妄想小説集

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地下格闘場〜オイルレスリング・バトルロワイヤル

オイルの顛末

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MCリョウの実教が場内に響く。

「リングに残ったのは、いよいよ三人!肌はスベスベ、筋肉はバキバキッ!ベビーフェイスの新人レスラー、このエキシビジョンでも人気急上昇、Mr.Kッ!水と一体化したかのような滑らかボディのオイル使いっ!この恒例のエキシビジョンではお馴染みのMr.Dッ!そして……なぜかここまで残ってしまったデカチンッ!これから、この筋肉美溢れる肉体で見せてくれるのでしょうかっ!Mr.Sッ!」

観客は盛り上がる。

佐藤がオイルでぬるぬるの額から、滑り落ちる汗とオイルを手の甲でぬぐう。

それすらも滑ってまともに拭けない。

とにかく、地獄である。

一方、スイマーはさりげなくベビーフェイスの肩をポン、と叩いた。

無言のうなずき。

二人の間に、共通認識が走っているのが分かる。

佐藤に怯えが走る。

ベビーフェイスが、いきなり突っ込んでくる。

「いっきまーす!」

無邪気な掛け声だが、その身体はプロレス仕様。

大胸筋は分厚く、腹筋は溝の深いクレバス。

脚は短距離走選手のように爆発的な筋繊維で固められ、太ももだけで佐藤の胴を折れそうな迫力がある。

その巨体が、膝を割って突進してくる。

「おおおおおっ!」

「まてまてまてッ!」

佐藤はとっさに横へ転がる。

ぬるんっ――!

横滑りする。

滑る。

止まらない。

どうにか、ロープに縋ろうとするがリング外に落ちてしまう。

すかさず駆け寄る男達。

「ヤダっ、、、やめてぇ、、、っ!」

悲鳴も虚しく落ちた身体を抱えられ、リングパンツを剥がされ、リングに戻される。

観客は、露わになった佐藤のデカチンに熱狂する。

「デカチン~ッ!」

「見事なデカさだッ!」

「デカチンより馬並だなぁ、、、ハハハッ!」

冷凍マグロを放り出すように、佐藤の身体がリングに戻る。

そこへスイマーがさっそうと接近する。

まるで水の流れのようにリングをすべる。

肩の筋肉が美しいS字を描き、広背筋と腹斜筋が均等なねじれを見せながら身体をくねらせてくる。

スイマーは横スライドで佐藤の両腕をとらえ、無言のまま脇固めの体勢に。

「うわ、やめっ……グッ……!」

そして、ベビーフェイスが追いつく。

そのまま、スイマーが固定した佐藤の背中に、ベビーフェイスが乗っかる。

、、、いや、“ジャンプ”した。

スベスベの腹筋が佐藤の背筋に押しつけられ、下腹部に大腿が密着。

「ぬわあああああああッ!」

全身がヌルヌルのサンドイッチ。

観客席からは拍手と笑いと黄色い歓声が飛ぶ。

「すげぇ連携プレイだ!」

「ミスターSがオイルに溺れてる!」

だが、佐藤もレスリング部の顧問だ。

ここで終わるわけには、、、!

全身をブリッジする。

脊柱起立筋が盛り上がり、ベビーフェイスの身体を持ち上げる。

「え、うそ、うわっ!?」

慌てたベビーフェイスがバランスを崩し、後ろに転がる。

佐藤はその反動を利用し、スイマーの腕を無理やり外すと、全身をローリングさせてスイマーの体勢を崩す!

そして、その隙に、リングパンツに手を掛け、引き剥がす。

「はっ、、、意外とやるねぇ、、、」

全裸になったのをまるで気にしないかのようにスイマーはニコリと笑いながらスライドして距離を取る。

その動きが妙に優雅なのが佐藤には腹立たしい。

次の瞬間、三人は横一列に並び、再び様子をうかがう。

息ぴったりかよ、、、

佐藤が汗とオイルにまみれながらつぶやく。

スイマーとベビーフェイスが再び目配せする。

次は、左右からの連携だ。

「せぇのっ!」

「おい、待て待てッ」

右からスイマー、左からベビーフェイスが挟み撃ち。

佐藤は低く沈んでかわそうとする、、、が、床が滑る!

「お、おおお……」

両者の体重を受けた佐藤の身体が、スロープのように滑る床で前方へ突っ込む。

そのまま、スイマーとベビーフェイスの胸板が正面衝突。

「うごっ!?」

「ひゃわッ!」

ドゴォン!

濡れた筋肉がぶつかる音がリングに響き、二人の巨体が互いに押し合い、ずるずると後退、、、そのまま、ロープに引っかかりながら、、、

「え……まじ?」

2人は滑り落ちた。

「リングアウトォォォォォ!!!勝者は棚から牡丹餅かっ!Mr.S~っ!」

観客が湧く。

勝者となった佐藤は、中央に一人、オイルと汗にまみれ、膝をつきながら荒く息を吐いている。

肩が上下し、胸板が脈打つ。

まるで神話の勇者のような肉体――だが、表情はぐったりしている。

「……なにがどうなって勝ったんだ……」

リングサイドでは、ベビーフェイスがスイマーの頭に軽く頭突きしている。

「タイミングズレすぎだろがっ!」

「しょうがないでしょ、滑ったんだから、、、」

な、なんなんだか、、、

佐藤は早くこの場を去りたい。

が、MCリョウの声が響いた。

「恒例の勝者のおねりですっ!さ、Mr.S、勝者の乗る騎馬にのってくれぇ~っ!」

見れば、リングの横に三人の男が騎馬戦の騎馬状に三角形に組んでいる。

そこに乗れと言うのか、、、

その騎馬のあたりから丸まったカーペットがクルクルと広げられ、佐藤の足元あたりまでくる。

佐藤はリングサイドの黒崎を見る。

黒崎は無言で乗れと言うように顎をしゃくる。

もう、帰してくれ、、、

佐藤は、そう思いながら騎馬に乗り、観客席を練り回る。

もちろん素っ裸。

要所要所で騎馬が勝手に止まり、前面の男が離れ、佐藤は全裸の股間を晒したまま、2人の男の肩に尻を乗せた格好で、観客達の目に晒される。

Sのマークのチップ箱を持った男達が、周囲の観客達に箱を差し出し、金が入れられる。

そんな時間が長く続いた。


そして、ようやく控室に戻った佐藤はオイルとローションまみれの身体を、タオルで拭った。

オーナーらしき男が、黒崎に近づき、「黒崎くん! 最高金額だよ!」と厚い封筒を渡す。

椅子に座り込んだ佐藤はその光景を感情の無い目で見ている。

(了)



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