169 / 310
・・『開幕』・・
・・マーリー・マトリン・・4・・2・・
しおりを挟む
・・接吻は初め、優しくマイルドなものだったが徐々に深く激しさを増して、最後の10数秒はお互いに貪るようだった・・引き剥がすように顔を離し、数秒見詰め合ってから優しいハグを10数秒交わして離れる・・。
「・・久し振りだったからかな・?・凄く情熱的だったね・・でも、とても好かったよ・・」
「・・もう・!・アドルさんったら、・・そんな事言わないで下さい・・恥ずかしいですから・!・」
・・そう言った時、微かだったがマーリーのお腹が鳴ったのが聴こえた・・笑いを必死で堪えて観ると、真赤に染めた顔を両手で覆って俯いている・・優しく肩を抱き寄せてハグする・・。
「・・分かった、マーリー、分かったよ・♡・大丈夫だ、マーリー、大丈夫・♡・夕食にしような・・♡・・手伝ってくれるかい・・♡・・」
・・まだ顔を真っ赤にさせたままで、手を外して頷く・・上着を脱いでエプロンを着け、マーリーにもエプロンを渡す・・食材を総て袋から出して、マーリーに言う・・。
「・・マーリー・・配信が終わった後、20人で行ったダイニング・バーで結構食べたんだ・・だから私はもうそんなに食べなくても好い・・スペシャル・シーフード・パスタにするからね・・ワインは2本買って来た・・冷やして置いてくれる・?・序でに卵を6個と生ハムとチーズを出してくれ・・」
・・一番大きい寸胴鍋でたっぷりと湯を沸かし、グラグラに煮立ててから塩を鷲掴みで投げ込み、パスタを茹でる・・マーリーに具材の調理を指示して自分も手伝いながらパスタの茹で加減を注意深く見極め、上げて湯を切ると直ぐにたっぷりのオリーブオイルで和える・・散らし野菜と飾り付け食材の準備・・具材の調理も手伝いながら、ワインの用意・・ちょっとしたサラダの準備・・コンソメ・スープの準備も始める・・卵を割り入れて具材の調理を仕上げていく・・トマトをスライス、レモンをカット、チーズを擦り下ろす・・ニンニクも少し生でスライスする・・パスタを分けて具材と合わせる・・スープを仕上げてカップに盛る・・サラダを仕上げて、擦り下ろしチーズをパスタにもサラダにも多めに振り掛ける・・飾り野菜と香菜を散らしてカットレモンを添えて、出来上がりだ・・。
・・ダイニング・テーブルにスペシャル・シーフード・パスタ・・サラダ・・コンソメ・スープ・・ワインとワイングラスを置いて、お互い対面に座る・・白ワインの封を切ってグラスに注ぎ、右手で持つ・・。
「・・久し振りの再会に・・」グラスを触れ合わせて澄んだ音を響かせる・・。
「・・頂きます・♡・」 「・・頂きます・・」
「・・フロアの仕事はどうだい・?・どうして僕と話が出来ないんだって、新規顧客の方に言われないかい・・?・・」
「・・時折言われますね・・でも、今は開幕直前でとても忙しいですのでと申し上げると、開幕して時間的に余裕が出来たら、アドルさんと話せるようにお願いしますねと仰って頂けます・・」
「・・そうだね・・まあ開幕したら平日の日中は普通に仕事が出来ると思うから・・明日の朝礼の時に皆に言うよ・・そのように仰られた顧客の方々を、取り敢えず優先的に僕に廻して下さいってね・・」
「・・大丈夫ですか、アドルさん・・?・・」
「・・大丈夫だろっ・?・て・・まさか何万人もいないでしょ・?・そう仰られた方は・・?・・」
「・・分かりません・・私がお話を受けただけでも、300人以上はいらっしゃいましたので・・」
「・・そう・・💧・・と言う事は・・5万人は下らないって事か・・まあ仕方ないね、少しずつでもやるしかないよ・・ありがとう、マーリー・・食べよう、食べよう・・!・・」
