家族から虐げられた令嬢は冷血伯爵に嫁がされる〜売り飛ばされた先で温かい家庭を築きます〜

香木陽灯

文字の大きさ
1 / 15

グラミリアン伯爵家の長女

「ナタリア! 廊下にホコリがたまっているわ! きちんと掃除なさい」
「お姉様、お茶が冷めてしまったわ。淹れなおして。早くね」

 ここはグラミリアン伯爵家。ここでは長女のナタリアが使用人のように働かされていた。彼女の着ている服も使用人の服装と同じだった。

(今日も朝からお小言が絶えませんね。よくそんなに文句を思いつくわね)

 ため息をつきながら忙しく動き回るナタリアは、慣れた手つきで掃除やお茶の準備を完了させる。少しでも遅くなればまた文句を言われるため、自然と動きが早くなる。

 彼女は伯爵令嬢であるが、令嬢らしからぬ生活を強いられていた。

 ナタリアの生活は、13歳の時に大きく変わってしまった。母親が病気で亡くなり、父親が再婚相手とその娘を連れてきたことがきっかけだった。

 ナタリアは新しい家族と仲良くやっていこうと努力をしていたのだが、ナタリアのことが気に食わない義母と義妹は、彼女に辛く当たりはじめたのだ。

「身分の低い女の娘だもの。私達を敬いなさい」
「お母様は公爵令嬢だったのよ! お姉様なんかとは格が違うわ!」

 ナタリアの母親は男爵家出身だった。そのため公爵家から来た二人は、事あるごとに身分を振りかざして彼女を虐げた。

 最初は父親のいないところで悪口を言う程度だったが、段々とエスカレートしていった。

「身分が低いんだから、私達と同じ食卓につけるなんて思わないで」
「お姉様はこの家に置いてもらえるだけありがたいでしょう?」

 ナタリアの父は最初こそ間に入ってくれていたが、長くは保たなかった。

 再婚した際に義母の家から金銭的な援助を受けた手前、義母と義妹の言いなりとなっていたのだ。

「ナタリア、お母さんの言うことを聞きなさい。それからエマに迷惑をかけるんじゃない。妹には優しくするものだ。私たちは家族なんだから、わがままを言って二人を困らせてはいけないよ」

 その言葉がナタリアを絶望させた。
 もうこの家に居場所はないのだと。

(頼りにならないお父様と性悪なお義母様、意地悪な義妹……とても家族とは思えない)

 家族に対しての希望を捨てたナタリアは、心を無にして生活し始めた。どんなに悪口を言われても、使用人のように扱われても、受け流して耐え忍んだ。

 ナタリアは朝から晩まで家事こなし、家族の雑用を引き受けてばかりいたため、社交界に顔を出すこともなかった。そのため結婚適齢期だというのに、相手もいない状態だった。

(このままでは一生こんな暮らしだわ。結婚したらこの家から出られるのに……もし縁談の話が来たら、絶対上手くやってみせる!)

 ナタリアは、自分ではどうすることもできない状況をもどかしく思いながらも、機会があったら絶対に逃さないと心に誓っていた。
感想 1

あなたにおすすめの小説

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」 あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。 「セレス様、行きましょう」 「ありがとう、リリ」 私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。 ある日精霊たちはいった。 「あの方が迎えに来る」 カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

醜いと虐げられていた私を本当の家族が迎えに来ました

マチバリ
恋愛
家族とひとりだけ姿が違うことで醜いと虐げられていた女の子が本当の家族に見つけてもらう物語

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様

さくたろう
恋愛
 役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。  ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。  恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。 ※小説家になろう様にも掲載しています いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。

【完結】【番外編追加】お迎えに来てくれた当日にいなくなったお姉様の代わりに嫁ぎます!

まりぃべる
恋愛
私、アリーシャ。 お姉様は、隣国の大国に輿入れ予定でした。 それは、二年前から決まり、準備を着々としてきた。 和平の象徴として、その意味を理解されていたと思っていたのに。 『私、レナードと生活するわ。あとはお願いね!』 そんな置き手紙だけを残して、姉は消えた。 そんな…! ☆★ 書き終わってますので、随時更新していきます。全35話です。 国の名前など、有名な名前(単語)だったと後から気付いたのですが、素敵な響きですのでそのまま使います。現実世界とは全く関係ありません。いつも思いつきで名前を決めてしまいますので…。 読んでいただけたら嬉しいです。

数多の令嬢を弄んだ公爵令息が夫となりましたが、溺愛することにいたしました

鈴元 香奈
恋愛
伯爵家の一人娘エルナは第三王子の婚約者だったが、王子の病気療養を理由に婚約解消となった。そして、次の婚約者に選ばれたのは公爵家長男のリクハルド。何人もの女性を誑かせ弄び、ぼろ布のように捨てた女性の一人に背中を刺され殺されそうになった。そんな醜聞にまみれた男だった。 エルナが最も軽蔑する男。それでも、夫となったリクハルドを妻として支えていく決意をしたエルナだったが。 小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

(完結)いつのまにか懐かれました。懐かれたからには私が守ります。

水無月あん
恋愛
私、マチルダは子爵家の娘。騎士団長様のような騎士になることを目指し、剣の稽古に励んでいる。 そんなある日、泣いている赤い髪の子どもを見つけて、かばった。すると、なぜだか懐かれました。懐かれた以上は私が守ります!  「無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?」のスピンオフとなりますが、この作品だけでも読めます。 番外編ででてくる登場人物たちが数人でてきます。 いつもながら設定はゆるいです。気軽に楽しんでいただければ嬉しいです。 よろしくお願いします。

『壁の花』の地味令嬢、『耳が良すぎる』王子殿下に求婚されています〜《本業》に差し支えるのでご遠慮願えますか?〜

水都 ミナト
恋愛
 マリリン・モントワール伯爵令嬢。  実家が運営するモントワール商会は王国随一の大商会で、優秀な兄が二人に、姉が一人いる末っ子令嬢。  地味な外観でパーティには来るものの、いつも壁側で1人静かに佇んでいる。そのため他の令嬢たちからは『地味な壁の花』と小馬鹿にされているのだが、そんな嘲笑をものととせず彼女が壁の花に甘んじているのには理由があった。 「商売において重要なのは『信頼』と『情報』ですから」 ※設定はゆるめ。そこまで腹立たしいキャラも出てきませんのでお気軽にお楽しみください。2万字程の作品です。 ※カクヨム様、なろう様でも公開しています。