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王都のQT
女三人寄れば姦しい
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暁燿旅団を出てダリと南地区まで急ぐ。
ダリの足は早いがQTが通ったような道なき道は行けない。
暗くなりつつもあり、お腹も空きつつもあり南地区の冒険者ギルドに着いた時はもう日も暮れていた。
ダリを後ろに冒険者ギルドの人気の少ない建物に入ったQTは直ぐに受付嬢アンナを目敏く見付け、近づいて声を掛けた。
隣の受付嬢と話していた彼女はQTに気づかなかったようで掛けられた声に少し驚く。
「あら、昼間の冒険者のお嬢さんじゃない」
「ええ、アンナさんに会いたいという人を連れてきました。」
QTが後ろを振り返ろうとするとダリが叫んだ。
「アンナ様!やっぱりアンナ様ですね!」
ダリの姿を見たアンナは声を聞く前に立ち上がって同じ様に叫びそうになる口を手で押さえていた。
「ダリア•マルチネス・・・」
「そうです!ハサイエル家の騎士見習いだったダリです!」
隣の受付嬢が立ち上がったアンナの服を引っ張って注意を促すと、ハッとしてアンナが言った。
「と、取り敢えずもう上がりだからそっちの酒場でちょっと二人とも待ってて」
注意してくれた隣の受付嬢に小声でありがとうを言うとアンナさんは受付の奥に引っ込んだ。隣の受付嬢が興味深そうにこちらを見たが口を開くこともなく手元の資料に目を落とした。
QTはまだ興奮しているダリを連れてアンナさんに言われたように酒場の空いているテーブルの席に座る。酒場のマスターと思える男がカウンターからこちらをじろりと見たが先程のやり取りを見ていた為か何も言わなかった。
「キュウ、ありがとう!」
ダリがQTに礼を言う。
「いやぁ、何もしてないよ。偶然今日知りあっただけだし」
「それでもだよ。嬉しい!嬉しい!」
喜びを隠さず頬を赤く染めているダリはとても好ましく見えた。今日会ったばかりだがその素直な性格と真っ直ぐさがQTを友人にするのに時間はいらなかった。
「ねえ、ダリ。さっきハサイエル家の騎士見習いって言ってたけど何処かの貴族様に仕えていたの?」
QTは疑問に思ったことをダリに聞く。落ち着いてきたダリがQTの方を向いて言った。
「うん、あんまり詳しくは言えないけど私も元は貴族の末席だったんだ。ああ、でも平民と変わらないよ。準男爵の次女だから貴族位も無い身分だったからせめて嫁入りするより騎士になりたくて•••」
ダリにも色々事情があるようで明るかった顔を俯かせてしまう。
いけない話を振ってしまったと気づいたQTは謝る。
「ごめん!言いたくないこと聞いちゃったね。」
「う、うん。大丈夫だよ。」
そこへ受付嬢アンナがやってきた。
「おまたせ、ダリ、QTさん」
受付嬢の制服の上に小さなマントのようなものを羽織ったアンナ。小さなマントから魔力を感じるから何らかの効果を持った魔導具らしい。
「お腹空いているから私の知っている食堂で良いかしら」
さっきの落ち込みが何だったんだろうと思えるほどの笑顔を魅せるダリとQTは頷く。アンナがいつも通っているのかも知れない店は南地区と東地区との境近くにあり、アンナさんが借りている部屋も近いらしい。
『陽陵泉』と書かれた店は庶民的と言うより少し洒落た食事処でアンナさんの顔で奥まった部屋に通された。食事はアンナさんお勧めの何だかお酒に合う料理が多くて、アンナさんが健啖家である証拠にも見えた。
あたしもダリもお腹が空いていたせいで食べることを先んじて余り話もせず食事は進んだ。
人心地着いた所でダリがアンナさんに聞く。
「いったい、あれからアンナ様は何処に行っていたんですか?」
「あはは、父の勧めでリヒャルト領ダゾンの街の冒険者ギルドの受付嬢をやってたのよ。ちょっとトラブルがあったのと人を探しに最近こっちに戻って来たところよ。」
「ふぁ~ •••もしかして男ですか?」
ダリが地方の冒険者ギルドと聞いて何やら忖度する。そして核心を突く。
「え?ええ~と、そうね。あははは」
ダリも本当にそうだと思った訳でも無かったのだろう、驚きを持ってアンナさんを見る。
「アンナさんみたいに素敵な人から追い掛けられる男の人ってどんな人だろう」
QTの独り言みたいな問いかけにアンナのちょっと厳しい顔が崩れてにへらとなる。その顔を見て尚もダリが驚く。
「そうねぇ~あなた達にも教えて置いたほうが早く見つかるかもしれないわねぇ~」
お酒のせいかアンナさんの口調も崩れ、明け透けになった。
「リヒャルト領ダゾンの街の冒険者ギルドで合ったA級冒険者なのよ。しかも私の危機を救ってくれた男!」
アンナさんの顔は女の顔になっている。
「ええ~!アンナ様!駄目ですよぉ!昔で懲りてないんですかぁー!」
ダリの衝撃的な言葉がアンナさんに突き刺さる。
「だ、ダリったら~。分かってるわよ、私が惚れっぽいって事は。でもね、少しは男を知ったのよ。それに彼は昔のあいつとは違うの!」
「へ~、なんて名前の人ですか?王都の冒険者なんですか?」
興味本位でQTがアンナに聞くとダリも頷いて顔を向けた。
「へ~、聞いちゃう?え~、言っちゃおうかなぁ~」
「「教えて下さいよ、その人!」」
にやにやしながらアンナさんが答えた。
「A級冒険者Dよ」