・・話を中断して、彼女に食べるよう促す・・結構食べて来たので私は、少ししか盛り付けなかった・・白ワインを含んで、マーリーの健康的な食べっぷりを見遣る・・彼女は素直で殆ど裏が無い・・彼女との付き合いでは、彼女の心を傷付けたくない・・彼女の欲求の総てに、殆ど応える事が出来ないにしてもだ・・何だって・・?・・おい、冗談だろ・?・アドル・・何でそんなに自分に都合の良すぎる考え方が出来るんだ・・?・・お前、モテてるからって全員をキープして置きたいのか・・?・・それは絶対に止めないとダメだぞ・・!・・止めないと結末は死ぬか殺されるかのどっちかだぞ・・!・・。
「・・あの・・どうしたんですか・?・アドルさん・・?・・」
「・・え・・?・・なに・・?・・」
・・マーリーの声で我に返る・・。
「・・すごく怖い顔をしていましたよ・・」
「・・ああ・・自分で自分を叱り付けていたよ・・」
「・・アドルさん・・大丈夫ですか・・?・・」
「・・大丈夫でいられるかどうかは、これからのやり方次第だな・・それよりどうだい、お味は・・?・・」
・・そう訊きながら、マーリーのグラスにワインを注ぐ・・。
「・・とっても美味しいです・・アドルさんの作って下さる料理は、どれもとても美味しくて感激しますし、感動します・・」
「・・賄い料理に毛の生えたようなものなのに、そこまで言ってくれて、ありがとうな、マーリー・・君の希望はアリソンから料理を習う事だったよね・・?・・必ず時間を作って君の希望が叶うようにするからね・・だから・・今夜はまた、ちょっと手伝って欲しいんだ・・それで・・それをすると僕は疲れてしまって君を構ってやれなくなると思うから、泊って行って欲しいんだけど大丈夫かな・・?・・ああ、着替えが無いとマズいか・・?・・」
「・・大丈夫です、アドルさん・・今夜、泊まる事になっても大丈夫なように、明日出社する時に着て行く服は持って来ましたので・・」
「・・そうなんだ・・マーリーは用意が好いね・・」
「・・ありがとうございます・・それで、何をお手伝いすれば好いんですか・・?・・」
「・・マーリー・・君は僕が凄く速いタイピング・スピードで書き込むのを観た事があるかい・・?・・」
「・・はい・・一度だけでしたが・・」
「・・そう・・ちょっと記憶が曖昧だけど、多分君が観た時のタイプ・スピードは僕の最高速の2割だったと思うよ・・だから、僕の最高速はマーリーが観た時の5倍まで上げられるんだ・・そして僕はその状態を40分程は維持できる・・40分を過ぎてその状態を維持しようとすると、何処かの時点で僕はパニックに陥って意識を失うと思う・・マーリー・・同盟が完成したので、同盟に参画してくれている艦長と副長専用の会議室を設定したんだ・・そこに僕は色々な記事を書いてアップしているんだけど・・これからその会議室に書き込もうとしているのは、開幕して初出航してからの2日間で行うべき様々な訓練プログラムについてなんだ・・それで君には・・書き込んでいる時の僕の様子を注意して観察して欲しい・・僕は40分を過ぎても書き込みの最高速を維持するから、君は僕を観察してパニックに陥りそうなったり意識を失いそうになったりしたら、どんな事をしてでも僕を止めてくれ・・好いかい・・?・・」
「・・分かりました・・でも、どうしてそんな危ない事をする必要があるんですか・・?・・」
「・・うん・・ひとつには自分の限界を知って置く必要があると言う事と、ふたつにはその限界時間までの最高速タイプスピードで、どれくらいの記事が書き込めるのかと言う事と、みっつには止めるべき時点での僕の状態を知って置きたいんだ・・何故かと言うとね・・ゲーム大会が開幕しても直ぐにこの対応が必要になる程の危機的な状況に陥る訳じゃないが、いずれは必ずこの対応が必要になる時が来る筈だ・・いつかは判らないけどね・・だから、その時の為のチェック・テストって訳さ・・好いかな・・?・・」
