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視廻り旅・4ヶ月目・
リドルとラミア
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俺の前の奴…リドル・アコスとか言った魔族の姿が揺らめく。
「左! 」
叫ぶと同時に右に跳ぶ…その次の一瞬でリドルが剣を左から打ち込んで来る…自分の剣を合わせて奴の剣を左にいなし、そのまま左回りに回りながら回転力を乗せて、俺も奴の左側から打ち込んだが、奴の背中を少し斬っただけだった。
跳び退って、また対峙する。
こいつは強い。サリエナを気にする余裕は無いが、あいつも初撃は捌いたようだ。
魔族の魔力は強い。魔力で服や得物も創り出す…それに傷を負っても魔力で癒して再生する。
お師さんの話じゃ、倒すにゃ首を刎ねるか、袈裟掛け斬りで真っ二つにするか、だって言ってたな…胴斬りじゃ、死ぬより再生が早いかも、とも言ってた。
剣を左手で持ち、峯に右手の指2本を当てる。
「…オン・センカ・マリシン・セン・エン・シン! 」
唱えて指を祓い、刀身に焔光を纏わせる。
サリエナも唱えて祓ったようだが、距離があって聴こえない。
縮地走術、最大速で駆け出す…3歩目で間合いに入り、4歩目で右からの横薙ぎを上体を沈めて躱す…太刀筋は何とか観える…5歩目を踏み込んで、左下段から奴の左脚を膝下から斬り飛ばす…そのまま左回りで振り向きながら、奴の左腕を上腕から斬り落とす…そのまま跳び退って距離を取る。
ちらっと見遣ったが、サリエナもラミア・レノスの右腕を斬り跳ばしていた。
だが…3回呼吸する間に再生した…予想していたから驚かない…驚かなかったが…どうする? 落ち着け…よし…罠を使うか…
お互いに声が聞こえる距離まで、サリエナに寄る。
「…俺は『アイル』! お前は『エリス』! 」
「…分かった! 」
ふたり同時に相手に向かって跳び、剣を2回打ち合わせて俺は右に、サリエナは左に跳んだ…ここからは任せるしかない…追い掛けて来るリドルの斬撃を、岩や大木の幹を回り込む事で躱しながら走る…こいつら、縮地走術はまだ身に付けてないらしい…時折わざと追い付かせ、剣を交えてまた引き離しながら『アイル』に誘導していく。
横っ飛びに走り跳ぶ俺の上から斬撃を浴びせようとするリドル…跳びながら右回転して剣を合わせ、そのまま奴の右腕を掴んで、右回転のままで飛びながら奴を地面に叩き付ける。
奴の身体を踏んで更に高く跳び、木の幹を蹴って右に跳んだ…『アイル』までもう少しだ…屈伸回転して岩を蹴って左に跳び、更に回転して着地と同時に振り向いて見上げると、リドルが剣を振り上げて落ちて来る。
縮地走術で5歩分を背後に跳んで構えると、目の前3歩の場所にリドルが降り立つ。
そこが『アイル』の場所だ…リドルの足が罠の仕掛けを踏み抜き、鋭い2本の杭が奴の左右から飛び込んで、奴を串刺しにした。
一呼吸の間も与えずに、焔光の剣がリドルの首を刎ねて跳ばす。
リドルの身体が塵に変じて消え始める前に跳んで『エリス』を目指す…20拍で辿り着く。
『エリス』の直ぐ近くに、サリエナとラミアはいた…サリエナもラミアの首を刎ねたようだ…ラミアの身体の半分が、もう塵に変わって消えている。
「…やったか?! やられたな?! 」
「…大した事ない…腕をちょっと、斬られただけだ…」
観ると右上腕が斬られていて、出血している。
「…毒じゃないようだな…」
言いながらお姐さんから貰った綺麗な布を出して適切に裂き、サリエナの傷口に巻き付けて留めた。
「…旅籠に戻ろう…女将さんに薬を貰って休んだ方が良い…今夜の魔物狩りは俺が1人でやる…」
「…大丈夫…って言いたいけど、無理だね…毒じゃないけど、腫れてきた…」
「…ああ…腕も…動かさないようにした方が良いな…」
