬ顔で自信満々に胸を反らしたままだ。
 そしてポメはザックさんに目を向けると挑戦的な目線をしながらフフンっと鼻で笑う。

「ガハハハハハ!!相当な肝っ玉な嬢ちゃんだな!気に入ったぜ!」
 殺気を緩めたザックさんが再び大笑いする。

「か、勘弁してくださいぃぃぃぃ」
 そんな殺気を放つギルドマスターと、一緒の部屋にいたクーフェさんはあまりの殺気に腰を抜かしてしまっていた。

「おぉ、すまんなクーフェ。ついやっちまった」
「ついじゃありませんよぉ。生きた心地がしなかったんですからぁ」
 頭をかいて誤魔化すザックさんと、涙目になっているクーフェさん。

「そういや明日からの講習会だがな。孤児院の奴らも参加するからよろしく頼むな」
「孤児院って言うとケインとかですか?」
「なんだ。知り合いだったか。というか絡まれたか?」
「えぇ、市場で絡まれました」
「ガハハハハハ!アイツラは市場をウロウロしていて、見知らぬ同年代には絡んでいくからな。友達作りみたいなもんだ。ま、大目に見てやってくれ。彼奴等にもあるんでな」
「まぁ、そうみたいですね。この町で孤児と言うと、冒険者ギルドも絡んでいそうですから。どこまで出来るかは保証しかねますが、とりあえずは宜しくやっておきます」
 ザックさんが講習会のネタを振ってくる。ケイン達も参加することに少し驚きを覚えたけど、この町が冒険者主体で成り立っていることを考えるとわからない話でもない。ケインも絡んでは来るが、根が悪いわけではないのはわかっているので、楽しくやれればいいなと思う。僕がこの町にどれくらい居れるかどうかはわからないけど。

「要件はそんなとこだ。あぁ、それからさっきの料理の金額分は、毎月月末にギルドの窓口から受け取れるように手配しておく。忘れずに取りに来いよ。大概はクーフェが窓口に居るから問題はないだろうが、お前さんか、そのちっこい嬢ちゃんが受け取れるようにしとく」
 ザックさんがそう伝えてくるのを聞いた僕達は、クーフェさんに連れられてギルドマスターの部屋を後にする。

「良かった。これでシン君達は問題なく食べていけるわね。それにこの町にも人がいっぱい来てくれるようになると思うわ」
「そんな風になりますか?」
「ああの料理はそれだけの力があると思うわ。それに冒険者ギルドは横の繋がりが凄いから、あっという間に広まっていくと思うわね。まぁ数日様子を見ていればわかるわ」
 僕はそう言いながら仕事に戻るクーフェさんと別れを告げて、クーフェさんの家に戻る。朝に仕込んでいた料理を温め直す必要があるから。

 クーフェさんの家に戻り、火蜥蜴の精霊サラマンダーを召喚し、シチューを温め直す。焦がした小麦粉の香りと出汁フォン一角兎ホーン・ラビットの肉と野菜の香りが混ざり合い、食欲を掻き立てる匂いが立ち込める。

 市場で買ってきた新鮮な葉野菜を手で千切り、器に盛り付ける。これはパンとシチューを更に美味しくする為の一手間だ。

 そうこうしている内に、クーフェさんが帰宅し、少し遅れてキリクさんも帰ってくる。二人共家に入った瞬間、嗅ぎ慣れていない香りに驚いた顔をして、僕に色々聞いてきたが、食事の時のお楽しみですと回答を先延ばししておいた。

 そしてクーフェさんとキリクさんは洗室で体を拭いて部屋着に着替えている間に、僕はクーフェさんが帰り際に買ってきたパンを薄くスライスし平皿に盛り付けて、食卓中央には野菜の皿と一緒に並べる。
 二人が食卓につく頃合いを見計らって、シチューを木の深皿に盛り付けポメに運んでもらう。

 二人はシチューの色に眉をひそめたが、漂ってくる匂いにも抗えず、複雑な表情をしていた。

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