「・・分かりました・・私の眼で良ければ、精一杯眼を逸らさないようにして観ます・・」
「・・ありがとう、マーリー・・愛してるよ・・やあ、すっかり料理が冷めちゃったね・・長話に付き合わせちゃってゴメン・・今温め直して来るからね・・」
・・そう言って彼女の皿に右手を伸ばしたが、その手をマーリーは左手で押さえて首を振る・・。
「・・いいえ、大丈夫です、アドルさん・・大丈夫です・・アドルさんの料理は冷めても充分に美味しいです・・それより・・」
・・そう言いながらマーリーは私の右手を左手で取って立ち上がると、抱き付いて来た・・。
「・・アドルさん、大好きです、愛しています・・愛してると言って下さってありがとうございます・・でも、奥様を一番に愛してらっしゃるのは解っていますから、大丈夫です・・リサさんともキスされているのは知っていますから大丈夫です・・でも時々は私ともキスして下さい・・お願いします・・今日はどうしても我慢できなくなって来ちゃいました・・ごめんなさい・・」
・・ここで私は彼女を抱きすくめて唇を重ねた・・彼女は身を震わせながら話していた・・彼女の激情を解放させて落ち着かせてあげなければ、泣き崩れてしまうかも知れない・・マーリーの身体をしっかりと受け止めて慈しむように優しく抱き締める・・私からキスは深く交わさない・・髪を優しく梳いてあげながら160秒程でふっと顔が離れる・・涙はひとすじ流れていたが・・落ち着いたようだ・・。
「・・大丈夫だよ、マーリー・・明日の朝・・本社最寄りのステーションに君を送り届ける迄・・僕は君だけを観るから・・」
「・・分かりました・・ありがとうございます、アドルさん・・」
・・彼女を席に座らせる・・。
「・・まだ、食べられる・・?・・」
「・・いえ・・あの・・もうお腹が一杯で・・」
「・・分かったよ・・じゃあこれは保存モードに入らせて置いて、明日の朝食に使おう・・ミルクティーを淹れて来るからね・・?・・」
・・左頬にキスをして立ち上がる・・料理の残りを保存モードに入らせて、他の食器やグラスはシンクに入れる・・コーヒーを点ててミルクティーを淹れている間に、マーリーは食器とグラスを手早く洗って水切りカゴに入れてくれた・・。
「・・ありがとう、マーリー・・さあ、出来上がったよ・・」
・・一緒にまたテーブルに着き、彼女の前にミルクティーを置く・・彼女の対面に座って、スペシャルブレンドに口を付ける・・うん・・もうずっとこのブレンドでいこう・・。
「・・美味しい・・この一杯を頂けただけで、来た甲斐がありました・・ありがとうございます・・身震いする程の美味しさです・・どんな疲れもストレスもこの一杯で消え去ります・・」
「・・ありがとうな・・マーリーは本当に、純で素直で好い娘だよ・・今度、僕が実践している瞑想を指導するよ・・ストレスコントロールにも、心身の調整にも役に立つからね・・」
「・・ありがとうございます・・お世話になります・・宜しくお願いします・・」
「・・じゃあ、飲み終わって落ち着いたら、始めようか・・?・・」
「・・はい・・」
・・それから2人はコーヒーとミルクティーを味わいながら、左手を繋ぎ合わせて他愛の無い話をした・・飲み終わってカップを片付け、私は固定端末を起動させるとヘッドセットバイザーを取り出して起動させ、頭に装着してからマーリーと眼を合わせて軽く頷く・・固定端末からゲーム大会運営本部のメインサイトをヴラウズしてアクセスし、私のアクセスコードで軽巡宙艦の艦長としてアクセスできるデータベースに入る・・テキストエディターのウィンドウを30個開き、ペルスペクティブ・フォーカスコントロールと音声入力も併用して、書き込みを始める・・先ず一部重