別の布を裂いて、右腕を吊って首に回して留める。
サリエナの剣を腰の右に挿し、彼女をおぶって旅籠を目指して走る。
旅籠でご主人に2人で魔族を2体斃したと告げると、すごく驚かれて次いで喜ばれて感謝され、直ぐ部屋に上げられた
サリエナが斬られたと言うと、女将さんが包帯と傷薬に薬草を持って来て、丁寧に手当てしてくれた。
俺は厨房を借りて剣を研いだ…日没まで半時と言う処で研ぎ上げて仕上げる。
戻るとサリエナはもう眠っていた…熱は出ていないが、疲れていたんだろう…お姐さんにサリエナの世話を頼む…今夜は休めと言われたが、魔族がいなくなった今夜の奴らは外に出て騒ぐ…出来るだけ始末して置けば、これからがやりやすい…改めて世話を頼み、支度して出た。
縮地走術で魔口を目指す…一時半で着いたが、飛んでいる魔鳥だけで20羽以上…吼えたり喚いたりしながら彷徨いている魔物どもは…40~50体はいるか…俺ひとりで今夜中に全部始末するのは無理かもしれねえ…まあ…やれるだけやるか…
縮地走術で走りながら天央焔光神の真言を唱え、右手の指2本で祓って剣の刀身に焔光を纏わせる。
走りながら魔物の脇を擦り抜けざまに1撃で動脈を斬って離れる…それでも15体も斬れば、奴らも気付いて俺を取り囲もうとして来るんで、目の前で俺に背を向けてるゲゴールを突き飛ばし、右肩を蹴って跳んだ。
その後一時の間で…合わせて40体程の魔物を斬ったが、流石に剣の刃が魔物の血糊で鈍になってきた…まだ20体はいるが…ここらが潮時だな…
激しく左右に跳んで奴らの眼を幻惑する…奴らが俺を見失ってウロウロキョロキョロしてる間に、横っ跳びに低く飛んで離れた。
二時掛けて旅籠に戻る…剣の手入れをしながら、ご主人と女将さんに40体ちょっと斃してきたと伝える。
剣を研ぐのは明日にして、風呂を貰った。
身体を洗って服も洗濯した…あがって服を干し、部屋に戻る。
サリエナは静かに寝息を立てている…熱は無い…俺も今日はかなり疲れた。
サリエナの隣に寝床を敷いて、包まって寝た。
「左! 」
叫ぶと同時に右に跳ぶ…その次の一瞬でリドルが剣を左から打ち込んで来る…自分の剣を合わせて奴の剣を左にいなし、そのまま左回りに回りながら回転力を乗せて、俺も奴の左側から打ち込んだが、奴の背中を少し斬っただけだった。
跳び退って、また対峙する。
こいつは強い。サリエナを気にする余裕は無いが、あいつも初撃は捌いたようだ。
魔族の魔力は強い。魔力で服や得物も創り出す…それに傷を負っても魔力で癒して再生する。
お師さんの話じゃ、倒すにゃ首を刎ねるか、袈裟掛け斬りで真っ二つにするか、だって言ってたな…胴斬りじゃ、死ぬより再生が早いかも、とも言ってた。
剣を左手で持ち、峯に右手の指2本を当てる。
「…オン・センカ・マリシン・セン・エン・シン! 」
唱えて指を祓い、刀身に焔光を纏わせる。
サリエナも唱えて祓ったようだが、距離があって聴こえない。
縮地走術、最大速で駆け出す…3歩目で間合いに入り、4歩目で右からの横薙ぎを上体を沈めて躱す…太刀筋は何とか観える…5歩目を踏み込んで、左下段から奴の左脚を膝下から斬り飛ばす…そのまま左回りで振り向きながら、奴の左腕を上腕から斬り落とす…そのまま跳び退って距離を取る。
ちらっと見遣ったが、サリエナもラミア・レノスの右腕を斬り跳ばしていた。
だが…3回呼吸する間に再生した…予想していたから驚かない…驚かなかったが…どうする? 落ち着け…よし…罠を使うか…
お互いに声が聞こえる距離まで、サリエナに寄る。
「…俺は『アイル』! お前は『エリス』! 」
「…分かった! 」
ふたり同時に相手に向かって跳び、剣を2回打ち合わせて俺は右に、サリエナは左に跳んだ…ここからは任せるしかない…追い掛けて来るリドルの斬撃を、岩や大木の幹を回り込む事で躱しながら走る…こいつら、縮地走術はまだ身に付けてないらしい…時折わざと追い付かせ、剣を交えてまた引き離しながら『アイル』に誘導していく。
