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ポールのひとりごと ※ポール視点
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我が主人がようやく結婚した。
国王から結婚を急かされていたので、お相手が出来たことは大変喜ばしい。
お相手であるナタリア様は、主人に相応しい品格の持ち主だ。
芯の強い女性なのだろう。あの境遇でもこんなにも真っ直ぐに育ったのだから。
私の目から見て、二人は良く似ている。そして相性が良いように思う。
「ナタリア様にはまだお話しにならないのですか?」
「なんのことだ?」
「クロード様がナタリア様を選んだ理由です。ナタリア様も気にしていましたよ」
「話していなかっただろうか? 改めて言うのは……」
改めて話すのは気恥ずかしいのだろう。最初に話してしまえば良かったのに。
「きっと喜ばれますよ。お母様の話を聞きたいでしょうし」
「……最初は心苦しかった。お世話になった方の娘を不幸にしてしまうのではないかと。でもそれ以上にナタリアのことが気になってしまったんだ」
クロード様が東の国との交渉を任された時、婚約者探しと同時に東の国の文化を調べ始めた。
そこで一番参考になった文献が、ソフィ・グラミリアンという方が書いた本だった。何を隠そうナタリア様のお母上にあたる方の本だ。
その本にはソフィ様が東の国に留学した際に書き留められたもので、経済や文化的な違いについて詳細に記されていた。
主人は、ソフィ様に直接話を伺おうとしたのだが、既に亡くなっており叶わなかった。
ちょうどその頃にグラミリアン家から婚約の申し出があったのだ。
「ナタリア・グラミリアンという娘との婚約を受けようと思う」
主人が何を考えてナタリア様との縁談話を決めたのか、私には分からない。もしかしたら、ソフィ様の娘であるナタリア様に何か縁を感じたのかもしれない。
普段なら断る縁談話だったが、主人はあっさりと受け入れたのだ。
「今度、ヴィルト男爵とナタリアとともに墓参りに行ってくる。その時にでも話すよ。あの本もナタリアに渡したいから」
「あぁ、それがよろしいかと思います」
主人はまだ知らない。ナタリア様が同じ本を持っていることを。
彼女が初めて屋敷に来た日、唯一持ってきたカバンに入っていたのがあの本だったのだ。
主人があの本を渡す時、お二人の反応が楽しみだ。
きっと互いに顔を赤らめながら、幸せそうに笑うのだろう。
あの二人は本当に良く似ているから。
「幸せそうで何よりです」
「ん? ポール、何か言ったか?」
「いいえ、何も」
【完】
国王から結婚を急かされていたので、お相手が出来たことは大変喜ばしい。
お相手であるナタリア様は、主人に相応しい品格の持ち主だ。
芯の強い女性なのだろう。あの境遇でもこんなにも真っ直ぐに育ったのだから。
私の目から見て、二人は良く似ている。そして相性が良いように思う。
「ナタリア様にはまだお話しにならないのですか?」
「なんのことだ?」
「クロード様がナタリア様を選んだ理由です。ナタリア様も気にしていましたよ」
「話していなかっただろうか? 改めて言うのは……」
改めて話すのは気恥ずかしいのだろう。最初に話してしまえば良かったのに。
「きっと喜ばれますよ。お母様の話を聞きたいでしょうし」
「……最初は心苦しかった。お世話になった方の娘を不幸にしてしまうのではないかと。でもそれ以上にナタリアのことが気になってしまったんだ」
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そこで一番参考になった文献が、ソフィ・グラミリアンという方が書いた本だった。何を隠そうナタリア様のお母上にあたる方の本だ。
その本にはソフィ様が東の国に留学した際に書き留められたもので、経済や文化的な違いについて詳細に記されていた。
主人は、ソフィ様に直接話を伺おうとしたのだが、既に亡くなっており叶わなかった。
ちょうどその頃にグラミリアン家から婚約の申し出があったのだ。
「ナタリア・グラミリアンという娘との婚約を受けようと思う」
主人が何を考えてナタリア様との縁談話を決めたのか、私には分からない。もしかしたら、ソフィ様の娘であるナタリア様に何か縁を感じたのかもしれない。
普段なら断る縁談話だったが、主人はあっさりと受け入れたのだ。
「今度、ヴィルト男爵とナタリアとともに墓参りに行ってくる。その時にでも話すよ。あの本もナタリアに渡したいから」
「あぁ、それがよろしいかと思います」
主人はまだ知らない。ナタリア様が同じ本を持っていることを。
彼女が初めて屋敷に来た日、唯一持ってきたカバンに入っていたのがあの本だったのだ。
主人があの本を渡す時、お二人の反応が楽しみだ。
きっと互いに顔を赤らめながら、幸せそうに笑うのだろう。
あの二人は本当に良く似ているから。
「幸せそうで何よりです」
「ん? ポール、何か言ったか?」
「いいえ、何も」
【完】
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