複するかも知れないが、初出航完了後の手順・・周辺宙域の安全確認・・同盟参画各艦の位置確認・・その上で単艦で行える様々な操艦訓練プログラムと、シャトルの操縦シミュレーション及び実際の操縦訓練と様々なパターンでのフォーメーション航行訓練のプログラムだ・・書き始めてから、10分程度で最高速に持っていく・・データベースも閲覧して確認しながら、単艦で行える様々な模擬戦闘訓練やシャトル戦隊を相手にした模擬戦闘訓練も様々なプログラムシフトパターンで書いていく・・訓練は2時間を1ターンとして、20分の休憩を挟む事・・3ターン経過で食事休憩を2時間挟む事・・6ターン経過で、デイシフトからナイトシフトへ移行する事・・ナイトシフトでの当直操艦体制で2ターン・・ミッドナイトシフトでの当直操艦体制でも2ターンの操艦訓練プログラムと模擬戦闘訓練プログラムを反復して行う事・・どのような訓練プログラムに於いても、準備・段取り・確認手順について詳述していく・・だがこれは飽くまで私が個人として考案する訓練プログラムであり、ヤンセン・パネッティーヤ艦長、ハイラム・サングスター艦長、ザンダー・パスクァール艦長から独自の訓練プログラム案が仕上げられれば、何時でもそれに置き換えるであろう事も明記する・・続いて艦集団同士で近接対艦集団戦闘を行う場合に於ける、ボクシングのディフェンステクニックとステップワークを採り入れた、艦集団としての回避操艦・防御操艦・攻撃操艦・反撃(カウンターショット)操艦についても、様々なヴァリエーションパターンとコンビネーションパターンで詳述していく・・同時に『カオス・カスタリア』のザック・オークマン艦長を艦と共に同盟に迎え入れるか否かについて、参画する艦長と副長の全員に向けて意見を求める一文を書き、私自身としては暗号秘密通信回線に付いては彼に教えるが、ファーストシーズンが終わるまで会議室に付いては教えない事を前提に、彼と『カオス・カスタリア』の参画を認めたい旨を書いた・・。
・・そこまで書いた処で、マーリーが私の頭からヘッドセットバイザーを外して左側から抱き付いて唇を重ね、舌を挿し入れて絡めて来たが、10秒程は何が起きたのか分からなかった・・舌と舌を絡め合わせながら私の耳とか頬を愛撫して来たので、漸く我に帰る・・。
「・・う・・あ・・え・・?・・マーリー・・?・・何・・?・・分かった・・マーリー・・?・・大丈夫だから・・!?・・」
・・20数秒で顔が離れる・・。
「・・フウ・・ハァ・・ありがとう、マーリー・・何分経った・・?・・どんな様子だった・・?・・」
「・・47分でした・・最後は身体をブルブル震わせながら、左右に大きく揺らせていました・・分かりませんでしたか・・?・・」
「・・全く分からなかった・・結構良い調子だと思っていたよ・・ありがとう、マーリー・・止めてくれて・・意識を失ったら、どうなるか判らない処だった・・」
「・・これが、アドルさんの最高速度ですか・・?・・」
「・・そう・・アドル・エルクのハイパーモードだね・・」
・・そう言いながらノロノロと立ち上がり、バイザーのスイッチを切ってゆっくりと身体を解し始める・・筋肉も関節も固く強張っていて痛い・・マーリーにも頼んで、ストレッチとマッサージを手伝って貰う・・そんなこんなで30分程を過ごし、漸く身体が軽く動くようになってくる・・。
「・・久し振りだったからかな・?・凄く情熱的だったね・・でも、とても好かったよ・・」
「・・もう・!・アドルさんったら、・・そんな事言わないで下さい・・恥ずかしいですから・!・」
・・そう言った時、微かだったがマーリーのお腹が鳴ったのが聴こえた・・笑いを必死で堪えて観ると、真赤に染めた顔を両手で覆って俯いている・・優しく肩を抱き寄せてハグする・・。
