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冒険者Dの道行
冒険者Dと浮浪者
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ヨークゼンの街は賑わっていた。
中核都市として海運業が繁栄しているからだ。
遠くロマーナの交易品がもたらされ、この国ならではの鉱石や魔物の素材などが輸出されているからである。
ダゾンの街から南下して、ランドリー川沿いに行き、川幅が1000メートルを越えたあたりで海に出る。そこにヨークゼンの街があった。
人口が1万人近くまで膨らんでる中核都市には様々な人々が集まっていた。
街が栄えれば貧民にならざるを得ない者も出てくる。地方から一旗上げる積りで出てきたは良いが騙され落ちぶれる者もいる。
薄暗い街中に人々の暮らしの灯りが輝く中でブラブラ歩くDが居た。
俺はそんな貧民街が好きだ。ワクワクする。
道に倒れて死を待つような輩も多いが、目をギラギラして世の中を恨み、反抗の意思を消さない者も多いからだ。
自分のせいではなく自分を見下し、権力や暴力を振るう理不尽に徹底的に反抗する自尊心の強い奴と昔の自分が重なるからかも知れない。
世の中にはクズスキルを与えられて、拗ねたり侮られたり認められなかったりして屈辱に塗れる事がよくある。スキルを与える神を恨むのもやむ無いとも言える。
だが、違うのだ。スキルは神の恩寵、慈悲であると言われるように人が強く生きられるように与えられたものなのだ。
スキルを沢山保持するようになって、俺は、俺は・・・神に感謝するように・・なるわきゃねえだろ!
初めから教えておけよと恨んださ。
『無貌』のスキルのお陰で様々なスキルを手に入れて俺は知ったのだ。
『スキルはシナジーだ』と!!
使えないようなクズスキルでもスキルを持つ者同士が協力し合う事で強力な力を発揮しする。
『歩行』は“転ばないで歩ける“というクズスキル。
『効果範囲』は“範囲を指定する“というクズスキル。
どちらも単体では意味が分からんスキルだからクズスキルと言われる。
だが、修練で『身体強化』のスキルを持つものが『歩行』『効果範囲』の者と居ると『効果範囲』内にいる全員が『歩行』の効果で劇的な進軍を得る事ができるのだ。
『身体強化』の力が『効果範囲』の中にいる者たちが『歩行』の効果で転ぶ恐れなしに走ることが出来る。スキルが進化すればするほどその力は絶大になる。
まぁ、知っているのは俺くらいだろうけどな。
このクズスキルを全部持っている俺だから分かっているんだろ。
・・・と言う訳で、俺は貧民街でクズスキル狩りをしているのだ。
決して暇こいている訳ではない。好きなんだよ、こういうのがさ。
俺の名はD、A級冒険者で1級傭兵だ。
隙きを晒していると早速引っかかった。俺にどんとぶつかってくる浮浪者、背が低いからガキんちょだろう。懐の財布を狙ったのだろうが残念でした。
伸びた手を掴み捻り上げる。
「ギャ、イテテテ。離しやがれ、この!!」
腕を捻り上げられ痛いだろうに、持ち上がった身体の中で唯一自由になる足で俺を蹴ろうと暴れる。
蹴られてもなんともないが地面にうつ伏せに降ろして背中を足で踏みつける。動けないカエルみたいに手足をバタバタさせながら喚く。
「何しやがる、このくそったれ!!」
声が高く、声変わりさえしていないようなガキじゃまだスキル持ってないかも知れない。だが、こいつらも使い方次第だ。
「はん、殺されなかっただけでも感謝しろ!それより、小遣いやるから仕事しないか?」
俺の提案に暴れていた浮浪者が静かになった。
「ア?なんだって?」
「金をやるから俺の言うことを聞けってんだよ!」
うつ伏せのまま浮浪者は考えて返事をした。
「・・・仕方ねえなあ、聞いてやるからこの汚え足を退けろ!」
こうして俺は浮浪者をゲットした。名前はQTだそうだ。キュウティかも知れない。どうでも良いが。
俺が欲しいのはスキルの情報だ。
こんな街だから情報屋の1つや2つはあるはずだが奴らは高いし確度は高いがジャンルが違う。俺の欲しいのはいわゆる“クズスキル“だ。
“クズスキル“を持っている奴を集めてスキルに応じて金を払うと広めて貰うためだ。
何がしたいのか分からないようで理由を聞いてきたが鼻で笑ってやった。
QTは浮浪者仲間の間ではなかなか顔が広いようで俺が泊まっている安宿に夜になるとポツポツ集まり始めた。
来ても面談して銅貨の数枚を渡して返すだけで皆、不思議がるだけで実害が無いのでQTも評判が上がったと浮浪者仲間を連れて顔を出すようになった。
無論、何をやっているのかは絶対に見せない。
5日程で面白いスキルが集まった。
『結露』居る部屋の中の湿気が集まって靄が現れる
『スリップ』手で撫でた部分が滑りやすくなる
『嗅ぎ分け』微妙な匂いの違いが分かる
『指鳴らし』どの指でも音を出すことが出来る
『無音』自分の周りから音が聞こえなくなる
『寄せ目』目を中央に寄せられる
浮浪者の記憶も集まってしまったが気にしなければ忘れられる。どうせ浮浪者だ、何処かで野垂れ死ねばそこまでだし、浮浪者になる必要などない。
集まった人数の割にはクズスキルが少なく思えるかも知れんが、スキルは重複しているものだ。中々面白いクズスキルは無かったりする。
QTは顔を見せるたびに何をしているのかと聞いてきたから、覗いたりしたら殺すぞと脅して置いた。キラキラした目で見やがるが大した事をしていない。だが、傍からみると浮浪者の話を聞いてお金を渡す聖者の様に見えるらしい。
はん、迷惑な話だ。
中核都市として海運業が繁栄しているからだ。
遠くロマーナの交易品がもたらされ、この国ならではの鉱石や魔物の素材などが輸出されているからである。
ダゾンの街から南下して、ランドリー川沿いに行き、川幅が1000メートルを越えたあたりで海に出る。そこにヨークゼンの街があった。
人口が1万人近くまで膨らんでる中核都市には様々な人々が集まっていた。
街が栄えれば貧民にならざるを得ない者も出てくる。地方から一旗上げる積りで出てきたは良いが騙され落ちぶれる者もいる。
薄暗い街中に人々の暮らしの灯りが輝く中でブラブラ歩くDが居た。
俺はそんな貧民街が好きだ。ワクワクする。
道に倒れて死を待つような輩も多いが、目をギラギラして世の中を恨み、反抗の意思を消さない者も多いからだ。
自分のせいではなく自分を見下し、権力や暴力を振るう理不尽に徹底的に反抗する自尊心の強い奴と昔の自分が重なるからかも知れない。
世の中にはクズスキルを与えられて、拗ねたり侮られたり認められなかったりして屈辱に塗れる事がよくある。スキルを与える神を恨むのもやむ無いとも言える。
だが、違うのだ。スキルは神の恩寵、慈悲であると言われるように人が強く生きられるように与えられたものなのだ。
スキルを沢山保持するようになって、俺は、俺は・・・神に感謝するように・・なるわきゃねえだろ!