横っ飛びに走り跳ぶ俺の上から斬撃を浴びせようとするリドル…跳びながら右回転して剣を合わせ、そのまま奴の右腕を掴んで、右回転のままで飛びながら奴を地面に叩き付ける。
奴の身体を踏んで更に高く跳び、木の幹を蹴って右に跳んだ…『アイル』までもう少しだ…屈伸回転して岩を蹴って左に跳び、更に回転して着地と同時に振り向いて見上げると、リドルが剣を振り上げて落ちて来る。
縮地走術で5歩分を背後に跳んで構えると、目の前3歩の場所にリドルが降り立つ。
そこが『アイル』の場所だ…リドルの足が罠の仕掛けを踏み抜き、鋭い2本の杭が奴の左右から飛び込んで、奴を串刺しにした。
一呼吸の間も与えずに、焔光の剣がリドルの首を刎ねて跳ばす。
リドルの身体が塵に変じて消え始める前に跳んで『エリス』を目指す…20拍で辿り着く。
『エリス』の直ぐ近くに、サリエナとラミアはいた…サリエナもラミアの首を刎ねたようだ…ラミアの身体の半分が、もう塵に変わって消えている。
「…やったか?! やられたな?! 」
「…大した事ない…腕をちょっと、斬られただけだ…」
観ると右上腕が斬られていて、出血している。
「…毒じゃないようだな…」
言いながらお姐さんから貰った綺麗な布を出して適切に裂き、サリエナの傷口に巻き付けて留めた。
「…旅籠に戻ろう…女将さんに薬を貰って休んだ方が良い…今夜の魔物狩りは俺が1人でやる…」
「…大丈夫…って言いたいけど、無理だね…毒じゃないけど、腫れてきた…」
「…ああ…腕も…動かさないようにした方が良いな…」
別の布を裂いて、右腕を吊って首に回して留める。
サリエナの剣を腰の右に挿し、彼女をおぶって旅籠を目指して走る。
旅籠でご主人に2人で魔族を2体斃したと告げると、すごく驚かれて次いで喜ばれて感謝され、直ぐ部屋に上げられた
サリエナが斬られたと言うと、女将さんが包帯と傷薬に薬草を持って来て、丁寧に手当てしてくれた。
俺は厨房を借りて剣を研いだ…日没まで半時と言う処で研ぎ上げて仕上げる。
戻るとサリエナはもう眠っていた…熱は出ていないが、疲れていたんだろう…お姐さんにサリエナの世話を頼む…今夜は休めと言われたが、魔族がいなくなった今夜の奴らは外に出て騒ぐ…出来るだけ始末して置けば、これからがやりやすい…改めて世話を頼み、支度して出た。
縮地走術で魔口を目指す…一時半で着いたが、飛んでいる魔鳥だけで20羽以上…吼えたり喚いたりしながら彷徨いている魔物どもは…40~50体はいるか…俺ひとりで今夜中に全部始末するのは無理かもしれねえ…まあ…やれるだけやるか…
縮地走術で走りながら天央焔光神の真言を唱え、右手の指2本で祓って剣の刀身に焔光を纏わせる。
走りながら魔物の脇を擦り抜けざまに1撃で動脈を斬って離れる…それでも15体も斬れば、奴らも気付いて俺を取り囲もうとして来るんで、目の前で俺に背を向けてるゲゴールを突き飛ばし、右肩を蹴って跳んだ。
その後一時の間で…合わせて40体程の魔物を斬ったが、流石に剣の刃が魔物の血糊で鈍になってきた…まだ20体はいるが…ここらが潮時だな…
激しく左右に跳んで奴らの眼を幻惑する…奴らが俺を見失ってウロウロキョロキョロしてる間に、横っ跳びに低く飛んで離れた。
二時掛けて旅籠に戻る…剣の手入れをしながら、ご主人と女将さんに40体ちょっと斃してきたと伝える。
剣を研ぐのは明日にして、風呂を貰った。
身体を洗って服も洗濯した…あがって服を干し、部屋に戻る。
サリエナは静かに寝息を立てている…熱は無い…俺も今日はかなり疲れた。
サリエナの隣に寝床を敷いて、包まって寝た。
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