「・・分かった、マーリー、分かったよ・♡・大丈夫だ、マーリー、大丈夫・♡・夕食にしような・・♡・・手伝ってくれるかい・・♡・・」
・・まだ顔を真っ赤にさせたままで、手を外して頷く・・上着を脱いでエプロンを着け、マーリーにもエプロンを渡す・・食材を総て袋から出して、マーリーに言う・・。
「・・マーリー・・配信が終わった後、20人で行ったダイニング・バーで結構食べたんだ・・だから私はもうそんなに食べなくても好い・・スペシャル・シーフード・パスタにするからね・・ワインは2本買って来た・・冷やして置いてくれる・?・序でに卵を6個と生ハムとチーズを出してくれ・・」
・・一番大きい寸胴鍋でたっぷりと湯を沸かし、グラグラに煮立ててから塩を鷲掴みで投げ込み、パスタを茹でる・・マーリーに具材の調理を指示して自分も手伝いながらパスタの茹で加減を注意深く見極め、上げて湯を切ると直ぐにたっぷりのオリーブオイルで和える・・散らし野菜と飾り付け食材の準備・・具材の調理も手伝いながら、ワインの用意・・ちょっとしたサラダの準備・・コンソメ・スープの準備も始める・・卵を割り入れて具材の調理を仕上げていく・・トマトをスライス、レモンをカット、チーズを擦り下ろす・・ニンニクも少し生でスライスする・・パスタを分けて具材と合わせる・・スープを仕上げてカップに盛る・・サラダを仕上げて、擦り下ろしチーズをパスタにもサラダにも多めに振り掛ける・・飾り野菜と香菜を散らしてカットレモンを添えて、出来上がりだ・・。
・・ダイニング・テーブルにスペシャル・シーフード・パスタ・・サラダ・・コンソメ・スープ・・ワインとワイングラスを置いて、お互い対面に座る・・白ワインの封を切ってグラスに注ぎ、右手で持つ・・。
「・・久し振りの再会に・・」グラスを触れ合わせて澄んだ音を響かせる・・。
「・・頂きます・♡・」 「・・頂きます・・」
「・・フロアの仕事はどうだい・?・どうして僕と話が出来ないんだって、新規顧客の方に言われないかい・・?・・」
「・・時折言われますね・・でも、今は開幕直前でとても忙しいですのでと申し上げると、開幕して時間的に余裕が出来たら、アドルさんと話せるようにお願いしますねと仰って頂けます・・」
「・・そうだね・・まあ開幕したら平日の日中は普通に仕事が出来ると思うから・・明日の朝礼の時に皆に言うよ・・そのように仰られた顧客の方々を、取り敢えず優先的に僕に廻して下さいってね・・」
「・・大丈夫ですか、アドルさん・・?・・」
「・・大丈夫だろっ・?・て・・まさか何万人もいないでしょ・?・そう仰られた方は・・?・・」
「・・分かりません・・私がお話を受けただけでも、300人以上はいらっしゃいましたので・・」
「・・そう・・💧・・と言う事は・・5万人は下らないって事か・・まあ仕方ないね、少しずつでもやるしかないよ・・ありがとう、マーリー・・食べよう、食べよう・・!・・」
・・話を中断して、彼女に食べるよう促す・・結構食べて来たので私は、少ししか盛り付けなかった・・白ワインを含んで、マーリーの健康的な食べっぷりを見遣る・・彼女は素直で殆ど裏が無い・・彼女との付き合いでは、彼女の心を傷付けたくない・・彼女の欲求の総てに、殆ど応える事が出来ないにしてもだ・・何だって・・?・・おい、冗談だろ・?・アドル・・何でそんなに自分に都合の良すぎる考え方が出来るんだ・・?・・お前、モテてるからって全員をキープして置きたいのか・・?・・それは絶対に止めないとダメだぞ・・!・・止めないと結末は死ぬか殺されるかのどっちかだぞ・・!・・。
「・・あの・・どうしたんですか・?・アドルさん・・?・・」
「・・え・・?・・なに・・?・・」
・・マーリーの声で我に返る・・。
「・・すごく怖い顔をしていましたよ・・」