初めから教えておけよと恨んださ。
『無貌』のスキルのお陰で様々なスキルを手に入れて俺は知ったのだ。
『スキルはシナジーだ』と!!
使えないようなクズスキルでもスキルを持つ者同士が協力し合う事で強力な力を発揮しする。
『歩行』は“転ばないで歩ける“というクズスキル。
『効果範囲』は“範囲を指定する“というクズスキル。
どちらも単体では意味が分からんスキルだからクズスキルと言われる。
だが、修練で『身体強化』のスキルを持つものが『歩行』『効果範囲』の者と居ると『効果範囲』内にいる全員が『歩行』の効果で劇的な進軍を得る事ができるのだ。
『身体強化』の力が『効果範囲』の中にいる者たちが『歩行』の効果で転ぶ恐れなしに走ることが出来る。スキルが進化すればするほどその力は絶大になる。
まぁ、知っているのは俺くらいだろうけどな。
このクズスキルを全部持っている俺だから分かっているんだろ。
・・・と言う訳で、俺は貧民街でクズスキル狩りをしているのだ。
決して暇こいている訳ではない。好きなんだよ、こういうのがさ。
俺の名はD、A級冒険者で1級傭兵だ。
隙きを晒していると早速引っかかった。俺にどんとぶつかってくる浮浪者、背が低いからガキんちょだろう。懐の財布を狙ったのだろうが残念でした。
伸びた手を掴み捻り上げる。
「ギャ、イテテテ。離しやがれ、この!!」
腕を捻り上げられ痛いだろうに、持ち上がった身体の中で唯一自由になる足で俺を蹴ろうと暴れる。
蹴られてもなんともないが地面にうつ伏せに降ろして背中を足で踏みつける。動けないカエルみたいに手足をバタバタさせながら喚く。
「何しやがる、このくそったれ!!」
声が高く、声変わりさえしていないようなガキじゃまだスキル持ってないかも知れない。だが、こいつらも使い方次第だ。
「はん、殺されなかっただけでも感謝しろ!それより、小遣いやるから仕事しないか?」
俺の提案に暴れていた浮浪者が静かになった。
「ア?なんだって?」
「金をやるから俺の言うことを聞けってんだよ!」
うつ伏せのまま浮浪者は考えて返事をした。
「・・・仕方ねえなあ、聞いてやるからこの汚え足を退けろ!」
こうして俺は浮浪者をゲットした。名前はQTだそうだ。キュウティかも知れない。どうでも良いが。
俺が欲しいのはスキルの情報だ。
こんな街だから情報屋の1つや2つはあるはずだが奴らは高いし確度は高いがジャンルが違う。俺の欲しいのはいわゆる“クズスキル“だ。
“クズスキル“を持っている奴を集めてスキルに応じて金を払うと広めて貰うためだ。
何がしたいのか分からないようで理由を聞いてきたが鼻で笑ってやった。
QTは浮浪者仲間の間ではなかなか顔が広いようで俺が泊まっている安宿に夜になるとポツポツ集まり始めた。
来ても面談して銅貨の数枚を渡して返すだけで皆、不思議がるだけで実害が無いのでQTも評判が上がったと浮浪者仲間を連れて顔を出すようになった。
無論、何をやっているのかは絶対に見せない。
5日程で面白いスキルが集まった。
『結露』居る部屋の中の湿気が集まって靄が現れる
『スリップ』手で撫でた部分が滑りやすくなる
『嗅ぎ分け』微妙な匂いの違いが分かる
『指鳴らし』どの指でも音を出すことが出来る
『無音』自分の周りから音が聞こえなくなる
『寄せ目』目を中央に寄せられる
浮浪者の記憶も集まってしまったが気にしなければ忘れられる。どうせ浮浪者だ、何処かで野垂れ死ねばそこまでだし、浮浪者になる必要などない。
集まった人数の割にはクズスキルが少なく思えるかも知れんが、スキルは重複しているものだ。中々面白いクズスキルは無かったりする。
QTは顔を見せるたびに何をしているのかと聞いてきたから、覗いたりしたら殺すぞと脅して置いた。キラキラした目で見やがるが大した事をしていない。だが、傍からみると浮浪者の話を聞いてお金を渡す聖者の様に見えるらしい。
はん、迷惑な話だ。
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