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冒険者Dと王都
訓練場にて
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ランがキュウを連れて来た時、訓練場には数人の男達がいた。
若い冒険者が3人と教官の熊獣人であるゴルバルドだ。
「ゴルバルドさん、ちょっと良いですか?」
わたしの声にゴルバルドさんがこちらを向いて冒険者達に
「ちょっと待ってろ」と声を掛けて歩いてきた。
入口の両脇は観覧席の様になっていて訓練場は四角い土の広場になっている建物だ。ここでは剣などの武器を使った訓練が誰でも許可さえ貰えば無料で出来る場所なのだ。
ゴルバルドはここで初心者の冒険者達に訓練を付けている。21歳と若いが傭兵ギルドから出向の形で来ている。つまり傭兵ギルドに雇われて冒険者達に訓練をつけている訳だ。
「どうした?」
ゴルバルドさんはわたしの胸を見たり、キュウの顔を見たりして聞いてきた。男が胸を見るのはしかた無い。
「副ギルマスからこの娘の訓練をゴルバルドさんに頼むよう言われました。」
キュウを見ると慌てて自己紹介した。
「キュウって言います。宜しくお願いします。」
礼儀正しくキュウが挨拶する。
ゴルバルドさんはキュウを上から下までジロジロ見た上で
「その格好じゃ訓練は出来んぞ」
と言った。確かにキュウは普通の女の子の格好で訓練を受けるような状態では無かった。
「ラン、この娘に合った服を貸してやってくれ」
「そうでしたね。こっちへ来て、キュウ」
そう言ってキュウを控室に誘導した。
観客席の下には控室があって、訓練用の貸衣裳もあった。体か小さいから合うのがあるか心配したが一番小さいサイズで何とかなった。
ズボンとシャツの上に皮の胸当てと膝当て、肘当てを付けさせる。
武器を置いてある場所から細身の剣を持たせてゴルバルドさんの所に戻るとゴルバルドさんは新人冒険者達を走らせていた。
「用意出来ましたよ、ゴルバルドさん」
声を掛けるとこちらを振り返ってさっきのようにキュウの頭から足先迄を見る。
「まぁそんなもんだな」
取り敢えず良さそうだ。
「お昼になったら迎えに来ますからお願いしますね」
と言ってわたしはギルマスの執務室に戻った。
◆◆ゴルバルド視点◆◆
筆頭受付嬢のランから声を掛けられて振り返ると何やら小娘と一緒にいた。
ここは遊び場じゃないんだがなと思いながら目の前の冒険者達に声を掛けて離れる。
何を考えて訓練を付けろと言うのか呆れるばかりだ。普通の小娘の姿は訓練を受けようとする者の格好じゃない。
そう指摘するとランは控室に小娘を連れて行って着替えさせた。
見た目は何とかなったが直ぐに弱音を吐くんじゃないかと思う。でも、サブギルマスからの指示じゃ取り敢えず従うしかないなと思う。
格好は何とかなったので走っている冒険者達と同じ様に走らせた。
走っている冒険者達と小娘の走り方をチェックする。
誰も早く走れとは言ってないからかダラダラと3人の冒険者達が走る。小娘は姿勢を正して一定のペースで走っている。足の上げ方も蹴り方も余り上手くないが冒険者達よりマシに思えた。
小娘が5周したところで走るのを止めさせる。冒険者達はその場で座り込んで仕舞うが小娘は余裕があるのか俺の前までやって来て立った。
よし、小娘のほうがやる気はありそうだな。
ダラダラしている新人冒険者達を怒鳴りつけ近くに呼ぶ。すると一人は慌ててやって来て不審そうに小娘を見た。一人は好色な顔をして小娘の様子を伺っている。最後の一人は走らせたのが気に食わないのか余り近くまで来なかった。
持っている武器を見せるように言うと小娘が細剣を見せた。うん合格だ。