「・・ああ・・自分で自分を叱り付けていたよ・・」
「・・アドルさん・・大丈夫ですか・・?・・」
「・・大丈夫でいられるかどうかは、これからのやり方次第だな・・それよりどうだい、お味は・・?・・」
・・そう訊きながら、マーリーのグラスにワインを注ぐ・・。
「・・とっても美味しいです・・アドルさんの作って下さる料理は、どれもとても美味しくて感激しますし、感動します・・」
「・・賄い料理に毛の生えたようなものなのに、そこまで言ってくれて、ありがとうな、マーリー・・君の希望はアリソンから料理を習う事だったよね・・?・・必ず時間を作って君の希望が叶うようにするからね・・だから・・今夜はまた、ちょっと手伝って欲しいんだ・・それで・・それをすると僕は疲れてしまって君を構ってやれなくなると思うから、泊って行って欲しいんだけど大丈夫かな・・?・・ああ、着替えが無いとマズいか・・?・・」
「・・大丈夫です、アドルさん・・今夜、泊まる事になっても大丈夫なように、明日出社する時に着て行く服は持って来ましたので・・」
「・・そうなんだ・・マーリーは用意が好いね・・」
「・・ありがとうございます・・それで、何をお手伝いすれば好いんですか・・?・・」
「・・マーリー・・君は僕が凄く速いタイピング・スピードで書き込むのを観た事があるかい・・?・・」
「・・はい・・一度だけでしたが・・」
「・・そう・・ちょっと記憶が曖昧だけど、多分君が観た時のタイプ・スピードは僕の最高速の2割だったと思うよ・・だから、僕の最高速はマーリーが観た時の5倍まで上げられるんだ・・そして僕はその状態を40分程は維持できる・・40分を過ぎてその状態を維持しようとすると、何処かの時点で僕はパニックに陥って意識を失うと思う・・マーリー・・同盟が完成したので、同盟に参画してくれている艦長と副長専用の会議室を設定したんだ・・そこに僕は色々な記事を書いてアップしているんだけど・・これからその会議室に書き込もうとしているのは、開幕して初出航してからの2日間で行うべき様々な訓練プログラムについてなんだ・・それで君には・・書き込んでいる時の僕の様子を注意して観察して欲しい・・僕は40分を過ぎても書き込みの最高速を維持するから、君は僕を観察してパニックに陥りそうなったり意識を失いそうになったりしたら、どんな事をしてでも僕を止めてくれ・・好いかい・・?・・」
「・・分かりました・・でも、どうしてそんな危ない事をする必要があるんですか・・?・・」
「・・うん・・ひとつには自分の限界を知って置く必要があると言う事と、ふたつにはその限界時間までの最高速タイプスピードで、どれくらいの記事が書き込めるのかと言う事と、みっつには止めるべき時点での僕の状態を知って置きたいんだ・・何故かと言うとね・・ゲーム大会が開幕しても直ぐにこの対応が必要になる程の危機的な状況に陥る訳じゃないが、いずれは必ずこの対応が必要になる時が来る筈だ・・いつかは判らないけどね・・だから、その時の為のチェック・テストって訳さ・・好いかな・・?・・」
「・・分かりました・・私の眼で良ければ、精一杯眼を逸らさないようにして観ます・・」
「・・ありがとう、マーリー・・愛してるよ・・やあ、すっかり料理が冷めちゃったね・・長話に付き合わせちゃってゴメン・・今温め直して来るからね・・」
・・そう言って彼女の皿に右手を伸ばしたが、その手をマーリーは左手で押さえて首を振る・・。
「・・いいえ、大丈夫です、アドルさん・・大丈夫です・・アドルさんの料理は冷めても充分に美味しいです・・それより・・」
・・そう言いながらマーリーは私の右手を左手で取って立ち上がると、抱き付いて来た・・。
