無貌の男~千変万化のスキルの力で無双する。

きゅうとす

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冒険者Dの道行

冒険者Dと豹の爪(パンサークロウ)

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街が栄えている裏側で弱みを握り暗躍して金を掠め取る輩も増える。

噂が流れ過ぎたのかスキルを持たないただの浮浪者がやってくる事が増えて、もう止め時かと思う。
『睨む』相手をビビらせる
『後ろ向きスキップ』後ろ向きにスキップが出来る
『滑舌』噛むこと無く喋れる
『浮遊』物を浮かせられる

面白くもないスキルは要らない。
もう、浮浪者を呼ばなくて良いぞとQTに告げて、街をそろそろ去ろうとした朝、宿に手紙が届いた。

手紙には街の夜の組織“豹の爪“がQTを拉致したから返して欲しければ金を持ってこいという事が書かれていた。
へーそうなんだ。
俺はQTにわざわざ言付ける必要が無くなったなぁと思いながら朝飯を食ってから宿を引き払った。

昼まであと少しの時間に今度は何処へ行こうかと思いながらヨークゼンの西門に向かう。因みにヨークゼンには南門は無い。海があるからだ。
門の前には何故か態度の悪い連中がたむろしていたが気にしない。
そのままスルーしようとすると前に立ち塞がれた。
「Dだな?」

肩に太い棒を担いた頭の片側を剃り上げた厳ついチンピラが声を掛けてきた。眉を潜め、無視して横を抜けようとするとすると他の奴が前に立ちふさがる。面倒な事だ。仕方ない警告してやろう。
「邪魔をすると死ぬぞ!」

俺の言葉を本気にしなかったのかヘラヘラ笑っている。最初に声を掛けてきたチンピラが偉そうに上から目線で言う。
「ビビってんのか?・・・ククク。あんたを街の外に出すなってゾア様に言われてんだよ!」

ゾアなんて俺は知らねえぞ。だから言ってやる。
「知らん!どけ!」

「ガキがどうなっても良いのかよー聖者様ぁー」
気にもしていないことと気にしてることを言いやがるなこのチンピラ。
俺はノーモーションで正面でヘラヘラしているチンピラの腹にパンチを入れる。驚いている隣のチンピラには蹴りをくれてやる。

腹パンを食らったチンピラと蹴りを食らったチンピラが数メートルぶっ飛んで行った。
喧嘩慣れしてんのか他のチンピラが突っ込んでくるが遅い。
スキルを使うまでもない。ほとんどパンチで残り数名をぶっ飛ばす。

後は最初に声を掛けてきた頭の片側を剃り上げた厳ついチンピラだけになった。

「それで、なんだってんだ!」
恫喝するとヘナヘナと座り込んだ。男の前に屈んで聞くと答えた。

「あ、あんたはQTとか言うガキがどうなっても良いのかよ?」
「あん?無関係なガキだが?ちょっと小遣い稼ぎさせてやった程度の仲だぞ?」

「そうなのか?でも、ゾア様が少し脅せば言うことを聞くと仰ったから・・・」
呆れて物も言えん。

「それでそのゾラとかはスキル持ちか?」
「スキルの名前は知らないが凄い力をお持ちだ。」
何だが心酔したようにチンピラが言う。

「面倒だがちょっとそのゾラとやらに興味が湧いたな。よし、案内しろ!」
方針を変え、ゾラの顔を見に行く、いや、QTを助けに行くことにする。

頭の片側を剃り上げた厳ついチンピラの案内で貧民街の端の瓦礫の山のような場所に辿り着いた。どうやらそこがヨークゼンの夜の組織“豹の爪“のアジトらしい。
建物に入ると地下に連れて行かれた。結構広い地下室のの中には奇妙な形の彫像が複数あり、何となくカルト教団のアジトの様に見えた。
地下室の奥にソファが沢山置いてあり、ソファには色んなタイプの女達が座り、一番高い場所のソファにはやたらと豊満な体つきをした女がいた。この女がゾラか?
ソファの前にはQTが転がされている。
そして、QTをじっと見詰める魔物が居た。豹の魔物ジルスターだ。

豹の魔物ジルスターはとても残忍で簡単に殺せる相手でも散々なぶり殺しにする癖に強い相手には直ぐに背中を見せて逃げる。そして、一度相手を敵と認識するとしつこく追いかけて油断した所を襲うといういい性格をしている。
身体はしなやかでビロードのような黒い短毛で鋭い牙を持つ。草原の王獅子をも上回る体力と残忍さを持つので夜の魔物と言われるのだ。

どうやら夜の組織“豹の爪“はこの魔物を飼っているようだ。
「よく来たね~あんたがDかい?」
ジルのハスキーボイスは俺好みだ。

「聖者とか言われてるんだってね。金を持ってるんだろ?出しなよ。」
「そこのQTは関係無いぞ。浮浪者なんだから返してやってくれ。」
「あんたが金を積んでくれれば喜んて応じるさ」
「俺はあんたに興味あって来たんだ。変わったスキルを持ってんだろ。見せてくれよ。」
「金が無けりゃ用は無いよ!」

俺は腰に吊るした小袋に手を突っ込んでクズ宝石を放り投げた。
「これでどうだ!」

俺は空中から小粒の宝石を降らせて出して見せた。これは『固体化』というスキルで空中の埃やら手に持ったクズ宝石を固める事の出来るスキルだ。
散らばった赤い石を周りにいた女達が拾い集め、ゾラに渡す。ゾラが受け取った赤い石の一つを光に翳す。
「ふうん、なかなかの値打ちもんだね~」
どうやら満足頂けたようだ。

「なら、あたしも見せてやろう、おいで我が娘メラン」
そう言って呼び寄せたのは俺を連れてきた頭の片側を剃り上げた厳ついチンピラだった。
「ん?そいつ女か?」
俺が言うと
「うちには女しかいないよ。その浮浪者のガキだって女だろうに」
と返された。

俺は混乱した。
QTは薄汚れたガキにしか見えなかったが女だったらしい。

メランの後ろに立ったゾラが後頭部に手を当ててスキルを使うとメランの身体が変形して四つん這いになり、服を着た豹の魔物のジルスターになった。
なんと、ゾラのスキルは人を魔物に出来るようだ。

「メランに襲われたくなかったらもっと宝石かお金をお出し!」
グルルルと低い唸り声を上げでゾラに答えるメラン。

嬉しいねえ。こういう展開じゃないと面白くないね。
俺は腰の剣を抜いて不敵に笑い、構えて言った。
「やってみろ!」








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