不審そうに小娘を見たテツは幅広の剣を肩に担いで見せた。うん不合格。
好色な顔をしているヒロは短剣を2つ前に出した。うん不合格。
不機嫌な顔を隠そうともしないジョンは槍の先端を地面に突き刺して持っている。うん不合格。
不合格な3人にそれぞれ駄目だしをする。
小娘の腕力では細剣が最適、テツの体力じゃ幅広の剣は無理、ヒロの長身では短刀は不向き、槍を地面に突き刺すなんて以ての外だぞジョン。
テツの剣を普通の片手剣にさせ、ヒロの短剣も片手剣にさせ、ジョンの槍も片手剣にさせる。
それぞれに剣を振らせる。
小娘は振り込みをさせれば形になりそうだが他は腰が入っていない。駄目だしして尻を蹴りながら形を整える。
小娘は何処かで細剣を振って扱ったことがあるに違いない。
俺が細剣を振って見せて真似をさせる。基本的な動きしかしていないがなかなかに上手く動けている。
小娘に満足しているとランが入ってきた。もうお昼か、しかた無い。
また、明日来いと皆に言って帰らせる。初心者訓練は3日間の予定だ。
まぁ3人は来ないかも知れないな。スケベなヒロは小娘を見たくて来るかも知れんが。
◆◆キュウ視点◆◆
教官の熊獣人のゴルバルドさんは中々厳しい。褒めてはくれないがゴルバルドさんの剣術を真似るのは楽しかった。
あの細剣が小気味よく音を立てて振るわれるのを見て、どうしても同じ動きをしたくなった。スキル『まねまね』を使うと考えなくても身体が動く。
3人の初心者冒険者は余り熱心で無い様で一人は矢鱈とあたしの体を見てくるから気持ちが悪い。
教官のゴルバルドさんが好きになりそう。
昼間ご飯はランさんが受付嬢行きつけの食堂に連れて行ってくれた。食事をしながら盛んにあたしのことやヨハンナさんの事を聞いてくる。
まぁ当たり障りの無いことは答えておく。
たぶんDの事は話さないほうが良いと思ったので黙っておく。
冒険者ギルドに戻った後にヨハンナさんに先に家に帰って置けと言われたので素直に帰ることにした。
ぶらぶら王都を散策するのも良いかも。
若い冒険者が3人と教官の熊獣人であるゴルバルドだ。
「ゴルバルドさん、ちょっと良いですか?」
わたしの声にゴルバルドさんがこちらを向いて冒険者達に
「ちょっと待ってろ」と声を掛けて歩いてきた。
入口の両脇は観覧席の様になっていて訓練場は四角い土の広場になっている建物だ。ここでは剣などの武器を使った訓練が誰でも許可さえ貰えば無料で出来る場所なのだ。
ゴルバルドはここで初心者の冒険者達に訓練を付けている。21歳と若いが傭兵ギルドから出向の形で来ている。つまり傭兵ギルドに雇われて冒険者達に訓練をつけている訳だ。
「どうした?」
ゴルバルドさんはわたしの胸を見たり、キュウの顔を見たりして聞いてきた。男が胸を見るのはしかた無い。
「副ギルマスからこの娘の訓練をゴルバルドさんに頼むよう言われました。」
キュウを見ると慌てて自己紹介した。
「キュウって言います。宜しくお願いします。」
礼儀正しくキュウが挨拶する。
ゴルバルドさんはキュウを上から下までジロジロ見た上で
「その格好じゃ訓練は出来んぞ」
と言った。確かにキュウは普通の女の子の格好で訓練を受けるような状態では無かった。
「ラン、この娘に合った服を貸してやってくれ」
「そうでしたね。こっちへ来て、キュウ」
そう言ってキュウを控室に誘導した。
観客席の下には控室があって、訓練用の貸衣裳もあった。体か小さいから合うのがあるか心配したが一番小さいサイズで何とかなった。
ズボンとシャツの上に皮の胸当てと膝当て、肘当てを付けさせる。
武器を置いてある場所から細身の剣を持たせてゴルバルドさんの所に戻るとゴルバルドさんは新人冒険者達を走らせていた。
「用意出来ましたよ、ゴルバルドさん」