「・・アドルさん、大好きです、愛しています・・愛してると言って下さってありがとうございます・・でも、奥様を一番に愛してらっしゃるのは解っていますから、大丈夫です・・リサさんともキスされているのは知っていますから大丈夫です・・でも時々は私ともキスして下さい・・お願いします・・今日はどうしても我慢できなくなって来ちゃいました・・ごめんなさい・・」
・・ここで私は彼女を抱きすくめて唇を重ねた・・彼女は身を震わせながら話していた・・彼女の激情を解放させて落ち着かせてあげなければ、泣き崩れてしまうかも知れない・・マーリーの身体をしっかりと受け止めて慈しむように優しく抱き締める・・私からキスは深く交わさない・・髪を優しく梳いてあげながら160秒程でふっと顔が離れる・・涙はひとすじ流れていたが・・落ち着いたようだ・・。
「・・大丈夫だよ、マーリー・・明日の朝・・本社最寄りのステーションに君を送り届ける迄・・僕は君だけを観るから・・」
「・・分かりました・・ありがとうございます、アドルさん・・」
・・彼女を席に座らせる・・。
「・・まだ、食べられる・・?・・」
「・・いえ・・あの・・もうお腹が一杯で・・」
「・・分かったよ・・じゃあこれは保存モードに入らせて置いて、明日の朝食に使おう・・ミルクティーを淹れて来るからね・・?・・」
・・左頬にキスをして立ち上がる・・料理の残りを保存モードに入らせて、他の食器やグラスはシンクに入れる・・コーヒーを点ててミルクティーを淹れている間に、マーリーは食器とグラスを手早く洗って水切りカゴに入れてくれた・・。
「・・ありがとう、マーリー・・さあ、出来上がったよ・・」
・・一緒にまたテーブルに着き、彼女の前にミルクティーを置く・・彼女の対面に座って、スペシャルブレンドに口を付ける・・うん・・もうずっとこのブレンドでいこう・・。
「・・美味しい・・この一杯を頂けただけで、来た甲斐がありました・・ありがとうございます・・身震いする程の美味しさです・・どんな疲れもストレスもこの一杯で消え去ります・・」
「・・ありがとうな・・マーリーは本当に、純で素直で好い娘だよ・・今度、僕が実践している瞑想を指導するよ・・ストレスコントロールにも、心身の調整にも役に立つからね・・」
「・・ありがとうございます・・お世話になります・・宜しくお願いします・・」
「・・じゃあ、飲み終わって落ち着いたら、始めようか・・?・・」
「・・はい・・」
・・それから2人はコーヒーとミルクティーを味わいながら、左手を繋ぎ合わせて他愛の無い話をした・・飲み終わってカップを片付け、私は固定端末を起動させるとヘッドセットバイザーを取り出して起動させ、頭に装着してからマーリーと眼を合わせて軽く頷く・・固定端末からゲーム大会運営本部のメインサイトをヴラウズしてアクセスし、私のアクセスコードで軽巡宙艦の艦長としてアクセスできるデータベースに入る・・テキストエディターのウィンドウを30個開き、ペルスペクティブ・フォーカスコントロールと音声入力も併用して、書き込みを始める・・先ず一部重複するかも知れないが、初出航完了後の手順・・周辺宙域の安全確認・・同盟参画各艦の位置確認・・その上で単艦で行える様々な操艦訓練プログラムと、シャトルの操縦シミュレーション及び実際の操縦訓練と様々なパターンでのフォーメーション航行訓練のプログラムだ・・書き始めてから、10分程度で最高速に持っていく・・データベースも閲覧して確認しながら、単艦で行える様々な模擬戦闘訓練やシャトル戦隊を相手にした模擬戦闘訓練も様々なプログラムシフトパターンで書いていく・・訓練は2時間を1ターンとして、20分の休憩を挟む事・・3ターン経過で食事休憩を2時間挟む事・・6ターン経過で、デイシフトからナイトシフトへ移行する事・・ナイトシフトでの当直操艦体制で2ターン・