その答えにQTとダリが揃って大声を上げた。
「「え~!!!」」
ダリの足は早いがQTが通ったような道なき道は行けない。
暗くなりつつもあり、お腹も空きつつもあり南地区の冒険者ギルドに着いた時はもう日も暮れていた。
ダリを後ろに冒険者ギルドの人気の少ない建物に入ったQTは直ぐに受付嬢アンナを目敏く見付け、近づいて声を掛けた。
隣の受付嬢と話していた彼女はQTに気づかなかったようで掛けられた声に少し驚く。
「あら、昼間の冒険者のお嬢さんじゃない」
「ええ、アンナさんに会いたいという人を連れてきました。」
QTが後ろを振り返ろうとするとダリが叫んだ。
「アンナ様!やっぱりアンナ様ですね!」
ダリの姿を見たアンナは声を聞く前に立ち上がって同じ様に叫びそうになる口を手で押さえていた。
「ダリア•マルチネス・・・」
「そうです!ハサイエル家の騎士見習いだったダリです!」
隣の受付嬢が立ち上がったアンナの服を引っ張って注意を促すと、ハッとしてアンナが言った。
「と、取り敢えずもう上がりだからそっちの酒場でちょっと二人とも待ってて」
注意してくれた隣の受付嬢に小声でありがとうを言うとアンナさんは受付の奥に引っ込んだ。隣の受付嬢が興味深そうにこちらを見たが口を開くこともなく手元の資料に目を落とした。
QTはまだ興奮しているダリを連れてアンナさんに言われたように酒場の空いているテーブルの席に座る。酒場のマスターと思える男がカウンターからこちらをじろりと見たが先程のやり取りを見ていた為か何も言わなかった。
「キュウ、ありがとう!」
ダリがQTに礼を言う。
「いやぁ、何もしてないよ。偶然今日知りあっただけだし」
「それでもだよ。嬉しい!嬉しい!」
喜びを隠さず頬を赤く染めているダリはとても好ましく見えた。今日会ったばかりだがその素直な性格と真っ直ぐさがQTを友人にするのに時間はいらなかった。
「ねえ、ダリ。さっきハサイエル家の騎士見習いって言ってたけど何処かの貴族様に仕えていたの?」
QTは疑問に思ったことをダリに聞く。落ち着いてきたダリがQTの方を向いて言った。
「うん、あんまり詳しくは言えないけど私も元は貴族の末席だったんだ。ああ、でも平民と変わらないよ。準男爵の次女だから貴族位も無い身分だったからせめて嫁入りするより騎士になりたくて•••」
ダリにも色々事情があるようで明るかった顔を俯かせてしまう。
いけない話を振ってしまったと気づいたQTは謝る。
「ごめん!言いたくないこと聞いちゃったね。」
「う、うん。大丈夫だよ。」
そこへ受付嬢アンナがやってきた。
「おまたせ、ダリ、QTさん」
受付嬢の制服の上に小さなマントのようなものを羽織ったアンナ。小さなマントから魔力を感じるから何らかの効果を持った魔導具らしい。
「お腹空いているから私の知っている食堂で良いかしら」
さっきの落ち込みが何だったんだろうと思えるほどの笑顔を魅せるダリとQTは頷く。アンナがいつも通っているのかも知れない店は南地区と東地区との境近くにあり、アンナさんが借りている部屋も近いらしい。
『陽陵泉』と書かれた店は庶民的と言うより少し洒落た食事処でアンナさんの顔で奥まった部屋に通された。食事はアンナさんお勧めの何だかお酒に合う料理が多くて、アンナさんが健啖家である証拠にも見えた。
あたしもダリもお腹が空いていたせいで食べることを先んじて余り話もせず食事は進んだ。
人心地着いた所でダリがアンナさんに聞く。
「いったい、あれからアンナ様は何処に行っていたんですか?」
「あはは、父の勧めでリヒャルト領ダゾンの街の冒険者ギルドの受付嬢をやってたのよ。ちょっとトラブルがあったのと人を探しに最近こっちに戻って来たところよ。」
「ふぁ~ •••もしかして男ですか?」
ダリが地方の冒険者ギルドと聞いて何やら忖度する。そして核心を突く。
「え?ええ~と、そうね。あははは」
ダリも本当にそうだと思った訳でも無かったのだろう、驚きを持ってアンナさんを見る。
「アンナさんみたいに素敵な人から追い掛けられる男の人ってどんな人だろう」
QTの独り言みたいな問いかけにアンナのちょっと厳しい顔が崩れてにへらとなる。その顔を見て尚もダリが驚く。
「そうねぇ~あなた達にも教えて置いたほうが早く見つかるかもしれないわねぇ~」
お酒のせいかアンナさんの口調も崩れ、明け透けになった。
「リヒャルト領ダゾンの街の冒険者ギルドで合ったA級冒険者なのよ。しかも私の危機を救ってくれた男!」
アンナさんの顔は女の顔になっている。
「ええ~!アンナ様!駄目ですよぉ!昔で懲りてないんですかぁー!」
ダリの衝撃的な言葉がアンナさんに突き刺さる。
「だ、ダリったら~。分かってるわよ、私が惚れっぽいって事は。でもね、少しは男を知ったのよ。それに彼は昔のあいつとは違うの!」
「へ~、なんて名前の人ですか?王都の冒険者なんですか?」
興味本位でQTがアンナに聞くとダリも頷いて顔を向けた。
「へ~、聞いちゃう?え~、言っちゃおうかなぁ~」
「「教えて下さいよ、その人!」」
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その答えにQTとダリが揃って大声を上げた。
「「え~!!!」」
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