声を掛けるとこちらを振り返ってさっきのようにキュウの頭から足先迄を見る。
「まぁそんなもんだな」
取り敢えず良さそうだ。
「お昼になったら迎えに来ますからお願いしますね」
と言ってわたしはギルマスの執務室に戻った。
◆◆ゴルバルド視点◆◆
筆頭受付嬢のランから声を掛けられて振り返ると何やら小娘と一緒にいた。
ここは遊び場じゃないんだがなと思いながら目の前の冒険者達に声を掛けて離れる。
何を考えて訓練を付けろと言うのか呆れるばかりだ。普通の小娘の姿は訓練を受けようとする者の格好じゃない。
そう指摘するとランは控室に小娘を連れて行って着替えさせた。
見た目は何とかなったが直ぐに弱音を吐くんじゃないかと思う。でも、サブギルマスからの指示じゃ取り敢えず従うしかないなと思う。
格好は何とかなったので走っている冒険者達と同じ様に走らせた。
走っている冒険者達と小娘の走り方をチェックする。
誰も早く走れとは言ってないからかダラダラと3人の冒険者達が走る。小娘は姿勢を正して一定のペースで走っている。足の上げ方も蹴り方も余り上手くないが冒険者達よりマシに思えた。
小娘が5周したところで走るのを止めさせる。冒険者達はその場で座り込んで仕舞うが小娘は余裕があるのか俺の前までやって来て立った。
よし、小娘のほうがやる気はありそうだな。
ダラダラしている新人冒険者達を怒鳴りつけ近くに呼ぶ。すると一人は慌ててやって来て不審そうに小娘を見た。一人は好色な顔をして小娘の様子を伺っている。最後の一人は走らせたのが気に食わないのか余り近くまで来なかった。
持っている武器を見せるように言うと小娘が細剣を見せた。うん合格だ。
不審そうに小娘を見たテツは幅広の剣を肩に担いで見せた。うん不合格。
好色な顔をしているヒロは短剣を2つ前に出した。うん不合格。
不機嫌な顔を隠そうともしないジョンは槍の先端を地面に突き刺して持っている。うん不合格。
不合格な3人にそれぞれ駄目だしをする。
小娘の腕力では細剣が最適、テツの体力じゃ幅広の剣は無理、ヒロの長身では短刀は不向き、槍を地面に突き刺すなんて以ての外だぞジョン。
テツの剣を普通の片手剣にさせ、ヒロの短剣も片手剣にさせ、ジョンの槍も片手剣にさせる。
それぞれに剣を振らせる。
小娘は振り込みをさせれば形になりそうだが他は腰が入っていない。駄目だしして尻を蹴りながら形を整える。
小娘は何処かで細剣を振って扱ったことがあるに違いない。
俺が細剣を振って見せて真似をさせる。基本的な動きしかしていないがなかなかに上手く動けている。
小娘に満足しているとランが入ってきた。もうお昼か、しかた無い。
また、明日来いと皆に言って帰らせる。初心者訓練は3日間の予定だ。
まぁ3人は来ないかも知れないな。スケベなヒロは小娘を見たくて来るかも知れんが。
◆◆キュウ視点◆◆
教官の熊獣人のゴルバルドさんは中々厳しい。褒めてはくれないがゴルバルドさんの剣術を真似るのは楽しかった。
あの細剣が小気味よく音を立てて振るわれるのを見て、どうしても同じ動きをしたくなった。スキル『まねまね』を使うと考えなくても身体が動く。
3人の初心者冒険者は余り熱心で無い様で一人は矢鱈とあたしの体を見てくるから気持ちが悪い。
教官のゴルバルドさんが好きになりそう。
昼間ご飯はランさんが受付嬢行きつけの食堂に連れて行ってくれた。食事をしながら盛んにあたしのことやヨハンナさんの事を聞いてくる。
まぁ当たり障りの無いことは答えておく。
たぶんDの事は話さないほうが良いと思ったので黙っておく。
冒険者ギルドに戻った後にヨハンナさんに先に家に帰って置けと言われたので素直に帰ることにした。
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