・ミッドナイトシフトでの当直操艦体制でも2ターンの操艦訓練プログラムと模擬戦闘訓練プログラムを反復して行う事・・どのような訓練プログラムに於いても、準備・段取り・確認手順について詳述していく・・だがこれは飽くまで私が個人として考案する訓練プログラムであり、ヤンセン・パネッティーヤ艦長、ハイラム・サングスター艦長、ザンダー・パスクァール艦長から独自の訓練プログラム案が仕上げられれば、何時でもそれに置き換えるであろう事も明記する・・続いて艦集団同士で近接対艦集団戦闘を行う場合に於ける、ボクシングのディフェンステクニックとステップワークを採り入れた、艦集団としての回避操艦・防御操艦・攻撃操艦・反撃(カウンターショット)操艦についても、様々なヴァリエーションパターンとコンビネーションパターンで詳述していく・・同時に『カオス・カスタリア』のザック・オークマン艦長を艦と共に同盟に迎え入れるか否かについて、参画する艦長と副長の全員に向けて意見を求める一文を書き、私自身としては暗号秘密通信回線に付いては彼に教えるが、ファーストシーズンが終わるまで会議室に付いては教えない事を前提に、彼と『カオス・カスタリア』の参画を認めたい旨を書いた・・。
・・そこまで書いた処で、マーリーが私の頭からヘッドセットバイザーを外して左側から抱き付いて唇を重ね、舌を挿し入れて絡めて来たが、10秒程は何が起きたのか分からなかった・・舌と舌を絡め合わせながら私の耳とか頬を愛撫して来たので、漸く我に帰る・・。
「・・う・・あ・・え・・?・・マーリー・・?・・何・・?・・分かった・・マーリー・・?・・大丈夫だから・・!?・・」
・・20数秒で顔が離れる・・。
「・・フウ・・ハァ・・ありがとう、マーリー・・何分経った・・?・・どんな様子だった・・?・・」
「・・47分でした・・最後は身体をブルブル震わせながら、左右に大きく揺らせていました・・分かりませんでしたか・・?・・」
「・・全く分からなかった・・結構良い調子だと思っていたよ・・ありがとう、マーリー・・止めてくれて・・意識を失ったら、どうなるか判らない処だった・・」
「・・これが、アドルさんの最高速度ですか・・?・・」
「・・そう・・アドル・エルクのハイパーモードだね・・」
・・そう言いながらノロノロと立ち上がり、バイザーのスイッチを切ってゆっくりと身体を解し始める・・筋肉も関節も固く強張っていて痛い・・マーリーにも頼んで、ストレッチとマッサージを手伝って貰う・・そんなこんなで30分程を過ごし、漸く身体が軽く動くようになってくる・・。
0
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
『真説・宇宙世紀・明日へと放たれた矢』
トーマス・ライカー
SF
地球は、誰も知らなかったプラネット・サイクルの段階に入り…加速した循環流磁束帯磁気流(じゅんかんりゅうじそくたいじきりゅう)とマントル対流が地球そのものを加熱し始め、その後85年で赤熱マグマ・オーシャンの惑星となった。
辛くも生き延びた人類は、地球と月との引力均衡点と……太陽と地球との引力均衡点にも、スペース・コロニーを築いて…何とか落ち着いて生活が出来るようにはしていった。
だがそれからの250年で人口空間内での生活に疲れ始め…300年を過ぎる頃から再び地上での生活を夢見、望むようになっていった。
地球が焔の球となって310年目に、大型の探査機を外宇宙に送り出す事が決定された。
作者がリアリスティックに予想・構想する宇宙開発史に基付いて構築した物語のシリーズなので『真説・宇宙世紀』と名付けました。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる